『こばとの数学基礎講座』を再開します。
高校3年生の皆さんはいよいよセンター試験が間近に迫ってきましたね。「こんなブログ見てる場合じゃない」とか思いつつ何となく見ちゃってる人も、少し違った角度から高校数学を眺めて頭をリフレッシュしてくださいな。
この冬休みのシリーズでは「対数関数」を扱います。この対数関数は高校数学の中で最も捉えにくい概念の1つかもしれません。慣れてしまえば、どうということもないのですが、慣れるまでは「頭のスイッチが切り替わらない」とか「わかったようでわからない」というちょっと漠然とした感覚が残ります。でも大丈夫! こばとの数学基礎講座を読めば大丈夫! 「なーんだ。対数関数って、こんなに簡単だったんだー」と頭スッキリすること間違いなしです。
・・・・・・おかしな宣伝文句みたいになってきたので、この辺で本題に入りましょう。今回は本格的な対数関数の勉強を始める前に、指数方程式をたくさん解いて感覚を養います。というより、実のところ対数関数は指数方程式の別の表現に過ぎないので、これがすらすら解ければ本質的なところでは対数関数を理解していることになるのです。でも対数関数は特殊な記号を使うので、やっぱりちょっと混乱してしまうのです。まあとにかく慣れるしかないのです。
こばとの数学基礎講座12 指数方程式を暗算で解きましょう
ではさっそく簡単な指数方程式
2 k = 4
を解いてみましょう。「 2 を何乗すると 4 になるのかな?」という問題ですよ。これは高校1年生でも解けますね。もちろん答えは k = 2 です。2 2 = 4 となりますね。「 2 の k 乗」という形はよくでてくるので、
23 = 8, 24 = 16, 25 = 32
のあたりまでは、まとめて覚えておいたほうがいいです。また、
210 = 1024
という計算もよくでてきます。では次の問題に進みましょう。
3k = 27
先程の問題よりも少し難しいですけど、「えーと、 3 を 2 乗して 9 で、もう1回 3 をかけると・・・・・・」という感じで k = 3 という答えが出てきます。次の問題に行きますよー。
5k = 125
数に強い人は見た瞬間にぱっとわかるかもしれませんね。答えは k = 3 です。では次に目先を変えて、
5k = 1 / 5
「んん? どういうこと?」と少し戸惑うかもしれませんね。「 5 を何乗すると 1 / 5 になるのかな?」という問題ですよ。前回の指数関数シリーズで学びました。答えは k = −1 。指数法則では、
5−1 = 1 / 5
と計算されるんでしたね。ついでにもう1つ大事な計算法則を復習しておきましょう。
7 k = 1
これも指数計算をしっかり学んでいないと「うーん」と考え込んでしまうかもしれません。答えは k = 0 ですよ。
7 0 = 1
というのも大切な指数計算の決まりごとでした。最後はとびきり難しい問題です。
√2 k = 1 / 2
「ひゃああ」と驚かないでくださいね。順番に丁寧にほぐしていきましょう。右辺が分数の形になっていますから、とりあえず「 k は負の値だろうなー」と予想できます。
√2−1 = 1 / √2
ですね。この式を見ると「あと 2 乗すれば 1 / 2 になるよ!」ということがわかります。というわけで答えは k = −2 です:
√2−2 = 1 / 2
ふう。けっこうたくさん計算しましたね。でも、もっともっと練習してぱっと見て瞬間的に答えが浮かぶまで訓練してくとこのあとの学習がスムーズに進みます。
こばとの数学基礎講座13 対数計算に慣れましょう
こばとはお正月を北海道に住む姉のもとで過ごす予定ですが、マリちゃん(刑部真理子さん)もついて来ると言っています。しかし彼女は既婚者なのです。旦那さん(博和さん)を1人で実家に帰して自分は札幌旅行を楽しむと言っています。本気なのでしょうか? まあ本気なんでしょうね。「久しぶりにスキーでかっ飛ばして、仕事のストレスを発散するのよ!!」とはりきっていましたからね。博和さん、お気の毒です・・・・・・。
まあ、こんな内輪の話はこのへんにして、こばとちゃん講義を始めますね。いよいよ対数が登場しますよ。前回にたくさん練習した指数方程式の1つを例にとって説明します。
2 k = 8
答えは k = 3 ですね。とっても簡単です。「うんにゃ。難しいよ」なんて言う人は、ちゃんと前回の記事を読んでくださいな! さてここで、この指数方程式の解を新しい記号を使って表すことにします。
k = log 28
