(1)赤ワイン
赤ワインはポリフェノールを豊富に含んでいると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
その種類も豊富で、赤ワインに含まれているポリフェノールは明らかになっているだけで500種類以上にも上ります。
赤ワインのポリフェノールには心臓病のリスクを低下させる効果があることで知られています。
ポリフェノールの抗酸化作用が心臓病の原因となる動脈硬化を防いでいると考えられているのです。
[メモ]
一般的に動物性脂肪を摂りすぎると心臓病になりやすいとされていますが、ヨーロッパ各国での動物性脂肪の摂取量と心臓病の死亡率の関係を見ると、赤ワインをたくさん飲むフランスの人々は、動物性脂肪を多量に摂取しているにもかかわらず心臓病での死亡率が低いことが分かりました。
これは赤ワインに含まれるポリフェノールが理由ではないかと推定されています。
こうした赤ワインの抗酸化作用は「フレンチ・パラドックス」と呼ばれています。この語は、一言でいうと「心臓病のリスクが高い食生活を送っているはずのフランス人が、他の国よりも心臓病で亡くなる割合が低い」という一見して「パラドックス」=矛盾に見える事実のことを指しているのです。
ただし、アルコールにはさまざまな健康のリスクも付いて回ります。
多く飲んだからといって健康が促進されるものではないことには十分に留意してくださいね。
(2)コーヒー
コーヒーにもポリフェノールが豊富に含まれており、代表的なものとしては「クロロゲン酸類」と呼ばれるものが挙げられます。
コーヒーの褐色や苦味、香りの元はこのクロロゲン酸類です。
クロロゲン酸類には抗酸化作用のほか、以下のようにさまざまな効果があることが分かっています。
【クロロゲン酸類の効果】
・血糖値の上昇を抑制する作用
・血圧改善作用
・発がんを抑える作用
・脂肪の吸収を抑える作用
普段の生活で口にすることが多いコーヒーには、このように体に嬉しいたくさんの効果があるのですね。
(3)緑茶
緑茶に含まれる「カテキン」という成分の名前を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
カテキンは緑茶の渋みの元となっているポリフェノールで、全部で8種類存在します。
カテキンには以下のとおりさまざまな効果があることが分かっています。
【カテキンのさまざまな作用】
・抗酸化作用
・抗菌・殺菌作用
・抗ウイルス作用
・コレステロール低減作用
・体脂肪低減作用
・抗アレルギー効果
・むし歯に対する効果
身近な飲み物である緑茶に、これだけさまざまな効果があるなんて驚きですよね。
カテキンによる効果を期待した健康食品やサプリメントなどを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
普段ジュースなどを飲んでいるという方は緑茶に変えてみるだけで体に嬉しいいろいろな効果が得られるかもしれませんよ。
(4)紅茶
紅茶の赤い色や渋みはポリフェノールによるものです。
紅茶のポリフェノールは強い抗菌効果があることで知られています。
紅茶の原料も緑茶と同じ「チャノキ」と呼ばれる植物の葉です。
「あの赤い色や渋みはどうやって作られるの?」
と疑問に思う方もいるかもしれませんね。
紅茶の赤い色や渋みの元となるポリフェノールは実はカテキンが化学反応を起こしたものです。
紅茶を製造する際には葉を摘んでから萎れて柔らかくなるまで置いておき、その後に葉を揉むという工程があります。
揉まれることによって葉の中の細胞が壊れると、カテキン同士が酵素によって酸化させられ、カテキン類が複数結合した「テアフラビン」や「テアルビジン」になります。
これが紅茶ポリフェノールの正体です。
テアフラビンにはむし歯菌に対する抑制作用や抗菌作用があるとされています。
また、紅茶のポリフェノールにはインフルエンザウイルスの感染力を奪う作用があるといわれており、マウスを用いた動物試験においてはインフルエンザ予防の効果も報告されています*1。
冬の寒い時期ホッと一息つきたいときには紅茶を飲めばインフルエンザ予防にもなって一石二鳥かもしれませんね。
ただしミルクティーにするとポリフェノールが牛乳のたんぱく質に取り込まれて感染力を奪う作用がなくなってしまうため注意しましょう。
ストレートやレモンティーで楽しむのがおすすめです。
*1 中山 幹男, 戸田 眞佐子, 大久保 幸枝, 原 征彦, 島村 忠勝「紅茶エキスによるインフルエンザウイルス感染性の阻止 in vivoにおける検討」(『感染症学雑誌』1994年68巻7号)
(5)チョコレート、ココア
チョコレートやココアの原料であるカカオにもポリフェノールが豊富に含まれています。
カカオに含まれるポリフェノールは主に「フラバノール」や「プロシアニジン類」と呼ばれるものです。
フラバノールは心血管系の機能を健康に保つ作用があるとして注目を集めています。
また、フラバノールにはストレスを軽減したり認知機能を改善したりする効果が報告されています*2。
特にカカオの含有量が多いビターチョコレート(ブラックチョコレート)や純ココアはフラバノールの含有量が多いと考えられるでしょう。
おやつにはチョコレートを食べてポリフェノールを摂っておきたいですね。
*2 Georgina E. Crichton, Merrill F. Elias「Chocolate intake is associated with better cognitive function: The Maine-Syracuse Longitudinal Study」(『Appetite』2016, 100, 126-132)
(6)大豆
大豆もポリフェノールが豊富な食品の一つです。
「イソフラボン」という成分について耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
実はあのイソフラボン類もポリフェノールの一種です。
大豆由来のイソフラボンは女性ホルモンの「エストロゲン」に構造が似ているため、似たようなはたらきをすることで知られています。
エストロゲンは肌や髪の潤いを守ったり脳や自律神経にはたらきかけたりして女性の健康に大きく関わっている物質の一つです。
エストロゲンの分泌量は20〜30歳代をピークに歳を取るにつれて下がっていき、更年期にはホルモンバランスが崩れることによってさまざまな症状が発生します。
大豆に含まれるイソフラボン類は、のぼせ・ほてりといった更年期障害の症状の軽減に効果があるとされています。
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