2020年05月05日
新型コロナウイルス感染症はACE2受容体の発現部位で軽症か重症かが決まる

【政府・厚生労働省の新型コロナウイルス (COVID-19) 情報】
▢厚生労働省:感染症の特徴
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html#tokucho
▢首相官邸:感染が疑われる方へ
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html#c3
▢国際感染症センター:症状・診断・治療概要
http://dcc.ncgm.go.jp/index.html
新型コロナウイルスは重度の「感染症(新型肺炎)」を引き起こす病原体。
なぜ新型肺炎を引き起こすかというと、
ウイルスが増殖するためにヒト細胞に侵入する時にレセプターとなる
「ACE2受容体」が肺胞に多く発現することに関係しています。
「ACE2受容体」の発現が多い部位では、ウイルスの細胞への侵入が容易になり、
凄まじい増殖を繰り返す絶好の場所となります。
従って、「ACE2受容体」の発現部位とその発現が多いか少ないかは、
新型コロナウイルス感染症による症状や病態に大きな影響を及ぼすことになります。
今回は、「新型コロナウイルス感染症」について、
新型コロナウイルスの侵入・増殖のプロセスにおける「ACE2受容体」の役割、
感染による症状や病態との関係性などを検証していきます。
【目次:記事内容と要点】
Ⅰ.新型コロナウイルスの「ACE2受容体」を介した細胞への侵入プロセス
●「ACE2受容体」が発現する細胞だけ侵入・増殖できる
Ⅱ.「ACE2受容体」の発現部位と症状や病態との関係
●「ACE2受容体」の発現が少ない上気道では無症状や軽症が多い
Ⅲ.新型肺炎(急性呼吸器疾患)の発症と重症化のプロセス
●「ACE2受容体」の発現が多い下気道(気管支・肺胞)では重症化が多い
●ウイルスが上気道を素通りして一気に肺胞に感染するケースでも重症化
Ⅳ.基礎疾患の持病のある人の重症化の加速
●喫煙による肺の機能低下が重症化の要因にもなる
●「ACE2受容体」以外の3つの受容体の存在と重症化
●若い人や健康な人は「サイトカインストーム」を引き起こす可能性
Ⅴ.最終的な治療手段は人工心肺装置
Ⅰ.新型コロナウイルスの「ACE2受容体」を介した細胞への侵入プロセス

新型コロナウイルスの構造は、
タンパク質の「カプシド」という殻の中にRNA遺伝子(核酸)が包まれ、
カプシドの外側が「エンベロープ」という脂質膜で覆われたもの。
エンベロープの周りには、
「スパイク」と呼ばれる糖タンパク質のコロナ(王冠)状の突起が、
多数突き出た形状になっています。
自らの増殖機能を持たないコロナウイルスは、
ヒトの宿主細胞に侵入して乗っ取り、その複製機能を利用して増殖する必要があります。
新型コロナウイルスが標的とするヒトの宿主細胞に侵入する際に、
突起状の「スパイク糖タンパク質」が重要な役割を果たすことになります。
ACE2受容体が発現する細胞だけ侵入・増殖できる
新型コロナウイルスは、
ヒトの細胞であればどの細胞でも侵入できるわけではなく、
ウイルスを受け入れる「ACE2受容体」が発現している細胞だけに
侵入することが可能となります。
「ACE2受容体」は細胞表面の膜に発現するタンパク質で、
ウイルスが細胞内に侵入を図る際に結合して受け入れるレセプター。
新型コロナウイルスは、「ACE2受容体」が発現した宿主細胞を見つけると、
スパイク糖タンパク質の突起を細胞表面に引っ掛けて吸着・結合します。
このようにして新型コロナウイルスの細胞への侵入=乗っ取り=感染が成立します。
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Ⅱ.「ACE2受容体」の発現部位と症状や病態との関係
「ACE2受容体」の発現部位は、
上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)、下気道(気管支、肺胞)、心臓、腎臓、
さらに十二指腸、小腸、精巣などの細胞表面です。
特に発現が多く見られる部位は下気道(気管支、肺胞)や小腸とされ、
上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)の粘膜細胞での発現は比較的に少ないとされています
また基礎疾患の持病のある人は、
疾患で損傷している部位に「ACE2受容体」が多く発現する傾向があるようです。
