2016年05月14日
「介護食」の盛り付けの工夫を知って食事介助をやるべき理由
施設や病院で毎日提供される食事。
食事の時間を楽しみにされている高齢者は本当にたくさんいらっしゃいます。
高齢者の中には、食事に対しての意識が高い方も多く、1日の献立を見て、ひとつひとつをゆっくりと味わいながら食事をされている方もいるほど、生活の中で食事の占めるウェイトというのは大きいものです。
では、それほど大きな楽しみのひとつでもある食事が、どのような工夫をされた上で提供されているのかを知っているという介護士さんは、どれほどいるのでしょうか?
より美味しく召し上がっていただくための様々な工夫を、栄養士や調理員、そして調理補助の担当者が愛情を込めて、「少しでも美味しく食べていただきたい」と創意工夫をしていることをご存知でしょうか?
今回は、普段何気なく食事介助をしている私たち介護士が、あまり考えたことのない「食事の盛り付け」についてお伝えしていきます。
施設や病院では、とてもたくさんの食事を1度に作らなければなりません。
50人分を作る施設もあれば、100人分を作る病院もあります。規模によって違いはあるものの、家庭で作る食事とは比べ物にならないほどたくさんの食事を準備する必要があるのです。
そして常食(通常食)に加えて、刻み食やミキサー食なども同時進行で作っていきます。療養食と呼ばれる食事まで作るとなると、毎回の食事を準備するのがどれほど大変なものかは容易に想像ができると思います。
すべては高齢者に合った食事を召し上がっていただくために、注意事項(嫌いな食べ物やアレルギーなど)なども守りつつ個別に準備されていきます。
食事の種類についてはこちらの記事に書いていますので、合わせてお読みください。
食事の種類(食事形態)について
また、食事を作る際は一汁三菜が基本とされています。汁物一品、メインの副食一品、小鉢が二品、そしてご飯です。
食事の味はもちろんですが、そこには食事の「盛り付け」にも様々な工夫がされています。
料理の盛り付け方には様々な種類があります。調理補助の方がどのような技を使って「見た目も美味しそうな食事」にしているのかをみていきましょう。
たとえば洋食の場合、メインの副食には野菜などの付け合わせがあることが多いですが、その付け合わせの位置はメイン料理の上(お皿の上の位置)と決まっています。
さらに、常食の方で魚を盛り付ける際は、お皿の右下(食べる人の手前側)に大根おろしなどの付け合わせを置くようになっています。見た目も大切ですが、食べやすい位置に、食べやすいものを配置するのが盛り付けの基本です。
その他の盛り付け方の一例(和食の場合)
【山の形に盛る】
盛り付けの基本中の基本。やや深みある器に、料理を山の形のように盛る。土台となる下は太く、上に上がるにつれて細くしていく盛り付け方(天小地大)。椀物は寄せ盛り、小鉢類は混ぜ盛り、焼き物類は俵盛りや重ね盛り、お造りには杉盛りなど、それぞれの器や皿に合った盛り付け方があるが、素材を中央に寄せながら高さを出していくのが一般的。手前のほうに見た目の良い素材を持ってきたり、一番上に天盛りをするなど、この山型を基本に、様々な盛り付け方がある。
【天盛り】
料理の中央に海苔や木の芽、針生姜など少し高く盛る。香りと色味を加えることで見た目が美しくなる。また、それらが中央にあることで誰も手をつけていないということを伝える意味もある。
【平盛り】
数種類の刺身などを盛り付けるときに多い盛り付け方。素材を平面状に並べ、その素材同士を密着させるように盛ることで、素材本来の持つ美しさを伝える効果がある。
【散らし盛り】
平盛りとは逆に、違う素材同士を密着させないようにして盛る。素材と素材の間に空間が生まれることで、皿や器を広く使った盛り付け方になるのが特徴。皿や器をキャンバスに見立て、素材を上手く配置することで、器自体も料理の一部とする意味がある。
