2016年05月16日
介護施設での入浴回数は2回と3回どちらがいいのか
施設に入居されている方は、ほとんどの方が週に2回の入浴となっています。
そして入浴日は「月曜日と木曜日」、「火曜日と金曜日」といった具合に、個別に入浴できる曜日まで決められているという場合がほとんどです。
みなさんの職場では、どのような入浴の体制になっているでしょうか?
そして、なぜそのように決められているのかをご存知ですか?
入浴の体制の在り方について、これまであまり考えたことがなかったという方でも、ここで一度入浴について考える機会を持ち、「利用者本位の入浴とは何か」を理解しておきましょう。
法令で「週に2回以上の入浴を実施すること」は決められています。
そして2000年に介護保険による介護サービスが始まって以降、介護サービスについては「ケアの質」というものが求められるようになってきました。
それは施設での入浴についても同じことがいえます。質の良い入浴サービスを求められるようになってきたとは言え、どのようにして入浴の質を高めていくのかは、いまだに大きな課題となっています。
なかなか週に2回の入浴から、回数を増やすことができない施設が多いのです。
まだまだ週に2回の入浴サービスをベースにしているところは多いですが、そんな中、週に3回の入浴サービスを行っている施設や、入居者ご本人やご家族の希望があれば毎日入浴していただいているという施設も出てくるようになりました。
一体どのような方法で、入浴体制作りを行っているのでしょうか。そこが大変気になるところだと思いますので、みていきましょう。
基本的に施設での入浴は、介護士さんが入浴介助を行います。そのため、入浴介助をするための介助者を確保する必要があります。
入浴介助は、入居者一人につき30分以上はかかる場合が多く、そのため入浴介助を行うためにはある程度のまとまった介助に要する時間というものも確保する必要があります。
施設の場合、入浴介助の時間というものが決まっている場合は多く、午前であれば10時〜11時30分、午後は14時〜16時という場合がほとんどです。
週に3回の入浴を実施している施設からみていきましょう。
【週3回入浴の場合】
Aグループ:月・水・金曜日
Bグループ:火・木・土曜日
週に3回の入浴を実施する場合、グループは2つしか作れません。つまり、入浴する入居者はこのどちらかのグループでの入浴となります。
1ユニット10名の場合なら、基本的にAグループに5名、Bグループに5名ずつ入ることになります。
日勤帯の職員が早出・日勤・遅出(パート職員でも可)の3名であれば、午前と午後に2〜3名ずつ入浴介助を行うだけで、ゆっくりと入っていただくことができます。たとえ2人介助となっている入居者がいても対応は十分に可能となります。
1ユニット20名の場合ならどうでしょうか。基本的にAグループに10名、Bグループに10名ずつ入ることになります。
この場合は、午前と午後に5名ずつ入浴介助を行う必要があります。先ほど入居者ひとりにつき、30分以上は入浴介助にかかるとお伝えしましたが、これでは単純計算でも2時間30分はかかる計算になります。
上述した午前・午後の入浴時間は1時間30分〜2時間しかありませんから、これでは間に合いません。
では、もうひとり入浴介助を行う介護士さんを増やしてみればどうでしょうか。
介護士2名で、午前・午後と5名の入居者の入浴介助を行うということになります。ひとりの介護士が2〜3名の入居者の入浴介助を担当します。
そうなると、さきほどの1ユニット10名の場合と同じになるのが分かると思います。
つまり、ゆっくりと入浴していただける環境が作れるということです。
ただし、そのためには日勤帯の職員が早出・日勤・遅出の他に、もう1名職員が必要になります。午前中だけの数時間のパート職員でも構いませんので、とにかく、午前中にプラス1名の職員が必要になるということです。
仮に「毎日入浴がしたい」という方がいても、上記のような入浴体制であれば、場合によって対応は可能になると思われます。
では次に、週に2回の入浴を実施している施設をみていきましょう。
【週2回入浴の場合】
Aグループ:月・木曜日
Bグループ:火・金曜日
Cグループ:水・土曜日
週に2回の入浴を実施する場合、3つのグループを作ることができます。
1ユニット10名の場合なら、A・B・Cグループで2〜3名ずつ入ることになります。
これならたとえ日勤帯の職員が早出と遅出の2名でも、午後に2〜3名まとめて入浴介助を行うだけで、ゆっくりと入っていただくことが可能です。ただし2人介助となっている入居者がいる場合は、パート職員などの日勤者が確保できる曜日で対応するなどの工夫が必要となります。
1ユニット20名の場合ならどうでしょうか。A・B・Cグループで6〜7名ずつ入ることになります。
