キスの味

今朝も梅雨を思わせるしとしと雨だよ。
通勤も電車にした。
駐輪場のおじさんにも久しぶりに会って、
私の回復ぶりをほめてくださった。

最近、電車に乗るとき同じ時間、同じ車両になる。

その車両には半分ぐらいしか乗っていない。
私の座る同じシートには太目の１年生の男子高校生１人とおじさん２、３人。
向かいのシートには２年生ぐらいの高校生２人とサラリーマン数名。

今、高校は中間試験のようで、本やノートに目を通している生徒を見かける。
向かいに座っている高校生の制服のズボンがまくられていた。
何気にそこを見たら、なにやら細かい字でびっしり書いてある。
カンニングペーパーならぬカンニングフットだ。
足を組むとちょうどそこの部分が見えるのだ。
内容は社会のようだった。
隣に座っている友達は苦笑をしていた。

そのアイデアに心から拍手をしてしまった。
それだけ書いていたら、きっと頭の中に記憶されているだろうな。

でも試験中、下ばかり見ていると監督の先生にばれちゃうからねぇと思い、私は電車を降りた。

改札口を出ると、若いサラリーマンの人がうずくまっている。

思わず、どうしたのですか？と声をかけると、
転んで左ひざを強打したらしい。
見るとスーツのズボンも２０センチぐらい破れている。

傘とかばんが落ちていたので、拾ってあげて、
「駅員さん、呼びましょうか？」といっていると、
すぐに駅員さんが来てくださった。

救急車を呼ぶほどではないけど、
あれでは歩くのも痛そうだし、ズボンも破れてしまっていて、とてもかわいそうだった。

「ひざはとにかくよく冷やしてくださいね」といって、
その場を後にした。

朝から思いがけない事件に出くわして、雨の憂鬱な気分もふっとんだ。

高校生のお兄ちゃんと、サラリーマンのお兄さんに頑張ってねのキス。