2016年06月23日
「特浴」と「機械浴」の違いと、特浴の種類について
施設には特殊浴槽(機械浴槽)というものがあります。
だいたいどこの施設にも1台は置いてあることの多い特殊浴槽ですが、特養などでは入居者の重度化が進み、実に入居者の半数以上が特浴(機械浴)になっている、というところも少なくありません。
入居者の安全を守り、安心して入浴していただけるようにするためには、特浴のほうが好ましいというケースも実際の介護現場ではよくあるためです。
そこで今回は、介護士さんでもよく分からないという意見も多い、「特浴」と「機械浴」の違いと、特浴(機械浴)の種類についてお伝えしていきます。
入浴についての理解をさらに深め、今後の介護に役立てていただければと思います。
まず先にお話しておきたいのは、よく介護の現場では「特浴」「機械浴」「リフト浴」といった、入浴の方法を表す言葉が混同されて使われている場合が多いということです。
そのため、入浴についての説明を受けた入居者やご家族が混乱してしまうというケースがあります。
施設によってその呼び方はさらに多岐に渡り、「ストレッチャー浴」「ハーバード浴」「チェアー浴」などの呼び方をされているため、実際には介護士さん自身もその違いについては明確に説明できないという方も多いようです。
しかし、それらの入浴の種類の違いについては、実際のところ特に大きな違いというものはありません。
上記のような入浴の種類はどれも、特浴(もしくは機械浴)に分類されるものだからです。
つまり、「リフト浴」も「ストレッチャー浴」も「チェアー浴」も、入浴の種別としてはすべて特浴(機械浴)となります。
施設では、入居者の入浴形態を決める際、その施設にある入浴タイプの中からどれがその方に合ったものかを考えます。
ひとくくりに特浴(機械浴)といっても、入浴用のストレッチャーに寝たままの状態で入れるタイプのものもあれば、シャワーチェアキャリーに座った状態でそのまま入れるタイプのもの、入浴用リフトを使用して入るタイプのものまであります。
入浴形態を決める際、ただ「特浴」と書いてあるだけでは、どの入浴タイプで入浴介助を行えばいいのか分かりにくいため、それを分かりやすくするための工夫が必要になってきます。
それが、入浴タイプ別に入浴形態を決める、という方法です。
特浴(機械浴)ということに変わりはないけれども、より明確に入浴の形態を表したほうが分かりやすいということで、その方が入浴で使用する機械の名前(リフトやストレッチャー)から、「リフト浴」や「ストレッチャー浴」といった入浴形態のための言葉が生まれるのです。
良い方法ではありますが、その方法の意図を、入浴について説明をする介護士さんや相談員が理解していなければ、入居者やご家族に説明する際、混乱が生じてしまうことになります。
現場の介護士さんも明確に説明ができないのは、この部分が理解できていないことが多いためです。
言葉の違いに惑わされないようにしておきましょう。
特浴(機械浴)の種類は、大きく分けて2つのタイプがあります。
入浴用のストレッチャーに「寝た状態で入浴をするタイプ」と、シャワーチェアキャリーなどに「座った状態で入浴をするタイプ」です。
【寝たまま入浴ができるタイプ】
こちらは主にストレッチャータイプの特浴(機械浴)となります。
普段から寝たきりで、リクライニング車いすや、フルリクライニング車いすを使用されている方(ひとりでは座位が上手く保てない方)が対象になることの多い入浴タイプです。
その他にも、骨折などで身体を大きく動かすことはできなくても、入浴の許可が下りた方などが一時的に利用されるといったケースもあります。
身体的に最も負担の少ない入浴タイプとなりますが、裸で寝た状態で入るため、入居者の羞恥心にも特に配慮が必要です。
浴槽のタイプは固定式で、ストレッチャーを浴槽の上にスライドさせ、浴槽やストレッチャーの上げ下げで入浴するタイプのものが多いです。
バブル機能がついているものもありますが、音が大きいため、その音で不安になる方もいらっしゃいますので、使う時には注意する必要があります。
このタイプの呼び方としては「ストレッチャー浴」が代表的ですが、その他にも病院などでは「ハーバード浴」とも呼ばれています。
寝た状態⇔座位の状態の両方のタイプに対応できる入浴用のストレッチャーもあります。
【座ったまま入浴ができるタイプ】
座った状態で入浴ができるものには、大きく分けて2つのタイプがあります。
「チェアーインバス」
キャリーのついた専用のシャワーチェアに座った状態で、入浴まで可能なタイプです。専用の浴槽があり、その浴槽の開閉式トビラから出入りします。
しっかりとトビラが閉まった状態でお湯を張るスイッチを押すことで、どんどんお湯が溜まっていき、浴槽につかっているような状態になります。
