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2018年06月23日
赤ずきん / 慮神のガンナー
ここに、とある物語がある。おい先短い老婆の命を奪った一匹の狼。彼はなぜそんなことをしたのか。それは家族の仇討ちだった。これはそんな彼の復讐の物語。
「狼の毛皮は高く売れる」老婆の夫はそう言いながら、狼の家族を殺していった。狼は一瞬の隙を付いて老爺をかみ殺し、この男の家族も全員殺してやろうと心に誓った。
次に老婆を殺した。どうやら娘も孫もいるらしい。狼は老婆の皮を剥いで、被って待つことにした。そして孫である幼い少女が家に来ると、その少女を一口でパクリと飲み込んだ。
しかし狼は後悔した。少女は暴力的に狼の腹を内から食い破ってきたのだ。こうして狼の復讐劇は果たされず、挙句作者によって綴られることもなく、静かに幕を閉じたのだった。
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2018年06月20日
赤ずきん / 強襲揚陸型
2018年06月17日
赤ずきん / 淫蠍のクレリック
とある村に貞淑で美しい人妻が居りました。彼女は物静かで実直な夫と仲睦まじく暮らして居りました。ですがそれでも一夜の情けを乞い願う男は、後を絶たなかったのでございます。
雨の夜、苦悩する男達の前に一人の女が現れ告げました。
「蠍の毒から作られたこの媚薬を口にすれば、どれ程貞淑な女も淫らになる」
男達は薬を手に入れ、夫が不在の時を狙いました。
薬で我を失い、淫らに花開いた人妻は男達との淫欲に溺れました。けれどある時、出掛けた筈の夫が突然戻り、猟銃で妻と男達を撃ち殺すと、自らの頭も撃ち抜いたのでございます。
「なんて可哀想なの。でも次はもっともっと悲劇を!」
媚薬を渡した人魚姫は次の悲劇を求めます。蠍の力に溺れるほど彼女が異形に堕ちてゆくのは、言わぬが花でございましょう。
2018年06月16日
赤ずきん / 餐虎のソーサラー
かぐや姫は右の皿を指差し、うっとりと微笑まれました。「こちらのお皿はいくつもの肉の塊が並んで……ああ、ほら、先端からじゅわりと肉汁が染み出て……とても美味しそう。ふふ」
今度は左の皿を指差し、嗚呼、と溜息をこぼされました。「紐に縛り上げられたお肉も、よく引き締まってなんて魅惑的……。すっかり熱が行き渡って、食べ頃と言わんばかりですね」
「選べません、全部全部食べてしまいたい。でもできることなら皿に盛られた料理を食べるのではなく、私自身が強いお方に……」彼女が振り向いた先にすでに精霊はおりませんでした。
精霊の強さに導かれるまま欲に溺れたかぐや姫には、皿の上に並ぶ肉がなんの肉なのか、些末なことなのでございます。完食されると優雅に微笑まれました。「ああ、なんて美味しい」
2018年06月15日
赤ずきん / 怠熊のミンストレル
三匹の子豚は気怠そうな熊に語りかけました。「とある大金持ちの家に生まれた兄弟がおりました。両親が事故で亡くなると遺産が相続され、二人はそれぞれ異なる生活を始めました。
兄は朝から夜までみっちり働きました。そして得たお金のほとんどを貯金し必要最低限の生活をしたのです。疲弊し、ボロボロにやつれていきましたが、貯金はどんどん増えました。
弟は好きなものを好きなだけ買って、毎日遊び惚けました。弟はいつも幸せそうでしたが、貯金はどんどん減りました。数十年後、二人は揃って老衰して死にましたとさ。おしまい」
「え、どゆこと?」熊は尋ねます。「結局いつか死んじゃうなら今を楽しく生きましょうって話!」「……それなー!」そして熊と三匹の子豚は、永遠に寝て食べてを繰り返したのです。
2018年06月13日
赤ずきん / 嫉蛇のガンナー