この場合は、午前と午後に3〜4名ずつ入浴介助を行う必要があります。つまり1時間30分〜2時間ほど入浴介助に時間がかかることになります。
上述した午前・午後の入浴時間は1時間30分しかありません。普通に考えてもどこか4名の入居者が入浴するグループでは時間が足りません。仮に入れたとしても、かなり焦って入浴介助を行うことになります。
やはりこの場合でも、もうひとり入浴介助を行う介護士さんを増やす必要があります。
ただし毎回ではなく、あくまでも4名の入居者が入浴をするグループのみです。
さきほどの10名の場合同様に、2人介助となっている入居者がいる日などに合わせて、パート職員などの日勤者を確保する必要があります。
そうすることで、入居者にゆっくりと入浴していただくことが可能となります。
上記の比較からもわかる通り、入浴体制をしっかりとシミュレーションし、必要な人員を配置することができればどちらも可能となります。
しかし、これまで週2回の入浴しか実施していなかった施設が、週に3回の入浴を実施するとなると、業務改善が必要になってきます。
入浴の回数が増えることで、いつも行っていたレクができなくなったり、外出の機会が減ったりと、その施設の持つ良い部分にも影響を与えてしまう恐れが出てきます。
これまで通り、週2回の入浴のままでいくのか、週3回の入浴にするのかは、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと検討した上で決める必要があります。
週3回の入浴よりも、外出の機会を楽しみにしている入居者や、レク行事などをもっと楽しみたいという方がいれば週2回の入浴のままでもいいのかもしれません。
そこは、入居者のニーズに合わせることが大切であると思います。
もちろん、まったく違う考え方もあります。
たとえば私たちは、日々の生活の中で毎日入浴しています。
入る時間はそれぞれ個人差があるにしろ、私たちは基本的に1日1回はお風呂に入るかシャワーを浴びていると思います。
仕事をして汗をかいたりして、汗や汚れを落とすため、誰もが「普通のこと」として毎日入浴をしています。
当然、入居者の中にも毎日入浴をしていたという方もいらっしゃるでしょう。
それが、施設に入居した途端、週に2回や3回しか入浴ができないと言われ、仕方なく我慢しているという方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
「毎日風呂に入るのは当然のことだ」と考えている方にとって、施設の入浴の在り方は「普通のこと」ではないのです。
そういったことも考え、入浴についてのバランスをどのようにして整えていくのかが、「入浴の質」を高めることにつながるのです。
正直、毎日入浴をしたいという方にとっては、週2回の入浴が週3回になっても仕方ないのかもしれません。
たとえば週3回の入浴を実施していることを、その施設が売り文句にしていたとしても、それを施設を利用する入居者が決めたことではないのなら、2回も3回もあまり意味がないようにも思えるのです。
一度は、入居者の立場に立って考えてみるといいかもしれません。
はっきり言って、入浴はすごく疲れます。
入浴後に疲れてしまって、昼食やおやつよりも休みたいという方や、そのままテーブルやソファでウトウトされている方などを見かけたことはありませんか?
入浴は体力を消耗します。
ですから、入居者の中には「お風呂は疲れるから週2回ぐらいでちょうどいい」という方もいらっしゃいます。
1日中施設の中にいてそれほど汗もかかずに、ご自分である程度の清潔が保てる方にとっては、「毎日入浴」や「週3回の入浴」というのは、逆にその方の生活のペースを乱すことにもつながります。
入浴も、入居者に合った回数があってもいいのではないでしょうか。
たとえば皮膚疾患のある方はなるべく清潔を保てるように回数を増やしてもいいですし、ご自分で入浴ができる方には毎日入っていただくなど、個別の対応をしていくことが大切だということです。
入浴をする時間もその方の入りたいときになるべく入れるように、「なんとかできないものか」と考えることも、「入浴の質」を高めることにつながるのではないかと思います。
私たちの持つ「普通の感性」の押しつけが、入居者にとってはときに求めているものではないかもしれないということを理解した上で、「利用者本位の入浴」とは何かを考えることのできる介護士さんでありたいものです。
その他、入浴についてはこちらも合わせて読むと「入浴の質」を高めるのに役立ちます。
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そして入浴日は「月曜日と木曜日」、「火曜日と金曜日」といった具合に、個別に入浴できる曜日まで決められているという場合がほとんどです。
みなさんの職場では、どのような入浴の体制になっているでしょうか?