【流し盛り】
平盛りのように平面的に盛るのではなく、やや素材を立てて流すように盛る。同じ種類の素材(刺身やかまぼこなど)を、右に傾けながら盛り付けていくのが一般的。
【一点盛り】
魚などの素材を中央、もしくはやや左右に寄せて配置する盛り付け方。皿の余白を上手く使って、季節の葉や付け合わせなどを少し乗せるだけで、素材を際立たせる効果がある。
このように、盛り付けと一言でいっても様々な盛り付け方があるのがお分かりいただけると思います。
盛り付けは主に調理補助の担当者の仕事となります。献立を考える栄養士や、料理を作る調理員だけでなく、素材を活かした盛り付けをする調理補助さんのおかげで、高齢者に「見た目も美味しい食事」を召し上がっていただけるのです。
食事において最も重要なのは、「食の安全」です。
徹底した衛生管理の下で、施設や病院の食事は作られています。
盛り付けなどは食事の見た目で安心して食べていただけるようにするものですが、食事自体が安全でなければいくら盛り付けが良くてもダメだというのは当然のことです。
私たち介護士も手洗いや消毒の重要性は十分に理解していると思いますが、念のためこちらの記事も参考に読んでおきましょう。
介護士がやるべき正しい手洗いの方法
食事の衛生管理上の責任は、食品衛生管理の立場にある管理栄養士がほとんどです。食事を作ったあとの衛生管理の責任は、栄養士や調理師の責任となる場合も多く、そのため厨房内では栄養士だけでなく、調理員から調理補助にいたるまで、徹底した衛生管理が行われています。
手洗いは介護士さん以上にこまめにされていますし、高齢者の使う食器も洗浄後に高温の熱処理殺菌をするというのが当たり前です。
ここで少し、介護士さんにはあまりなじみのない「調理補助さんの仕事」というものをご紹介します。
調理補助の役割は、高齢者の食札(食事形態などが書いてある名札のようなもの)をそろえたり、野菜の仕込みやミキサー食の準備、盛り付け、配膳等が主な仕事です。
その中でも、特に過酷な仕事が洗い物の片付けです。これも基本的には調理補助の仕事です。
介護士さんも冬季は手が荒れてしまうという方が多いですが、まめな手洗いと、洗い物や高温の食器を扱う調理補助さんは、年中手が荒れているという方も少なくありません。
特に洗い物のあとの熱処理後の食器は、熱くて触れないほどです。洗い場は食器の熱処理担当になった人は汗だくになりながら高温の食器を片づけています。
それほどまで徹底してやっているからこそ、食中毒やノロウィルスなどの感染症は防がれ、「食の安全」が守られているのだということを知っておいてほしいと思います。
ノロウィルスの症状と対策
調理担当者が、どのようにして盛り付けに工夫をしているのかを知った上で、改めて介護士のみなさんには考えていただきたいことがあります。
せっかくの盛り付けを、他の食事も混ぜてぐちゃぐちゃにして食べさせていませんか?
もしくは、「そのような光景を見たことがある」という介護士さんもいらっしゃるかもしれません。
刻みをご飯に混ぜて食べさせていたり、せっかくきれいに区切られているミキサー食をぐちゃぐちゃに混ぜて食べさせていたりと、そのような介護士さんがいまだにいます。
自分が同じように食べさせられていたらと考えると、誰でも気持ちのいいものではないということは分かっているはずなんですが、自分に置き換えて考えることの出来ない介護士さんはまだまだ多いのが現状です。
これでは、せっかくの盛り付けも台無しです。
毎日提供される食事が、どのような工夫を凝らした上で提供されているのかを知っておくことは、食事介助をする私たち介護士の意識を変えると同時に、一生懸命に作ってくれた調理員と、そしてきれいに盛り付けをしてくれた調理補助の担当者の努力を、ストレートに高齢者に伝えることもできるようになると思います。それもまた、私たち介護士の役割のひとつなのではないでしょうか?
