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2017年09月02日
4-4-2. 英国経済実態指標(2017年9月版)
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントです。
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、7月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
グラフ推移は、鉱工業生産指数が前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、2017年2月分をボトムに上昇中です。製造業生産指数も、2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年9月8日発表結果検証済)
同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数の反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、です。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
追撃は、早期開始・短期利確の繰り返しに向いており、ポジションの長持ちには向かない指標です。
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
【4-4-2.(1) 経済成長】
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
【4-4-2,(2) 実態指標】
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
(2-1) 小売
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
(2-2) 生産
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、7月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
グラフ推移は、鉱工業生産指数が前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、2017年2月分をボトムに上昇中です。製造業生産指数も、2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年9月8日発表結果検証済)
同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数の反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、です。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
追撃は、早期開始・短期利確の繰り返しに向いており、ポジションの長持ちには向かない指標です。
(2-3) 住宅
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
【4-4-2.(3) 貿易指標】
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
以上
2017年08月31日
英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月1日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年9月1日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
本指標発表後は、どの時点かで21:30に発表される米雇用統計を睨んだ動きに移行します。ただでさえ、17:30頃はEURGBPの取引量が多い上に、雇用統計を睨んでUSDJPYとGBPUSDは動きが上下逆になる動きも加わり、それらがGBPJPYの動きを複雑化します。ポジションを持つ間に、USDを買う(売る)動きとEURを買う(売る)動きがタイミング的に重なると、GBPJPYは一瞬で数pipsが「どすん」と落ちる(騰がる)ことがあります。
今回は、ロンドンの朝のニュースで前日のEU離脱交渉不調(?)が大きく取り上げられている時間帯に、本指標が発表されることを頭に入れておいた方が良いでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。分布は、15pipsから33pipsの跳ねが65%を占めています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ形状は、2017年7月をボトムに上昇基調が1年間続いています。もし今回、市場予想を下回ると、2017年4月をピークとした下降基調転換の形状となってしまいます。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは30回中15回(50%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
8月 + △ ?
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + △
2月 △ △ △
1月 + + △
関係ありませんね。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(23%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(26%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。
そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率22%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。戻り比率としては30%を下回っており、この程度の反応をする指標としては普通です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・83%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率ほどではありません。ならば事後差異だけ見ておけば十分です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足はやや陽線への偏りが見受けられ、直前1分足はやや陰線に偏りが見られます。がしかし、いずれも取引基準の70%には達していません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(86%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、その86%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは80%となっています。これなら反応方向を確認したら早期参加です。
そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが59%となっています。他のパターン(直後11分足が、直後1分足の値幅を削ったことの2倍、直後1分足と反転したりすることの4倍、反応を伸ばしています。ただ、58%という数字を考えると、反転におびえながら短期利確を繰り返した方が良いかも知れません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年9月1日20:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
グラフ推移を見ると、直近ピークである4月分の57.3に迫る上昇でした。
報道等では、EU離脱交渉が進展していないことや、英国内で交渉目標をはっきりさせよという論調を見る限り、この結果は多くの予想を裏切ったと思われます。
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、シナリオ条件未成立により、取引を見送りました。
シナリオ外取引は、1時間足チャートにおけるレジスタンス(転換線142.34)の上抜けは難しいと考え、逆張りを行ったものです。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオと結果は次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年9月1日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
本指標発表後は、どの時点かで21:30に発表される米雇用統計を睨んだ動きに移行します。ただでさえ、17:30頃はEURGBPの取引量が多い上に、雇用統計を睨んでUSDJPYとGBPUSDは動きが上下逆になる動きも加わり、それらがGBPJPYの動きを複雑化します。ポジションを持つ間に、USDを買う(売る)動きとEURを買う(売る)動きがタイミング的に重なると、GBPJPYは一瞬で数pipsが「どすん」と落ちる(騰がる)ことがあります。
今回は、ロンドンの朝のニュースで前日のEU離脱交渉不調(?)が大きく取り上げられている時間帯に、本指標が発表されることを頭に入れておいた方が良いでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。指標発表後はそのまま反応を伸ばしがちですが、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。
- もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
指標グラフは上昇停滞中と言える位置にあり、上下どちらに向かうかがわかりません。また現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率も高くありません。
8月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬以降は中立的な付近で上下動を繰り返しています。中立的とは、トレンド上のレジスタンス手前付近を指しています。 - 本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
直前10-1分足は、ときどき(頻度23%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。
直前1分足は、しばしば(頻度26%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。
ちなみに、直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実はありません。
よって、これらの跳ねは、指標結果を正しく捉えている大口参加者が居る可能性よりも、大きく反応する指標発表前に大口ポジションを閉じる売買が多くなるため、と捉えています。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
- 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
論拠は、反応性分析の結果です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。分布は、15pipsから33pipsの跳ねが65%を占めています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ形状は、2017年7月をボトムに上昇基調が1年間続いています。もし今回、市場予想を下回ると、2017年4月をピークとした下降基調転換の形状となってしまいます。
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グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは30回中15回(50%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
ーーー$€¥ーーー
製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
8月 + △ ?
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + △
2月 △ △ △
1月 + + △
関係ありませんね。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(23%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(26%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。
そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率22%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。戻り比率としては30%を下回っており、この程度の反応をする指標としては普通です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・83%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率ほどではありません。ならば事後差異だけ見ておけば十分です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足はやや陽線への偏りが見受けられ、直前1分足はやや陰線に偏りが見られます。がしかし、いずれも取引基準の70%には達していません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(86%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、その86%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは80%となっています。これなら反応方向を確認したら早期参加です。
そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが59%となっています。他のパターン(直後11分足が、直後1分足の値幅を削ったことの2倍、直後1分足と反転したりすることの4倍、反応を伸ばしています。ただ、58%という数字を考えると、反転におびえながら短期利確を繰り返した方が良いかも知れません。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
- 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
論拠は、反応性分析の結果です。
以上
2017年9月1日17:30発表
以下は2017年9月1日20:20頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
グラフ推移を見ると、直近ピークである4月分の57.3に迫る上昇でした。
報道等では、EU離脱交渉が進展していないことや、英国内で交渉目標をはっきりさせよという論調を見る限り、この結果は多くの予想を裏切ったと思われます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、シナリオ条件未成立により、取引を見送りました。
シナリオ外取引は、1時間足チャートにおけるレジスタンス(転換線142.34)の上抜けは難しいと考え、逆張りを行ったものです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 発表後の値動きは、次のように捉えていました。
反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。指標発表後はそのまま反応を伸ばしがちですが、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。
結果は、18pipsの反応で、過去平均の23pipsを下回りました。18pips付近には1時間足チャートにおけるレジスタンスがあったため、と推察されます。
反応方向は素直でした。
追撃は、上記レジスタンスに頭を押さえられたため、pipsが稼げなかったでしょう。 - 指標結果予想については、次のように捉えていました。
もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
指標グラフは上昇停滞中と言える位置にあり、上下どちらに向かうかがわかりません。また現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率も高くありません。
8月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬以降は中立的な付近で上下動を繰り返しています。中立的とは、トレンド上のレジスタンス手前付近を指しています。
この内容はこれで問題ありません。
わからないものを根拠薄弱なまま予想するのでは勝率が下がります。何より、間違っていても明確な根拠のない取引方法では、悪いところを直しようがありません。定量的な論拠があってこそ、改善を繰り返すことができます。 - 注意点として、以下を挙げていました。
本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
直前10-1分足は、ときどき(頻度23%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。
