これが医療の原点である。
やがて共同体の中で、血が出たら蓬を揉んで傷口に当てる等、経験を重ねた長老や呪術家、そして専門家が措置、投薬をする様になる。
近代資本主義社会になると医療も商品経済に巻き込まれる。
医療問題を考える時、医療の供給体制と保障制度との両面から捉える事が重要だ(空間軸でも時間軸でも)。
@医療供給体制とは、保健医療機関や医師・看護師等がどれだけ配置されているか。
A医療保障制度は、住民がどの様に医療を受ける仕組み(財政・負担関係等)となっているか。
どんなに優れた医師や医療機関があっても、それを受ける事ができなかったら意味はない。
一般に米国の医療は先進的と思われている。
然し、民間病院が8割を占め、4大病院チェーン会社が400程の現実。
国民は民間保険を購入して医療に掛かるのが基本で、公的保険は高齢者と貧困者に限定(人口の約35% )されている。
その為無保険者が4千万人以上と言われていた。
「オバマケア」で改善したとは言え、猶9% の2900万人が無保険。
米国の医療費は世界最高水準で、無保険では受療できない人が少なくない。
一方、英国は戦後直ぐに NHS (ナショナルヘルスサービス)が導入され、医療供給も保障制度も公的責任(税財源)で運営されている。
日本はその中間。
「自由開業医制」と言う民間中心の提供体制をとる一方で、公的医療保険制度による「皆保険」を確立し、公共性を担保している。
健康保険法が我が国に最初にできたのは1922年であり、給付開始は5年後であった。
社会保険の理念が確立したのは戦後で、日本の公的医療保険に全国民が加入(皆保険)できたのは61年であった。
富長 泰行・近代史文庫会員
愛媛新聞 四季録から
それに至るには長い歴史が必要だったらしい。
欧州では公的責任を明確にした所が多いらしい。
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