キスの味

今日は県内公立高等学校の受検日だ。
お天気もまずまずで、一安心。

子どもが準備を終えた後に、お弁当をカバンの中に入れ忘れていた。
「持ち物は大丈夫なの?」と聞いても、「大丈夫だよ」と言う。
「本当に忘れ物ない？鞄の中よく見たら?」と言っても、怪訝な顔。
「テーブルの上は何？？」
「あっ！これは一番大切なのに〜」って。

こんな調子だから、緊張しているのやら、落ち着いているのやら。

出がけにガンバレの意味を込めて、子どもの身体を抱きしめた。
昔は片手にでも余るぐらいだったのに、
今では、手を回すのにもせいぜい。
背もとっくに抜かされている。

「くさいんじゃない〜」と子どもが身体を離す。
「加齢臭かもね〜」ともう涙腺いっぱいの私は笑顔で答える。

「じゃあ、行ってくるね〜」って。

見送る子どもの姿は、涙の向こうに消えていった。

受験でこんな調子の私は、結婚の時なんてどうなっちゃうの？なんて
1人笑いながら、出かける用意をした。

どうか、良い結果が出ますように、のキッス。