直前1分足は、しばしば(頻度26%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。
この内容は来月もこのままで問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオと結果は次の通りです。
- 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)するつもりでした。
結果は、前提条件を満たさず、取引を諦めました。 - 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行うつもりでした。論拠は、反応性分析の結果でした。
結果は追撃2回で、3回目はシナリオ外取引の逆張りで行いました。
シナリオ外取引は、先述の通り、レジスタンス上抜けがない、と見なしたためです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月27日
4-4. 英国経済指標DB(2017年8月最終版)
英国の経済指標発表前後の取引はGBPJPYで行っています。
さて、2017年度のトレンド判断は以下3つの視点によって決まっているようです。
6月総選挙の結果、与党は議席を減らしました。
英首相は、棚ボタ式に首相になったイメージ払拭を図り、EU離脱交渉の国内指導力強化を狙っていたものの、その目論見は外れました。英下院選は、与党が保守党が318議席(総数650議席)と、単独過半数から過半数割れとなりました。
前首相のEU離脱国民投票といい、英国はやらなくてもいい選挙を行って、ダメージを負うことが続いています。政権基盤が弱いと、対EU交渉での譲歩が難しくなります。
経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価上昇への対策のため、6月後半から利上げ気運が高まり、6・7月分指標発表(7・8月発表)が行われるにつれてその気運が静まったという状況です。
8月7日、調査会社ORBが8月2-3日に実施した世論調査で、EU離脱交渉への英政府の取組に否定的な見方が増加していること、を発表しました。EU離脱を巡る英政府の交渉を支持しないとの回答は61%でした。なお、この数字は、6月調査46%、7月調査56%、で徐々に増加しています。
更に、8月4日にIOD(経営者協会)は政府に対しEU離脱の合意内容を策定することを求め、8月9日に英最高裁長官は欧州司法裁判所の判決をどう扱うかを政権は明確にしなければならないと主張した、と報道されています。
8月17日に英政府は、EU離脱交渉を10月迄に十分な進展があると確信していると表明しました。
がしかし、8月31日まで行われた交渉で、EU側の要求する在英EU市民の権利・英国とアイルランドの国境問題・手切れ金に関する交渉で何ら進展がなかったようです。
内憂外患でいよいよどうにもならなくなってきました。英政権は、9月23日の独総選挙が終わるのを待ちわびているでしょう。EUの主要選挙が終わるまであと1か月の辛抱です。
9月の英国経済指標発表は、第3週(9月11日〜15日)がメインとなります。第1・2週は景気指標、第2・3週は実態指標・物価指標・金融政策、第5週にGDP確定値発表へと続きます。
BOEは、そうそう簡単に政策変更しないという話があります。もちろん、これは過去の実績で、BOE総裁もMPC委員も実際には入れ替わっているのだから、こんな話を当てにはできません。
3月MPCでは、昨年7月以来の利上げ主張する委員が現れました。6月MPCでは利上げ主張委員が3名に増えました。昨年6月の国民投票以降のGBP安による物価が急上昇が利上げ派の主要論拠で、賃金上昇への悪影響(景気への悪影響)の懸念が様子見派の主要論拠です。
6月15日のMPC声明では「政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第」という条件が挙げられました。6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
利上げ気運にブレーキをかけた訳です。
そして、利上げ気運の高まった8月1日のMPCでは、利上げ派理事が1名退任したこともあって、利上げ賛成派が2名に減りました。一気に翌朝までにGBPJPYは300pips近い下落となりました。
300pipsはひどいじゃないか。これは、退任した利上げ派理事1名の代わりに、別の理事が利上げ賛成に回るかも知れない、という予想もあったので、発表までGBPが下がっていなかったのです。
(分析事例) BOE政策金利(2017年8月3日発表結果検証済)
直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。英国は金融の国であり、予想分析もそこに乗って取引する人も、平均的な我々より平均的に上手なのかも知れません。
危ないので、大きな発表があるときは、追撃に徹した方が良いと思います。
先の総選挙での保守党公約は、移民削減(年間10万人未満)・2025年頃までの財政赤字解消・消費税を上げずに2020年までに法人税を17%まで引き下げ・高額役員報酬問題への歯止め・労働者の権利拡大・電気ガス料金の上限設定・キツネ狩り禁止法廃止の採決、等がありました。英国にとって都合が悪い内容ならEUと合意しない方がマシ、という首相発言も公約にあたるでしょう。
ところで、キツネ狩りが英国でそれほどのテーマだなんて、知っていましたか。そんなこと言ってる場合か、という気もします。
製造業の景況感が悪化し始めると、サービス業もそれを追いかける、という言い伝えがあります。近年、この法則に当てはまらない事例が多々見受けられます。
8月1日発表された7月分製造業PMI、8月3日に発表されたサービス業PMIは、ともに前回より改善しました。上昇再開と言えるほどの改善ではありません。
両指標ともに、昨年最悪期(EU離脱国民投票前後)よりも、まだかなり高い水準にあります。
(分析事例) 製造業PMI(2017年9月1日17:30発表済)
(分析事例) サービス業PMI(2017年8月3日発表結果検証済)
製造業PMIは、反応方向を確認したら早期参加して、反応が伸びるのを待って利確機会を窺えば良いでしょう。
少なくとも最近のサービス業PMIは、EURGBPの月足の上下動と逆相関の関係が見受けられます。数日前に発表される製造業PMIの結果との相関は「無くはない」と言った程度しかありません(60%未満、50%以上)。
主要国でCPI(消費者物価指数)・RPI(小売物価指数)・PPI(生産者物価指数)が一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
BOEの目標インフレ率は年2%程度です。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告は「インフレ率は2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しを示しました。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。
対する8月15日の物価指標発表結果は、CPIが横這い、RPIが上昇。PPIが下降でした。まちまちの結果となったものの、それでもCPI前年比は+2.6%です。
(分析事例) 物価指標(2017年8月15日発表結果検証済)
過去の傾向は、早期参入・早期利確の追撃に適した指標です。指標発表から1分を過ぎてからは、初期反応の値幅を削ったり反転することの方が多くなっている点に注意しましょう。
反応が大きい指標なのであまり勧められませんが、直後1分足の事前差異との方向一致率が80%近くある指標です。指標発表前に事前差異と同方向にポジションを取得し、指標発表直後に跳ねたら利確であれ損切であれ、ポジションを解消するやり方も可能です。
8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。
英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支の制約がなくなるのだから。
8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
GBPを買い上げる環境にはない、ということです。
(分析事例) 雇用統計(2017年8月16日発表結果検証済)
発表から1分を過ぎると、どちらに反応するかがわからない指標なので、追撃は早期参加・短期利確が基本です。
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントです。
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
(2-1) 小売
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
(2-2) 生産
7月27日、英政府は2040年以降にガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する旨、発表しました。知らなかったのですが、与党保守党は2050年までにほぼ全ての自動車から排気ガスを無くすことを公約に掲げていたそうです。既に仏国が同様政策を発表していたことも知りませんでした。
8月10日に発表された6月分鉱工業生産は前回を上回ってプラス転換しました(前月比+0.5%)。一見、グラフ推移は2017年2月分を底に上昇基調に転じたように見受けられます。
がしかし、6月下旬から7月前半にかけては、BOE利上げの噂があってGBPが上昇した時期です。よって、次回発表(7月分、9月8日発表予定)は再びマイナス再転換の可能性があります。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年8月10日発表結果検証済)
鉱工業生産指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。
(2-3) 住宅
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
さて、2017年度のトレンド判断は以下3つの視点によって決まっているようです。
- 6月総選挙でメイ首相の立場がどれぐらい強まるか
→与党議席減で首相進退論が出たり、閣内不協和の報道がでています。がしかし、英首相は2022年の総選挙後の続投にも意欲を示しています。これは、選挙を終えた今となってはEU離脱交渉次第でしょう。 - BOEが物価高にいつどの程度の対策を講じるか
→6月までに利上げ派のMPCメンバーが3名に増えたものの、成長率とインフレ率上昇が鈍化しています。その結果、現在は利上げ派メンバー1名が退任した分だけ、利上げ派が弱まった感があります。 - ブリグジット交渉進展と内容
→9月独総選挙が終わるまで、劇的進展は期待できません。第2回交渉と言われる8月下旬のEUとの会合では、案の定、何ら進展がありませんでした。
【4-4-1. 8月概観】
6月総選挙の結果、与党は議席を減らしました。
英首相は、棚ボタ式に首相になったイメージ払拭を図り、EU離脱交渉の国内指導力強化を狙っていたものの、その目論見は外れました。英下院選は、与党が保守党が318議席(総数650議席)と、単独過半数から過半数割れとなりました。
前首相のEU離脱国民投票といい、英国はやらなくてもいい選挙を行って、ダメージを負うことが続いています。政権基盤が弱いと、対EU交渉での譲歩が難しくなります。
経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価上昇への対策のため、6月後半から利上げ気運が高まり、6・7月分指標発表(7・8月発表)が行われるにつれてその気運が静まったという状況です。
8月7日、調査会社ORBが8月2-3日に実施した世論調査で、EU離脱交渉への英政府の取組に否定的な見方が増加していること、を発表しました。EU離脱を巡る英政府の交渉を支持しないとの回答は61%でした。なお、この数字は、6月調査46%、7月調査56%、で徐々に増加しています。
更に、8月4日にIOD(経営者協会)は政府に対しEU離脱の合意内容を策定することを求め、8月9日に英最高裁長官は欧州司法裁判所の判決をどう扱うかを政権は明確にしなければならないと主張した、と報道されています。
8月17日に英政府は、EU離脱交渉を10月迄に十分な進展があると確信していると表明しました。
がしかし、8月31日まで行われた交渉で、EU側の要求する在英EU市民の権利・英国とアイルランドの国境問題・手切れ金に関する交渉で何ら進展がなかったようです。
内憂外患でいよいよどうにもならなくなってきました。英政権は、9月23日の独総選挙が終わるのを待ちわびているでしょう。EUの主要選挙が終わるまであと1か月の辛抱です。
9月の英国経済指標発表は、第3週(9月11日〜15日)がメインとなります。第1・2週は景気指標、第2・3週は実態指標・物価指標・金融政策、第5週にGDP確定値発表へと続きます。
【4-4-2. 政策決定指標】
BOEは、そうそう簡単に政策変更しないという話があります。もちろん、これは過去の実績で、BOE総裁もMPC委員も実際には入れ替わっているのだから、こんな話を当てにはできません。
(1) 金融政策
3月MPCでは、昨年7月以来の利上げ主張する委員が現れました。6月MPCでは利上げ主張委員が3名に増えました。昨年6月の国民投票以降のGBP安による物価が急上昇が利上げ派の主要論拠で、賃金上昇への悪影響(景気への悪影響)の懸念が様子見派の主要論拠です。
6月15日のMPC声明では「政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第」という条件が挙げられました。6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
利上げ気運にブレーキをかけた訳です。
そして、利上げ気運の高まった8月1日のMPCでは、利上げ派理事が1名退任したこともあって、利上げ賛成派が2名に減りました。一気に翌朝までにGBPJPYは300pips近い下落となりました。
300pipsはひどいじゃないか。これは、退任した利上げ派理事1名の代わりに、別の理事が利上げ賛成に回るかも知れない、という予想もあったので、発表までGBPが下がっていなかったのです。
(分析事例) BOE政策金利(2017年8月3日発表結果検証済)
直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。英国は金融の国であり、予想分析もそこに乗って取引する人も、平均的な我々より平均的に上手なのかも知れません。
危ないので、大きな発表があるときは、追撃に徹した方が良いと思います。
(2) 財政政策
先の総選挙での保守党公約は、移民削減(年間10万人未満)・2025年頃までの財政赤字解消・消費税を上げずに2020年までに法人税を17%まで引き下げ・高額役員報酬問題への歯止め・労働者の権利拡大・電気ガス料金の上限設定・キツネ狩り禁止法廃止の採決、等がありました。英国にとって都合が悪い内容ならEUと合意しない方がマシ、という首相発言も公約にあたるでしょう。
ところで、キツネ狩りが英国でそれほどのテーマだなんて、知っていましたか。そんなこと言ってる場合か、という気もします。
(3) 景気指標
製造業の景況感が悪化し始めると、サービス業もそれを追いかける、という言い伝えがあります。近年、この法則に当てはまらない事例が多々見受けられます。
8月1日発表された7月分製造業PMI、8月3日に発表されたサービス業PMIは、ともに前回より改善しました。上昇再開と言えるほどの改善ではありません。
両指標ともに、昨年最悪期(EU離脱国民投票前後)よりも、まだかなり高い水準にあります。
(分析事例) 製造業PMI(2017年9月1日17:30発表済)
(分析事例) サービス業PMI(2017年8月3日発表結果検証済)
製造業PMIは、反応方向を確認したら早期参加して、反応が伸びるのを待って利確機会を窺えば良いでしょう。
少なくとも最近のサービス業PMIは、EURGBPの月足の上下動と逆相関の関係が見受けられます。数日前に発表される製造業PMIの結果との相関は「無くはない」と言った程度しかありません(60%未満、50%以上)。
(4) 物価指標
主要国でCPI(消費者物価指数)・RPI(小売物価指数)・PPI(生産者物価指数)が一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
BOEの目標インフレ率は年2%程度です。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告は「インフレ率は2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しを示しました。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。
対する8月15日の物価指標発表結果は、CPIが横這い、RPIが上昇。PPIが下降でした。まちまちの結果となったものの、それでもCPI前年比は+2.6%です。
(分析事例) 物価指標(2017年8月15日発表結果検証済)
過去の傾向は、早期参入・早期利確の追撃に適した指標です。指標発表から1分を過ぎてからは、初期反応の値幅を削ったり反転することの方が多くなっている点に注意しましょう。
反応が大きい指標なのであまり勧められませんが、直後1分足の事前差異との方向一致率が80%近くある指標です。指標発表前に事前差異と同方向にポジションを取得し、指標発表直後に跳ねたら利確であれ損切であれ、ポジションを解消するやり方も可能です。
(5) 雇用指標
8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。
英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支の制約がなくなるのだから。
8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
GBPを買い上げる環境にはない、ということです。
(分析事例) 雇用統計(2017年8月16日発表結果検証済)
発表から1分を過ぎると、どちらに反応するかがわからない指標なので、追撃は早期参加・短期利確が基本です。
