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2018年09月20日
人魚姫 / 淫蠍のハーフナイトメア
目の前の女がちっとも悲しくなさそうに泣いている。曰く「ただの舞台装置で可哀想」ということらしい。のような精霊は首を傾げる。それのどこが悪いのだろう?
傍観し続けることは素晴らしい。蠍だった頃に観察していた後宮の女は最高だった。彼女は蠍の毒である媚薬と、女官長の立場を利用し数多の人間を淫蕩と愛欲に突き落としてくれた。
この泣いている女だってそうだ。可哀相だと口にしながら、早速精霊の力を利用して悲劇を生み出し続けてくれている。精霊はそれを最高の特等席で眺めていられ..
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2018年09月17日
人魚姫 / 淫蠍のクレリック
碧眼の少女はかつて暮らしていた城が焼け落ちるのを見た。王である父も、王妃である母も、どちらも死んだ。今や王族で生き延びたのは少女ただ一人であった。
敵国との戦いで国民も家族も失った少女はその青い瞳に炎を灯し、決意する。生きてやる。たとえ泥水をすすり這いつくばろうとも、必ず這い上がってやると。
王家への献上奴隷になるために、手段は選ばなかった。やがて敵国の後宮に入り込んだ少女は、美と知をもってのし上がる。後宮の陰謀し、敵国の王に体を弄られることも、耐えられた。 ..
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2018年08月17日
ピノキオ / 淫蠍のクレリック
心理テストです。貴方は夜の森を歩いています。ゆっくりと進むと前から何かが近づいてきました。それは「犬」「梟」「蛇」「蠍」のうちのどれですか?
結婚する際に一番大切にしているものがわかるテストでした。犬は思いやり、梟は知識や教養、蛇は子孫繁栄、蠍は体の相性、悦楽です。貴方は犬ですか、お優しい。私?私は内緒です。
……あら、どうしました?体がうまく動かないんですね。先程お渡しした飲み物に少し混ぜ物をさせていただいたんです。でも安心してください、命に別状はありません..
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2018年07月17日
かぐや姫 / 淫蠍のクレリック
かつての古き時代。男があった。立身出世に囚われた男は宦官となり、政の世界へと片足を踏み入れる。男は一人の側室に仕えた。側室の字は恵。美しいが慎ましくどこか儚い女だった。
側室が帝から受ける寵愛が即ち男の権力。恵は閨でも控えめな女であった故、男は秘薬を入手した。籠絡の蠍。蠍の毒は人を淫蕩へと堕落させる。次の閨で帝に使うように進言したのだ。
毒を使い始めた途端、帝は足繁く通い側室は位を上げた。男は喜んだ。自らも権力を手にしていったからだ。だがある日、女は死んだ。死..
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2018年06月17日
赤ずきん / 淫蠍のクレリック
とある村に貞淑で美しい人妻が居りました。彼女は物静かで実直な夫と仲睦まじく暮らして居りました。ですがそれでも一夜の情けを乞い願う男は、後を絶たなかったのでございます。
雨の夜、苦悩する男達の前に一人の女が現れ告げました。
「蠍の毒から作られたこの媚薬を口にすれば、どれ程貞淑な女も淫らになる」
男達は薬を手に入れ、夫が不在の時を狙いました。
薬で我を失い、淫らに花開いた人妻は男達との淫欲に溺れました。けれどある時、出掛けた筈の夫が突然戻り、猟銃で妻と男達を撃ち殺すと、自ら..
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2018年05月17日
いばら姫 / 淫蠍のクレリック
刑事が事件現場の寝室に立ち入ると若い女と中年の男の遺体が並びその傍らに男の妻である中年の女が呆然とした様子で座り込んでなにやらぶつぶつと呟いていた。
座り込んでいる女に尋ねれば「夫の不貞は知っておりましたがまさかこのような……」と嘆き再び呟きだすのも夫が若い女と結合したまま腹上死しているのを見ては無理もないだろう。
だが異常な色欲の果てに死亡する事故が相次いで起こっていたため刑事は妻であった女にそれを告げると女は微笑んだ。「これは天罰であり神が、あの方が罰を与..
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2018年04月17日
グレーテル / 淫蠍のクレリック
淫蕩を招く蠍の精霊は滔々と思い出に浸る。
あれはかつて、操り人形に過ぎなかった。今は人の器を手に入れたはずなのに、心根はいつまでも傀儡。
探究に取り憑かれた者もいた。飽くなき好奇心の赴くまま、科学だけでなく、他人の心も土足で無遠慮に漁り続ける姿勢には感服するものの……果たしてどこまで辿り着けるのか。
彼らを観察する私は傍観者。何者でもなく、何色にも染まらない。透明な存在のまま、私は眺める。幾多の命が流れ行くさまを。私の毒に翻弄される宿業を。それだけが私の望みである。
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2018年03月17日
シンデレラ / 淫蠍のクレリック
観察対象は年老いた男。若い女に焦がれ今一度奮い立たせたいと願った。力を貸したものの、奮い立てば女を喜ばせられるという考えは間違っていたらしい。女に泣いて逃げられていた。
観察対象は幼い少女。一人で頑張る母のためにも新しい父親が欲しいと願い、力を貸した。母は男との淫欲に溺れるようになり、少女には見向きもしなくなった。やがて少女は餓死した。
精霊である私の力を使い、何人もの女を廃人にした男がいた。様々な男を溺れさせ、貢がせ、女王のように君臨した女もいた。人の欲は限..
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2018年02月17日
スノウホワイト / 淫蠍のクレリック
暗闇の中に佇む蠍。それが私である。私は思い出していた。砂漠に囲まれた王宮の奥深く、この後宮に集う女達のことを。私の持ち主は後宮の女官長だが、彼女は私を様々な女に与えた。
たとえば正妃。私の毒は人間にとって媚薬となる。正妃は媚薬を用いて王を籠絡した。愛人に傾いた王の心を繋ぎとめるため、誇り高い彼女も必死だった。次に愛人の寵姫の話だ。
寵姫は野心家で強か。私を利用し正妃を陥れた手腕は見事の一言に尽きる。奴隷上がりとは言え、さり気ない仕草や癖からも窺い知れる。元は異..
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2018年01月17日
アリス / 淫蠍のクレリック
これは淫蕩を招く蠍の物語です。昔々あるところに蒼い瞳の美しい王女が幸せに暮らしていました。ところがある日、敵国との戦に破れ何もかも失ってしまったのです。
燃え滾る憎悪を抱えながら碧眼の少女はなんとか敵国の後宮に入り込みました。少女は女官長の協力と蠍の毒を利用し、後宮で這い上がることを誓うのです。
王の寵愛を手に入れた少女は更に上を目指します。目指すは頂点、敵国を意のままに操れる立場。邪魔をしてくる正妃は蠍を使って蹴落としました。命を狙われたのですから当然です。..
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