2011年05月13日
解けた言葉。
連休中に被災地にお手伝いに行ってから、1週間以上経ちました。
通常の生活に戻り、テレビで流れる映像と音声に
とても違和感を感じていました。
『瓦礫の山』という言葉に。
その違和感を俳優の渡辺謙さんと天声人語が、解いてくれました。
被災地に支援に訪れた渡辺謙さんが話されていたのを、テレビで拝見しました。
その言葉は私の気持ちを表現してくれていました。
『22カ所の避難所を回ったという渡辺謙さんは、東日本大震災にふれ、
「まだまだ普通に生きて行くのも大変なところがある。
被災地にあるのは、がれきの山じゃない。
その場所で生きてきたという痕跡なんです」と力を込めた。
被災地へ向けて「僕たちは絶対に忘れてないよという意思は、持ち続けていきたい」と熱い思いを語った。』
2011年5月10日共同通信社より
私が感じていた違和感。
お茶の間で見ていた被災地の映像と
実際に目にした現実の被災地。
目にするまでは、自分の想像をはるかに超えた天災の痕。
その痕は瓦礫の山とはいえない感情が、伝わってきていました。
それを渡辺謙さんは『生きていた場所』と。
そうなのです。
あの震災が起こる時まで当たり前の日常があったこと。
それを『瓦礫の山』で、言い表すことの違和感を表現されていました。
『池波正太郎さんの時代物は漢字のルビもたのしい。
「熱い酒(の)をくれ」「あずけておいた金(ぶん)をもらうぜ」――ほかにも色々ある。
ふりがなと漢字の合わせ技で、読者は意味をとりつつ会話の陰影を堪能できる
▼しかし切ないルビもある。〈記者らみな「瓦礫」と書くに「オモイデ」とルビ振りながら読む人もいる〉と先の朝日歌壇にあった。
「おもいで」でも「おもひで」でも、人それぞれ、年齢や来し方に応じたふりがながあろう
▼「瓦礫(がれき)の撤去」が、心の中で「思い出の消去」と変換される。
そうした被災者は大勢おられよう。背比(せいくら)べのキズのついた柱。
家族が集ったこたつ。蛍雪の日々を刻んだ机もあろう。
ありとあらゆるものが、今やひとからげに瓦礫と称される
▼震災直後に故郷の石巻市に入った小紙記者が、
喪失感の中で知ったと書いていた。
家も町も、そこで暮らす人とともに時を刻んで「生きていた」のだ――と。
家族は無事だが家は壊れていたという。
やはり「おもいで」と、胸の内でルビを振っているだろうか
▼震災からきのうで2カ月がたった。
思い出について書きながら、
過去の日々を容易に思い出に出来ない人のつらさを思う。
人も家も町も、片時も忘れられずにいるものは、まだ「思い出」ではないだろう
▼岩手、宮城、福島の瓦礫は計2500万トンになる。
「なりわい」「いきがい」「わがまち」などと、在りし日の姿にルビを振りたい人も多かろう。
失意の総量をあらためて思う。想像力を持ち続けたい。』
2011年5月12日(木)朝日新聞天声人語より
天声人語。
池波正太郎さんの本は
(特に鬼平犯科帳 &剣客商売&仕掛け人藤枝梅安は10回以上読みました)
全て読んでいる私にとって、
そのルビのふり方は
その場面が鮮やかに浮かんでくる、宝物のようなルビです。
その宝物のルビを使って、
的確に表現・変換してくださった天声人語の編者の方。
ハリウッドスターになられる前に
藤枝梅安を演じられた渡辺謙さん。
粋で鯔背(いなせ)な池波正太郎さんが生きていらっしゃったら、
どんな言葉で現在の日本の状況を語られるのか、
お聞きしてみたい気がします。
そんなお二方の言葉と文章に
被災地で見た自分の気持ちを代弁して頂いた、
そんな言葉に心からありがとうございます、と伝えたい。
被災地の方々はこれからが
生きていく場を探される、大変な時期に来ていらっしゃると思います。
震災による死者は10日現在で12都道県の1万4949人の方々。
不明者は6県で9880人で死者・不明者は計2万4829人の方々とのこと。河北新報より
数字にしてしまうと解らなくなる。
一人一人の人生が、間違いなくそこにはあった事を
想像することが私達にはもっと必要な気がします。
2ヶ月経ちました。
出来ること少しずつ。
kizuna311 YOUTubeより
天声人語
通常の生活に戻り、テレビで流れる映像と音声に