【4-4-3. 経済実態指標】
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントです。
(1) 経済成長
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
(2) 実態指標
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
(2-1) 小売
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
(2-2) 生産
7月27日、英政府は2040年以降にガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する旨、発表しました。知らなかったのですが、与党保守党は2050年までにほぼ全ての自動車から排気ガスを無くすことを公約に掲げていたそうです。既に仏国が同様政策を発表していたことも知りませんでした。
8月10日に発表された6月分鉱工業生産は前回を上回ってプラス転換しました(前月比+0.5%)。一見、グラフ推移は2017年2月分を底に上昇基調に転じたように見受けられます。
がしかし、6月下旬から7月前半にかけては、BOE利上げの噂があってGBPが上昇した時期です。よって、次回発表(7月分、9月8日発表予定)は再びマイナス再転換の可能性があります。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年8月10日発表結果検証済)
鉱工業生産指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。
(2-3) 住宅
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
【4-4-4. 収支関係指標】
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
以上
2017年08月23日
英国経済指標「四半期GDP改定値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月24日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月24日17:30に英国経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の改定値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月23日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。
GDP改定値は、英国国家統計局が 2月・5月・8月・11月の下旬に前四半期分を発表しています。
本指標の特徴は次の通りです。
2013年1-3月期から前回2017年1-3月期までの17回の改定値発表で、前月比・前年比のどちらかの市場予想が速報値とズレたことは2回しかありません(全17回)。そして、前月比・前年比のどちらかの発表結果が市場予想とズレたことは6回しかありません。
これでは取引の参考にならないことの方が多い、ということになります。
そのためかどうかはわかりませんが、過去発表時の直後11分足には、陽線側・陰線側の両方にヒゲが目立ちます。これは発表後にも方向が定まりにくい、ということだと思います。損切にせよ利確にせよタイミングが難しい、ということでもあります。
2016年6月のEU離脱決定以降、GBPは大幅に下落しました。幸い、成長率はその後も高く維持されてきたものの(概ね2%台前半)、インフレ率も高くなり(概ね2%台後半)、世論はBOEに利上げを求める論調が高まりました(報道解説等の主観的感触)。
ところが、です。直近の成長率(4-6月期速報値)には鈍化の兆しが見られ、インフレ率も下降基調転換の兆しが見え始めました。7月以降に発表される指標には、それを裏付ける結果や反応も散見されます。
6月下旬にはBOE総裁が利上げ検討の必要性について言及していたものの、そのときは「(利上げに当たって)物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。前提が満たされなくなりつつあります。
同時発表される四半期企業投資は、この発言が行われるまで、それほど注目度が高い項目ではなかったと記憶しています。以前は市場予想すら主要な指標カレンダーで公表されていなかったぐらいです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応をする指標だと言えます。
分布は、10-25pipsの範囲に64%が集まる一方、9pips以下のときも18%あります。意外に小さいのは、前述の通り、改定値が速報値や市場予想と同じになりがちだから、です。
但し、最近は以前に比べて大きく反応することが多いようです。これは、BOEの金融政策と絡めて解釈されるため、と考えられます。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。本来ならば、前回結果である速報値も一緒にプロットすべきですが、まだ対応できていません。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
一致率が高くなった実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。実態差異判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は75%となりました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度29%)あります。この5回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は10pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度35%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は14pipsで、これは過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
これらローソク足の詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しばしば(頻度29%)直前10-1分足跳幅は20pips以上跳ねることがあります。その跳幅が20pips以上だったときに直後1分足との方向一致率は80%です。大きく直前10-1分足が跳ねるときは、その方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
(2) よく(頻度35%)直前1分足跳幅が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、直前1分足の反応が平均より大きく動いたからと言って、過去事例を見る限り、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析の結果を下表に示します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は75%となっています。先に挙げた実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率と直後1分足の陽線率がともに69%となっています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は69%で、どのローソク足同士も30%以下や70%以上の方向一致率の偏りがありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが73%です。反応を一方向に伸ばしがちとは言えない確率です。また、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
追撃には向かない指標だと言えるでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年8月24日19:30に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP改定値が前期比・前年比ともに速報値と同値、企業投資が前期比・前年比ともに速報値・予想を下回りました。反応は陰線でした。
企業投資だけでなく、個人消費も良くなかったようです(+0.1%)。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ取引は想定通りの展開だったので、問題ありません。
シナリオ取引は、最下部過去成績に記載通り、取引時間3分17秒、利確8.26pips(指標投資利益率0.99%)でした。
シナリオ外取引は週末成績に加えますが、指標成績には加えません。ともあれ、おかげで先週の損失をほぼ取り返せました。
シナリオ外取引は、過去データに基づくものでなく、チャートの動きを見て経験的な「勘」でポジションを取っています。よって、これは事前分析で説明できません。
同じ指標発表時にチャートの動きを見続けることで、ここ1・2年は少しは勘が良く当たるようになった気がします。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月24日17:30に英国経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の改定値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月23日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。
まず、GDPが市場予想と異なる場合は素直に反応しがちです。
また、GDPが市場予想通りだった場合、初期反応は企業投資前期比の市場予想に対する多寡に従って反応しがちです。そして、発表から時間が経つと、企業投資前年比の実態差異(発表結果ー速報値結果)と逆向きに反応しがちです。 - 過去の直後1分足の反応程度は平均的(跳幅17pips)で、追撃には向きません。
追撃に向かない理由は、一方向に反応を伸ばしがちとは言えず、発表から1分経過後時点で中途半端に逆張りでの期待的中率が高くなっているため、です。
加えて、指標発表後は、直後1分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が35%、直後11分足のそれは48%にも達します。このクラスの反応をする指標としては、上下動がかなり大きな指標だと言えます。高値(安値)掴みは、追撃が難しい指標だけに致命傷に繋がります。 - 注視・注意すべきは指標発表前です。
直前10-1分足は20pips以上跳ねたことが29%あります。そして、そういう跳ねが起きたときは、その方向に直後1分足が反応する確率が高くなっています。
直前1分足跳幅が10pips以上跳ねたことも35%あります。この跳ねは、直後1分足の反応方向と関係ないので、釣られて大けがをしないように気を付けた方が良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。
- 指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。
GDP改定値は、英国国家統計局が 2月・5月・8月・11月の下旬に前四半期分を発表しています。
本指標の特徴は次の通りです。
2013年1-3月期から前回2017年1-3月期までの17回の改定値発表で、前月比・前年比のどちらかの市場予想が速報値とズレたことは2回しかありません(全17回)。そして、前月比・前年比のどちらかの発表結果が市場予想とズレたことは6回しかありません。
これでは取引の参考にならないことの方が多い、ということになります。
そのためかどうかはわかりませんが、過去発表時の直後11分足には、陽線側・陰線側の両方にヒゲが目立ちます。これは発表後にも方向が定まりにくい、ということだと思います。損切にせよ利確にせよタイミングが難しい、ということでもあります。
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2016年6月のEU離脱決定以降、GBPは大幅に下落しました。幸い、成長率はその後も高く維持されてきたものの(概ね2%台前半)、インフレ率も高くなり(概ね2%台後半)、世論はBOEに利上げを求める論調が高まりました(報道解説等の主観的感触)。
ところが、です。直近の成長率(4-6月期速報値)には鈍化の兆しが見られ、インフレ率も下降基調転換の兆しが見え始めました。7月以降に発表される指標には、それを裏付ける結果や反応も散見されます。
6月下旬にはBOE総裁が利上げ検討の必要性について言及していたものの、そのときは「(利上げに当たって)物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。前提が満たされなくなりつつあります。
同時発表される四半期企業投資は、この発言が行われるまで、それほど注目度が高い項目ではなかったと記憶しています。以前は市場予想すら主要な指標カレンダーで公表されていなかったぐらいです。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応をする指標だと言えます。
分布は、10-25pipsの範囲に64%が集まる一方、9pips以下のときも18%あります。意外に小さいのは、前述の通り、改定値が速報値や市場予想と同じになりがちだから、です。
但し、最近は以前に比べて大きく反応することが多いようです。これは、BOEの金融政策と絡めて解釈されるため、と考えられます。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。本来ならば、前回結果である速報値も一緒にプロットすべきですが、まだ対応できていません。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
一致率が高くなった実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。実態差異判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は75%となりました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度29%)あります。この5回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は10pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度35%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は14pipsで、これは過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
これらローソク足の詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しばしば(頻度29%)直前10-1分足跳幅は20pips以上跳ねることがあります。その跳幅が20pips以上だったときに直後1分足との方向一致率は80%です。大きく直前10-1分足が跳ねるときは、その方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
(2) よく(頻度35%)直前1分足跳幅が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、直前1分足の反応が平均より大きく動いたからと言って、過去事例を見る限り、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析の結果を下表に示します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は75%となっています。先に挙げた実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率と直後1分足の陽線率がともに69%となっています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は69%で、どのローソク足同士も30%以下や70%以上の方向一致率の偏りがありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが73%です。反応を一方向に伸ばしがちとは言えない確率です。また、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
追撃には向かない指標だと言えるでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃を開始します。利確(損切)は、指標発表直後の跳ねで行います。
- 指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。
以上
2017年8月24日17:30発表
以下は2017年8月24日19:30に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP改定値が前期比・前年比ともに速報値と同値、企業投資が前期比・前年比ともに速報値・予想を下回りました。反応は陰線でした。
企業投資だけでなく、個人消費も良くなかったようです(+0.1%)。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ取引は想定通りの展開だったので、問題ありません。
シナリオ取引は、最下部過去成績に記載通り、取引時間3分17秒、利確8.26pips(指標投資利益率0.99%)でした。
シナリオ外取引は週末成績に加えますが、指標成績には加えません。ともあれ、おかげで先週の損失をほぼ取り返せました。
