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2024年10月07日

1199番:ペルル嬢(16)


ペルル嬢(16)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−【16】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
De temps en temps cependant, on mène les jeunes
filles au théâtre, à l' Opéra- Comique, ou au Français,
quand la pièce est recommandée par le journal que
lit M. Chantal.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 しかしそうはいっても時々は娘たちをオペラ・コミッ
ク座やフランス座などの劇場へ連れて行ったりもします.
もっともシャンタル氏が読んだ新聞で出し物が推奨され
ているときのことではあるが.



−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

de temps en temps:時々、時折
cependant:(副) しかしながら、それにもかかわらず
l'Opéra-Comique:(固有) [劇場名] オペラ・コミック座
小文字の場合は普通名詞:
opéra-comique (m) 喜劇、オペラ・コミック
[複数形_s -_s]
  「こっけいな」という意味の形容詞として使われる
  こともある.
le Français:フランス座 [パリにある国立劇場]
lit:(直現3単) < lire (他) 読む
(活用時はs の出没に注意)
lis---lis---lit---lisons---lisez---lisent

1198番:ペルル嬢(15)


ペルル嬢(15)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−【15】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
Pour les Chantal, toute la partie de Paris située
de l' autre coté de la Seine constitue les quartiers
neufs, quartiers habités par une population
singulière, bruyante, peu honorable, qui passe
les jours en dissipations, les nuits en fêtes, et qui
jette l' argent par les fenêtres.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

シャンタル家の人々にとってセーヌ川の向こうの地区
はすべて新開地であり、そこは自分たちとは変わった、
騒々しい、不真面目な人たちが住んでいるところなので
ある.彼らは放蕩三昧の毎日を送り、夜はどんちゃん騒
ぎで、まるで窓から金銭を投げるかのように湯水の如く
浪費するという為体の連中がいるというのである.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

constitue:(直現3単) < constituer (他) を構成する;
   groupe de rock constitué de quatre musiciens.
4人の音楽家から成るロック・グループ
singulier(ière):(形) 風変わりな
bruyant(e):(形) 騒々しい、やかましい 
peu honorable:不真面目な
dissipation:(f)@ (雲などが)消え去ること、消散、
    A浪費、B注意散漫、不規律;C[文語] 放蕩
fête:(f) お祭りさわぎ、楽しみ
jette:(直現3単) < jeter (他) を投げる.

1197番:ペルル嬢(14)


ペルル嬢(14)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−【14】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
Mᵐᵉ Chantal et Mˡˡᵉ Perle font ce voyage ensemble,
mystérieusement, et reviennent à l' heure du dîner, ex-
ténuées, bien qu' émues encore, et cahotées dans le
coupé, dont le toit est couvert de paquets et de
sacs, comme une voiture de déménagement.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

シャンタル夫人とペルル嬢はこの旅行を、ふたり一緒で
密かに行ない、夕食時には未だ興奮冷めやらぬうち、く
たびれてまるで引っ越し車両のように、箱馬車の屋根に
買物荷物と買物袋をぎっしり積み上げて、揺られながら
戻ってきます.





−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

mystérieusement:(副) ひそかに、不思議にも、神秘的に
       秘密めかして、秘密裏に
reviennent:(直現3複) <revenir (自) 戻る 
exténuées:(形女複、p.passé) へとへとになった
    < exténuer (他) くたびれさせる
ému(e):(形) 心を動かされた、感動した
bien que + 接続法:〜にもかかわらず、〜ではあるが
cahotées:(p.passé/f/pl)
    <cahoter (自) (車が)動揺する、がたつく
     (他) 揺する、がたつかせる 
coupé:(m) ⦅自動車⦆クーペ、2人乗り箱馬車
toit:[トワ](m) (家屋・車の)屋根、ルーフ
     尚、『ペルル嬢』が書かれた1884~5年当時は
    クーペと言っても今のように2ドアの流線形の
    スポーツ車を指すのではなく、箱型の馬車だった
    と考えるほうがよい.ガソリン車が出たのが1885
年である. 
couvert de ~:〜で覆われた
paquet:(m) 包み、梱包、小荷物、(商品の)箱、袋
sac:(m) 袋、バッグ、かばん
déménagement:(m) 引っ越し、引っ越し荷物、移転
< déménager (自) 引っ越す

2024年10月06日

1196番:ピエールとジャン(6)


ピエールとジャン(6)
PIERRE ET JEAN



−−−−−−−−−−【6】−−−−−−−−−−−−

  ≪ Je vous demande pardon, madame
Rosémilly, je suis comme ça. J'invite les
dames parce que j'aime me trouver avec
elles, et puis, dès que je sens de l'eau
sous moi, je ne pense plus qu'au pois-
son. ≫


−−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 「ああ、これはロゼミリーの奥さん、失礼しま
した.なにぶん私はこういう性分なもので.ご婦
人がたとご一緒するのが好きなもので、お招きを
するのですが、それでありながら、一旦洋上を感
じるや否や、私はもう魚のことで頭がいっぱいに
なってしまうのです.」


