2019年11月12日
エミリア / クレリック
三ヶ月ほど前、エミリアは突然この世界に召喚された。いつも一緒の子猫の姿をした精霊パックも呼び出せず、ただ一人で知らない世界に放り出されたのだ。
幸い言葉は通じたが文字は読めなかった。自分がいた世界と似た、しかしどこか奇妙に捻じれた世界は――銀髪のハーフエルフであるエミリアを誰も奇妙に見たりはしなかった。
自分の世界では、災厄をもたらした『嫉妬の魔女』にそっくりなこの外見を皆で忌避するというのに。違う世界に来て、エミリアは初めてこの容姿から解放された気がしていた。
――でも、やっぱり私は帰りたい。私の居場所はあの世界にあるはずだから。それに、スバルと約束したもの。「でぃとしよう」って。その約束は必ず守らないと、ね。
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