どんな想いで毎日食事を作ってくれているのかを考えると、簡単に食事介助をあきらめるわけにはいきません。
献立や何を食べているのかが分からなくなっても、せめて見た目で美味しそうだと感じてほしい。
高齢者が美味しく食べれる分だけの食事を、食事の時間を通してゆっくりと味わっていただけるようにしていきたいものです。
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食事の時間を楽しみにされている高齢者は本当にたくさんいらっしゃいます。
高齢者の中には、食事に対しての意識が高い方も多く、1日の献立を見て、ひとつひとつをゆっくりと味わいながら食事をされている方もいるほど、生活の中で食事の占めるウェイトというのは大きいものです。
では、それほど大きな楽しみのひとつでもある食事が、どのような工夫をされた上で提供されているのかを知っているという介護士さんは、どれほどいるのでしょうか?
より美味しく召し上がっていただくための様々な工夫を、栄養士や調理員、そして調理補助の担当者が愛情を込めて、「少しでも美味しく食べていただきたい」と創意工夫をしていることをご存知でしょうか?
今回は、普段何気なく食事介助をしている私たち介護士が、あまり考えたことのない「食事の盛り付け」についてお伝えしていきます。
栄養士や調理員、調理補助の担当者が行っている食事へのこだわりとは
施設や病院では、とてもたくさんの食事を1度に作らなければなりません。
50人分を作る施設もあれば、100人分を作る病院もあります。規模によって違いはあるものの、家庭で作る食事とは比べ物にならないほどたくさんの食事を準備する必要があるのです。
そして常食(通常食)に加えて、刻み食やミキサー食なども同時進行で作っていきます。療養食と呼ばれる食事まで作るとなると、毎回の食事を準備するのがどれほど大変なものかは容易に想像ができると思います。
すべては高齢者に合った食事を召し上がっていただくために、注意事項(嫌いな食べ物やアレルギーなど)なども守りつつ個別に準備されていきます。
食事の種類についてはこちらの記事に書いていますので、合わせてお読みください。
食事の種類(食事形態)について
また、食事を作る際は一汁三菜が基本とされています。汁物一品、メインの副食一品、小鉢が二品、そしてご飯です。
食事の味はもちろんですが、そこには食事の「盛り付け」にも様々な工夫がされています。
こだわり@盛り付けの種類と工夫
料理の盛り付け方には様々な種類があります。調理補助の方がどのような技を使って「見た目も美味しそうな食事」にしているのかをみていきましょう。
たとえば洋食の場合、メインの副食には野菜などの付け合わせがあることが多いですが、その付け合わせの位置はメイン料理の上(お皿の上の位置)と決まっています。
さらに、常食の方で魚を盛り付ける際は、お皿の右下(食べる人の手前側)に大根おろしなどの付け合わせを置くようになっています。見た目も大切ですが、食べやすい位置に、食べやすいものを配置するのが盛り付けの基本です。
その他の盛り付け方の一例(和食の場合)
【山の形に盛る】
盛り付けの基本中の基本。やや深みある器に、料理を山の形のように盛る。土台となる下は太く、上に上がるにつれて細くしていく盛り付け方(天小地大)。椀物は寄せ盛り、小鉢類は混ぜ盛り、焼き物類は俵盛りや重ね盛り、お造りには杉盛りなど、それぞれの器や皿に合った盛り付け方があるが、素材を中央に寄せながら高さを出していくのが一般的。手前のほうに見た目の良い素材を持ってきたり、一番上に天盛りをするなど、この山型を基本に、様々な盛り付け方がある。
【天盛り】
料理の中央に海苔や木の芽、針生姜など少し高く盛る。香りと色味を加えることで見た目が美しくなる。また、それらが中央にあることで誰も手をつけていないということを伝える意味もある。
【平盛り】
数種類の刺身などを盛り付けるときに多い盛り付け方。素材を平面状に並べ、その素材同士を密着させるように盛ることで、素材本来の持つ美しさを伝える効果がある。
【散らし盛り】
平盛りとは逆に、違う素材同士を密着させないようにして盛る。素材と素材の間に空間が生まれることで、皿や器を広く使った盛り付け方になるのが特徴。皿や器をキャンバスに見立て、素材を上手く配置することで、器自体も料理の一部とする意味がある。
【流し盛り】
