日本人は昔から豆類を常食としてきました。豆類には、良質のタンパク質をはじめ、ビタミンや食物繊維など、私たちの健康維持に欠かせない栄養素が豊富に含まれており、コレステロールの低下や免疫力向上、さらには生活習慣病の予防と、何ともありがたい働きをしてくれます。
そうしたことから今一度、大豆をはじめとする豆類や豆腐、納豆などの豆製品の良さを見直し、積極的に毎日の食事に取り入れたいもの。奈良時代にはすでに味噌や豆腐などの加工食品を食べていたとされるほど、日本の食生活の中で長い歴史を培ってきた豆類、そして豆製品。今回は、そんな日本の伝統食の素晴らしさにスポットを当ててみました。
むくみを取り除くのに有効
あずき
あずきは食物繊維も豊富なので、便秘の解消にもお勧め
ポリフェノールが赤ワインの1.5倍
消費量の約8割が和菓子のあんこなどに利用されているあずきは、炭水化物のでんぷんを主成分としており、ほかの豆類と比べて脂肪分はそれほど多くはありません。ですから、甘いお菓子の中でも、あんこを使った和菓子の方が、カロリーは低いのです。
含まれる栄養素としては、ビタミンB1、カリウムなどがありますが、このうちビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える時に必要な補酵素の役割を果たしています。そのため、糖質が筋肉内にたまって疲労物質に変わるのを防いでくれるのです。
またカリウムには、体内にたまった余分なナトリウム(塩分)の体外への排出を促す働きがあるので、ナトリウムによる血圧の上昇を抑えるのに役立ちます。
さらに不溶性の食物繊維も豊富。この水に溶けない食物繊維は腸内で水分を吸収して大きく膨らむため、腸内が刺激されて蠕動運動が盛んになるほか、水分を含んでいるので便を軟らかくしてくれます。したがって、便秘の解消に有効。しかも、あずきは煮てないものより煮たものの方が、食物繊維の含有量が倍近くに増えると指摘されています。
このほか、活性酸素の除去に働くポリフェノールが、かつて多く含まれているとして注目を集めた赤ワインでは100ml中、300mg含まれているのに対し、あずきでは100g中、460mgと約1.5倍も多く含まれているのです。ただ、ゆでたり、つぶあんやこしあんに加工したりすると、その量は半分以下になってしまうものの、加工する際に加える熱によって、メラノイジンという抗酸化物質が生まれることも明らかにされています。
一方、皮の部分には、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させたり、あるいは動脈硬化等の原因の1つとされる過酸化脂質の生成や増加を抑えたりするサポニンが含まれています。と同時に、サポニンには体内にたまった余分な水分を排出して、体内の水分量のバランスを保つという、利尿作用の働きもあります。そうしたことから、あずきはむくみを取り除くのにも役立つ食品といえます。
“良質のタンパク質”を含有
大豆
大豆には、女性ホルモンと似た働きを持つイソフラボンなども含まれる
コレステロール、中性脂肪を除去
大豆は昔から「畑の肉」と呼ばれるほど、良質なタンパク質を豊富に含んでいます。
タンパク質は、私たちの筋肉や骨、皮膚、臓器、毛髪などをつくる原料として欠かせない栄養素で、約20種類のアミノ酸が結合してできていますが、そのうち体内では合成することができないために、食品から摂取しなければならないのが必須アミノ酸。成人では10種類、子供では11種類が必要とされる必須アミノ酸を、大豆はバランス良く含んでいることから、大豆のタンパク質は「良質」だといわれているのです。
一般的に、タンパク質の供給源としては、肉や卵などの動物性食品が知られています。実際、穀類や豆類などの植物性食品にはタンパク質が少なく、必須アミノ酸のバランスもよくありません。
しかし、動物性食品を食べ過ぎると、脂肪の摂り過ぎを招くことに。その点、大豆なら、含まれるタンパク質の半分以上が「コレステロールの排出を促す」「中性脂肪の血中濃度を下げる」などの作用を有するグリシニンという成分で占められているので、安心して食べられます。
その一方で、大豆には、酸化されやすいという特徴を持ったリノール酸と呼ばれる脂質が含まれていますが、過酸化脂質の生成や増加を抑えるサポニンも同時に含まれているので大丈夫。
さらに、血管壁に沈着した中性脂肪やコレステロールを取り除いてくれるレシチンに加え、女性ホルモンと同じような働きをするイソフラボンが含まれている点も見逃せません。
このうちレシチンには、脳の機能を調整する働きを持った成分が含まれているため、認知症予防の効果が期待されているほか、記憶力や学習能力の向上にも役立つとされています。
