こばとの数学基礎講座
三角関数とベクトル編 [13] 加法定理を導きましょう
以前の記事で単位円を用いて sin30°や cos45°のような値を計算しましたけど、求められる値が限られすぎていて、なんだか心もとないですね。そこでもう少し計算範囲を拡大するために 加法定理 という公式を導くことにします。これを使うと sin15°とか、tan75°のような値を求めることができるようになります。内積を使うと簡単に加法定理が導き出されてしまいますよ。まずは下の図をご覧くださいな。同じ大きさで、x 軸からの角度α, βをなす2つのベクトル
の内積を成分表示の公式でつくってみると ......
一方で、この2つのベクトルのなす角は α−β ですから、
と書くこともできるわけです。両式は当然等しいはずですから、
となって加法定理が1つできあがりです! 残りの加法定理はこの式から導くことができますよ。まず上の式で −β → β とおくと、cos(−β) = cosβ, sin(−β) = −sinβ より、
という2つめの加法定理が得られます。次に (1) 式から
という式が得られます。θ = α + β とすると左辺は
となるので、
という公式が得られます。この式で −β → β とおくと
となります。また (2) と (3) から
両辺を cosαsinβ で割ると
が得られます。それでは三角関数の加法定理をまとめておきましょ〜。
これで今までより色々な三角関数の値が計算できるのね〜。
最後にひとつだけ試してみましょ〜。sin75°の値を求めますよ。
ちゃんと計算できましたね〜。
皆さんも色々な値で試してみてくださいな〜。
それではまた次回お会いしましょ〜。