とても違和感を感じていました。
『瓦礫の山』という言葉に。
その違和感を俳優の渡辺謙さんと天声人語が、解いてくれました。
被災地に支援に訪れた渡辺謙さんが話されていたのを、テレビで拝見しました。
その言葉は私の気持ちを表現してくれていました。
『22カ所の避難所を回ったという渡辺謙さんは、東日本大震災にふれ、
「まだまだ普通に生きて行くのも大変なところがある。
被災地にあるのは、がれきの山じゃない。
その場所で生きてきたという痕跡なんです」と力を込めた。
被災地へ向けて「僕たちは絶対に忘れてないよという意思は、持ち続けていきたい」と熱い思いを語った。』
2011年5月10日共同通信社より
私が感じていた違和感。
お茶の間で見ていた被災地の映像と
実際に目にした現実の被災地。
目にするまでは、自分の想像をはるかに超えた天災の痕。
その痕は瓦礫の山とはいえない感情が、伝わってきていました。
それを渡辺謙さんは『生きていた場所』と。
そうなのです。
あの震災が起こる時まで当たり前の日常があったこと。
それを『瓦礫の山』で、言い表すことの違和感を表現されていました。
『池波正太郎さんの時代物は漢字のルビもたのしい。
「熱い酒(の)をくれ」「あずけておいた金(ぶん)をもらうぜ」――ほかにも色々ある。
ふりがなと漢字の合わせ技で、読者は意味をとりつつ会話の陰影を堪能できる
▼しかし切ないルビもある。〈記者らみな「瓦礫」と書くに「オモイデ」とルビ振りながら読む人もいる〉と先の朝日歌壇にあった。
「おもいで」でも「おもひで」でも、人それぞれ、年齢や来し方に応じたふりがながあろう
▼「瓦礫(がれき)の撤去」が、心の中で「思い出の消去」と変換される。
そうした被災者は大勢おられよう。背比(せいくら)べのキズのついた柱。
家族が集ったこたつ。蛍雪の日々を刻んだ机もあろう。
ありとあらゆるものが、今やひとからげに瓦礫と称される
▼震災直後に故郷の石巻市に入った小紙記者が、
喪失感の中で知ったと書いていた。
家も町も、そこで暮らす人とともに時を刻んで「生きていた」のだ――と。
家族は無事だが家は壊れていたという。
やはり「おもいで」と、胸の内でルビを振っているだろうか
▼震災からきのうで2カ月がたった。
思い出について書きながら、
過去の日々を容易に思い出に出来ない人のつらさを思う。
人も家も町も、片時も忘れられずにいるものは、まだ「思い出」ではないだろう
▼岩手、宮城、福島の瓦礫は計2500万トンになる。
「なりわい」「いきがい」「わがまち」などと、在りし日の姿にルビを振りたい人も多かろう。
失意の総量をあらためて思う。想像力を持ち続けたい。』
2011年5月12日(木)朝日新聞天声人語より
天声人語。
池波正太郎さんの本は
(特に鬼平犯科帳 &剣客商売&仕掛け人藤枝梅安は10回以上読みました)
全て読んでいる私にとって、
そのルビのふり方は
その場面が鮮やかに浮かんでくる、宝物のようなルビです。
その宝物のルビを使って、
的確に表現・変換してくださった天声人語の編者の方。
ハリウッドスターになられる前に
藤枝梅安を演じられた渡辺謙さん。
粋で鯔背(いなせ)な池波正太郎さんが生きていらっしゃったら、
どんな言葉で現在の日本の状況を語られるのか、
お聞きしてみたい気がします。
そんなお二方の言葉と文章に
被災地で見た自分の気持ちを代弁して頂いた、
そんな言葉に心からありがとうございます、と伝えたい。
被災地の方々はこれからが
生きていく場を探される、大変な時期に来ていらっしゃると思います。
震災による死者は10日現在で12都道県の1万4949人の方々。
不明者は6県で9880人で死者・不明者は計2万4829人の方々とのこと。河北新報より
数字にしてしまうと解らなくなる。
一人一人の人生が、間違いなくそこにはあった事を
想像することが私達にはもっと必要な気がします。
2ヶ月経ちました。
出来ること少しずつ。
kizuna311 YOUTubeより
天声人語
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posted by Tako at 18:00| 東北地域太平洋沖地震