2016年04月29日
外出援助の基本的な考え方
施設に入居されていても、在宅で生活されている方でも、要介護者の外出の機会というものはそれほど多くありません。
認知症があったり、寝たきりであったりと、人によってその状態は様々ですが、一般的には要介護度が高くなるにつれて、自然と外出の機会は少なくなっていきます。
在宅であれば、ご家族が付き添って外出するというのはとても大変な場合が多く、老々介護で車いすを押して病院まで連れて行くというだけでも、ご家族はへとへとになります。
施設の外出援助においても、ご本人の体調や気持ちの変化に常に気を配りながら外出をします。
私たちプロの介護士ですら、外出援助から戻るとくたくたになることがありますから、在宅の介護者であるご家族はその何倍もお疲れになることがあっても仕方のないことだと思います。
いろいろと気疲れも多い外出援助ですが、それでも一緒にお散歩に出かけたり、お買い物に出かけたりしたいと考えてしまうのは、在宅だろうと施設だろうと同じ気持ちであると思います。
機会の少ない外出ですから、せめて高齢者が外出をされたときぐらいは、思いっきり楽しんできてほしいと思うのが本音だと思います。
今回は、高齢者に安心して外出していただけるように、「介護の外出援助についての基本的な考え方」についておさらいしておきましょう。
どこに行くにしても、まずは計画を立てることから始めましょう。
・いつ行くのか(日時ははっきりと)
・どこに行くのか(イオン〇〇店など)
・誰が行くのか(参加者と引率者)
・何をしに行くのか(洋服を買いにいくなど)
・時間はどれくらいかかるのか(施設〜現地、現地〜施設などのタイムスケジュール)
・車は使用するのか(使う場合は当日車が使えるのか確認する)
をまずは考えます。目的をしっかりと決めることが大切です。
無計画ではせっかく外出の時間を、ムダにウロウロして終わりということになりかねません。
また、参加者が当日、体調不良などで行けなくなった場合のことも考えて、比較的状態の安定している方を2〜3人はピックアップしておくようにしましょう。
当日使う物や持って行くものも合わせて考えておくようにします。たとえば、
・車の手配(運転手も決める)
・カメラのバッテリー確認
・排泄用品(排泄パッド、お尻ふきなど)
・救急箱(デジタルの血圧計もあればベター)
・ティッシュやウェットティッシュ
・ゴミ袋
・タオルやバスタオル
・ひざ掛けや帽子
・お金(予算を出すこと)
などがあります。
今挙げたものは外出の際にはいつも必要なものばかりですので、「外出時に持参するチェックシート」としてあらかじめチェックできるものを作っておくと便利です。
計画を立てたら、リーダーさんや看護師さん、必要に応じて栄養士さんにも計画書を見てもらうようにしましょう。
看護師さんは心身の状態をみて外出が可能かどうかを判断しますし、外出先で何か食べる場合などは栄養士さんの判断が必要になることもあります。
外出をより安全に成功に導けるよう他職種との連携を図るようにしましょう。
計画が完成したら、1度現地の下見に行くことをオススメします。
・トイレはあるか(身障者があればベター)
・当日のルート(時間配分も確認)
・駐車場はどこがよいか(身障者マークのある駐車場が乗り降りしやすい)
・休憩するところはあるか(お茶やおやつを食べるときのことも考えて)
・急変時に行ける病院などはあるか(そのルートまで調べておくこと)
下見に行っておくと、当日になって何がどこにあるのかを探し回らずに済むので、付き添う職員さんもゆっくりと付き添えます。
外出援助中に1番注意しておかなければならないことは参加者全員の安全です。
・体調は悪くないか(表情なども観察)
・気候への配慮(暑すぎたり寒すぎたりしないか)
・事故(乗車中の交通事故や外出先での転倒など)
というように、安全が最優先です。
たとえば、計画書のタイムスケジュール通りにいかないことなどはよくあることです。そこで焦って急いでしまうと事故などの危険が増すため、そのときは焦らずに計画を変更するようにしましょう。
また、計画通りにやろうとして、そのことで頭がいっぱいになってしまう職員さんは、表情が険しくなっていることがあります。
外出援助は、普段施設にこもりっぱなしの職員の、気持ちのリフレッシュも兼ねています。
普段は見れないような高齢者の喜んでいる様子や表情を見るチャンスはそうそうありません。
ゆっくりと、一緒になって外出を楽しむぐらいの、気持ちの余裕を持ちましょう。