シナリオ外取引は、過去データに基づくものでなく、チャートの動きを見て経験的な「勘」でポジションを取っています。よって、これは事前分析で説明できません。
同じ指標発表時にチャートの動きを見続けることで、ここ1・2年は少しは勘が良く当たるようになった気がします。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 指標結果と反応の関係について、次のように捉えていました。
「本指標の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。
まず、GDPが市場予想と異なる場合は素直に反応しがちです。
また、GDPが市場予想通りだった場合、初期反応は企業投資前期比の市場予想に対する多寡に従って反応しがちです。そして、発表から時間が経つと、企業投資前年比の実態差異(発表結果ー速報値結果)と逆向きに反応しがちです。」
問題ありません。 - 指標発表後の値動きについて、次のように捉えていました。
「過去の直後1分足の反応程度は平均的(跳幅17pips)で、追撃には向きません。
追撃に向かない理由は、一方向に反応を伸ばしがちとは言えず、発表から1分経過後時点で中途半端に逆張りでの期待的中率が高くなっているため、です。
加えて、指標発表後は、直後1分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が35%、直後11分足のそれは48%にも達します。このクラスの反応をする指標としては、上下動がかなり大きな指標だと言えます。高値(安値)掴みは、追撃が難しい指標だけに致命傷に繋がります。」
これも問題ありません。 - 注視・注意すべき点は次のように捉えていました。
「直前10-1分足は20pips以上跳ねたことが29%あります。そして、そういう跳ねが起きたときは、その方向に直後1分足が反応する確率が高くなっています。
直前1分足跳幅が10pips以上跳ねたことも35%あります。この跳ねは、直後1分足の反応方向と関係ないので、釣られて大けがをしないように気を付けた方が良いでしょう。」
これも問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 「もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。」
直前10-1分足跳幅は11pipsで、取引基準に達しませんでした。 - 「指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。」
発表直後の陰線側への跳ねは139.78でした。これは、1時間足転換線139.80に対応しています。ここで反転もその通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月17日
英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月17日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが40%、31-45pips跳ねたことが30%で、この範囲に分布の70%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6・7行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足・実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の差異+1✕前年比の差異+4✕コア前月比の差異+2✕コア前年比の差異、となります。
事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
今回の事前差異はマイナスです。よって、直前10-1分足は陰線となる期待的中率が77%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率が高いということは、発表結果の良し悪しに素直に反応する、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が22pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度47%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度30%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しょっちゅう(頻度47%)直前10-1分足跳幅は20pips以上に達します。がしかし、直前10-1分足が20pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(2) しばしば(頻度30%)直前1分足跳幅が10pips以上に達します。がしかし、直前1分足が10pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%と、50%を切ってしまっています。直後1分足と直後11分足とが反転したことは28%しかないものの、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが24%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、注目していた全項目で前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、弱い陽線で反応しました。
市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。発表直後から陰線でも不思議ではない結果でした。
取引結果は次の通りでした。
指標発表を跨いだ取引は、気の迷いでしょうか、止めてしまいました。そんなときに限って、シナリオが当たっていました。
FXをやっていると、何をやっても駄目なとき、というのがあります。そんなときにやけくそになって取引すると、もっと酷い目に遭います。だから、やけくそになるぐらいなら、何もしない方がマシです。そんな感じの取引になってしまいました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標発表前に大きく動きがちにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。
最も取引が難しい指標だと言えるでしょう。 - 後掲する判別式符号は、事前差異について直前10-1分足との方向一致率が77%、事後差異について直後1分足との方向一致率が79%です。
- 追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、「超」短期取引(せいぜい10秒とか20秒の取引)に徹する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、直前10-1分足と同方向、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 事前差異判別式と直前10-1分足の方向一致率が77%です。
(2) 反応一致性分析の結果、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が高く、直後11分足は直後1分足との方向一致率が高い、と見込まれます。
(3) 指標一致性分析の結果、直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、と見込まれます。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) 直前10-1分足跳幅は20pips以上に達した頻度は47%、直前1分足跳幅が10pips以上に達した頻度は33%もあります。がしかし、直前10-1分足や直前1分足がそれだけ動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。慌てて釣られると、痛い目に遭いかねません。気を付けましょう。
(2) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生しています。高値(安値)掴みに気を付けましょう。
(3) 以上のローソク足観察の結果、本指標は取引が難しい指標だと言えます。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。
(3) 直後1分足は直前10-1分足と同じ方向と見込みます。
(4) 追撃は早期開始・短期利確します。
(5) 発表から1分を過ぎたら、追撃は超短期利確が狙える機会を窺います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが40%、31-45pips跳ねたことが30%で、この範囲に分布の70%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6・7行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足・実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の差異+1✕前年比の差異+4✕コア前月比の差異+2✕コア前年比の差異、となります。
事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
今回の事前差異はマイナスです。よって、直前10-1分足は陰線となる期待的中率が77%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率が高いということは、発表結果の良し悪しに素直に反応する、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が22pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度47%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度30%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しょっちゅう(頻度47%)直前10-1分足跳幅は20pips以上に達します。がしかし、直前10-1分足が20pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(2) しばしば(頻度30%)直前1分足跳幅が10pips以上に達します。がしかし、直前1分足が10pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%と、50%を切ってしまっています。直後1分足と直後11分足とが反転したことは28%しかないものの、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが24%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月17日17:30発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、注目していた全項目で前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、弱い陽線で反応しました。
市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。発表直後から陰線でも不思議ではない結果でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表を跨いだ取引は、気の迷いでしょうか、止めてしまいました。そんなときに限って、シナリオが当たっていました。
FXをやっていると、何をやっても駄目なとき、というのがあります。そんなときにやけくそになって取引すると、もっと酷い目に遭います。だから、やけくそになるぐらいなら、何もしない方がマシです。そんな感じの取引になってしまいました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 全般的な特徴は次のように捉えていました。
「指標発表前に大きく動きがちにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。最も取引が難しい指標だと言えるでしょう。」
今回、損切になったのは、単に私がついていなかったからかも知れませんが、この内容は来月もそのままでいいでしょう。 - 判別式については次のように捉えていました。
「判別式符号は、事前差異について直前10-1分足との方向一致率が77%、事後差異について直後1分足との方向一致率が79%です。」
事前差異判別式結果はマイナスで直前10-1分足は陽線、事後差異判別式結果はプラスで直後1分足は陽線でした。事前差異を外し、事後差異は当たったようです。
外した事前差異の方は、来月3%ぐらい期待的中率が下がるでしょう。 - 指標発表後の取引方法について、次のように考えていました。
「追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、「超」短期取引(せいぜい10秒とか20秒の取引)に徹する方が良いでしょう。」
結果は直後1分足値幅を直後11分足が削っており、この内容はこれで来月も良いでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直後1分足は直前10-1分足と同じ方向と見込みました。結果は、直後1分足と直前10-1分足とは同じ方向になりました。
- 追撃は早期開始・短期利確するつもりでした。結果は、反応を伸ばさず損切となりました。
- 発表から1分を過ぎたら、追撃は超短期利確が狙える機会を窺って行うつもりでした。分析を外しまくりだったので、もう追撃は止めておきました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月16日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月16日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月16日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険新鮮件数が2017年7月分の集計結果で、平均給与と失業率が2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
意外なことに反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいことがわかります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が69%となりました。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が87%となりました。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、+1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が62%となりました。
もちろん、これらのように複雑な式を指標発表直後にぱぱっと解くことなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、その指標がこの計算に用いた仮定に沿った素直な反応をしていることがわかる点にあります。仮定とは、各差異とローソク足方向の関係に相関がある、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度20%)あります。この6回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(37%)あります。この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%あります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%あります。直後1分足と直後11分足とが反転したことは21%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが28%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月16日20:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良い結果と言って良く、反応は陽線でした。
そして、以降もGBPの近々の取引方針として、これほど良い結果でも発表から2h程度で指標発表前のレートまで戻したことを覚えておきましょう。
内容を見ておきます。
失業保険申請件数は△0.42万人で、マイナスとなったのは2月以来5か月ぶりです。失業率は4.4%と、ここ数年の最低水準まで低下しました。平均所得も上昇し、2%を上回りました。
当然、直後1分足は50pips弱まで一気に跳ね上がりました。これより大きな直後1分足跳幅は、2015年8月まで遡らないとありません。
取引結果は次の通りでした。
反応が大きすぎて、追撃できるpipsが少なすぎました。わかりやす過ぎる結果も困ったものです。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月16日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険新鮮件数が2017年7月分の集計結果で、平均給与と失業率が2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 初期反応平均値は30pipsも跳ねています。反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいため、追撃では利確ポイントを見極めることが難しい指標だと言えます。