 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

je sens de l'eau:水を感じる
je sens de l'eau sous moi:洋上を感じとる
dès que je sens de l'eau sous moi:
   洋上に出たことを感じ取るや否や
je ne pense plus qu'au poisson:
   魚のことだけしか考えられなくなる
ne + 動詞 + plus que ~:〜のこと以外...しない
 


1195番:「湖畔」(51)(シュトルム作)

 
湖畔(51)
IMMENSEE(51)



−−−−−−−−−【51】−−−−−−−−−−−−−−

Nach halbstündigen Wandern kam man aus
dem Tannendunkel in eine frische Buchen-
waldung; hier war alles licht und grün,
mitunter brach ein Sonnenstrahl durch die
blätterreichen Zweige; ein Eichkätzchen
sprang über ihren Köpfen von Ast zu
Ast.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−

半時間ほど歩いた後は、暗い樅の林から出て、
すがすがしいブナの森に入りました.そこは
すべてが明るく緑いっぱいでした.ときどき
太陽光線が葉をいっぱいつけた枝を破るよう
にして差し込んで来ました.1匹のリスが枝
から枝へと、みんなの頭上を跳びはねて行き
ました.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−

halbstündig:(形) 半時間の、半時間経た、
Wandern:(不定詞wandern の名詞化)
   (名詞化すると中性名詞となる)
Tannendunkel:辞書不掲載だが、
   die Tannen (樅)(複数)と
das Dunkel (暗さ) の合成語だと類推可
frisch:(形) 新鮮な、鮮やかな、
Buchenwaldung:辞書不掲載→Buchenwald
der Buchenwald:[-(e)s/-wälder] ブナの森
licht:(形)[文] 明るい
grün:(形) 緑色の
mitunter:(副)[文] ときどき、ときおり
brach:(過去形) < brechen (他) 折る、割る、破る
der Sonnenstrahl:[-(e)s/-en] (通例複数)
   太陽光線、日光
blätterreichen:(形) 葉がいっぱいの
der Zweig:[(e)s/-e] 枝、小枝
das Eichkätzchen:[-s/-] リス
sprang:(過去) < springen (自) 跳ぶ、跳ねる
    springen−−sprang −−gesprungen
Köpfen:(男複3) < der Kopf [es/-Köpfe] 頭
der Ast:[-(e)s / Äst] 枝(幹から直接出ている枝)


1194番:ロンドリ姉妹(46)


ロンドリ姉妹(46)


−−−−−−−【46】−−−−−−−−−−−−−−−

 Chaque fois que je me trouve, soit en
route, soit dans le monde, devant un vi-
sage nouveau j'ai l'obsession de deviner
quelle âme, quelle intelligence, quel carac-
tère se cachent derrière ces traits.


−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 ぼくは道中であれ、人前であれ、初対面の人
前に出るたびに、どんな人物が、どれほどの知
性が、どんな性格が、その顔立ちの裏に隠れて
いるのかを無性に言い当ててみたくなる.


−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−−

en route:途中で、旅行中に;進行中に、作業中に
chaque fois que + 直説法:〜が...する度に
  Chaque fois qu'il vient, c'est pour râler. /
彼は来るたびにがみがみ文句を言う.
je me trouve + 場所:(直現/1単) ぼくは〜にいる,
soit ~ , soit ... :〜であれ、…であれ.
en route:道中で、
dans le monde:人前で、
devant un visage nouveau:初対面の人の前では
  chaque fois je me trouve devant un visage nouveau /
初対面の人の前に出るたびに
obsession:[オプセッスィオン](f) 妄想、強迫観念;
   Elle a l'obsession de devenir vedette. / 彼女はス
ターになるという思いに取りつかれている
deviner:(他) 言い当てる、見抜く
âme:(f) 魂、心、精神、人間性
intelligence:[アンテリジャンス](f) 知性 
caractère:(m) 性格
se cachent:(直説法現在/3複) < se cacher
se cacher:(pr) 隠れる、潜む;< cacher (他) 隠す 
trait:(m) 線、輪郭; 【複数で】顔立ち、相貌
derrière ces traits:その顔の向こうに



1193番:イヴェット(6)


『イヴェット』(6)
Yvette


−−−−−−【6】−−−−−−−−−−−−−−−−

Ceux de l'Urbaine faisaient des taches
claires et rapides avec leurs panneaux
jaunes frappés par la lumière.

    
−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

ユルベーヌ社の辻馬車の車体は光を受けた鮮や
かな黄色いドア板で明るく、すばやい斑点を作
っていた.


