約 1 年半ぶりに「こばとの数学基礎講座」が帰ってきましたよー!
このブログを運営している Blog Cat さんが何だか貧血気味らしいので、こばとが登場することになりました。さて、新装開店第1弾のシリーズは 三角関数とベクトル について学びます。
え? どうして全然違う分野を一緒くたにするのかって?
それは講義が進んでからのお楽しみです。それでは始めましょー。
今回の記事では 弧度法 について学びますよ。
こばとの数学基礎講座
三角関数とベクトル編@ 弧度法について学びます
弧度法 とは角度の表し方のことです。中学校から高校1年生ぐらいまでは角度を 90°とか 60°というように表していたと思いますけど、これは 度数法 と呼ばれる表記法です。円の中心角を 360 等分したものを 1°としたので「度数法」とよぶのです。それに対して 弧度法 というのは、角度を弧の長さで測る表記法です。とりあえず度数法のことは全部忘れて、角度を弧度法で捉える練習をしてみましょう。まず下の図のように、ぐるりと半径 1 の円(単位円)を描きます。
そして円周上の好きなところに点 P をとりますよ。
このとき、P と原点 O を結ぶ線分(青い線)が x 軸となす角度θを 弧 PQ の長さで測るのです。P の動いた軌跡を取り出して、感覚的に角度を掴んでみましょう。まずは P をぐるりと 1 周させてみましょー。
半径 1 の円の周の長さは 2πなので、これがそのまま円の中心角となります。これを「角度は 2πである」と表現します。あえて弧度法であることを強調したいときには角度は 2πラジアンである」と言います(ラジアンについてはまた後ほど説明します)。今度は P を半周だけ動かしてみます。
2πの半分の角度だから、半円の角度はπと表せます。さらにまた半分にしてみましょー。
半円の角度πを 2 で割って、この扇形の中心角はπ/2 と表せますね。
ラジアン[rad]
弧度法で測ったことを表すためにラジアンと言うこともありますが、正確に言うと、これは単位ではありません。弧度法は弧の長さで測っているので無次元の量(単位のない量)なのです。そもそも単位というのは、物理や工学などの科学で用いられる概念です。数学では単位というものを使わずに、全ての量を自然数 1 と虚数単位 i で表したいのです(つまり自然数 1 と虚数単位 i だけが数学で使用される単位といえるかもしれません)。だから中学までに使用されてきた度数法というのは、現実世界で分度器を使って角度を測ったりするには便利ですけど、1°が自然数 1 とは異なる量だというのは、数学的にはちょっとまずいわけです(要するに美しくないのです)。
さて、以上の説明を踏まえると、1 ラジアンとは自然数 1 に等しいはずです。
そのために弧度法を導入したわけですからね。違っていたら大変です。
つまり単位円の半径 1 と等しい長さです。これを円周との比率で考えてみると、半径 1 の円の周長は 2π ≒ 6.28 ですから、1 ラジアンは円周の 1/6 より少しだけ大きい値になっています。図にするとこんな感じです。
線分 OQ と弧 PQ が等しく 1 になるようにとった角度が 1 ラジアンというわけです。1 ラジアンという言葉を聞いたときに、このイメージがぱっと頭に浮かぶようにしておいてくださいなー。数学は厳密な論証より先にイメージを掴んでおくことが大切ねー。それでは今回はこのへんでー。 ≫ A度数法と弧度法の変換