- 個別の発表項目の増減を見ても、反応方向がわかりにくい指標です。事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、です。この判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は87%です。
- 指標発表前に10pips以上動くことがよくあります。がしかし、過去事例に依れば、こうした動きは指標発表後の反応方向と関係あるとは言えません。
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今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 2015年1月以降前回までの直前10-1分足の反応方向は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、という判別式が有効です。事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は69%です。
(2) 直後1分足の反応方向は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、という判別式が有効です。事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は87%です。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃で、発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。その後の追撃にはあまり適していません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。この結果は反応一致性分析の結論と矛盾しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 追撃は、反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。大きく反応したときには、直後1分足や直後11分足の跳幅に対し値幅は30%以上となります。一方向に伸びるときにも上下動が大きくなる可能性が高いので、ご注意ください。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 16pips以下だったことは37%
- 17-32pipsが20%
- 33-48pipsが20%
- 49-63pipsが13%
- 64pips以上は10%
です。
意外なことに反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいことがわかります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が69%となりました。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が87%となりました。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、+1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が62%となりました。
もちろん、これらのように複雑な式を指標発表直後にぱぱっと解くことなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、その指標がこの計算に用いた仮定に沿った素直な反応をしていることがわかる点にあります。仮定とは、各差異とローソク足方向の関係に相関がある、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度20%)あります。この6回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(37%)あります。この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%あります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%あります。直後1分足と直後11分足とが反転したことは21%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが28%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月16日17:30発表
以下は2017年8月16日20:00頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良い結果と言って良く、反応は陽線でした。
そして、以降もGBPの近々の取引方針として、これほど良い結果でも発表から2h程度で指標発表前のレートまで戻したことを覚えておきましょう。
内容を見ておきます。
失業保険申請件数は△0.42万人で、マイナスとなったのは2月以来5か月ぶりです。失業率は4.4%と、ここ数年の最低水準まで低下しました。平均所得も上昇し、2%を上回りました。
当然、直後1分足は50pips弱まで一気に跳ね上がりました。これより大きな直後1分足跳幅は、2015年8月まで遡らないとありません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
反応が大きすぎて、追撃できるpipsが少なすぎました。わかりやす過ぎる結果も困ったものです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 本指標の反応程度について次のように捉えていました。
「初期反応平均値は30pipsも跳ねています。反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいため、追撃では利確ポイントを見極めることが難しい指標だと言えます。」
来月もこの内容で問題ありません。 - 指標結果と反応方向の関係について次のように捉えていました。
「個別の発表項目の増減を見ても、反応方向がわかりにくい指標です。事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、です。この判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は87%です。」
来月もこの内容で問題ありません。 - 本指標取引上の注意点について次のように記していました。
「指標発表前に10pips以上動くことがよくあります。がしかし、過去事例に依れば、こうした動きは指標発表後の反応方向と関係あるとは言えません。」
今回、直前10-1分足跳幅が10pipsとなり、直後1分足の反応方向はそれと同方向でした。引き続き、確率的な捉え方を続けます。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 追撃の方針を次のように記していました。
「反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。大きく反応したときには、直後1分足や直後11分足の跳幅に対し値幅は30%以上となります。一方向に伸びるときにも上下動が大きくなる可能性が高いので、ご注意ください。」
結果は、発表直後に跳ね上げると、17:33には多少戻しました。17:36に直後11分足の高値を付けると、その後は戻していきました。よって今回は、過去の傾向に沿った反応だったと思われます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月14日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月15日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月15日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
※ 誤記がありました。事前差異判別結果は「-2.4」ではなく「−0.4」です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。平均の半分しか反応しなくても15pipsで、過去発表時の90%はこの15pipsを超えています。かなり大きく反応しがちなので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多すぎて、ポイントを絞るのが面倒です。
注目すべき点は、どの項目にせよ前年比が右上がりで推移しており、そろそろその右上がりが頭打ちになっている、という点です。少し前までは、このグラフが右上がりだからこそ、BOEの利上げがそろそろと話題に挙がっていました。そして、直近ではその右上がりが頭打ちになって下降に転じた気配があるからこそ、利上げを急がなくても良いのではないか、という話が挙がっています。
ここからはCPIに限った話です。
もし今回「やはり利上げは早い」と思わせるためには、前回同値で構いません。4-6月期成長率速報値が1-3月期より鈍化しているので、同値ならば「それでも利上げを」という話になりません。現状認識の追認ですから、平均以下の陰線で反応する、と予想されます。
平均以上の陰線で反応するためには、もう利上げどころではない、というグラフになる必要があります。それには前回並みに低下すれば良いと考えられます。CPI前年比2.2以下なら、インフレ鈍化が加速したように見えるでしょう。
もし今回「やはり利上げが必要」と思わせるためには、上のグラフで前年比3%付近まで上昇すれば良い、と思われます。例え成長率が鈍化する兆しがあっても、利上げ以外の手段を検討してでもインフレを何とかすべき」という議論になるはずです。そう思わせる結果になれば、反応は平均より大きな陽線となるでしょう。方向性は読めても確証に欠ける話なので、やはり平均以下の陽線となるでしょう。
もし3%を超えるCPI前年比となれば、とにかくインフレを抑え込まないと、成長率鈍化がもっと加速する可能性を示唆します。例え、瞬間的に陽線側に跳ねても、この場合には解釈に迷うでしょう。激しい上下動で反応する、と推察します。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度17%)あります。この5回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上のときは、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(27%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
直後1分足と直後11分足については、別の分析をアテにする方がよいので、詳細観察は割愛します。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月15日20:15頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
注目のCPI前年比は市場予想を下回りました。とは言え、前月結果と同値です。コアCPI前年比も同様に予想を下回って前回同値で、CPI前月比は前回・予想を下回りました。
RPIは前月比・前年比・コア前年比とも予想を上回り、コアPPI前年比は前回・予想を下回りました。
発表全体としてはまちまちな結果となりましたが、重要項目のCPI前年比が予想を下回ったため、陰線で反応しました。
陰線の大きさは、直後1分足跳幅が45pips(過去平均31pips)となって、過去10%に入る大きさです。
結果は予想を下回ったとは言え、それほどの乖離でもありません。おそらく直前10-1分足が25pipsも跳ねる陽線となっていたので、今回の直後1分足跳幅45pipsは、差し引き20pips程度の陰線、といったところなのでしょう。
取引結果は次の通りでした。
分析が外れた発表時刻を跨いだポジションが大きな損切となりました。まぁ、こんなこともあります。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月15日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
※ 誤記がありました。事前差異判別結果は「-2.4」ではなく「−0.4」です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 過去の傾向では、CPI>RPI>PPIの順に反応に影響しがちです。また、前年比>前月比、総合>コア、の順に影響しがちです。
- 発表結果と市場予想との差異(事後差異)と指標発表直後1分足の反応方向への一致率は92%と高く、結果の良し悪しに素直に反応します。
この事後差異判別式は、全項目の発表結果ー市場予想を単純に全て足し合わせて求めています。 - がしかし、指標発表直後こそ素直にかなり大きく反応しがちなものの、発表から1分を経過すると直後1分足と同じ方向に反応を伸ばしたことが31%しかありません。あまり追撃には適していない指標だと言えます。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想は難しいものの、CPI前年比の結果によって以下の反応になると予想しています。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。そしてどこかで陰線側に転じます。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陽線と見込みます。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。
(3) 発表時刻を跨いだポジションは持ちません。但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねた場合にのみ、指標発表前に同じ方向にポジションを取って、発表直後の跳ねで利確・損切します。
(4) もし初期反応が陰線なら、早期追撃参加し短期利確します。
(5) もし直後1分足が陽線なら、売ポジション取得の狙います。陽線側への追撃は行いません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。平均の半分しか反応しなくても15pipsで、過去発表時の90%はこの15pipsを超えています。かなり大きく反応しがちなので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多すぎて、ポイントを絞るのが面倒です。
注目すべき点は、どの項目にせよ前年比が右上がりで推移しており、そろそろその右上がりが頭打ちになっている、という点です。少し前までは、このグラフが右上がりだからこそ、BOEの利上げがそろそろと話題に挙がっていました。そして、直近ではその右上がりが頭打ちになって下降に転じた気配があるからこそ、利上げを急がなくても良いのではないか、という話が挙がっています。
ここからはCPIに限った話です。
もし今回「やはり利上げは早い」と思わせるためには、前回同値で構いません。4-6月期成長率速報値が1-3月期より鈍化しているので、同値ならば「それでも利上げを」という話になりません。現状認識の追認ですから、平均以下の陰線で反応する、と予想されます。
平均以上の陰線で反応するためには、もう利上げどころではない、というグラフになる必要があります。それには前回並みに低下すれば良いと考えられます。CPI前年比2.2以下なら、インフレ鈍化が加速したように見えるでしょう。
もし今回「やはり利上げが必要」と思わせるためには、上のグラフで前年比3%付近まで上昇すれば良い、と思われます。例え成長率が鈍化する兆しがあっても、利上げ以外の手段を検討してでもインフレを何とかすべき」という議論になるはずです。そう思わせる結果になれば、反応は平均より大きな陽線となるでしょう。方向性は読めても確証に欠ける話なので、やはり平均以下の陽線となるでしょう。
もし3%を超えるCPI前年比となれば、とにかくインフレを抑え込まないと、成長率鈍化がもっと加速する可能性を示唆します。例え、瞬間的に陽線側に跳ねても、この場合には解釈に迷うでしょう。激しい上下動で反応する、と推察します。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度17%)あります。この5回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上のときは、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(27%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
直後1分足と直後11分足については、別の分析をアテにする方がよいので、詳細観察は割愛します。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月15日17:30発表
以下は2017年8月15日20:15頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
注目のCPI前年比は市場予想を下回りました。とは言え、前月結果と同値です。コアCPI前年比も同様に予想を下回って前回同値で、CPI前月比は前回・予想を下回りました。
RPIは前月比・前年比・コア前年比とも予想を上回り、コアPPI前年比は前回・予想を下回りました。
発表全体としてはまちまちな結果となりましたが、重要項目のCPI前年比が予想を下回ったため、陰線で反応しました。
陰線の大きさは、直後1分足跳幅が45pips(過去平均31pips)となって、過去10%に入る大きさです。
結果は予想を下回ったとは言え、それほどの乖離でもありません。おそらく直前10-1分足が25pipsも跳ねる陽線となっていたので、今回の直後1分足跳幅45pipsは、差し引き20pips程度の陰線、といったところなのでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
