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2018年05月10日

お名前いただく

 もともと好きな言葉ではありませんでした。
が、センターが変わってから、どうもにわかに気になり始めた言葉。

「お名前、頂いて良いですか?」
「お名前、頂戴してよろしいですか?」

もちろん、意味は通じます。

きっと初めは「お名前を仰って頂いて良いですか?」
だったのでしょうけど長いので「仰って」の部分を端折り、短縮形で「お名前頂いて」になったのでしょう。
また、「頂いて」をさらに丁寧に「頂戴して」となったんじゃないかと思っています。

この言葉を遣う人が、今のセンターには多いのです。
でも、
日本語として、「お名前を頂く」のではおかしな言い方です。

明治維新を舞台にした映画で見たことがあります。
「よし!お前は今日から“坂本吾平”じゃ!名を聞かれたら“坂本”と名乗れ!」

昔の農家には苗字がなかったと聞きます。
だから“田吾作”とか“松兵衛”や、“お雪”とか“しげ”が、“山本田吾作”とか“立花雪”というように姓をもらった。

これならまさに、「お名前を頂戴」したと、日本語として成り立つのです。

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オペレーターが電話して、お客様から「林家」の名を襲名したというのは聞いたことがありません。
たぶん、口にしているオペレーター本人も日本語としては意味が違うのを知っていて、それでも遣っているのだと思います。

なぜか?他にもそう言っている人はいるし、聞こえもそれなりに良いからではないかと思っています。
ただ、若い人が遣うならまだしも、結構年配者も遣っているんですよね。

 不自然だと感じるオペレーターの発言は他にもあります。
もともとは「本人確認」だった言葉です。

使い方として、
「本人確認のため、生年月日を教えていただけますか?」
これは、まったく失礼な言葉ではありません。
ワンフレーズに「いただけますか?」と敬語がひとつです。

なのに今は、敬語の大安売り、大サービスの時代です。
だから「ご本人確認」ならまだしも、聞いていると
「ご本人さま確認のため、ご生年月日を仰っていただけますか?」
この通り、
「ご」が付いて「さま」が付いて、さらに「ご」が付いて「仰って」と「いただけますか?」の、ワンフレーズに5つの敬語が大サービスです。

これを聞いて私は、敬語で腹いっぱいになり、ゲップが出てきそうになります。

 またイントネーションも変です。
これは若い人が中心ですね。

私たちは、お客様に電話してお話や説明することを「ご案内」と言っています。
その「ご案内」。

イントネーションを文字で表すのは難しいのですが、
私の考える「ご案内」のイントネーションは、「ご返答ください。」の「ご返答」と同じだと思います。
ですが、若者の「ご案内」を聞いていると、
CAの言う「アテンションプリーズ」の「アテンション」と同じなのです。

聞く方はどっちでも良いのでしょうが、センターのこっち側からすると、
「アテンション」のイントネーションで発声する「ご案内」は、
誤った説明である「誤案内」と同じくなってしまいます。

「誤案内」の発声では、これからお客様に間違った説明を致します。
と言っているように聞こえてしまいます。

昔は先輩の言うことは傾聴され、伝授されていったことが、今では「余計なお世話」の意識が強くなり、継承されるのが難しくなってしまいました。
親子の関係も希薄で、伝承されることが少なくなってしまった。
そんな悲しい世の中になってしまいました。















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