「ACE2受容体」の本来の機能には、
・炎症を起こした部位の保護作用
・肺炎などの損傷からの保護作用
・心臓機能の調整・保護作用
・血管機能の調整・拡張作用
・腎臓機能の調整・保護作用
などがあります。
従って、これらの部位に基礎疾患があり損傷や炎症などを起こしたりすると、
「ACE2受容体」の発現が多くなると思われます。
その結果、新型コロナウイルスが増殖するための標的細胞となるリスクが高くなると
推定できます。
「ACE2受容体」の発現が少ない上気道では無症状や軽症が多い
新型コロナウイルスの多くは、
上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)の粘膜細胞の表面に吸着して増殖していきます。
しかし、上気道の粘膜細胞での「ACE2受容体」の発現は少ないとされるので、
標的となる宿主細胞への侵入は限定的となり増殖の進行も限界があります。
また、上気道内の粘膜細胞には、病原体の侵入をいち早く感知して、
免疫細胞の発動を促す「パターン認識受容体」が多く存在しています。
すると、自然免疫系のナチュラルキラー細胞(NK細胞 )がいち早く出動し、
新型コロナウイルスと攻防戦を展開します。
自然免疫系の免疫細胞と新型コロナウイルスとの攻防戦が互角であれば、
無症状または軽い症状のままで回復すると考えられます。
なお、健康な人ほど「ACE2受容体」の発現は少ないとされ、
自然免疫力も高いことから無症状や軽い症状で回復する確率が高いと言えます。
しかし無症状や軽い症状の人であっても、潜伏期間とされる14日以内では、
ウイルスの増殖は続いているので、多くの人に感染させるリスクがあります。
上気道での感染・増殖だけで回復できない人は、
増殖を終えた多数の複製ウイルスを宿主細胞の外に放出し、
また新たな標的宿主細胞の「ACE2受容体」から侵入して増殖を繰り返していきます。
そして、気管支や肺胞の上皮細胞へと増殖を進行させていきます。
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Ⅲ.新型肺炎(急性呼吸器疾患)の発症と重症化のプロセス

新型コロナウイルスの病源体としての顕著な特徴は、
「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)」を引き起こす強い毒性です。
「新型肺炎」の恐怖は、
一般的な肺炎と異なり一気に重症化が加速するという病態にあります。
「ACE2受容体」の発現が多い下気道(気管支・肺胞)では重症化が多い
もともと、気管支や肺胞の細胞表面は、「ACE2受容体」が多く発現しやすい部位。
気管支や肺胞の細胞表面に「ACE2受容体」が発現すると、
上気道で増殖して放出された多数の複製ウイルスが、
気管支でまた増殖を繰り返した後、さらに奥の肺胞内部へと侵入していきます。
「ACE2受容体」には、炎症を起こした部位の保護作用という本来の働きがあります。
そこで肺胞がなんらかの影響で炎症を起こすと、
「ACE2受容体」は、肺胞の細胞表面に特に多く発現する傾向があります。
特に喘息(ぜんそく)や呼吸器疾患のある人や習慣的な喫煙者は、
新型コロナウイルスに感染すると咳き込みを繰り返すため、
肺炎を発症して「ACE2受容体」の発現をさらに喚起することになります。
肺炎を発症してしまうと、
『新型コロナウイルスは今まで以上に勢力を増して肺胞の細胞内で増殖を加速化する』
という症例の報告もあります。
新型コロナウイルスが下気道(気管支、肺胞)で増殖して肺炎を起こして重症化すると、
呼吸不全、敗血症、多臓器不全などを合併して、
最悪のケースでは死亡に至ることもあります。
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ウイルスが上気道を素通りして一気に肺胞に感染するケースでも重症化
感染者の“呼気”から放出される最も微小なウイルス飛沫粒子を吸引してしまうと、
上気道を素通りして一気に肺胞に達する恐れがあります。
感染者の咳やくしゃみから放出されるウイルス飛沫粒子の大きさは、
1μm以上から100μm程度。(※1μm=1,000分の1㎜)
しかし感染者の“呼気”から放出されるウイルス飛沫粒子は、
1μm前後の極微小な粒子となります。
この”呼気”から放出される極微小な飛沫粒子を吸引してしまうケースとして
①50cm以内での濃厚接触
②湿度の高い密閉空間でのウイルス飛沫のエアロゾル化