分析が外れた発表時刻を跨いだポジションが大きな損切となりました。まぁ、こんなこともあります。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 過去の傾向では、CPI>RPI>PPIの順に反応に影響しがちです。また、前年比>前月比、総合>コア、の順に影響しがちです。
今回の結果を検証すると、CPI>RPIの関係のみ確認できました。 - 過去の傾向では、発表結果と市場予想との差異(事後差異)と指標発表直後1分足の反応方向への一致率は92%と高く、結果の良し悪しに素直に反応します。
この事後差異判別式は、全項目の発表結果ー市場予想を単純に全て足し合わせて求めています。
今回の結果は事後差異判別式が0で、この関係が成立していません。 - 過去の傾向では、指標発表直後こそ素直にかなり大きく反応しがちなものの、発表から1分を経過すると直後1分足と同じ方向に反応を伸ばしたことが31%しかありません。あまり追撃には適していない指標だと言えます。
今回の結果は、直後11分足が直後1分足の値幅を削りました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前10-1分足は陽線と見込んでいました。結果は陽線でした。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
- 発表時刻を跨いだポジションは持たないつもりでした。但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねた場合にのみ、指標発表前に同じ方向にポジションを取って、発表直後の跳ねで利確・損切することにしていました。
結果は、直前10-1分足が20pips以上陽線側に跳ねたので、指標発表直前に買ポジションを取って、まぁ大きな損切になりました。
(4) 初期反応が陰線なら、早期追撃参加し短期利確するつもりでした。直後1分足が陽線なら、売ポジション取得の狙うつもりでした。陽線側への追撃は行わないことにしていました。
結果は初期反応が陰線で、陰線側への追撃を行いました。
但し、発表直前が143付近で、直後に1時間足基準線142.55のサポートを一時的に下抜け、その下の転換線142.15(更に40pips下)までもうサポートはありません。指標結果は、全体として悪い訳でもなく、最注目のCPIが僅かに市場予想を下回っただけです。
本来なら、繰り返し追撃を行いたかったものの、損切を挽回する追撃は1回しか行えませんでした。結果的には20:00頃には、142.15付近まで値を下げました。がしかし、これは結果論です。17:30頃のポジションを20:00まで引っ張る訳にもいきません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月08日
英国実態指標「鉱工業生産」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月10日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月10日17:30に英国実態指標「鉱工業生産・製造業生産」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎にグラフを眺めるより先に、ポイントを探りましょう。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
指標結果への最も素直な反応は、事後差異(発表結果ー市場予想)に対して直後1分足跳幅となって表れます。よって、事後差異と直後1分足との方向一致率が高い項目が、反応への影響が大きいと見なせます。
上表から、鉱工業生産前月比>鉱工業生産前年比>製造業生産前月比>製造業生産前年比、の順に反応への影響が大きいと言えます。
では次に、もし鉱工業生産前月比の事後差異が+0.1で、製造業生産前年比が△0.3だったとき、プラスとマイナスのどちらの影響が反応方向に影響するのか、といったことが重要です。そこで、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、そうした関係がわかります。これを判別式と呼び、
で、符号を判別します。符号がプラスなら陽線、マイナスなら陰線です。
直後1分足の場合、各項目の事後差異を判別式に代入すると、過去事例の方向のうち75%が、本判別式の解の符号と一致します。
もちろん、こんな複雑な式を指標発表直後にぱぱっと求めることなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、過去の傾向と同様の反応(素直な反応)をすることがわかる点にあります。
判別式の各項係数に基づき、鉱工業生産前月比の推移に着目します。
鉱工業生産前月比の推移を見る限り、上下動が大きく、過去のグラフ推移を今回予想に役立てることには無理があります。
ただ、直近の傾向だけに着目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
次に、本指標に先立って6月集計結果が発表されている製造業PMIとの対比を行います。対比は、それぞれ実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて行います。そして、鉱工業生産の結果は、先述の判別式で求めています。
結果、下図の通り、製造業PMI結果を前月結果を比べた良し悪しが、同月集計の本指標の前月結果との良し悪しと、方向一致率が66%となっています(3回に2回程度一致する)。
がしかし、集計月が同じでも調査時期が同じかがわかりません。そこで、PMIの翌月集計分や前月集計分との対比も行いました。結果、同月集計分との一致率だけ明らかに高くなっていました。
鉱工業生産(関連の判別式結果)は、同月集計の製造業PMIとの相関がある可能性があります(仮説)。
もし、この仮説が正しいならば、6月分製造業PMIの実態差異はマイナスです。よって、今回の鉱工業生産(関連の判別式結果)は、前回結果を下回る可能性があります。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の傾向から言えば、鉱工業生産前月比と同前年比と製造業生産前月比と同前年比の発表結果は、それぞれの市場予想との差異に対し、5:3:2:1の比率で直後1分足の反応方向と75%の確率で一致します。
この確率をアテにするとき、今回の発表結果は市場予想を上回る可能性があります。
(2) 最も反応方向に影響する鉱工業生産前月比は、毎月の上下動が大きく、過去の傾向に基づく予想に向いていません。但し、直近の傾向だけに注目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
ここ最近の傾向が今回発表も続くなら、今回の発表結果は市場予想を下回る可能性があります。
(3) 鉱工業生産(と他の同時発表項目を総合した)指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。6月分製造業PMI実態差異はマイナスでした。
よって、今回の鉱工業生産は前回結果を下回る可能性があります。今回の場合、市場予想をも下回る可能性があります。
すなわち、別々の分析結論が矛盾しており「わからない」が結論です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。跳幅がその1.5倍の19pips以上だったことは過去6回(21%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が19pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が9pipsです。この跳幅が14pips以上だったことは過去3回(10%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は39pipsで、これは過去全平均24pipsより15pipsも大きく反応しています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が14pips以上に達したときには、直後1分足の反応方向がわからないものの、大きく反応することを示唆している可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
追撃判断の目安をパッと得るため、計算しやすい30pips以上だった事例について調べておきました。そうした事例は過去9回(頻度31%)あります。この9回について、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは6回(67%)あります。
直後11分足は、過去平均跳幅が33pips、過去平均値幅が23pipsで、その差が10pipsあります。
直後11分足跳幅が50pips以上に達したことは5回(頻度17%)あります。このとき、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均5pipsしかありません。
つまり、直後11分足が大きく伸びたときには、比率で言って戻りが小さくなっています。これは戻りが小さいというよりも、反応を伸ばし続ける可能性が高い、ということです。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) ときどき(頻度21%)直前10-1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の19pips以上動くことがあります。がしかし、過去の事例を見る限り、こうして直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目を見ないように気を付けましょう。
(2) たまに(頻度10%)直前1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の14pips以上動くことがあります。過去の事例を見る限り、こうして直前1分足が大きく動くときには、指標発表直後1分足も大きく動く可能性が高いようです。残念ながら、そのとき直後1分足がどちらに反応するのかはわかりません。
(3) しばしば(頻度31%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが67%となっています。但し、直後1分足が大きく跳ねたときは、大きく戻すこともあるため、追撃は慎重に行う必要があります。
(4) たまに(頻度17%)直後11分足跳幅が50pips以上に達することがあります。こうした場合、大きな戻りを心配するよりも、更に反応を伸ばしがちです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%しかありません。早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃も順張り短期利確に適しています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、ということです。
実態差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。もし、直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が総合的(判別式参照)に前回結果を下回る/上回る可能性が高い、ということです。今回の市場予想は前回結果を総合的に上回っているので、直前10-1分足が陽線ならば発表結果が市場予想を下回る可能性が高い、ということになります。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月10日21:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、鉱工業生産が前回・予想を上回り、製造業生産は前回を上回り予想と同値でした。反応は陽線でした。
なお、同時発表された貿易収支は、予想を大きく上回る赤字だったものの、反応への影響はありませんでした。鉱工業生産>貿易収支の関係は、間違いないようです。
取引結果は次の通りでした。
「分析上の外れ」を除くと、次の2点が判断ミスでした。
2度目の追撃を142.78で買ポジションを得たのは判断ミスでした。すぐその上の142.81には1時間足の基準線がレジスタンスとして存在し、ここを抜けると読んだことが外れました。
また、3度目の追撃で、142.63で買ポジションを取ったことも判断ミスでした。この付近は、指標発表後の跳ねの高値からほぼ半値戻しの位置なので、再反発して上昇すると読みました。
いずれもその後、18時過ぎには再反発して、1時間足基準線に再トライしています。がしかし、それは結果論で、追撃で2回も損切となったことは仕方ありません。反省すべきは、それぞれレジスタンス上抜け、半値戻しで反発、の判断を先走り過ぎたことです。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月10日17:30に英国実態指標「鉱工業生産・製造業生産」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 過去の傾向では、指標発表直後跳幅が平均24pipsと大きく、反応方向は鉱工業生産前月比の発表結果の良し悪しに最も影響を受けます。
- 過去の傾向では、早期追撃・短期利確に適しています。複数回の追撃も可ですが、指標発表から1分を過ぎたら順張り短期利確の繰り返しで追撃すべきです。
- 指標結果の事前分析結果は「わからない」が結論です。がしかし、もし直前10-1分足が陽線ならば、指標結果は総合的に市場予想を下回る可能性が高い、と思われます。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の予想分析は、別々の分析結論が矛盾しており、「わからない」が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 過去の傾向から言えば、鉱工業生産前月比と同前年比と製造業生産前月比と同前年比の発表結果は、それぞれの市場予想との差異に対し、5:3:2:1の比率で直後1分足の反応方向と75%の確率で一致します。
この確率をアテにするとき、今回の発表結果は市場予想を上回る可能性があります。
(2) 最も反応方向に影響する鉱工業生産前月比は、毎月の上下動が大きく、過去の傾向に基づく予想に向いていません。但し、直近の傾向だけに注目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
ここ最近の傾向が今回発表も続くなら、今回の発表結果は市場予想を下回る可能性があります。
(3) 鉱工業生産(と他の同時発表項目を総合した)指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。6月分製造業PMI実態差異はマイナスでした。
よって、今回の鉱工業生産は前回結果を下回る可能性があります。今回の場合、市場予想をも下回る可能性があります。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) ときどき(頻度21%)直前10-1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の19pips以上動くことがあります。がしかし、過去の事例を見る限り、こうして直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目を見ないように気を付けましょう。
(2) たまに(頻度10%)直前1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の14pips以上動くことがあります。過去の事例を見る限り、こうして直前1分足が大きく動くときには、指標発表直後1分足も大きく動く可能性が高いようです。残念ながら、そのとき直後1分足がどちらに反応するのかはわかりません。
(3) しばしば(頻度31%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが67%となっています。但し、直後1分足が大きく跳ねたときは、大きく戻すこともあるため、追撃は慎重に行う必要があります。
(4) たまに(頻度17%)直後11分足跳幅が50pips以上に達することがあります。こうした場合、大きな戻りを心配するよりも、更に反応を伸ばしがちです。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びた確率はそれほどでもありません。早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃も順張り短期利確に適しています。
(2) 反応一致性分析の結論は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆し無し、です。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、ということです。
実態差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。もし、直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が総合的(判別式参照)に前回結果を下回る/上回る可能性が高い、ということです。今回の市場予想は前回結果を総合的に上回っているので、直前10-1分足が陽線ならば発表結果が市場予想を下回る可能性が高い、ということになります。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
(2) もし直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に売ポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確・損切を行います。
(3) 指標発表後に反応方向を確認したら、順張り追撃して早期利確します。
