折り紙を曲げる途中のようなグラフ?
どちらも単調な関数ですから、2次元グラフが頭に入っていれば概観を予想することはできます。まずは、z = exp(x + y) という関数のグラフです:
折り紙を対角線に沿って折り曲げる途中のようなグラフですね。上図では完全に平坦な領域があるように見えますが、少し拡大して角度を変えて見てみると ……
全域で傾斜する関数であることがわかります。
ここで新しく全微分という概念を使ってみましょう。全微分は
dz = fx(x, y)dx + fy(x, y)dy
で定義されます。 fx と fy は以前にも解説した x と y に関する偏微分記号です。偏微分は x と y どちらかを固定した状態における z の変化を表すだけでしたが、全微分は x, y 両方を変化させたときの z の増加傾向を知ることができます。 z = exp(x + y) について dz を計算してみると、
dz = exp(x + y)(dx + dy)
となります。 exp(x + y) は全領域で正ですから、x と y が共に増加する方向、すなわち dx > 0 , dy > 0 においては z は必ず増加することを示しています。
次は xy 面内における原点からの距離 r を変数とする指数関数です:
原点から全方位に指数増加する関数ですね。
同じように距離 r の 2 乗を変数とする対数関数です:
(x, y) = (0, 0) で対数関数は定義できませんが、その付近で急速に谷底へ落ち込んでゆく関数です。x, y → ∞ において f(x, y) → −∞ ですから、この谷底は無限の深みを持っていることになります。何だか怖いですね。
最後はおまけとして対数関数と三角関数を組み合わせてみます:
鞍点を中心に四方へ振動が広がるやや複雑な関数です。
log( ) の中の + 2 は定義できない点を避けるための工夫です。