またイソフラボンは、女性ホルモンの1つであるエストロゲンとよく似たような作用を持っていることから、生理不順や更年期障害など女性特有の体の不調を改善するのに有効。加えて、骨の中のカルシウムを逃すことなく、しっかりと骨密度を維持してくれるので、骨粗鬆症の予防に役立ちます。
“ネバネバ”で血液サラサラ
納豆
納豆には、ビフィズス菌を増やして腸内環境を整えるといった整腸作用の働きも
豊富なビタミンK2が骨粗鬆症を予防
納豆と言えば、まず思い浮かべるのが、あのネバネバ。これが苦手で納豆は嫌いだという人も少なくないようですが、このネバネバの部分には、血栓を溶かして血液の流れをサラサラにする働きを持ったナットウキナーゼという酵素が存在しているのです。
血栓とは、血液中にできる血の固まりのことで、心筋梗塞や脳梗塞の原因の1つとされているもの。病院では、心筋梗塞の患者に対し、血栓を溶解する作用を持ったウロキナーゼという医薬品を投与することがありますが、納豆1パック(100g)から得られるナットウキナーゼには、ウロキナーゼを1回投与するのと変わりないくらいの血栓溶解作用があるとさえいわれているのです。
納豆には、これ以外にも多くの酵素が含まれていますが、そのうち、整腸作用があることで知られるのがアミラーゼやプロテアーゼと呼ばれるもの。この2つの酵素が腸内に入ると、それぞれがでんぷんやタンパク質を分解することで、やがて乳酸菌が増殖します。それによって、腸内の善玉菌であるビフィズス菌も増え、腸内環境が整えられるのです。
またSODやカタラーゼと呼ばれる酵素も含まれており、これらには活性酸素を分解する作用があります。
一方、納豆に含まれる主な栄養素としては、ビタミンKやイソフラボンなどがあります。ビタミンKには、K1とK2の2種類がありますが、納豆の場合はK2の方が圧倒的に豊富。ビタミンK2には、カルシウムが骨に沈着するのを助ける作用があるほか、骨からカルシウムが放出されるのを抑える働きもあります。つまり、骨がもろくなるのを防いでくれるわけで、こうしたことから骨粗鬆症の予防に役立つ成分として注目されているのです。
イソフラボンは、先にも述べたように、女性ホルモンと似たような働きをする成分ですが、その表面に付着している糖の影響により、消化吸収に時間がかかるのが難点。しかし、納豆の中に存在する納豆菌が、その糖を取り除いてくれるので、大豆よりも納豆を食べた方が、より早くイソフラボンは吸収されるようになります。
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味噌を食べればこんなに良い効果が!
ここまでは味噌に含まれる栄養成分をご紹介しましたが、具体的に身体にはどんな効果があるのでしょうか。
- 味噌汁にすればカルシウムがたっぷり
味噌を使う料理と言えば、味噌汁。味噌そのものにカルシウムが含まれていますが、味噌汁をつくる時にとるだしや、入れる具をカルシウムが豊富なものを選ぶことでさらに相乗効果が生まれます。だしを取る時の煮干しや、けずり節、また、具に豆腐やわかめ、菜っぱ類などもカルシウムが多く含まれる食材です。カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素。骨元気にはかかせません。
味噌汁をよく飲んでいる人たちは、より健康的?!
味噌汁をよく飲んでいる人たちは、飲まない人たちと、どのような差があるのでしょうか。味噌が身体に良いということを証明する研究データを見てみましょう!
- 胃がんの発生リスクが下がる
国立がんセンター研究所は、男女いずれも味噌汁を飲む頻度が高い人ほど胃がんによる死亡率が低い、という結果を日本癌学会で報告しました。特に男性の場合、味噌汁を「毎日飲んでいる人」と「まったく飲んでいない人」とでは、「まったく飲んでいない人」のほうが、胃がんによる死亡率が48%も高くなっていることがわかりました。
- 胃がんの発生リスクが下がる
- 乳がん予防に期待
厚生労働省の研究班は、味噌汁や豆腐、納豆の摂取量と乳がんの発生率の関係を10年間にわたって調査しました。その結果、味噌汁を摂取している人の乳がん発生率は「1日1杯以下」の人よりも、「1日2杯」の人で26%、「1日3杯以上」の人では40%も減少しているということがわかりました。
まずは一日一杯、味噌汁を飲む生活を始めてみませんか?
「おふくろの味」とも呼ばれる味噌。日本人は古くから、味噌を食べる文化を継承してきました。味噌汁とご飯を一緒にとることで必須アミノ酸がバランスよく摂取でき、栄養学的にもとてもよい組み合わせだと考えられるのです。
伝統的な日本食で健康効果。まずは一日一杯から、毎日の味噌汁生活をはじめてみませんか。
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