(4) 発表から1分を過ぎたら、順張り追撃で短期利確を繰り返します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 12pips以下だったことは24%
- 13-24pipsが28%
- 25-36pipsが27%
- 37-47pipsが14%
- 48pips以上は7%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎にグラフを眺めるより先に、ポイントを探りましょう。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
指標結果への最も素直な反応は、事後差異(発表結果ー市場予想)に対して直後1分足跳幅となって表れます。よって、事後差異と直後1分足との方向一致率が高い項目が、反応への影響が大きいと見なせます。
上表から、鉱工業生産前月比>鉱工業生産前年比>製造業生産前月比>製造業生産前年比、の順に反応への影響が大きいと言えます。
では次に、もし鉱工業生産前月比の事後差異が+0.1で、製造業生産前年比が△0.3だったとき、プラスとマイナスのどちらの影響が反応方向に影響するのか、といったことが重要です。そこで、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、そうした関係がわかります。これを判別式と呼び、
5✕鉱工業生産前月比の差異
+3✕鉱工業生産前年比の差異
+2✕製造業生産前月比の差異
+1✕製造業生産前年比の差異
+3✕鉱工業生産前年比の差異
+2✕製造業生産前月比の差異
+1✕製造業生産前年比の差異
で、符号を判別します。符号がプラスなら陽線、マイナスなら陰線です。
直後1分足の場合、各項目の事後差異を判別式に代入すると、過去事例の方向のうち75%が、本判別式の解の符号と一致します。
もちろん、こんな複雑な式を指標発表直後にぱぱっと求めることなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、過去の傾向と同様の反応(素直な反応)をすることがわかる点にあります。
ーーー$€¥ーーー
判別式の各項係数に基づき、鉱工業生産前月比の推移に着目します。
鉱工業生産前月比の推移を見る限り、上下動が大きく、過去のグラフ推移を今回予想に役立てることには無理があります。
ただ、直近の傾向だけに着目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
ーーー$€¥ーーー
次に、本指標に先立って6月集計結果が発表されている製造業PMIとの対比を行います。対比は、それぞれ実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて行います。そして、鉱工業生産の結果は、先述の判別式で求めています。
結果、下図の通り、製造業PMI結果を前月結果を比べた良し悪しが、同月集計の本指標の前月結果との良し悪しと、方向一致率が66%となっています(3回に2回程度一致する)。
がしかし、集計月が同じでも調査時期が同じかがわかりません。そこで、PMIの翌月集計分や前月集計分との対比も行いました。結果、同月集計分との一致率だけ明らかに高くなっていました。
鉱工業生産(関連の判別式結果)は、同月集計の製造業PMIとの相関がある可能性があります(仮説)。
もし、この仮説が正しいならば、6月分製造業PMIの実態差異はマイナスです。よって、今回の鉱工業生産(関連の判別式結果)は、前回結果を下回る可能性があります。
ーーー$€¥ーーー
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の傾向から言えば、鉱工業生産前月比と同前年比と製造業生産前月比と同前年比の発表結果は、それぞれの市場予想との差異に対し、5:3:2:1の比率で直後1分足の反応方向と75%の確率で一致します。
この確率をアテにするとき、今回の発表結果は市場予想を上回る可能性があります。
(2) 最も反応方向に影響する鉱工業生産前月比は、毎月の上下動が大きく、過去の傾向に基づく予想に向いていません。但し、直近の傾向だけに注目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
ここ最近の傾向が今回発表も続くなら、今回の発表結果は市場予想を下回る可能性があります。
(3) 鉱工業生産(と他の同時発表項目を総合した)指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。6月分製造業PMI実態差異はマイナスでした。
よって、今回の鉱工業生産は前回結果を下回る可能性があります。今回の場合、市場予想をも下回る可能性があります。
すなわち、別々の分析結論が矛盾しており「わからない」が結論です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。跳幅がその1.5倍の19pips以上だったことは過去6回(21%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が19pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が9pipsです。この跳幅が14pips以上だったことは過去3回(10%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は39pipsで、これは過去全平均24pipsより15pipsも大きく反応しています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が14pips以上に達したときには、直後1分足の反応方向がわからないものの、大きく反応することを示唆している可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
追撃判断の目安をパッと得るため、計算しやすい30pips以上だった事例について調べておきました。そうした事例は過去9回(頻度31%)あります。この9回について、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは6回(67%)あります。
直後11分足は、過去平均跳幅が33pips、過去平均値幅が23pipsで、その差が10pipsあります。
直後11分足跳幅が50pips以上に達したことは5回(頻度17%)あります。このとき、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均5pipsしかありません。
つまり、直後11分足が大きく伸びたときには、比率で言って戻りが小さくなっています。これは戻りが小さいというよりも、反応を伸ばし続ける可能性が高い、ということです。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) ときどき(頻度21%)直前10-1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の19pips以上動くことがあります。がしかし、過去の事例を見る限り、こうして直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目を見ないように気を付けましょう。
(2) たまに(頻度10%)直前1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の14pips以上動くことがあります。過去の事例を見る限り、こうして直前1分足が大きく動くときには、指標発表直後1分足も大きく動く可能性が高いようです。残念ながら、そのとき直後1分足がどちらに反応するのかはわかりません。
(3) しばしば(頻度31%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが67%となっています。但し、直後1分足が大きく跳ねたときは、大きく戻すこともあるため、追撃は慎重に行う必要があります。
(4) たまに(頻度17%)直後11分足跳幅が50pips以上に達することがあります。こうした場合、大きな戻りを心配するよりも、更に反応を伸ばしがちです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%しかありません。早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃も順張り短期利確に適しています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、ということです。
実態差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。もし、直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が総合的(判別式参照)に前回結果を下回る/上回る可能性が高い、ということです。今回の市場予想は前回結果を総合的に上回っているので、直前10-1分足が陽線ならば発表結果が市場予想を下回る可能性が高い、ということになります。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月10日17:30発表
以下は2017年8月10日21:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、鉱工業生産が前回・予想を上回り、製造業生産は前回を上回り予想と同値でした。反応は陽線でした。
なお、同時発表された貿易収支は、予想を大きく上回る赤字だったものの、反応への影響はありませんでした。鉱工業生産>貿易収支の関係は、間違いないようです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
「分析上の外れ」を除くと、次の2点が判断ミスでした。
2度目の追撃を142.78で買ポジションを得たのは判断ミスでした。すぐその上の142.81には1時間足の基準線がレジスタンスとして存在し、ここを抜けると読んだことが外れました。
また、3度目の追撃で、142.63で買ポジションを取ったことも判断ミスでした。この付近は、指標発表後の跳ねの高値からほぼ半値戻しの位置なので、再反発して上昇すると読みました。
いずれもその後、18時過ぎには再反発して、1時間足基準線に再トライしています。がしかし、それは結果論で、追撃で2回も損切となったことは仕方ありません。反省すべきは、それぞれレジスタンス上抜け、半値戻しで反発、の判断を先走り過ぎたことです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の傾向では、指標発表直後跳幅が平均24pipsと大きく、反応方向は鉱工業生産前月比の発表結果の良し悪しに最も影響を受けます。
結果は、ほぼその通りになりました。 - 過去の傾向では、早期追撃・短期利確に適しています。複数回の追撃も可ですが、指標発表から1分を過ぎたら順張り短期利確の繰り返しで追撃すべきです。
結果は、発表から2-3分経過後から直後1分足値幅を削る動きに転じ、とても追撃に適していたとは言えません。ただこれは、確率上の問題なので、まだ次回から見直すようなことではありません。 - 指標結果の事前分析結果は「わからない」が結論です。がしかし、もし直前10-1分足が陽線ならば、指標結果は総合的に市場予想を下回る可能性が高い、と思われます。
結果は、直前10-1分足が陽線だったにも関わらず、指標結果は総合的に市場予想を上回りました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。損切は傷口を広げずに済みました。
- 直前10-1分足が陽線だったため、指標発表直前に売ポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確・損切を行いました。
結果は損切で、偶然、ドンと戻った瞬間に損切できたようです。 - 指標発表後に反応方向を確認したら、順張り追撃して早期利確しました。
これは問題ありません。 - 発表から1分を過ぎて、順張り追撃で短期利確を繰り返しました。
結果は損切で、これは分析で反応を伸ばすと捉えていたので、仕方ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月03日
英国金融政策発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月3日20:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月3日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 8月4日追記です。今回はインフレ報告のある月でした。上表はそのままとし訂正しませんが、後掲述する「U.結果・検証」では発表値を載せました。
「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。なお、金融政策発表時は、指標一致性分析を行っていません。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
現在の政策は次の通りです。
まず、直近の改定は2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。このように、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました(いつQEを開始したのかは調べていません)。
前回MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、ブリグジット交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っているのです。
そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価は、6月分の上昇がやや鈍化したものの、それでもコアCPI前年比は+2.4%、CPI前年比は+2.6%なので大きな上昇です。7月PMIは、製造業・建設業・サービス業が全て前月より低下しました。
政権は、6月総選挙で与党が過半数を割って以来、ごたごたが続いているようです。当然です。やらなくても良い選挙をやって、EU交渉基盤強化を図るつもりが逆になったのです。
かかる状況において、大きな政策変更が行える訳ないのです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で36pipsです。反応がかなり大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
珍しく分布に2こぶあります。市場の関心の高いテーマがあるときは、37pips以上反応するということでしょうか。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果は次の通りです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに着目し、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅とを比較して反応が伸びていたことは84%です。最も反応が伸びるのは、発表直後でなく、発表から1分経過以降の方が圧倒的に多いのです。追撃は早期参加です。
また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例が57%あります。他に起こり得る「直後11分足が直後1分足の値幅を削る場合」「直後11分足が直後1分足と反転する場合」は各25%・18%となっています。発表から1分経過時点での順張り自体の勝率は57%と、心もとない数字なので、短期利確を繰り返して追撃した方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が84%と、偏りが目立ちます。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。
指標一致性分析は金融政策発表時には行いません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月4日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」でした。委員の一人が退任したため、利上げ派は2名に減少しました。
また、インフレ報告は、成長率・インフレ率ともにおおむね下方修正されました。
反応は大きく陰線で反応しました。前月は利上げ気運の高まりを受けて大きく陽線で、当月がその後退で陰線です。これは雰囲気ですから、継続的に経済解説記事を読んでいなければ、こうした反応を理解しにくいと思います。
ともあれ、BOEの利上げはEU交渉の進展があって、且つ、成長率見通しが良くならなければ難しいでしょう。短期的にはどっちも無理です。
結局、GBPJPYは18時過ぎの高値146.72から、翌8月4日05:00に安値144.39まで233pipsも下げました(同時間帯にGBPUSDは126pipsの下げ)。
この反応に対し、BOE副総裁は「ちょっとぐらいなら利上げできるんじゃないかと思うし、(ちょっとの利上げなら)そんなに悪い影響なんてないんじゃないかな」みたいなことをラジオで発言した、と報道されています。でも、それを聞いた人たちがが「じゃあやれよ」と言ったかどうかは報道されていません。
そもそもGBP安がインフレ率を賃金上昇率よりも加速したから、生活が苦しくなって消費が落ちた、と報道されているのです。
てっきりそんなの無視して、BOEは「GBP安を作り出して企業業績(輸出業績)を支援することで、英国は(EU離脱しても)大丈夫と思わせる」狙いかと思ってました。そうではなかったようですね。
わざわざ1年、同じ床屋に通ってゴルゴ13全巻を読んだから、陰謀を疑う癖がついたのかも知れません。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
更に追撃することも考えたものの、この後のISMや翌日に控えた雇用統計への動きがどうなるか読めなかったので止めました。
