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自民党の作戦勝ち。それでいいの?

 本日、TPPについて「自民党は25日の役員会で、安倍晋三首相(党総裁)に環太平洋連携協定(TPP)交渉入りの判断を一任することを了承した」とのニュースがありました。

 今のところ、自民党中枢の思うとおりに進んでいます。
 ここまでの、流れをいくつか、挙げてみます。

〇 TPPは多くの分野で構成されており、単なる「貿易問題」ではありません。
 最近の例を挙げると、「おいしいアメリカ産牛肉ももっと買ってほしい」と交渉するのは貿易問題ですが、「20ヶ月という月齢制限を緩和してアメリカ産牛肉の輸入を増やせ」というのがTPPです。
 「国益」のために、その国の制度まで変えさせるのがTPPであり、ISD条項では損害賠償まで請求できることとなっています。
 逆手にとれば良いという方もいますが、日本が、アメリカに対して「牛の全頭管理を行うように」とか「BSE検査を充実させるように」などと要求することは力関係からして考えられません。
 残念なことに、最近の報道は、TPPについて貿易問題としてとらえるようなものが目立っています。

〇 選挙での公約はつぎの通りでした。
(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD(投資家対国家紛争)条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

〇 野党時代には「TPPについて、情報が開示されていない」との政府批判がありましたが、情報開示は進んでいないように思います。

〇 自民党内にも、TPP参加に反対している多くの国会議員がいます。
 これらの議員は、「一つでも例外が設けられれば賛成する」というのではなく、TPP自体に疑問を持っていると思います(いや、そう信じたいです)。

〇 自民党は、党内に異論があるのを知っていながら、「環太平洋連携協定(TPP)交渉入りの判断」という重要なことを、役員会で政府一任と決めました。
 役員会は、党内の様々な意見を反映できるメンバー構成ではありません。

 自民党中枢が、「なんとしてもTPPに参加したい」という強い気持ちがあるのは分かります。
 しかし、賛成反対の立場は別としても、誰もが納得できるような、もっと民主的な手続きを踏むべきです。
 やりたいようにやれるのであれば強引でいい、自分の意見が通らないときには徹底的に進め方を批判する、こういうやり方で国民の生活が良くなるのか疑問です。
 ただ一つ言えることは、「政治不信」をますます加速させるということです。

 TPP反対を主張している国会議員にとって、「決まったから仕方ない」の道か、「白紙に戻して丁寧に議論を進める」道か、いずれの道を歩むのかを国民は注視しています。

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