そして、なぜそのように決められているのかをご存知ですか?
入浴の体制の在り方について、これまであまり考えたことがなかったという方でも、ここで一度入浴について考える機会を持ち、「利用者本位の入浴とは何か」を理解しておきましょう。
施設での入浴ケアの現状
法令で「週に2回以上の入浴を実施すること」は決められています。
そして2000年に介護保険による介護サービスが始まって以降、介護サービスについては「ケアの質」というものが求められるようになってきました。
それは施設での入浴についても同じことがいえます。質の良い入浴サービスを求められるようになってきたとは言え、どのようにして入浴の質を高めていくのかは、いまだに大きな課題となっています。
なかなか週に2回の入浴から、回数を増やすことができない施設が多いのです。
まだまだ週に2回の入浴サービスをベースにしているところは多いですが、そんな中、週に3回の入浴サービスを行っている施設や、入居者ご本人やご家族の希望があれば毎日入浴していただいているという施設も出てくるようになりました。
一体どのような方法で、入浴体制作りを行っているのでしょうか。そこが大変気になるところだと思いますので、みていきましょう。
あるユニットケアにおける入浴体制の比較
基本的に施設での入浴は、介護士さんが入浴介助を行います。そのため、入浴介助をするための介助者を確保する必要があります。
入浴介助は、入居者一人につき30分以上はかかる場合が多く、そのため入浴介助を行うためにはある程度のまとまった介助に要する時間というものも確保する必要があります。
施設の場合、入浴介助の時間というものが決まっている場合は多く、午前であれば10時〜11時30分、午後は14時〜16時という場合がほとんどです。
週に3回の入浴を実施している施設からみていきましょう。
【週3回入浴の場合】
Aグループ:月・水・金曜日
Bグループ:火・木・土曜日
週に3回の入浴を実施する場合、グループは2つしか作れません。つまり、入浴する入居者はこのどちらかのグループでの入浴となります。
1ユニット10名の場合なら、基本的にAグループに5名、Bグループに5名ずつ入ることになります。
日勤帯の職員が早出・日勤・遅出(パート職員でも可)の3名であれば、午前と午後に2〜3名ずつ入浴介助を行うだけで、ゆっくりと入っていただくことができます。たとえ2人介助となっている入居者がいても対応は十分に可能となります。
1ユニット20名の場合ならどうでしょうか。基本的にAグループに10名、Bグループに10名ずつ入ることになります。
この場合は、午前と午後に5名ずつ入浴介助を行う必要があります。先ほど入居者ひとりにつき、30分以上は入浴介助にかかるとお伝えしましたが、これでは単純計算でも2時間30分はかかる計算になります。
上述した午前・午後の入浴時間は1時間30分〜2時間しかありませんから、これでは間に合いません。
では、もうひとり入浴介助を行う介護士さんを増やしてみればどうでしょうか。
介護士2名で、午前・午後と5名の入居者の入浴介助を行うということになります。ひとりの介護士が2〜3名の入居者の入浴介助を担当します。
そうなると、さきほどの1ユニット10名の場合と同じになるのが分かると思います。
つまり、ゆっくりと入浴していただける環境が作れるということです。
ただし、そのためには日勤帯の職員が早出・日勤・遅出の他に、もう1名職員が必要になります。午前中だけの数時間のパート職員でも構いませんので、とにかく、午前中にプラス1名の職員が必要になるということです。
仮に「毎日入浴がしたい」という方がいても、上記のような入浴体制であれば、場合によって対応は可能になると思われます。
では次に、週に2回の入浴を実施している施設をみていきましょう。
【週2回入浴の場合】
Aグループ:月・木曜日
Bグループ:火・金曜日
Cグループ:水・土曜日
週に2回の入浴を実施する場合、3つのグループを作ることができます。
1ユニット10名の場合なら、A・B・Cグループで2〜3名ずつ入ることになります。
これならたとえ日勤帯の職員が早出と遅出の2名でも、午後に2〜3名まとめて入浴介助を行うだけで、ゆっくりと入っていただくことが可能です。ただし2人介助となっている入居者がいる場合は、パート職員などの日勤者が確保できる曜日で対応するなどの工夫が必要となります。
1ユニット20名の場合ならどうでしょうか。A・B・Cグループで6〜7名ずつ入ることになります。
この場合は、午前と午後に3〜4名ずつ入浴介助を行う必要があります。つまり1時間30分〜2時間ほど入浴介助に時間がかかることになります。
