サイエンス系オンラインジャーナルの「EWAO」のレポートによると、このソーラーエクスプレスは、従来の宇宙空間の移動方法とは根本的に異なり、ロケット式の宇宙船というよりも宇宙空間を駆ける列車のような航法で宇宙空間を進んでいくというものです。
この構想は、カナダの重工業大手のボンバルディアの創業者の孫であるチャールズ・ボンバルディア氏とエンジニアのオリバー・パラルディ氏の共同開発で、ボンバルディア氏が運営する陸海空、宇宙の次世代型移動手段の開発を目的としたサイト「Imaginactive.org」に公開されています。
ボンバルディア氏によると、宇宙船が宇宙空間を航行する際に、最も費用がかかる部分のはエネルギーですが、自動車と同様加速時と減速時に最も消費し、いったん航行速度に達し、等速で移動している際にはエネルギーの消費が最小になります。
特にソーラーエクスプレスのような重量のあるモノでは、そのエネルギー消費の差は顕著で、エネルギー消費をいかに抑えながら航行していくかという問題を根本から考え直した結果に出された一つのアイデアであるという事です。
ソーラーエクスプレスは、従来のロケット型の自律推進する宇宙船ではなく、宇宙空間をノンストップでループ状の軌道を飛び続ける列車であり、その飛び続けている列車に小型の宇宙船が軌道上でランデブー&ドッキングするというアイデアがベースになっています。
ソーラーエクスプレス自体は、全長50メートルのシリンダー状の列車を連結したもので、それぞれの車両は4つのコンパートメントに分割されます。
分割されたコンパートメントは、モジュールとして機能しており、それぞれの目的によって列車に組み込まれていくというものであり、シリンダー状である理由は、車両自身が進行軸に対して自転しており、内部に人工重力を発生させるためで、それにより、乗客や乗務員などが重力のある環境下で過ごせるというものであるという事です。
もちろん、ソーラーエクスプレスの打ち上げには、従来型の推進装置が必要で、一度軌道上に乗ってしまえば、軌道の微調整などに必要なごくわずかな燃料以外、移動のためのエネルギー消費はほとんどなく、惑星や衛星の重力を利用した方向転換が基本的な操舵になるようです。
また、軌道上にはソーラーアレイと呼ばれる太陽電池の基地局が一定距離ごとに設置され、通過する列車に必要な電力をチャージするとの事です。
驚くべきことは、想定されているソーラーエクスプレスの航行速度で、秒速3000キロに達するというもので、光速の約1%にあたる速さです。
概算すると、地球から火星まで約37時間での航行が可能になり、列車で札幌から宮崎まで移動すると約1日かかることを考えると、恐ろしいほどのスピードです。
従来のロケット型の宇宙船から、光子エネルギーを利用したヨット型の宇宙船まで、さまざまな形式の宇宙船のアイデアや構想があるようですが、列車型というスタイルの発想は面白いですね。
この構想が実現すれば、火星旅行も夢ではありません。
もちろん、いまだ机上の構想ですが、是非実現してもらいたい宇宙船のスタイルですね。
それでは、また・・・
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