外出援助の後は、まず外出に参加した高齢者に体調不良などがないかを注意深く観察するようにします。
普段、あまり外出ができない分、外出先では高齢者も気分が高揚して疲れにくくなっています。
観察の理由は、帰ってきてから一気に疲れが出る場合があるためです。
体調の変化や、食事の摂取量、その後の様子など、他の職員にも声をかけて注意深く観察するようにしましょう。できれば、その日の睡眠時間がどれくらいだったかなど、次の日まで気にかけるようにするとなお良いでしょう。
外出援助は、やってお終いというわけではありません。
外出援助の内容を、きちんと報告書にまとめることが大切です。
・よかった点
・わるかった点
・改善したほうがいい点
・実際にかかった費用
・感想など
報告書は作るだけで終わりではなく、次の外出援助につなげるための大切なツールとしての活用ができます。
個別に外出援助用のファイルなどを作るなどしていつでも見れるようにしておきましょう。
また、外出援助の回数が増えてくるにつれて、その外出先をまとめた一覧(行き先や連絡先など)なども作るようにするとツールとしての活用の幅は広がっていきます。
外出先での高齢者の表情や言葉などは介護記録に記入するようにします。
外出援助は、外に出る機会の少なくなった高齢者にとっては、イベントのようなものです。
それを心から楽しんでもらえるようにするためには、職員さんも一緒に楽しめるようにしないといけません。
同じものを見たり食べたりして、その場の雰囲気や楽しみを共有することが、外出援助においては大切なポイントのひとつであるといえます。
完璧な計画というものはありません。だいたい何か予測できないイレギュラーなことが起こる場合も多いのが外出援助です。
そのイレギュラーに対応できるようになるには、外出援助の経験を重ねることが大切です。
なのに意外と、外出援助に慣れていない介護士さんが多いのが現状です。
外出援助技術は、介護士としてスキルアップしなければならない技術のひとつです。
外出援助の基本を理解した上で、どんどん高齢者を外にお連れしてほしいと思います。
外出の多い職場を探すなら、こちらの記事が参考になります。
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認知症があったり、寝たきりであったりと、人によってその状態は様々ですが、一般的には要介護度が高くなるにつれて、自然と外出の機会は少なくなっていきます。
在宅であれば、ご家族が付き添って外出するというのはとても大変な場合が多く、老々介護で車いすを押して病院まで連れて行くというだけでも、ご家族はへとへとになります。
施設の外出援助においても、ご本人の体調や気持ちの変化に常に気を配りながら外出をします。
私たちプロの介護士ですら、外出援助から戻るとくたくたになることがありますから、在宅の介護者であるご家族はその何倍もお疲れになることがあっても仕方のないことだと思います。
いろいろと気疲れも多い外出援助ですが、それでも一緒にお散歩に出かけたり、お買い物に出かけたりしたいと考えてしまうのは、在宅だろうと施設だろうと同じ気持ちであると思います。
機会の少ない外出ですから、せめて高齢者が外出をされたときぐらいは、思いっきり楽しんできてほしいと思うのが本音だと思います。
今回は、高齢者に安心して外出していただけるように、「介護の外出援助についての基本的な考え方」についておさらいしておきましょう。
外出援助の基本的な考え方
まずは計画を立てよう
どこに行くにしても、まずは計画を立てることから始めましょう。
・いつ行くのか(日時ははっきりと)
・どこに行くのか(イオン〇〇店など)
・誰が行くのか(参加者と引率者)
・何をしに行くのか(洋服を買いにいくなど)
・時間はどれくらいかかるのか(施設〜現地、現地〜施設などのタイムスケジュール)
・車は使用するのか(使う場合は当日車が使えるのか確認する)
をまずは考えます。目的をしっかりと決めることが大切です。
無計画ではせっかく外出の時間を、ムダにウロウロして終わりということになりかねません。
また、参加者が当日、体調不良などで行けなくなった場合のことも考えて、比較的状態の安定している方を2〜3人はピックアップしておくようにしましょう。
持っていくものリストを作ろう
当日使う物や持って行くものも合わせて考えておくようにします。たとえば、
・車の手配(運転手も決める)
・カメラのバッテリー確認
・排泄用品(排泄パッド、お尻ふきなど)
・救急箱(デジタルの血圧計もあればベター)
・ティッシュやウェットティッシュ
・ゴミ袋
