2018年09月20日
人魚姫 / 淫蠍のハーフナイトメア
目の前の女がちっとも悲しくなさそうに泣いている。曰く「ただの舞台装置で可哀想」ということらしい。のような精霊は首を傾げる。それのどこが悪いのだろう?
傍観し続けることは素晴らしい。蠍だった頃に観察していた後宮の女は最高だった。彼女は蠍の毒である媚薬と、女官長の立場を利用し数多の人間を淫蕩と愛欲に突き落としてくれた。
この泣いている女だってそうだ。可哀相だと口にしながら、早速精霊の力を利用して悲劇を生み出し続けてくれている。精霊はそれを最高の特等席で眺めていられるのだ。
精霊は傍観者である。ただの舞台装置で構わない。なぜなら力を手にし、欲を孕めば、勝手に堕ちてゆくのが「人間」なのだ。これほど便利な物語自動製造機はあるまい。
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