八幡浜Diving

　日本の民主主義も安泰ではない。
非営利の民間シンクタンク「言論 NPO 」などが２０２１年に行った「世界５５カ国民主主義調査」によると、議会を「信頼していない」との回答が日本は６４％ と成り、G ７で最多だった。
政党に対しては７３％で、フランス、イタリアの次に高かった。
同団体の工藤泰志代表は「日本でも民主主義の基盤となる中間層が傷付いているのに、政治は課題を解決できない。その為政治不信が高まっている」と指摘する。
公文書改竄で政府への信頼が落ち、人権を侵害するヘイトスピーチも横行した。
だが、声が政治に届いているとの実感は国民に乏しい。
世界では民主主義の後退が顕著になっている。
グローバリゼーションによる過度の競争で経済格差が拡大し、これまで民主主義の基盤となってきた中間層が壊れてしまった事が大きい。
彼らは政治や既成政党に強い不信感を抱く。
すると、迎合するポピュリストが出てきて、政策論議よりも政治への不満だけで対立を作り、フェイクニュースを流して人々を分断する。
トランプ前大統領がそうだ。
世界では権威主義の政治体制が次々と出現し、気が付くと民主主義国の方が少数派になっていた。
遂にはロシアと言う戦争をする専制国家迄現れた。
日本も危うい状況にある。
格差拡大で中間層が傷付き、将来不安を抱える人々が増えた。
課題解決に期待が持てないので政治不信が広がり、今や選挙には半分しか行かない。
負のサイクルがどんどん強まっている。
バイデン氏と首相の主張はコインの裏と表の関係と言っていい。
民主主義は人類の財産であり、その復権は世界的なアジェンダだ。
日本には、政治不信の高まりがあるとは言え、民主主義への信頼には根強いものがある。
　言論 NPO ・工藤泰志代表　　１９５８年、青森市生まれ。　
　出版社の編集者を経て２００１年に「言論 NPO 」を創設、代表に就任。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　愛媛新聞　広島サミットから
民主主義の修復には、中間層の復活が欠かせないらしい。
野党は中間層を復活させなければならない。