「何でわざわざこんなことするの???」と思うかもしれませんが、それには深い理由があるのです。それは対数についてより深く学んでいけば徐々にわかるようになります。今はともかくこの記号に慣れるようにしてください。log というのは logarithmus (人工数)というギリシャ語の略です。スコットランドのジョン・ネーピアという人が巨大な数を扱うために試行錯誤した末に考え出した表記法です。上の表式を丁寧に言葉で表現すると「 2 を底とする真数 8 の対数」です。
何だかややこしい言い方ですが、あくまで指数方程式
2 k = 8 の解 k
の別の表現に過ぎません。慣れるまでは下の図のように指数方程式の形に戻して考えるようにしてください。
皆さんも小学校のときは、簡単な計算問題を繰り返し解いたと思います。たくさん解いているうちに四則演算の仕組みを体で覚えてきたわけです。実はそういう手法は高校数学でも有効なのですが、高校では新しい概念が次から次へとたくさん登場するので、1つの計算手法に習熟しないまま次へ進んでしまうということになりがちです。特に対数のような分野では対数関数についてあれこれ難しいことを学ぶ前に、ひたすら(できれば 300 問ぐらい)計算して対数に慣れて九九のように瞬間的に答えが頭に浮かぶぐらいに計算に習熟すれば、結局はそのあとの学習がスムーズに進みます。というわけで今回も前回と同じように計算問題をたくさん解きましょう。記号は変わっても本質は前回の指数方程式と全く同じことなので、そこを忘れずにね。最初は簡単な問題から。
log 24
まだ慣れていない人は頭の中で 2 k = 4 と直して k を求めてくださいね。あるいは「 2 を何乗したら 4 になるのかな」と考えます。答えは 2 ですね。次の問題です。
log 39
3 を 2 乗したら 9 となるので、答えは 2 。どんどんいきましょう。
log 381
3 を 2 乗して 9, さらに 2 乗して 81 ですから、答えは 4 です。
log 100.1
おっと。少し趣向が変わりましたよ。指数法則を思い出してくださいね。 10 を −1 乗すれば 1 / 10 = 0.1 です。なので答えは −1 。
log 101
どんな数でも 0 乗すれば 1 になりますから、答えは 0 です。
log 77
答えはもちろん 1 ですよ。
log √55
√5 を 2 乗して 5 になりますね。答えは 2 。
log √31 / 3
「ひょ!」と驚かないで落ち着いてくださいな。 √3 を 2 乗すれば 3 です。さらに −1 乗すれば 1 / 3 となりますから、答えは −2 です。上のような計算が見た瞬間にぱっとわかるようになるまで練習してください。さて、これまでの例題は答えが簡単な整数や分数になるものばかりでしたので具体的に計算できましたが、
2 k = 10
のような指数方程式は k を簡単な整数や分数では表すことはできません。そんな場合でもとりあえず
k = log 210
と対数の形に書いてしまえば、「 log 210 は log 28 よりも少しだけ大きい数だね」と感覚的に掴めます。ちなみに電卓で計算してみると log 210 = 3.32 です。対数計算の場合はこのように不等式を使って数の "あたり" をつけたりします。 2 を底とする対数を並べておくので数感覚を掴んでおきましょう。
log 21 = 0.00
log 22 = 1.00
log 23 = 1.58
log 24 = 2.00
log 26 = 2.58
log 28 = 3.00
log 22 = 1.00
log 23 = 1.58
log 24 = 2.00
log 26 = 2.58
log 28 = 3.00
次回以降にグラフを使って学習しますが、対数は真数が大きくなればなるほど増加率は緩やかになります。この事実を使えば対数値を予測しやすくなります。たとえば上の表から
log 24 < log 26 < log 28 ⇔ 2 < log 36 < 3
ですが、log 26 の値は log 24 = 2 と log 28 = 3 の平均値 2.5 よりも少しだけ大きな値(2.58)になります。底や真数が大きくなればこの「平均値からのずれ」もまた大きくなります。たとえば、
log 33 < log 36 < log 39 ⇔ 1 < log 36 < 2
という関係において、 log 36 は 1 と 2 の平均値 1.5 よりもやや大きい 1.63 となります。対数に限らず、関数の値が「おおよそどれぐらいなのか」ということが直感的にわかるように訓練しておくことは大切です。数感覚を頭に定着させておけば、試験などで計算間違いをしたときに「あれ? こんな大きな数になるはずないよ」ということがわかったりします。次回で見る対数関数のグラフの形を知れば、もう少し具体的なイメージを描くことができるようになりますよ。