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2014年07月16日

続刊予定

中公新書の初期には、続刊予定リストが付属している。刊行された本もあれば、諸般の事情により出版されなかったものもあるようだ。以下写真に示した続刊予定リストは池見酉次郎『心療内科』(中公新書・29)および神田錬蔵『アマゾン河』(中公新書・10、昭和38年3月発売)の巻末より引用したものである。これらのリストを見ていると、名だたるメンバーに執筆を依頼していたことがわかると同時に、なかなかに興味深い中身であろう本がそれぞれリストの中にあった。まず最初に『アマゾン河』の巻末のリストから見てみよう。 
続刊予定リスト


『アマゾン河』巻末で予告されたのに出版されなかった本は以下の通りである。
塚本善隆『遣唐使 - 長安の留学生たち』、小川環樹『漢詩入門』、武田泰淳『東京裁判』、神島二郎『戦後日本の政治家』、古賀忠道『ズーオロジイ −動物・人・管理』、梅棹忠夫『日本群島』、柴田徳衛『都市社会学 −便所からの考察』、奥野健男『日本の技術者』、山田亮三・三輪芳郎『国産品 −日本産業の実力』、伊藤整『翻訳 −理解と誤解の間』、松本三之介『明治維新 −幕臣勝海舟の生涯』、橋川文三『昭和維新 −その思想と行動』の11冊である。タイトルが当初のものとは異なり、出版されたものもある(和歌森歌太郎『修験堂』→『山伏』、野田一夫『日本の経営者 −ビジネス・ヒストリィ』→『財閥』)。お蔵入りしてしまった本のタイトルを見るだけでわくわくする人も多いだろう。あの梅棹忠夫が日本についてどのような考察をするのか、タイトルから想像するだけでもきっと面白い本だったに違いない。ちなみに武田泰淳が書く予定になっていた『東京裁判』は上下巻で児島襄が書いており、武田泰淳も傍聴して東京裁判をどのように捉えたのか、今になってはわからないがきっと児島氏の『東京裁判』とは違った何かになっていたに違いない。

写真 (3).JPG


その後昭和38年12月に発売された池見酉次郎『心療内科』の巻末リストによると、以下の本が刊行予定になっていた。そのうち刊行されなかったものをピックアップしてみよう。上記の本に加え、以下の本が刊行予定であったことがわかる。宮本又次『江戸の広告』、中田喜直『作曲法』、森有正『パリとその周辺』、古賀正義『誤判』が新たに加わっていたが、何らかの事情で本は刊行されなかった模様である。また刊行された本で、当初のタイトルと異なって無事に刊行された本は西村通男『西村屋中兵衛』→『海商三代 −北前船主西村屋の人びと』である。

さまざまな理由で刊行されなかったこれらのタイトルの新書たち。今となってはわからないが、刊行されていたらどのようなインパクトがあったのか、好奇心が尽きない。
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