の2つが考えられます。
①の50cm以内での濃厚接触は、
医療機関での看護や福祉施設などでの介護の際などで多く発生します。
②の湿度の高い密閉空間でのウイルス飛沫のエアロゾル化においては、
咳やくしゃみで放出される5μm未満の飛沫粒子はもちろん、
呼気から放出される1μm未満の飛沫粒子さえも乾燥を免れることができます。
すると、乾燥を免れた極微小の飛沫はエアロゾル粒子として、
長い距離を長い時間において感染能力を保持したまま空中を浮遊できます。
だから、呼吸によって肺胞まで一気に吸引するリスクが高まってしまうのです。
いわゆる「エアロゾル飛沫感染」が起きてしまうということです。
ウイルスが直接肺胞で増殖することになるので、
風邪ようの軽い初期症状が無いまま、急激な肺炎を発症して重症化する原因となります。
また感染初期の場合は、ウイルス検査で陽性反応を示さないことも考えられます。
ウイルス検査する検体は、主に鼻腔や咽頭の粘膜細胞から採取するからです。
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Ⅳ.基礎疾患の持病のある人の重症化の加速
新型コロナ肺炎において、基礎疾患の持病がある人ほど重症化する傾向があるのは、
疾患部位の炎症が「ACE2受容体」の発現を喚起していると思われます。
たとえば、呼吸器疾患のある人は気管支や肺胞の上皮細胞で、
高血圧の人では血管の内膜細胞で、糖尿病の人は炎症のある部位の細胞で、
といった部位に集中的に「ACE2受容体」が発現。
本来は炎症の保護作用や血圧の調整作用などの役割を持つ「ACE2受容体」が、
新型コロナウイルスの増殖のために絶好の侵入ターゲットとして狙われます。
肺炎を発症した基礎疾患のある人は、
新型コロナウイルスの増殖の加速化が凄まじく、
呼吸不全による敗血症や多臓器不全などの合併の確率が高くなると思われます。
喫煙による肺の機能低下が重症化の要因にもなる
WHO(世界保健機構)は3月20日に、
『喫煙の習慣は新型肺炎の重症化のリスクを高める』との発表を行っています。
なお一方で、サウスカロライナ大学教授による、
『喫煙者は非喫煙者よりも著しくACE2受容体の発現が増える』
との論文も存在します。
〇「志村けんさん」の急死に驚愕と動揺
ところで、『「志村けんさん」が発症からわずか14日間で死亡!!』
というニュースには本当に驚かされてしまいました。
志村けんさんも若い頃からの喫煙の習慣があり、
肺炎を発症して入院歴もあったらしい・・・。
改めて、コロナウイルスによる「新型肺炎」の恐怖を認識すると同時に、
亡くなられた「志村けんさん」には、哀悼の意を表したいと思います。
「ACE2受容体」以外の3つの受容体の存在と重症化
新型コロナウイルスの細胞侵入の際の受容体として、
「ACE2受容体」以外にも3つの受容体が存在することが明らかになっています。
3つの受容体とは、「CD4受容体」「CD147受容体」「GRP78受容体」です。
●「CD4受容体」:ヘルパーT細胞、マクロファージ、樹状細胞などの
免疫系細胞の表面に発現。
●「CD147受容体」:多くの異なる細胞上に発現するが、
特に腫瘍を修復する血管新生が行われている部位で発現。
●「GRP78受容体」:主にガン細胞の表面に発現し、
ガン細胞の増殖の阻害作用やアポトーシス(プログラム化された細胞死)に作用。
「新型コロナ肺炎」において、
『重症患者の85%に免疫のリンパ球の減少が見られる』という症例が見られます。
この症例は、新型コロナウイルスの「スパイク糖タンパク質(突起)」が、
「CD4受容体」とも結合できることで裏付けることができます。
また『ガンの患者において死亡するケースが多い』ということも、
「CD147受容体」や「GRP78受容体」の存在で理解することができます。
若い人や健康な人は「サイトカインストーム」を引き起こす可能性
「サイトカインストーム」とは、
「免疫機能が暴走することで起こる免疫異常」のこと。
「サイトカイン」は、細胞から分泌されるタンパク質の生理活性物質の総称。
「ストーム」は、嵐のことであり暴走をも意味する。
ウイルス感染などにより「病原体と戦い身体を守る免疫機能」が、
極端に強くなるという免疫異常となり、
自分自身の正常な細胞までも破壊することで重症化する病態です。
「新型肺炎」において、度々若い人でも重症化して死亡する症例は、
この「サイトカインストーム」が原因ではないかと思われます。