その他にも、四方八方から温かいミストが出て身体を温めるミスト式のチェアーインバスや、シャワータイプのチェアーインバスなど、様々なタイプがあります。
終始、座った状態で入浴ができ、身体を持ち上げたりする必要もないため、マヒなどの障害があっても比較的お元気な方はチェアーインバスに慣れるとこの入浴タイプに安心感を持たれることも多いようです。
しかし、初めて利用される方や認知症の方などには、チェアーインバスの浴槽の形状が通常の浴槽とは違うため、なにをされるのか状況が理解できないという不安から、恐怖感を持つ方もいらっしゃいます。
使用するときにはゆっくりと説明をしながら行うようにするか、認知症のある方には使用しないですむ方法があれば、そちらを検討したほうがいいでしょう。
「リフト付きシャワーチェア」
座った状態で入浴ができるタイプのものとしては、こちらのほうが主流です。
リフトのタイプは様々なタイプがあり、ドッキング式のシャワーキャリータイプのものから、シャワーチェアのみのもの、専用のベルトで釣り上げて使用するタイプのものなどがあります。
どのタイプも、入浴する際にリフト(機械)によって身体が上昇や下降するため、そのときに不安感を持たれる方も少なくありません。
下肢の筋力が低下した方や、体重のある方などが使用されるケースは多いですが、座位を保ちにくい方でも通常の浴槽に入ることが可能となるため、ストレッチャー浴の方でも普通のお風呂に入れるようになったというケースも多くあります。
「特浴」「機械浴」「リフト浴」は、入浴の種別としてはどれも特浴(機械浴)に分類されるということを覚えておきましょう。
その中で、介護士さんなどが入浴介助をする際に分かりやすいように「入浴形態」としてストレッチャー浴やリフト浴などの言葉を使っているというだけです。
特浴の種類には、寝たまま入浴ができる「ストレッチャー浴」と、座ったまま入浴ができる「チェアーインバス」や「リフト浴」があります。それぞれの入浴形態と、自分の施設で使われている入浴形態の言葉はどれにあたるのかをもう一度整理しておきましょう。
こちらの記事も入浴に関しての記事となります。
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だいたいどこの施設にも1台は置いてあることの多い特殊浴槽ですが、特養などでは入居者の重度化が進み、実に入居者の半数以上が特浴(機械浴)になっている、というところも少なくありません。
入居者の安全を守り、安心して入浴していただけるようにするためには、特浴のほうが好ましいというケースも実際の介護現場ではよくあるためです。
そこで今回は、介護士さんでもよく分からないという意見も多い、「特浴」と「機械浴」の違いと、特浴(機械浴)の種類についてお伝えしていきます。
入浴についての理解をさらに深め、今後の介護に役立てていただければと思います。
特浴、機械浴、リフト浴の言葉の違いについて
まず先にお話しておきたいのは、よく介護の現場では「特浴」「機械浴」「リフト浴」といった、入浴の方法を表す言葉が混同されて使われている場合が多いということです。
そのため、入浴についての説明を受けた入居者やご家族が混乱してしまうというケースがあります。
施設によってその呼び方はさらに多岐に渡り、「ストレッチャー浴」「ハーバード浴」「チェアー浴」などの呼び方をされているため、実際には介護士さん自身もその違いについては明確に説明できないという方も多いようです。
しかし、それらの入浴の種類の違いについては、実際のところ特に大きな違いというものはありません。
上記のような入浴の種類はどれも、特浴(もしくは機械浴)に分類されるものだからです。
つまり、「リフト浴」も「ストレッチャー浴」も「チェアー浴」も、入浴の種別としてはすべて特浴(機械浴)となります。
ではなぜ言葉の違いが生まれ、分かりにくくなってしまうのか
施設では、入居者の入浴形態を決める際、その施設にある入浴タイプの中からどれがその方に合ったものかを考えます。
ひとくくりに特浴(機械浴)といっても、入浴用のストレッチャーに寝たままの状態で入れるタイプのものもあれば、シャワーチェアキャリーに座った状態でそのまま入れるタイプのもの、入浴用リフトを使用して入るタイプのものまであります。
入浴形態を決める際、ただ「特浴」と書いてあるだけでは、どの入浴タイプで入浴介助を行えばいいのか分かりにくいため、それを分かりやすくするための工夫が必要になってきます。
それが、入浴タイプ別に入浴形態を決める、という方法です。
特浴(機械浴)ということに変わりはないけれども、より明確に入浴の形態を表したほうが分かりやすいということで、その方が入浴で使用する機械の名前(リフトやストレッチャー)から、「リフト浴」や「ストレッチャー浴」といった入浴形態のための言葉が生まれるのです。