・タオルやバスタオル
・ひざ掛けや帽子
・お金(予算を出すこと)
などがあります。
今挙げたものは外出の際にはいつも必要なものばかりですので、「外出時に持参するチェックシート」としてあらかじめチェックできるものを作っておくと便利です。
他職種への連絡と、下見に行こう
計画を立てたら、リーダーさんや看護師さん、必要に応じて栄養士さんにも計画書を見てもらうようにしましょう。
看護師さんは心身の状態をみて外出が可能かどうかを判断しますし、外出先で何か食べる場合などは栄養士さんの判断が必要になることもあります。
外出をより安全に成功に導けるよう他職種との連携を図るようにしましょう。
計画が完成したら、1度現地の下見に行くことをオススメします。
・トイレはあるか(身障者があればベター)
・当日のルート(時間配分も確認)
・駐車場はどこがよいか(身障者マークのある駐車場が乗り降りしやすい)
・休憩するところはあるか(お茶やおやつを食べるときのことも考えて)
・急変時に行ける病院などはあるか(そのルートまで調べておくこと)
下見に行っておくと、当日になって何がどこにあるのかを探し回らずに済むので、付き添う職員さんもゆっくりと付き添えます。
外出当日の注意点を把握しておこう
外出援助中に1番注意しておかなければならないことは参加者全員の安全です。
・体調は悪くないか(表情なども観察)
・気候への配慮(暑すぎたり寒すぎたりしないか)
・事故(乗車中の交通事故や外出先での転倒など)
というように、安全が最優先です。
たとえば、計画書のタイムスケジュール通りにいかないことなどはよくあることです。そこで焦って急いでしまうと事故などの危険が増すため、そのときは焦らずに計画を変更するようにしましょう。
また、計画通りにやろうとして、そのことで頭がいっぱいになってしまう職員さんは、表情が険しくなっていることがあります。
外出援助は、普段施設にこもりっぱなしの職員の、気持ちのリフレッシュも兼ねています。
普段は見れないような高齢者の喜んでいる様子や表情を見るチャンスはそうそうありません。
ゆっくりと、一緒になって外出を楽しむぐらいの、気持ちの余裕を持ちましょう。
外出援助を終えてやること
外出援助の後は、まず外出に参加した高齢者に体調不良などがないかを注意深く観察するようにします。
普段、あまり外出ができない分、外出先では高齢者も気分が高揚して疲れにくくなっています。
観察の理由は、帰ってきてから一気に疲れが出る場合があるためです。
体調の変化や、食事の摂取量、その後の様子など、他の職員にも声をかけて注意深く観察するようにしましょう。できれば、その日の睡眠時間がどれくらいだったかなど、次の日まで気にかけるようにするとなお良いでしょう。
外出援助後に報告書をきちんと作りましょう
外出援助は、やってお終いというわけではありません。
外出援助の内容を、きちんと報告書にまとめることが大切です。
・よかった点
・わるかった点
・改善したほうがいい点
・実際にかかった費用
・感想など
報告書は作るだけで終わりではなく、次の外出援助につなげるための大切なツールとしての活用ができます。
個別に外出援助用のファイルなどを作るなどしていつでも見れるようにしておきましょう。
また、外出援助の回数が増えてくるにつれて、その外出先をまとめた一覧(行き先や連絡先など)なども作るようにするとツールとしての活用の幅は広がっていきます。
外出先での高齢者の表情や言葉などは介護記録に記入するようにします。
外出援助は、外に出る機会の少なくなった高齢者にとっては、イベントのようなものです。
それを心から楽しんでもらえるようにするためには、職員さんも一緒に楽しめるようにしないといけません。
同じものを見たり食べたりして、その場の雰囲気や楽しみを共有することが、外出援助においては大切なポイントのひとつであるといえます。
完璧な計画というものはありません。だいたい何か予測できないイレギュラーなことが起こる場合も多いのが外出援助です。
そのイレギュラーに対応できるようになるには、外出援助の経験を重ねることが大切です。
なのに意外と、外出援助に慣れていない介護士さんが多いのが現状です。
外出援助技術は、介護士としてスキルアップしなければならない技術のひとつです。
外出援助の基本を理解した上で、どんどん高齢者を外にお連れしてほしいと思います。
外出の多い職場を探すなら、こちらの記事が参考になります。
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