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Ⅴ.最終的な治療手段は「人工心肺装置」

「新型肺炎」により重症化して呼吸不全などに陥ると、
最終的に命綱となるのが「人工心肺装置(ECMO)」です。
「人工心肺装置(ECMO)」とは、
心臓外科などの手術の際に、一時的に心臓と肺の機能を代行する医療機器。
呼吸困難や呼吸不全で酸素を吸入できない患者に対して、
肺の機能を代行することで血液中に不足した酸素を送り込んで治療します。
この「人工心肺装置(ECMO)」は、
新型肺炎が重症化して呼吸困難に陥った患者にも使用されていますが、
救命できるか否かは50%前後とされています。
新型肺炎でこれまで死亡した人のデーターによれば、
症状の発現から死亡までの日数は6日から41日までの幅がありますが、
中央値は14日であることが示されています。
新型肺炎が重症化すると、
貴重な命であってもわずか2週間で消失してしまうということ。
そういえば、あの志村けんさんも、
自覚症状の発現からわずか14日目の夜の死亡であったと記憶しています。
【コチラの記事もご参照!】
『新型コロナウイルスを防御するマスク捕集のしくみ|間違った使い方は危険!』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/226/0
『新型コロナ感染症の不可解な謎!回復後の再陽性は再感染?抗体免疫の獲得は可能か?』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/216/0
『新型コロナウイルスは免疫細胞を破壊する!エイズウイルスと同じスパイクタンパク質を配列
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/215/0
『コロナウイルスの全てが分かる!“新型スーパーウイルス”の正体と感染・増殖・重症化のプロセス』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/213/0
『コロナウイルスとは何もの?新型ウイルスの正体と強力な感染力による拡散の危険性!』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/142/0
『新型コロナウイルスの細胞侵入・増殖から肺炎の発症までの過程とその危険度とは』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/179/0
『新型コロナの驚異的重症化プログラム!4つの受容体を侵入経路として増殖する猛烈な毒性!
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/204/0
『新型コロナウイルス感染から重症化を防ぐ!「粘膜免疫」の防御と「自然免疫」の攻撃の役割』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/201/0
『新型コロナウイルスの感染力が100倍に増大!密閉・密集・密接の3密の危険性とは』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/198/0
『新型コロナウイルスを完全シャットアウト!励行すべき5つの防御方法と科学的根拠』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/193/0
『コロナウイルスはマスク着用で防げるのか?4つの予防効果と2つの落とし穴』
fanblogs.jp/boyakiman/archive/190/0
『新型コロナウイルスと互角に戦える免疫力!自然免疫を高めると無症状・軽症で回復』
https://fanblogs.jp/boyakiman/archive/180/0
まとめ
新型コロナウイルスや新型肺炎については、
まだ謎も多くその正体の全容は解明されていません。
今現在で、受容体が4つもあることが分かっています。
受容体の機能解明は、ワクチンや治療特効薬の開発に非常に重要です。
しかし、受容体が4つもあるとなれば、
ワクチンの治療薬の開発が難航するのではないかと素人ながらに想像します。
今は、自分自身の免疫機能だけが命綱であることを肝に銘じる必要があります。
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