良い方法ではありますが、その方法の意図を、入浴について説明をする介護士さんや相談員が理解していなければ、入居者やご家族に説明する際、混乱が生じてしまうことになります。
現場の介護士さんも明確に説明ができないのは、この部分が理解できていないことが多いためです。
言葉の違いに惑わされないようにしておきましょう。
特浴(機械浴)の種類にはどんなものがあるのか
特浴(機械浴)の種類は、大きく分けて2つのタイプがあります。
入浴用のストレッチャーに「寝た状態で入浴をするタイプ」と、シャワーチェアキャリーなどに「座った状態で入浴をするタイプ」です。
【寝たまま入浴ができるタイプ】
こちらは主にストレッチャータイプの特浴(機械浴)となります。
普段から寝たきりで、リクライニング車いすや、フルリクライニング車いすを使用されている方(ひとりでは座位が上手く保てない方)が対象になることの多い入浴タイプです。
その他にも、骨折などで身体を大きく動かすことはできなくても、入浴の許可が下りた方などが一時的に利用されるといったケースもあります。
身体的に最も負担の少ない入浴タイプとなりますが、裸で寝た状態で入るため、入居者の羞恥心にも特に配慮が必要です。
浴槽のタイプは固定式で、ストレッチャーを浴槽の上にスライドさせ、浴槽やストレッチャーの上げ下げで入浴するタイプのものが多いです。
バブル機能がついているものもありますが、音が大きいため、その音で不安になる方もいらっしゃいますので、使う時には注意する必要があります。
このタイプの呼び方としては「ストレッチャー浴」が代表的ですが、その他にも病院などでは「ハーバード浴」とも呼ばれています。
寝た状態⇔座位の状態の両方のタイプに対応できる入浴用のストレッチャーもあります。
【座ったまま入浴ができるタイプ】
座った状態で入浴ができるものには、大きく分けて2つのタイプがあります。
「チェアーインバス」
キャリーのついた専用のシャワーチェアに座った状態で、入浴まで可能なタイプです。専用の浴槽があり、その浴槽の開閉式トビラから出入りします。
しっかりとトビラが閉まった状態でお湯を張るスイッチを押すことで、どんどんお湯が溜まっていき、浴槽につかっているような状態になります。
その他にも、四方八方から温かいミストが出て身体を温めるミスト式のチェアーインバスや、シャワータイプのチェアーインバスなど、様々なタイプがあります。
終始、座った状態で入浴ができ、身体を持ち上げたりする必要もないため、マヒなどの障害があっても比較的お元気な方はチェアーインバスに慣れるとこの入浴タイプに安心感を持たれることも多いようです。
しかし、初めて利用される方や認知症の方などには、チェアーインバスの浴槽の形状が通常の浴槽とは違うため、なにをされるのか状況が理解できないという不安から、恐怖感を持つ方もいらっしゃいます。
使用するときにはゆっくりと説明をしながら行うようにするか、認知症のある方には使用しないですむ方法があれば、そちらを検討したほうがいいでしょう。
「リフト付きシャワーチェア」
座った状態で入浴ができるタイプのものとしては、こちらのほうが主流です。
リフトのタイプは様々なタイプがあり、ドッキング式のシャワーキャリータイプのものから、シャワーチェアのみのもの、専用のベルトで釣り上げて使用するタイプのものなどがあります。
どのタイプも、入浴する際にリフト(機械)によって身体が上昇や下降するため、そのときに不安感を持たれる方も少なくありません。
下肢の筋力が低下した方や、体重のある方などが使用されるケースは多いですが、座位を保ちにくい方でも通常の浴槽に入ることが可能となるため、ストレッチャー浴の方でも普通のお風呂に入れるようになったというケースも多くあります。
まとめ
「特浴」「機械浴」「リフト浴」は、入浴の種別としてはどれも特浴(機械浴)に分類されるということを覚えておきましょう。
その中で、介護士さんなどが入浴介助をする際に分かりやすいように「入浴形態」としてストレッチャー浴やリフト浴などの言葉を使っているというだけです。
特浴の種類には、寝たまま入浴ができる「ストレッチャー浴」と、座ったまま入浴ができる「チェアーインバス」や「リフト浴」があります。それぞれの入浴形態と、自分の施設で使われている入浴形態の言葉はどれにあたるのかをもう一度整理しておきましょう。
こちらの記事も入浴に関しての記事となります。
朝1番に入浴の準備をしなければならないワケ
介護施設での入浴回数は2回と3回どちらがいいのか
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