−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

urbain, e:(形) 都市の、都会の、
Urbaine:❶ウルバヌス(歴代ローマ教皇)
   ❷物語の中の架空の会社名、「ユルベーヌ社」
   (辻馬車会社の設定のようです)ceux は辻馬
   車の2つの灯火.
faisaient:(直半過/3複) < faire
tache:(f) しみ、汚れ、斑点、痣、傷
   faire tache / しみを作る、汚点をなす
clair, e:(形) 明るい、明るく澄んだ
rapide:(形) 速い、すばやい、
panneau:(m) ❶掲示板、標識、看板、
   ❷羽目板、ドア部分の鏡板
jaune:(形) 黄色の 
frappé:(形) 鮮やかな
lumière:(f) 光

1192番:ペルル嬢(13)


ペルル嬢(13)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−【13】−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 Après quoi, on arrête le jour des achats et on
s' en va, en fiacre, dans un fiacre à galerie, chez
un épicier considérable qui habite au- delà des ponts,
dans les quartiers neufs.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

こうしたことのあとで、買い出しの日が決められ、辻
馬車に乗って出かけます.荷台のある馬車です.そして
それに乗って橋向こうの新開地にある大きな食料品店に
行きます.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

après quoi:その後、それから;quoi は「何」という意味
    ですが、先に出た事柄を受けることがあります.
    ここでは、夫人が買い出し表を作成したあと.
arrêter:(他) (予定・覚悟などを)決める、決定する
arrêter le lieu d'un rendez-vous /
    落ち合う場所を決める
on:ここでは主語をぼかすいいかたです.受身で訳して
    もいいと思います.シャンタルさんが決めるか
    ペルルさんが決めるかをぼかしています.
fiacre:[フィアークル](m) 辻馬車、辻馬車の御者
galerie:[ガルリ](m) 回廊、歩廊、廊下、細長い部屋;
à galerie:荷台のある
épicier(ière):(名) 食料品店主
considérable:(形) ❶ かなりの、著しい、多大な、大きな
    A[古語調] 尊敬すべき、考慮すべき、重要な 
    ❶、A両方の意味に取れます.épicier を人とし
    て訳すか、店として訳すかで決めていいと思い
    ます.
    habiter も普通は人が住むのですが店として訳せば
    居を構える店、
    acheter des conserves chez l' épicier.
食料品屋で缶詰を買う.
    ただし仏検受験学習をされている方は
    épicerie:食料品店
épicier:食料品屋、食料品店主
    として覚えておきましょう.
    パティシエとパティスリの違いと同じです.
    〜シエが人、〜スリが店.
au-delà:その向こうに
au-delà de ...:...の向こうに
pont:(m) 橋
au-delà des ponts:幾つか橋を越えたところに;
des ponts = de les ponts 越える橋はどの橋でも
    いいわけではないので定冠詞.



2024年10月04日

1191番:ピエールとジャン(5)


ピエールとジャン(5)
PIERRE ET JEAN



−−−−−−−−−−【5】−−−−−−−−−−−−

 ≪ Tu n'es pas galant pour notre invitée,
papa. ≫
M. Roland fut confus et s'excusa:


−−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 「お父さん、お客さんに失礼ですよ.」
 ロラン氏は困惑して、言い訳をした:

 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

galant, e:(形) (女性に)親切な
confus, e:(形) ❶当惑した、恐縮した、恥じ入った;
    ❷雑然とした、❸混乱した、ぼんやりした
s'excusa:(直単過/3単) < s'excuser (pr)
s'excuser:(pr) 言い訳をする、弁解する
excuser:(他) 〜を許す

1190番:「湖畔」(50)(シュトルム作)


湖畔(50)
IMMENSEE(50)


−−−−−−−−−【50】−−−−−−−−−−−−−−

Ein Tannengehölz mußte zuerst durchwandert
werden; es war kühl und dämmerig und
der Boden überall mit feinen Nadeln
bestreut.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−

まずは樅の木立を歩き抜けなければならなかった.
ひんやりと薄暗かった.そして至る所、大地は細
い針のような落ち葉で覆われていた.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−

zuerst:❶真っ先に、最初に、何はさておき、
   何よりもまず、
   ❷始めは、最初は、
Tannengehölz:辞書不掲載語→ Tannen + gehölz
Tannen:(女複)→die Tanne (_/_n) もみ(樅)、
das Gehölz:[_es/_e] 小さい森、木立、雑木林、
   やぶ:
das Tannengehölz:樅の林
durchwandert:(過去分詞) < durch/wandern
durch/wandern:❶(場所⁴を)あちこち歩き回る、
     ❷歩き抜ける、歩き通す
werden:(受動の助動詞)
kühl:(形) 涼しい、ひんやりする、冷たい
dämmerig:(形) 薄明るい、薄暗い、ほのかな、
   どんよりした.
der Boden:[-s/¨] 土地、大地、地面
fein:(形) 細い、繊細な;[格語尾en は複3強] 
der Nadel:(_/_n) ❶針、❷ピン
bestreut:(過去分詞) < bestreuen (他)
bestreuen:(他) [4格+mit ∔ 3格]
   …⁴ に…3 をふりかける
es war der Boden ~ bestreut /
   大地は〜で覆われていた(状態受動)



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