いみじのあんちの徒然なるままに

BSジャパンの「ふるさと再生 日本の昔ばなし」です。
信濃国筑摩郡あたらしの郷という所に、おかしな男が住んでおりました。名をものぐさ太郎。人から貰った餅が道に転がっても取りに行くのが面倒で、人が来て取ってくれるのを待っていると、土地の地頭左衛門尉信頼がやってきた。ものぐさ太郎のものぐさぶりに何故か関心した信頼は、村人に「このものぐさ太郎なる男に日に三合の飯を食わせ酒を飲ますべし。逆らうものは領内に留め置くこと叶うべからず」と理不尽なお触れを出します。「泣く子と地頭には敵わぬ」と村人はお触れに従います。
ある年のこと。上京する信濃の国司に従ってあたらしの郷から働き手を一人差し出すよう仰せが下りました。
村人たちが誰を差し出そうか困っていると
太郎に白羽の矢が当たりました。
「京は御殿も寺も実に立派というでな。
特に、京の女子は滅法美しいというぞ」
その言葉に、太郎は珍しく興味を示し
「京の女子はそんなに美しいのか? ならば、儂が引き受けよう」
村人たちに旅支度させて旅立つのでした。

太郎の異形（髭は生やし放題身なりは汚い）に京の都の人々はびっくり。
それでも、お役目を真面目にこなした太郎に、国司はたいそう喜んだ。
無事お役目を終えた太郎は、若い男として乾坤一擲の大勝負に打って出た。
宿の亭主に連れられて清水寺にやって来た太郎。寺に参詣にやってきた一七、八の滅法美しい娘を大手を振って待ち構え、娘の腰に抱きついた。驚いた娘は太郎を観察すると「この男ただものではない」と看破。自宅に太郎を連れて帰ります。
『御伽草子』によると、太郎と娘との間には、謎かけや恋歌を通して太郎の人物を知った娘が太郎の求愛を受けたようですが、時間がなくて割愛
垢にまみれた太郎を風呂に入れてやり髭を剃ると見まごうばかりの美丈夫に変身
アニメでは都で立派な働きをして故郷に錦を飾って、めでたしめでたし。
『御伽草子』の方は、よく調べてみると帝に縁のある血筋だったという貴種流離譚なお話しになっています。不遇をかこい自暴自棄になっていた貴人の復活劇でしたね。
現在、「時代劇専門チャンネル」で放送中の「草燃える」は、
平治の乱で敗れ伊豆国へ流された源頼朝（石坂浩二）が、
流人から身を起こし、妻政子（岩下志麻）らとともに、
初めての武士による政権（鎌倉幕府）を立ち上げるお話です。
リアルものぐさ太郎かも?

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