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2020年03月28日

失礼しました。失礼します。


 なんかこう、周囲から聞こえてきてとても気になる言い回しです。

 発信の業務には大抵、「スクリプト」というのがあります。
「スクリプト」という言葉を調べると、いろいろあるようです。

放送用の台本とか、書かれたもの、またWEBページに使われる言語にも「ジャバスクリプト(Javascript)」があります。発信業務で使われる「スクリプト」は、まさに「台本」です。

スクリプトはフローチャート形式です。
通常、上にある共通の名乗りから始まり、発信先の状況次第で、固定電話なら

・本人が出て案内できる場合
・本人が出たが多忙で案内できない場合
・本人が不在、家族が出て案内できない場合
などに分岐していきます。

いま使っているスクリプトは、あるケースだと
「失礼しました。」
で終わります。

違うケースでは
「よろしくお願いいたします。」
で終わります。

ですが研修時に、
最後は「失礼します。」で終わりましょうと指導されたものだから、
「よろしくお願いいたします。失礼します。」
これなら良いでしょう。
が、
「失礼しました。失礼します。」
という終話が横行しているんです。

 おかしいと思わないのかな。

その「失礼しました。」は、お忙しいときに失礼したという意味です。
続く「失礼します。」はさようならの意味だから、
「お忙しいのにごめんなさい。私のお話は終わらせてもらいます。」
という内容を伝える言葉であるんです。

けど、失礼と失礼が続くのはおかしいと思います。
取りようによっては、「失礼したけどまた失礼するよ」と言っているようです。

これは私が気にし過ぎているのかも知れません。
しかし、言葉では間違いなくそう言っています。

また私は、同じ言葉が続くのを嫌います。
例えば、
「今日は〇〇のご案内でお電話しました。またお電話させていただきます。」
というもの。

「お電話」が重なっています。
こんなとき、
「今日は〇〇のご案内でお電話しました。またご連絡させていただきます。」
というように、違う表現にします。

 どうでしょう。
「今日は〇〇様はお留守なんですね。ではお留守でないとき改めます。お留守でしたらすみません。」

「今日は〇〇様はお留守なんですね。ではご在宅時に改めます。ご不在でしたらすみません。」
私は下のように言います。

下の言い回しが表情が豊かだと思いませんか。
言葉の単純な繰り返しより、表情を持たせる方が好きです。
日本語にはこのように、いろいろな表情を持たせることができます。

それからすると、
「失礼しました。失礼します。」
は、なんと表情が少ないことでしょうか。

言葉に表情なんてどうでも良いと思うのなら、それは言葉にこだわりがないからです。
もし皆もこだわりがなければ、コピーライターという職業はありません。
こだわりがなければ感性も探求心もなくなってしまいます。

でもきっと現代はそうなんでしょう。
「失礼しました。失礼します。」
が気にならないのは、「模範」を持っていないからです。

模範を持たなくなったのは言葉に対してのこだわりがなくなったから。
こだわりを持たない人は不思議な日本語を作り出します。
それをマネする人もこだわりがない。

表現豊かで素晴らしい日本語なのに、探求心も模範も持たない。
言葉の表情に関心がなくなったからではないでしょうか。












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