2017年05月16日
ディアボーイズの続きが見てみたい189話 〜二つのパス〜
四井が動くことで、インサイドに、ほんの少しだけスペースが広がった
藤原(あいた)
この時、哀川と三浦だけが二つのパスを瞬時に感じていた。
去年、瑞穂でプレーした時は、選択肢が一つだった。
藤原拓弥から繰り広げられる、高速パス。それは敵の裏側をつくパスでメンバーにしかわからないポイント、いわゆる哀川藤原のホットラインのサンクチュアリともいえるポイント。
誰もそこに追いつけない一本のパスによって、ディフェンスは無にされてしまう事もあった。
今、フロアでゲームコントロールを行っているのは、沢登聖人。
沢登のパスは、敵も味方も含めて、沢登本人がゲームを組み立てられる場所に飛んでくる。
勿論、それは受けての能力も把握してのパスでもある。
元相方と、現相方の哀川、三浦はどちらのタイミングも知っている。
キュキュキュ
シュッ フワッ
ふわっとしたパスが沢登から出る
藤原(そんな緩いパスで通るのか?)
パンッ!
なんなく哀川にボールが渡る。
ダム ワンドリブルを入れる哀川。
瑞穂高校は哀川を取り囲もうとするが、哀川は瞬時にパス。
藤原(直接いかない??)
受け取ったのは・・・中沢だった。
中沢(素人でも流石にゴール下は外せね〜〜)
ザシュ
中沢緊張しながらも、対外試合での初ゴールを決める
中沢「やったぁ〜〜、入った!!!」
ニコっと笑う哀川と沢登
三浦は藤原の表情を見ていた
三浦(ふふ、びっくりしたでしょ。藤。哀川君のスピードが止まった感じに・・・)
藤原(なるほどな・・・)
氷室「沢登聖人。やっぱりすごい選手ね。彼が藤原君のプレーに対抗心を持った気持ちも今ならわかるわ」
杏崎「はい。私も今のプレーでわかったような気がします」
石井「おい、拓よぉ〜。さっきの哀川の動き、何か変じゃなかったか?いつもよりキレがないっていうか」
藤原「キレがないんじゃなくて、タイミングが違うんだよ」
土橋「タイミング??」
藤原「ああ。俺のパスなら、もっと早いパスを出している。哀川が切れ込む瞬間から最後までスピードを落とさない状態でゴールに切れ込むさ。だから、哀川の持つ最高のスピードで、スピードが最高の時にボールを取れるタイミングで出すんだ」
石井「確かに・・・拓のパスを受けると哀川はいつもそのままゴールに突っ込むイメージがあるよな」
土橋「そういわれてみれば、カットインで中に切れ込んだのに、ワンドリブルを入れる哀川なんて殆ど見たことがない・・・」
藤原「昔、哀川から言われた事があるよ・・・。俺は、哀川の最高の力を引き出せるパスを出してる、って。あの時はすげ〜嬉しくて、こいつを使ったらどんなプレーでどうやって点を取れるか考えるだけで楽しくてよ。それを考えているうちに、パス一本で相手の裏側を取れるようになった」
石井「そうだよな。瑞穂の・・俺達のバスケってそんな感じだった」
藤原「それが、良い形にはまって俺達のバスケが出来上がっていったわけだけど・・・」
土橋「哀川じゃないと取れないパスもあった。って事か」
藤原「ああ。そうだな。さっきの沢登のパスなら、哀川じゃなくても取る事が出来たと思う。まぁ、囲んでも止めなきゃ!って思わせるのは哀川じゃないと無理かもしれないが、あの場所に哀川を置くと、自然とさっきみたいな形が出来上がるよな」
石井「えっ??って事は、沢登はわざとあんなところにパスを出したって事か」
藤原「ああ。そうさ」
氷室「さっきの和彦のプレー、明らかにスピードダウンをして沢登君のパスに合わせていた」
杏崎「はい。藤原さんとのパス一発のコンビネーションで全てのディフェンスを置き去りにしていたプレーを見てきた私達にとっては、少し物足りない哀川さんのプレーですけど・・・」
氷室「でも、和彦がゆっくり動いて、陣形を崩すだけで攻撃を組み立てられる。って事よ」
杏崎「はい。そうです。沢登さんにとっては、そこまでが計算済だったんだと思います」
氷室「そうね。狙っているわね。これが高階君に足りないポイントなのよ」
杏崎「高階君本人も気付いていると思います。沢登さんが何故ゲームマスターと言われるか。その持っているもの。ゲームをコントロール出来る秘密を・・・」
氷室「トーヤに拓弥の真似は出来ないわ。野生の勘・・的な感覚で動くプレーヤーだけど、実は人間の心理を上手く読むユーティリティープレイヤー」
杏崎「そうですね。高階君なら、沢登さんの能力に似たものを・・・そして、もう一人うちにはその才能を持った選手がいます」
氷室「そうね」
二人は瑞穂高校のルーキーを見ていた。
中学MVPを取ったそのバスケットセンスに、期待を込めていた。
DEARBOYS NEXT
藤原(あいた)
この時、哀川と三浦だけが二つのパスを瞬時に感じていた。
去年、瑞穂でプレーした時は、選択肢が一つだった。
藤原拓弥から繰り広げられる、高速パス。それは敵の裏側をつくパスでメンバーにしかわからないポイント、いわゆる哀川藤原のホットラインのサンクチュアリともいえるポイント。
誰もそこに追いつけない一本のパスによって、ディフェンスは無にされてしまう事もあった。
今、フロアでゲームコントロールを行っているのは、沢登聖人。
沢登のパスは、敵も味方も含めて、沢登本人がゲームを組み立てられる場所に飛んでくる。
勿論、それは受けての能力も把握してのパスでもある。
元相方と、現相方の哀川、三浦はどちらのタイミングも知っている。
キュキュキュ
シュッ フワッ
ふわっとしたパスが沢登から出る
藤原(そんな緩いパスで通るのか?)
