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2016年09月30日

フィボナッチ数列の一般項

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 久しぶりに大学生用の問題を用意しました。有名なフィボナッチ数列の一般項を求める問題ですが、線形代数学の要素がぎっしり詰まっています。大学で学んだ線形代数学の知識がしっかりと身についているか確認するつもりで解いてみてください。

問題43 フィボナッチ数列の一般項 [大学2★★★★☆]

 フィボナッチ数列は前の 2 項を足し合わせて作る数列です。

  F1 = F2 = 1, Fn + 2 = Fn + 1 + Fn

 この漸化式を行列で表現し、フィボナッチ数列の一般項を求めてください。

[ヒント] きつい問題ですが、基礎的なことを積み上げていけば必ず正解に辿り着けます。「固有値を求める」、「対角化する」。この2つがポイントになります。
 

解答43(フィボナッチ数列の漸化式を行列で表現します)

 まずは漸化式を行列で表現してみます。行列を作用させたあとのベクトルの第1成分が Fn + 1 と Fn の線形結合になっていればよいので、

行列A

とおいて

フィボナッチ数列の行列表現

と表現できます。この行列漸化式によって、

フィボナッチ数列の決定

と順次決まっていきます。よって Fn

フィボナッチ数列の一般項を表す行列

と表されます。つまり今回の問題はこの行列の n − 2 乗をどのように計算するかを問われています。そのためには行列を対角化して

行列の対角化

という形にしなくてはなりません。すると行列を右から掛けていくことによって P と P−1 がキャンセルされていくので簡単に計算できるようになるのです。そしてこの P とは行列 A の固有ベクトルを横に並べたものとなっています。実際に固有値と固有ベクトルを計算してみると、その意味はすぐにわかります。行列 A の固有方程式は

x2 − x − 1 = 0

ですから、これを解いて

行列の固有値

が得られるので、

固有値と固有ベクトル

と書くことができます。2つの固有ベクトルを並べて

固有ベクトルを並べる

というようにまとめて書けるので、右から逆行列をかけて

Pを固有ベクトルで表現

となるので、P は固有ベクトルを並べたものであることがわかります。

 x1 = αy1, x2 = βy2 ですから

(x1, y1) = (α, 1), (x2, y2) = (β, 1)

という固有ベクトルを得ます。 P とその逆行列は

Pと逆行列

となります。あとは

行列による一般項の計算

を解と係数の関係

α + β = 1, α β = −1

の関係を使って計算し、最後に α と β に値を入れると、

フィボナッチ数列の一般項

が得られます。

[補足] フィボナッチ数列

 @ 1つがいのウサギがいます。
 A 2ヶ月後に1つがいのウサギを産みます。
 B 3ヶ月後にもとの親ウサギと産まれたウサギがそれぞれ1つがいのウサギを産みます。

 フィボナッチ.png

 これを延々と繰り返すのがフィボナッチ数列です。具体的には

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, ......

というように簡単に書き並べていくことができます(前の2つの数字を足して次の数字を作っています)。フィボナッチ数列は不思議な性質をたくさん備えており、この数列を扱っただけで1冊の本が書けるほどです。このブログでも問題を通して、少しずつその性質を明らかにしていきたいと思っています。
   
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