r = f(θ)
の形に表された方程式を極方程式とよびます。上式から (x, y) 座標は、
x = f(θ) cosθ, y = f(θ) sinθ
で計算されます。
正葉曲線(バラ曲線)
今回は正葉曲線
r = sin(nθ)
を扱います。これまでもサイクロイドやアステロイドなどを紹介ましたが、正葉曲線は動径と偏角の間の関係式がより簡単な形をしています。しかし、その方程式の描く図形はサイクロイド・アステロイドよりも複雑な形をしています。まず n が 1 の場合から見てみましょう:
これは中心点が (0, 1/2) で半径 1/2 の円です。 n = 2 としてみると・・・・・・
4つの葉が現れましたね。 n = 3, 4, 5 とまとめて見ていきましょう:
n によって葉の数が増えますが、n が増加するに応じて葉が増えるという単純な関係にはなっていないようです。 n = 5 では葉が5枚に減ってしまっていますね。しかし n と葉の数は倍数関係にあるようです:
n = 1 葉の数 = 1 = 1n
n = 2 葉の数 = 4 = 2n
n = 3 葉の数 = 3 = 1n
n = 4 葉の数 = 8 = 2n
n = 5 葉の数 = 5 = 1n
・・・・・・・・・
n = 2 葉の数 = 4 = 2n
n = 3 葉の数 = 3 = 1n
n = 4 葉の数 = 8 = 2n
n = 5 葉の数 = 5 = 1n
・・・・・・・・・
グラフは省略しますが、同様に n を増やしていくと、葉数は 1n, 2n の数を交互にとることがわかります。増えたり減ったりです。さて、 n = (2m + 1) / 2 とした場合はより複雑な図形を描くことになります。 n = 0.5, 1.5, 2.5 をまとめて見てみます:
複雑ではありますが、見事な対称性をもった美しいグラフです。もう少し踏み込んでいきましょう。 n = 0.3 および n = 1.3 はどうなるか・・・・・・
もはや葉の形はしていませんね。細かな網目模様が出来上がっています。n が整数の場合とどうしてこんなに違ってしまうのか? それは三角関数のもつ周期に原因があります。たとえば、
r = sin[2θ]
という方程式において出発点( θ = 0 )では
r = 0
ですね。原点にいます。θを動かしてぐるりと1周してきた場合に
r = sin[2(0 + 2pi)] = sin[4pi] = 0
とやはり同じ値に戻ることがわかります。以降は繰り返しです。つまり θ をどれだけ動かしても、同じところをなぞることになります。ところが、
r = sin[0.3θ]
という方程式の場合、θ = 0 に 2 pi を加えると(1周させると)、
r = sin[0.3(0 + 2pi)] = sin[0.6pi]
となり、1周前と別の値をとってしまいます。
ここからさらに θ を増加させていくと、1周前とは別の道筋を通ることになり、こうして周回ごとに少しずつずれた軌跡を描き続けて網目模様を作り出すわけです。y = sin(nx) というグラフはどのような n を選んだとしても、波形の山と山、谷と谷の間隔が異なるだけですが、動径 r と関連付けられた場合は「1周ごとの平面上の位置のずれ」として現れてきます。
正葉曲線は θ の係数に対して sensitive に反応してその様相を変えます。いうなれば、係数と三角関数の周期の相性によってその形を決めます。
正葉曲線の分析
正葉曲線がどうしてこのような特徴的なグラフを描くのでしょう?r = sin[2θ]
の方程式をもう少しだけ詳しく調べてみます。動径 r は偏角 θ と sin 関数と結びついているわけですから、動径が周期的に伸縮するというのは直感的にわかります。刄ニ = 15°の散布図で様子を見てみましょう。下に添えてある図は y = sin2x のグラフです。
sin2x は 0 から 45°まで増加する関数ですから、そこまでは螺旋関数のように動径が伸びていきます。しかし 45°を超えると今度は一転して動径を縮ませていき、θ = 90°で長さを 0 にします(原点に戻ります)。ですから第1象限では直線 y = x に関して対称な「葉のような形」のグラフを描くわけです。