平盛りのように平面的に盛るのではなく、やや素材を立てて流すように盛る。同じ種類の素材(刺身やかまぼこなど)を、右に傾けながら盛り付けていくのが一般的。
【一点盛り】
魚などの素材を中央、もしくはやや左右に寄せて配置する盛り付け方。皿の余白を上手く使って、季節の葉や付け合わせなどを少し乗せるだけで、素材を際立たせる効果がある。
このように、盛り付けと一言でいっても様々な盛り付け方があるのがお分かりいただけると思います。
盛り付けは主に調理補助の担当者の仕事となります。献立を考える栄養士や、料理を作る調理員だけでなく、素材を活かした盛り付けをする調理補助さんのおかげで、高齢者に「見た目も美味しい食事」を召し上がっていただけるのです。
こだわりA徹底した衛生管理
食事において最も重要なのは、「食の安全」です。
徹底した衛生管理の下で、施設や病院の食事は作られています。
盛り付けなどは食事の見た目で安心して食べていただけるようにするものですが、食事自体が安全でなければいくら盛り付けが良くてもダメだというのは当然のことです。
私たち介護士も手洗いや消毒の重要性は十分に理解していると思いますが、念のためこちらの記事も参考に読んでおきましょう。
介護士がやるべき正しい手洗いの方法
食事の衛生管理上の責任は、食品衛生管理の立場にある管理栄養士がほとんどです。食事を作ったあとの衛生管理の責任は、栄養士や調理師の責任となる場合も多く、そのため厨房内では栄養士だけでなく、調理員から調理補助にいたるまで、徹底した衛生管理が行われています。
手洗いは介護士さん以上にこまめにされていますし、高齢者の使う食器も洗浄後に高温の熱処理殺菌をするというのが当たり前です。
ここで少し、介護士さんにはあまりなじみのない「調理補助さんの仕事」というものをご紹介します。
調理補助の役割は、高齢者の食札(食事形態などが書いてある名札のようなもの)をそろえたり、野菜の仕込みやミキサー食の準備、盛り付け、配膳等が主な仕事です。
その中でも、特に過酷な仕事が洗い物の片付けです。これも基本的には調理補助の仕事です。
介護士さんも冬季は手が荒れてしまうという方が多いですが、まめな手洗いと、洗い物や高温の食器を扱う調理補助さんは、年中手が荒れているという方も少なくありません。
特に洗い物のあとの熱処理後の食器は、熱くて触れないほどです。洗い場は食器の熱処理担当になった人は汗だくになりながら高温の食器を片づけています。
それほどまで徹底してやっているからこそ、食中毒やノロウィルスなどの感染症は防がれ、「食の安全」が守られているのだということを知っておいてほしいと思います。
ノロウィルスの症状と対策
まとめ
調理担当者が、どのようにして盛り付けに工夫をしているのかを知った上で、改めて介護士のみなさんには考えていただきたいことがあります。
せっかくの盛り付けを、他の食事も混ぜてぐちゃぐちゃにして食べさせていませんか?
もしくは、「そのような光景を見たことがある」という介護士さんもいらっしゃるかもしれません。
刻みをご飯に混ぜて食べさせていたり、せっかくきれいに区切られているミキサー食をぐちゃぐちゃに混ぜて食べさせていたりと、そのような介護士さんがいまだにいます。
自分が同じように食べさせられていたらと考えると、誰でも気持ちのいいものではないということは分かっているはずなんですが、自分に置き換えて考えることの出来ない介護士さんはまだまだ多いのが現状です。
これでは、せっかくの盛り付けも台無しです。
毎日提供される食事が、どのような工夫を凝らした上で提供されているのかを知っておくことは、食事介助をする私たち介護士の意識を変えると同時に、一生懸命に作ってくれた調理員と、そしてきれいに盛り付けをしてくれた調理補助の担当者の努力を、ストレートに高齢者に伝えることもできるようになると思います。それもまた、私たち介護士の役割のひとつなのではないでしょうか?
どんな想いで毎日食事を作ってくれているのかを考えると、簡単に食事介助をあきらめるわけにはいきません。
献立や何を食べているのかが分からなくなっても、せめて見た目で美味しそうだと感じてほしい。
高齢者が美味しく食べれる分だけの食事を、食事の時間を通してゆっくりと味わっていただけるようにしていきたいものです。
介護の転職で好条件の案件を探したいという方はこちらをおすすめしています。
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