その日の森は、酷く物騒な悲鳴が響き渡っておりました。
「誰か!誰か助けて!」と、救いを求める娘の声に、
一人の旅人が様子を伺いに向かったのでございます。
旅人が駆けつけると、男が獣に襲われております。
その周りで涙を流し狼狽する娘は、旅人を見つけると
「愛する兄をどうか助けて欲しい」と懇願してまいりました。
娘の言葉を聞いた旅人は、すぐさま獣を討ちはたしました。
そして兄妹に向かうと、こう言ったのです。「私の兄様以外に兄様なんていない。私以上に兄を愛する妹なんて……いない」
そう呟く声には僅かながら嫉妬が含まれておりました。そうはして虚妄を抱いた旅人が去った後には、獣と、兄と妹の首が残されておりましたとさ……
2018年06月12日
赤ずきん / 憤狼のクラッシャー
とある家に仲の悪い十人の兄弟がおりました。兄弟はお互いの考えがまるで異なり、毎日のように些細なことで争っては怒り、喧嘩していました。十人十色とはよく言ったものです。
喧嘩は次第に激しくなり、怒りを発散しようと暴力を振るうようになりました。ある日、見知らぬ少女が突然彼らの家を訪ね「みんなが仲良くなる儀式をしてあげる」と言いました。
「それは助かる」と長男が招き入れるやいなや、少女は兄弟十人を部屋の中央に集めました。すると、持っていた巨大な槌の一撃を全員の頭に振り下ろしたではありませんか。
「これでみんな仲良く一緒だね!」人間達だったそれは潰され、一つの塊となりました。少女は新たに十人の血が染みた赤いずきんを被り、次の獲物を探しに行くのでした。
2018年06月11日
赤ずきん / 傲獅のブレイカー
今殺したアリスは何人目のアリスでしょうか。随分前に数えイることをやめてしまったのでアリスには分かりませんでした。最初は突然襲いかかってきたアリスに反撃したのが始まりです。
アリスが殺したアリスは、苦悶の表情を浮かべ息絶えました。相手のアリスの言葉を繋ぎ合わせれば何らかの願いがあったようでしたが、それを知る術はもうありません。
初めてアリスを殺したアリスは途方に暮れながら何故こうなったのかと考え続けました。けれど何度もアリスを殺さざるを得ない状況が続き、アリスはすっかり疲弊してしまいました。
「考えても仕方ない。これが私の宿命」なんと傲慢なのでしょう。アリスは自らの罪を天に任せてしまったのです。だから今日もアリスはアリスを殺します。宿命だと言い聞かせながら。
2018年06月10日
赤ずきん / オルタナティブ
昨晩未明、東新宿の路地裏で少女が血まみれで倒れているのが発見された。少女は腹部を負傷しており、意識不明の状態で病院に搬送されたものの、間もなく死亡した。
犯行に使用された凶器は見つかっておらず、周辺はいまだ封鎖されている。現場には今も多量の血痕が残されており、事件の凄惨さが伝わる。
被害者は無職の少女(16)。
数ヶ月前に「お婆ちゃんの家に行く」と言って家を出てから行方が分からなくなっていた。以前にも同じ事があったため、捜索願は出されていなかった。
現場に残された指紋などから、警察は新宿区で飲食店を経営している男性(21)を殺人の疑いで逮捕。男性は容疑を一部認める供述をしている事がわかった。
2018年06月09日
赤ずきん / ハーフナイトメア
さあ、今日は何して遊ぼうか?ちくちくお腹を縫い付ける?
それなら、まずはお腹を裂かなくちゃ!
鋏でじゃきじゃき、じゃきじゃきじゃきじゃき……
いつの間にか、ボクの右手は真っ赤に染まっていた。
手にした鋏ハ白い脂にまみれテル。
ん?アレ?おかしいな?ボクのお腹が裂けてイル?
いけない!早クお腹を縫わなくチャ!
錆びた針とゴワゴワする糸が、ぶすりブスリとお腹に刺サル。
痛い、痛イ、イタイ!デモ……楽しクテ気持ちイィ……!!
