2021年08月29日
《白金高輪硫酸事件》硫酸などの化学薬品を体にかけられ、やけどをするとどうなるか?
令和3年8月24日夜白金高輪駅で、花森弘卓(ひろたか)容疑者(25)が、知人に硫酸をかけ全治6ヵ月の重傷を負わせ、8月28日沖縄県内で、逮捕されました。
硫酸などの化学薬品を体にかけられ、やけどをするとどうなるのでしょうか?
【強酸による化学熱傷】
高温や低温などの物理的エネルギーばかりでなく、化学的によっても皮膚の損傷を受けることがあります。
これを化学熱傷と言います。
酸やアルカリのように濃度や接触時間に傷害の程度が比例する物質を一次刺激物質(Primary Irritant)と言います。
一般に、強酸より強アルカリの方が皮膚損傷の深達度が深い。
いづれも、できるだけ早く流水で洗浄を開始し、できるだけ長時間(6〜12時間)継続すことが重要である。
一般に、中和剤は用いない(中和反応による熱の発生)。
下の画像は、メッキ工場の労働者が硫酸の入ったバケツを運搬中転倒して濃硫酸を浴びてしまい受傷したものです。
硫酸であるため皮膚は黒褐色に変色し、水疱が形成されていませんが、結果的にはIIsからIIdの深達度でした。
強酸や強アルカリの接触によることが多いですが、それ以外の化学薬品によっても化学的な皮膚の損傷を受けることがあります。
ガソリンなどの揮発性溶剤でも長時間接触すると化学熱傷を来します。
事故で車は炎上したわけでもないのに、ガソリンの漏出などにより熱傷を負うこともあります。
ガソリンによる化学熱傷は、オートバイの事故などで良く見受けられる。
【(火傷による)臨床症状による深度分類】
《I度熱傷》
赤くなり、痛い。数日で治る。
《浅達性II度熱傷》
赤くなり、水疱(水ぶくれ)ができ、痛い。水疱は圧迫で発赤(赤み)が消失。
《深達性II度熱傷》
赤くなったり、紫色〜白くなり、水疱(水ぶくれ)ができ、痛くない。
水疱は圧迫しても発赤(赤み)が消えない。
《III度熱傷》
黒色、褐色または白色。水疱(水ぶくれ)はできず、痛くない。
【症状毎の治療法】
《I度熱傷》
表皮熱傷(皮膚の表面だけのやけど)ともよばれ、やけどをした部位に赤みがある状態のやけどを言います。
このやけどはとくに治療をしなくても傷跡をのこすことはありませんが炎症を抑える作用のある軟膏が有効です。
《II度熱傷》
水疱(みずぶくれ)ができるやけどですが大きく2つに分類され、II度熱傷のうち浅いものを浅達性II度熱傷と言い、みずぶくれがやぶれると、きず(潰瘍)になりますが医師の治療を受けるとふつうは1-2週間で治り、多くの場合瘢痕(きずあと)を残さないことが多いやけどです。
それよりも深い深達性II度熱傷の場合には適切な治療を受けても治るのに1ヶ月以上かかり瘢痕(きずあと)や瘢痕拘縮(ひきつれ)をのこすことが多いです。
《III度熱傷》
皮膚の厚さ全てが熱による傷害を受けるIII度熱傷では自然治癒には非常に時間がかかりますので基本的に入院して植皮術などの外科的治療が必要になります。
このようにやけどの治療には冷却、洗浄、軟膏治療などによる保存的治療と植皮術を中心とした外科的治療とがありますが、やけどの深さや広さで適宜治療法を選択されます。
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