組合せの概念を実数世界に広げます
n 個のものから k 個とる組合せの数は
で表されます。たとえば n = 20 の場合に、k の関数として 20Ck をプロットすると次のように、左右対称のグラフが描かれます。
組合せの式においては n も k も整数なので、nCk も整数値しかとれませんが、ここで階乗を実数範囲まで拡張したガンマ関数
を使うと、組合せの数を求める式も実数範囲まで拡張することができます。すなわち、s 個のものから x 個選ぶ数 (s, x はともに実数)を組合せ関数
によって定義すれば「 8.5 個のものから、2.3 個をとる組合せの数」という奇妙なものも計算できるわけです(もはや現実世界の事象とは対応していません)。変数が実数に拡張されたのでグラフも滑らかにつながります。さきほどの 20Ck に対応して C(20, x) のグラフを描いてみると次のようになります。
このように、最初は現実世界に対応させて生まれた概念も、いったん数学の世界に持ち込まれると、次から次へと拡張定義することができます。実際、階乗の拡張概念であるガンマ関数は実数どころか複素変数で定義されているので、やろうと思えば組合せの式も複素数世界まで広げることもできるのです。