ボクハ遊ビタイダケ。ケド相手ガイナイカラ、ボクハボクヲ斬リツケル。ソレハトッテモ楽シクテ痛クテ怖クテ気持チイイ。ミンナニ教エタイ。教エナキャ。遊ブ楽シサ、モットモット!
2018年06月08日
赤ずきん / メイジ
おかあさん、きょうはね、おにんぎょうであそんだよ。
あたまをひっこぬいて、からだもばらばらにしたの。
でも、わんわんみたいになかないからあきちゃった。
おかあさん、きょうはね、おともだちとあそんだの。
にんぎょうみたいにしようとしたら、ぎゃーってないた。
でも、だんだんしずかになっちゃってつまんなかった。
おかあさん、どうしておこるの?
ぼく、ともだちとたのしくあそびたかっただけなのに。
ひとりじゃ、つまんないし……さびしいよ。
おかあさん、ぼく、はやくおとなになりたいな。
そうしたら、もっとたくさんともだちができるよね?
みんなであそべば、きっともう、さびしくないよね!
2018年06月07日
赤ずきん / クレリック
ライブラリに存在スル人物についての暫定報告
氏名:赤ずきん/出身:ドイツ及びヨーロッパ
傾向:赤は愛情と破壊を象徴し、食は性的指向を強く啓示スル。
出自:グリム童話集
兄ヤーコブと弟ウィルヘルムのグリム兄弟が収集編纂した童話集ヨーロッパ各地に伝わる民話が原典ともいわれてイル。
経過:狼は家宅侵入の後、オバアサンを補食。続き、オバアサン宅を訪れた赤ずきんを補食スル。ソノ後、通りかかった猟師が異変に気づき、狼の腹部は引き裂かれる。以て両名ヲ救出に至ル。
現在:狼の補食行為により、赤ずきんが生き残ったノカ、死んだノカ、その結末は不明瞭。前報告者が消息を絶った為、五人目の調査担当を至急要請スル。
2018年06月06日
赤ずきん / ソーサラー
夜の獣は畏れられていた。それは、影となり森を駆け抜けるという。影は伸上り、幾重にも広がり、踊り、姿を変えながら常闇をつれてくる。そして黒き森がうまれる……
彼の地は森深く、豊かな木々の恵みに守られていた。森と共に生きる村人は、風をよく知る人々でもあった。風は影を運び、影は夜の獣と共にある。森のざわめきが風を知らせてくれた。
風を知れども、風は気まぐれ。夜の獣に森が呑まれたときには、赤い御色が守ってくれる。だから、真っ赤な御色で我が身を包むよう、村の長は焚火の傍らで皆に語るのであった。
今日も少女は赤い頭巾を目深にかぶり森をゆく。木漏れ日と小鳥のさえずる道をゆく。このまま黒き森にさ迷い込まないよう祈りながら。そして、いまだ夜の獣をしかと知る者はいない。
2018年06月05日
赤ずきん / ミンストレル
赤いもの。
いちご、りんご、トマトにさくらんぼ。
赤いもの。
バラ、サルビア、ダリヤにアマリリス。
赤いもの。
唇、舌、肉と血。
赤は みんなおいしくて きれい。
2018年06月04日
赤ずきん / パラディン
【殺人者の告白記録 8月21日】
殺すなら女がいいな。特に少女。成長期を迎えて伸び始めた白い四肢を関節からバラすんだ。そうして動けなくして貪ろう。
【殺人者の告白記録 12月7日】
綺麗な瞳はくり抜いて、飴玉のようにしゃぶろう。剥ぎ取った白い皮膚は縫い合わせて、服にして暖を取ろう。
【殺人者の告白記録 12月9日】
長い金の髪が好きだ。結んで編んで、その細い首を絞める縄にしよう。……ああほら、条件にぴったりな少女がやって来た。
【殺人者の告白記録 4月4日】
ごめんなさいごめんなさい許してくださいもうしませんだから命だけはどうかお願い助けて殺さないで裂かないで痛い痛い赤い