2021年12月、日本のビジネス界に一つの時代を築いた伊藤淳二氏が99歳で逝去されました。
彼の死は、その時代の終わりを告げるものであり、我々は彼の功績とその生涯を振り返り、敬意を表します。
伊藤氏は1922年に中国・青島で生まれ、慶応義塾大学経済学部を卒業後、1948年に鐘淵紡績（後の鐘紡、カネボウ）に入社しました。
その後、労務畑で頭角を現し、1968年にはわずか45歳で社長に就任。
その若さでの社長就任は、彼の才能とリーダーシップを如実に示すものでした。
彼が推進した「ペンタゴン（五角形）経営」は、本業の繊維に加え、化粧品、住宅、食品、医薬品を合わせた事業の多角化を進めるという画期的な経営戦略でした。
この戦略により、カネボウは繊維業界から多角化した企業へと変貌を遂げ、その後の日本のビジネス界に大きな影響を与えました。
しかし、彼の経営は光だけではありませんでした。
石油危機などで繊維事業の不振が深刻になり、化粧品以外の住宅、食品なども低迷。
カネボウが経営危機に陥り2004年に産業再生機構の傘下に入る原因になったとの批判もありました。
また、1985年には日本航空の副会長に就任し、ジャンボ機墜落事故の原因究明と再発防止に向けて経営改革を主導しました。
しかし、労務政策での社内外の反発もあり、わずか2年後の1987年に辞任しました。
伊藤淳二氏の生涯は、成功と挫折、光と影の織りなすドラマでした。
彼の功績は、日本のビジネス界に深く刻まれ、その影響は今も色濃く残っています。
伊藤淳二氏の冥福を心から祈ります。
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