上述した午前・午後の入浴時間は1時間30分しかありません。普通に考えてもどこか4名の入居者が入浴するグループでは時間が足りません。仮に入れたとしても、かなり焦って入浴介助を行うことになります。
やはりこの場合でも、もうひとり入浴介助を行う介護士さんを増やす必要があります。
ただし毎回ではなく、あくまでも4名の入居者が入浴をするグループのみです。
さきほどの10名の場合同様に、2人介助となっている入居者がいる日などに合わせて、パート職員などの日勤者を確保する必要があります。
そうすることで、入居者にゆっくりと入浴していただくことが可能となります。
入浴は週2回と週3回、どちらがいいのか
上記の比較からもわかる通り、入浴体制をしっかりとシミュレーションし、必要な人員を配置することができればどちらも可能となります。
しかし、これまで週2回の入浴しか実施していなかった施設が、週に3回の入浴を実施するとなると、業務改善が必要になってきます。
入浴の回数が増えることで、いつも行っていたレクができなくなったり、外出の機会が減ったりと、その施設の持つ良い部分にも影響を与えてしまう恐れが出てきます。
これまで通り、週2回の入浴のままでいくのか、週3回の入浴にするのかは、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと検討した上で決める必要があります。
週3回の入浴よりも、外出の機会を楽しみにしている入居者や、レク行事などをもっと楽しみたいという方がいれば週2回の入浴のままでもいいのかもしれません。
そこは、入居者のニーズに合わせることが大切であると思います。
もちろん、まったく違う考え方もあります。
たとえば私たちは、日々の生活の中で毎日入浴しています。
入る時間はそれぞれ個人差があるにしろ、私たちは基本的に1日1回はお風呂に入るかシャワーを浴びていると思います。
仕事をして汗をかいたりして、汗や汚れを落とすため、誰もが「普通のこと」として毎日入浴をしています。
当然、入居者の中にも毎日入浴をしていたという方もいらっしゃるでしょう。
それが、施設に入居した途端、週に2回や3回しか入浴ができないと言われ、仕方なく我慢しているという方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
「毎日風呂に入るのは当然のことだ」と考えている方にとって、施設の入浴の在り方は「普通のこと」ではないのです。
そういったことも考え、入浴についてのバランスをどのようにして整えていくのかが、「入浴の質」を高めることにつながるのです。
「普通の感性」を押しつけないこと
正直、毎日入浴をしたいという方にとっては、週2回の入浴が週3回になっても仕方ないのかもしれません。
たとえば週3回の入浴を実施していることを、その施設が売り文句にしていたとしても、それを施設を利用する入居者が決めたことではないのなら、2回も3回もあまり意味がないようにも思えるのです。
一度は、入居者の立場に立って考えてみるといいかもしれません。
はっきり言って、入浴はすごく疲れます。
入浴後に疲れてしまって、昼食やおやつよりも休みたいという方や、そのままテーブルやソファでウトウトされている方などを見かけたことはありませんか?
入浴は体力を消耗します。
ですから、入居者の中には「お風呂は疲れるから週2回ぐらいでちょうどいい」という方もいらっしゃいます。
1日中施設の中にいてそれほど汗もかかずに、ご自分である程度の清潔が保てる方にとっては、「毎日入浴」や「週3回の入浴」というのは、逆にその方の生活のペースを乱すことにもつながります。
入浴も、入居者に合った回数があってもいいのではないでしょうか。
たとえば皮膚疾患のある方はなるべく清潔を保てるように回数を増やしてもいいですし、ご自分で入浴ができる方には毎日入っていただくなど、個別の対応をしていくことが大切だということです。
入浴をする時間もその方の入りたいときになるべく入れるように、「なんとかできないものか」と考えることも、「入浴の質」を高めることにつながるのではないかと思います。
私たちの持つ「普通の感性」の押しつけが、入居者にとってはときに求めているものではないかもしれないということを理解した上で、「利用者本位の入浴」とは何かを考えることのできる介護士さんでありたいものです。
その他、入浴についてはこちらも合わせて読むと「入浴の質」を高めるのに役立ちます。
朝1番に入浴の準備をしなければならないワケ
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