当然、描かれるグラフは3次元となります。初回は x と y の多項式を扱いますが、1 変数の関数に比べてそのバリエーションは一気に広がっていきます。
理工学部の学生さんは入学してすぐに偏微分や多重積分などを学ぶことになると思いますが、「今扱っている関数がどんな形をしているのか」ということまでは、なかなかイメージすることはできません。ほとんどの場合において z = f(x,y) を紙に描くことは困難です。
しかし微分や積分の計算力を鍛えるだけではあまりに味気ないですよね。これから色々な関数の 3D グラフを紹介していきますので、普段の計算とグラフを見比べながらイメージを定着させてみてください。
でも全ての関数を網羅的に載せることはできないので、もし「こういうグラフを描いてほしいな」という要望があればコメントをお寄せください。それが Excel で描けるものだと判断すれば、優先的に「グラフコレクション」という頁に載せていく予定です。
Excel で3次元グラフを描きます
それでは最初に
f(x, y) = x2 + y2 [1]
という関数のグラフを描いてみます:
これは「楕円体」という方程式の1種であり、x - y 面に平行な面(z = c)で切ってみると、切り口が円になっています。また y = c で切ると、
z = x2 + c2
というように放物線の切り口が現れますので、放物線 y = x2 の3次元版とみることもできます。z = f(x, y) について x や y のどちらか一方について微分することを偏微分とよび、
fx = ∂f / ∂x, fy = ∂f / ∂y
というような記号で表記します。上図では (x, y) = (0, 0) で極小値をもつことがわかりますね。一般に
z = f(x, y) が (a, b) で極値をとる
⇒ fx(a, b) = 0, fy(a, b) = 0 [*]
⇒ fx(a, b) = 0, fy(a, b) = 0 [*]
が成立することが知られています。実際に計算して確認してみましょう。
fx = 2x, fy = 2y
ですから、(0, 0) において [*] は確かに成り立っています。
しかしその逆が常に成り立つわけではありません。
fx(a, b) = 0, fy(a, b) = 0
を満たすからといって、そこが極値であるとは限らないので注意が必要です。 z = f(x, y) の極値の判定法は1変数の場合に比べてかなり複雑です。ここでの説明は割愛しますが、大学の講義で使用する解析学の本には必ず載っていますので、気になる人は確認しておいてください。
次の例に進みましょう。 [1] に xy を含んだ項を付け加えます:
f(x, y) = (x + y)2 [2]
1変数では2次関数 y = x2 に x の項を加えても概観が大きく変わることはないのですが、2変数では様相をがらりと変えてしまいます:
直線 x + y = 0 の上で最小値をとる関数です。
fx = 2(x + y), fy = 2(x + y)
ですから、確かに x = - y で fx = fy = 0 を満たしています。
最後は「双曲放物面」とよばれる曲面です:
f(x, y) = x2 - y2 [3]
方程式の形は最初に紹介した楕円体に似ていますが、符号を少し変えただけで f(x, y) はその姿を大きく変えてしまいます:
馬の鞍のような形をしていますね。実は中央の凹んだところはまさに「鞍点(saddle point)」と呼ぶのです。鞍点では極値でないのに、
fx = 0, fy = 0
を満たします。時折こういう点が現れたりするので、極値の判定を難しくしているのです。
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