パンッ!
なんなく哀川にボールが渡る。
ダム ワンドリブルを入れる哀川。
瑞穂高校は哀川を取り囲もうとするが、哀川は瞬時にパス。
藤原(直接いかない??)
受け取ったのは・・・中沢だった。
中沢(素人でも流石にゴール下は外せね〜〜)
ザシュ
中沢緊張しながらも、対外試合での初ゴールを決める
中沢「やったぁ〜〜、入った!!!」
ニコっと笑う哀川と沢登
三浦は藤原の表情を見ていた
三浦(ふふ、びっくりしたでしょ。藤。哀川君のスピードが止まった感じに・・・)
藤原(なるほどな・・・)
氷室「沢登聖人。やっぱりすごい選手ね。彼が藤原君のプレーに対抗心を持った気持ちも今ならわかるわ」
杏崎「はい。私も今のプレーでわかったような気がします」
石井「おい、拓よぉ〜。さっきの哀川の動き、何か変じゃなかったか?いつもよりキレがないっていうか」
藤原「キレがないんじゃなくて、タイミングが違うんだよ」
土橋「タイミング??」
藤原「ああ。俺のパスなら、もっと早いパスを出している。哀川が切れ込む瞬間から最後までスピードを落とさない状態でゴールに切れ込むさ。だから、哀川の持つ最高のスピードで、スピードが最高の時にボールを取れるタイミングで出すんだ」
石井「確かに・・・拓のパスを受けると哀川はいつもそのままゴールに突っ込むイメージがあるよな」
土橋「そういわれてみれば、カットインで中に切れ込んだのに、ワンドリブルを入れる哀川なんて殆ど見たことがない・・・」
藤原「昔、哀川から言われた事があるよ・・・。俺は、哀川の最高の力を引き出せるパスを出してる、って。あの時はすげ〜嬉しくて、こいつを使ったらどんなプレーでどうやって点を取れるか考えるだけで楽しくてよ。それを考えているうちに、パス一本で相手の裏側を取れるようになった」
石井「そうだよな。瑞穂の・・俺達のバスケってそんな感じだった」
藤原「それが、良い形にはまって俺達のバスケが出来上がっていったわけだけど・・・」
土橋「哀川じゃないと取れないパスもあった。って事か」
藤原「ああ。そうだな。さっきの沢登のパスなら、哀川じゃなくても取る事が出来たと思う。まぁ、囲んでも止めなきゃ!って思わせるのは哀川じゃないと無理かもしれないが、あの場所に哀川を置くと、自然とさっきみたいな形が出来上がるよな」
石井「えっ??って事は、沢登はわざとあんなところにパスを出したって事か」
藤原「ああ。そうさ」
氷室「さっきの和彦のプレー、明らかにスピードダウンをして沢登君のパスに合わせていた」
杏崎「はい。藤原さんとのパス一発のコンビネーションで全てのディフェンスを置き去りにしていたプレーを見てきた私達にとっては、少し物足りない哀川さんのプレーですけど・・・」
氷室「でも、和彦がゆっくり動いて、陣形を崩すだけで攻撃を組み立てられる。って事よ」
杏崎「はい。そうです。沢登さんにとっては、そこまでが計算済だったんだと思います」
氷室「そうね。狙っているわね。これが高階君に足りないポイントなのよ」
杏崎「高階君本人も気付いていると思います。沢登さんが何故ゲームマスターと言われるか。その持っているもの。ゲームをコントロール出来る秘密を・・・」
氷室「トーヤに拓弥の真似は出来ないわ。野生の勘・・的な感覚で動くプレーヤーだけど、実は人間の心理を上手く読むユーティリティープレイヤー」
杏崎「そうですね。高階君なら、沢登さんの能力に似たものを・・・そして、もう一人うちにはその才能を持った選手がいます」
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