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posted by fanblog

2017年12月25日

大腸CT(CT colonography)検査は腸管拡張に伴う不快があるよ!

★★第12回GAIA予定!!━━━━━━━━━━━━━━━
第12回GAIAを来年30年3月11日(日)に金沢で開催します。
大腸CT 検査の基礎的な講義に加え、導入までの過程や、
読影などの問題点、啓蒙活動の工夫などを
ディスカッションしますよ!

さらになんと、「AI(人工知能)を活用した内視鏡診断」、
「大腸カプセル内視鏡」、「大腸がん検診」、
「AR:拡張現実感」について、
各分野のオピニオンリーダーの先生方のご講演も聞けます!!

 皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




ラインコミュニティ配信時11月初めのコメントになります〜

香川県のK先生とO技師さんが読影トレーニングの完了に向けてピッチを上げています。
あと30例です!
最後まで頑張ってくださいね!!

K先生から質問をいただきました。
良い質問なので共有させていただきます。
(K先生の承諾済み)

【ご質問】
>症例**のポリープですが、densityが高く残渣にしようか、ポリープにしようか迷いました。
>ガスが入っているとか、あきらかにdensityが高ければよいのですが、
>中途半端に高いとき、背臥位、腹臥位同じ位置にあるときはどう判断すべきでしょうか。
>小さなものの場合ポリープの表面が、densityが高くみえるときなどの判断も困りました

【ナガイチの回答】
ご指摘のポリープの件ですが、CT値は高くないと思います。
確かに、周囲に腸間膜脂肪織や大網の脂肪があるため相対的に高く見えます。

ですが、実質臓器の肝臓や筋肉などと比較すれば、
CT値は同等で色調的にも同じと判断できます。

したがって横行結腸のこの部分は、ガスを含んでいないこと、
CT値も高くないこと、移動もないことからポリープと判断いただいて構いません。




PubMedから、今日のつぶやき − 142 −

Senore C, et al. Flexible Sigmoidoscopy and CT Colonography Screening: Patients' Experience with and Factors for Undergoing Screening-Insight from the Proteus Colon Trial. Radiology. 2017 Oct 17:170228. doi: 10.1148/radiol.2017170228. [Epub ahead of print]


さて、今回の論文「S状結腸鏡検査と大腸CT検査による大腸がん検診
ー受診者の受容性と検診に参加する要因に関する検討ー

の本文の続きをみてみましょう。
細かい繰り返しも多いので、
なるべくシンプルにかいつまんでご紹介していきます。

【結果】
腸管前処置が中程度から高度に
不快だったと回答した人の割合
大腸CT検査では、17.9%であったのに対して、
S状結腸鏡検査では、7.3%であった。

「コメント」
前回ご紹介した通り、今回の前処置の内容では
大腸CT検査の前処置が不利ですね。

低用量の腸管洗浄剤
を使用して食事制限なしにしたり、
来院後の処置をなくす前処置であれば、結果が変わった
可能性もあると思います。


こうした違和感は、新規研究の種になりますね。
でも、不快に感じた人の割合が2割以下なので、
通常の大腸内視鏡検査の腸管前処置に比べれば
その負担はかなり軽減しているといえるでしょう

〜〜〜

本文に戻ります。

検査そのものに対して、
痛み、恥ずかしさ、あるいは不安だと感じた人の割合は
両群間で差がなかった。


検査終了後の不快を訴えた人の割合は
大腸CT検査では、24.9%であったのに対して、
S状結腸鏡検査では、19.7%で
大腸CT検査で多かった。

「コメント」
大腸CT検査は炭酸ガスを使用するとはいえ、
全大腸を拡張させるため、S状結腸鏡検査より
検査後の不快はやはり多いですね。


残りの結果の部分は、「つぶやき − 138 −」
のアブストラクトでご紹介した内容と
大体同じになります。

2つの検査間の検査精度あるいは腸管前処置の質、
検査不良例の割合の差などは今回の検討の
目的ではないので一切記載がありません。

よくわからないのは、今回の検討は
1)S状結腸鏡検査参加者
2)大腸CT検査参加者
3)大腸CT検査に参加しなかった人
の3群燗での比較なのですが、なぜ、
「S状結腸鏡検査に参加しなかった人」を
検討に加えていないのかよく理解できません。

大腸CT検査が低侵襲で有用であることを
S状結腸鏡検査参加者群と比較して
検討したということなのかもしれません。

次回から、考察を読み込んでみましょう。

それでは、また。


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。

原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29040021




★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
新しい精検結果報告書雛型が国立がん研究センター
研究班ホームページにアップされました。
精密検査に大腸CT検査が明記されるようになりましたよ!

http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/3/yoshiki4_daicho.pdf
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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。

<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。

<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。

<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。




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ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。



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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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