事前調査分析内容を検証しておきます。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月3日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 8月4日追記です。今回はインフレ報告のある月でした。上表はそのままとし訂正しませんが、後掲述する「U.結果・検証」では発表値を載せました。
「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 今回の市場予想は現状維持となっています。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションはお勧めできません。大きく反応する指標では、地道に練習すれば、追撃だけで稼げます。
おかしな話ですが、反応が小さい指標と大きい指標の両極端は、凝った分析をしても仕方ありません。前者はトレンドに、後者はプロ参加者に、我々アマチュアは強い者に巻かれちゃいましょう。 - 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっています。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
- 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良いでしょう。
定型分析の結果は以下の通りです。なお、金融政策発表時は、指標一致性分析を行っていません。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 市場予想は現状維持となっています。
(1) 4-6月期GDP速報値は+1.7%で、1-3月期に比べて成長率が鈍化しました。懸案のコアCPI前年比も6月集計分は+2.4%で、前月より鈍化しました。
(2) 英政権は6月総選挙後のごたごたが継続しており、まだ対EU交渉に挙国一致とは言えない状況です。
(3) 前回MPC声明における利上げ前提条件は「EUの新たな貿易協定締結」「その移行期間設置の合意」などが挙げられています。BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しているものの、利上げ前提条件として「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を挙げています。いずれの条件もまだ満たせていません。
(4) よって、今回は「市場予想通り現状維持」と見込みます。 - 過去のローソク足の特徴の分析は省略します。
本指標の反応は非常に大きくなることがあるため、予兆らしきことが起きても、それをアテにして決め打ちすることは危険です。そんなことをしなくても、大きく反応する指標では、追撃がうまくなれば稼げます。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに着目し、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅とを比較して反応が伸びていたことは84%です。最も反応が伸びるのは、発表直後でなく、発表から1分経過以降の方が圧倒的に多いのです。追撃は早期参加です。
(2) また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例が57%あります。他に起こり得る「直後11分足が直後1分足の値幅を削る場合」「直後11分足が直後1分足と反転する場合」は各25%・18%となっています。発表から1分経過時点での順張り自体の勝率は57%と、心もとない数字なので、短期利確を繰り返して様子を見ながら追撃した方が良いでしょう。
(3) 直前1分足には陰線率84%と、偏りが目立ちます。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 追撃は早期参加し、短期利確を繰り返して徹底します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
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現在の政策は次の通りです。
まず、直近の改定は2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。このように、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました(いつQEを開始したのかは調べていません)。
前回MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、ブリグジット交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っているのです。
そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価は、6月分の上昇がやや鈍化したものの、それでもコアCPI前年比は+2.4%、CPI前年比は+2.6%なので大きな上昇です。7月PMIは、製造業・建設業・サービス業が全て前月より低下しました。
政権は、6月総選挙で与党が過半数を割って以来、ごたごたが続いているようです。当然です。やらなくても良い選挙をやって、EU交渉基盤強化を図るつもりが逆になったのです。
かかる状況において、大きな政策変更が行える訳ないのです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で36pipsです。反応がかなり大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 18pips以下だったことは36%
- 18-36pipsが16%
- 37-54pipsが24%
- 55-73pipsが16%
- 73pips以上は8%
です。
珍しく分布に2こぶあります。市場の関心の高いテーマがあるときは、37pips以上反応するということでしょうか。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果は次の通りです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに着目し、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅とを比較して反応が伸びていたことは84%です。最も反応が伸びるのは、発表直後でなく、発表から1分経過以降の方が圧倒的に多いのです。追撃は早期参加です。
また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例が57%あります。他に起こり得る「直後11分足が直後1分足の値幅を削る場合」「直後11分足が直後1分足と反転する場合」は各25%・18%となっています。発表から1分経過時点での順張り自体の勝率は57%と、心もとない数字なので、短期利確を繰り返して追撃した方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が84%と、偏りが目立ちます。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。
指標一致性分析は金融政策発表時には行いません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月3日20:00発表
以下は2017年8月4日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」でした。委員の一人が退任したため、利上げ派は2名に減少しました。
また、インフレ報告は、成長率・インフレ率ともにおおむね下方修正されました。
反応は大きく陰線で反応しました。前月は利上げ気運の高まりを受けて大きく陽線で、当月がその後退で陰線です。これは雰囲気ですから、継続的に経済解説記事を読んでいなければ、こうした反応を理解しにくいと思います。
ともあれ、BOEの利上げはEU交渉の進展があって、且つ、成長率見通しが良くならなければ難しいでしょう。短期的にはどっちも無理です。
結局、GBPJPYは18時過ぎの高値146.72から、翌8月4日05:00に安値144.39まで233pipsも下げました(同時間帯にGBPUSDは126pipsの下げ)。
この反応に対し、BOE副総裁は「ちょっとぐらいなら利上げできるんじゃないかと思うし、(ちょっとの利上げなら)そんなに悪い影響なんてないんじゃないかな」みたいなことをラジオで発言した、と報道されています。でも、それを聞いた人たちがが「じゃあやれよ」と言ったかどうかは報道されていません。
そもそもGBP安がインフレ率を賃金上昇率よりも加速したから、生活が苦しくなって消費が落ちた、と報道されているのです。
てっきりそんなの無視して、BOEは「GBP安を作り出して企業業績(輸出業績)を支援することで、英国は(EU離脱しても)大丈夫と思わせる」狙いかと思ってました。そうではなかったようですね。
わざわざ1年、同じ床屋に通ってゴルゴ13全巻を読んだから、陰謀を疑う癖がついたのかも知れません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
更に追撃することも考えたものの、この後のISMや翌日に控えた雇用統計への動きがどうなるか読めなかったので止めました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証しておきます。
- 今回の市場予想は現状維持となっていました。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションは勧められません。
結果は追撃成功で、特に大きく動いたので十分な利益を確保できました。来月も見直しの必要はありません。 - 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっていました。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
結果はその通りになりました。来月も見直しの必要はありません。 - 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良い、と考えていました。
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 追撃は早期参加し、短期利確を繰り返して徹底するシナリオでした。問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月3日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月3日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
20:00にはBOE(MPC)金融政策の発表が予定されています。本指標発表前後の動きもいつもと違う可能性があるのでご注意ください。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。2017年に入ってからは上下動1.5回目で、今はその上下動のボトムにあたります。
先の急上昇がGBP安による輸出好調だったなら、今年に入っての上下動もGBP高・GBP安の影響かも知れません。確かめてみましょう。
確かめるなら、貿易額比率が大きいEURGBPについてでなければいけません。サービス業PMIとその調査月月初のEURGBPの関係は、PMIの直近ピークの2016年12月分を基準とし、
の関係があります。
EURGBP↑はGBP安、↓はGBP高ですから、因果関係も説明がつきそうです。
よって、現状のPMI上下動はEURGBPの動きと相関があると仮定します。このとき、今回7月分発表ではEURGBP0.88で↑なので、PMIは↓と予想されます。
市場予想と発表結果の大小関係が、前月と入れ替わった回数は15回(50%)です。
入れ替わり頻度が多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
製造業PMIとの方向一致率は、先月(7月5日6月分発表)に求めたばかりです。結果は実態差異の方向一致率が58%でした。
両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%(概算最新値61%)なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
一応付記しておくと、当月発表(7月分)の製造業PMIは前月より改善していました。
※ 本分析は2015年1月分から2017年5月分までのデータ(30回)に基づいています。先月発表6月分は、実態差異方向が一致していたので、3%程度、その一致率は上昇しています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が12pipsです。跳幅がその1.5倍の18pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
平均値である24pipsは計算しにくいので、大きな反応の目安として30pipsと決めましょう。直後1分足跳幅が30pips以上も跳ねたことは、過去に7回(頻度23%)あります。この7回に着目すると、直後1分足が30pips以上の跳ねから逆方向に転じたことは、過去に1度もありません。但し、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことは3回(値幅を伸ばしたことが4回)です。反応が伸びるとは言えません。
直後11分足の過去平均跳幅・値幅は各33pips・20pipsです。その差は13pipsあります。
過去平均よりも大きく、直後11分足跳幅が50pipsに達した場合を観察してみましょう。そうした事例は過去3回ありました。この3回の直後11分足跳幅と値幅の差は平均24pipsです。つまり、大きく反応が伸びたときには、それに応じた大きな戻りがあります。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
結論は、巻頭に図示しています、そちらをご参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは70%です。方向一致率が高く、発表から1分を過ぎて更に反応を伸ばした確率も高い以上、初期反応を確認したら早期参加です。
また、直後1分足終値がついた時点から見た直後11分足終値は、そのまま反応を伸ばすことと、直後1分足値幅を削ることと、直後1分足と反転すること、の3通りが起こり得ます。本指標でそのまま反応を伸ばした事例は57%です。安心してポジションを持ち続けるには心もとない数字です。
よって、追撃は短期利確の繰り返しが良いでしょう。
直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは見受けられません。
直前10-1分足は実態差異との方向一致率が72%です。もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果が前回結果を下回り、それは今回の場合だと市場予想も下回る、ということを示唆していることになります。
直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各79%・82%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月3日19:40頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は同値でした。がしかし、シナリオに反して指標発表直前にポジションを取り損切です。こういうのが一番いけませんね。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオを検証します。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月3日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
20:00にはBOE(MPC)金融政策の発表が予定されています。本指標発表前後の動きもいつもと違う可能性があるのでご注意ください。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 最近の本指標実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPレートとの相関が見受けられます。
- 過去の傾向では、反応程度が大きく、反応方向は素直です。
- 過去の傾向では、指標発表後に早期追撃に入り、短期利確を繰り返すやり方が良さそうです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 今回の指標結果は市場予想を下回ると予想しています。
(1) 市場予想では前回結果を上回る、とされています。
(2) 直近の発表結果には上下動があります。この上下動はEURGBPの動きとの相関が窺えます。もしこの相関が今回発表でも成り立つなら、今回発表値は前回結果を下回ります。
(3) 先に発表された製造業PMIは、前月結果を上回っていました。製造業PMIとサービス業PMIの実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は約61%です。
(4) (2)と(3)の分析結果が矛盾しています。分析が矛盾するときには、因果関係が強い方を採用します。直近の相関は(2)の方が高いことから、今回発表は前回結果を下回る、と予想します。これは、市場予想を下回る、という結論でもあります。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) まれに(頻度10%)直前10-1分足跳幅は、過去平均の1.5倍18pips以上動きます。がしかし、こうした事例において、指標発表直後1分足の反応や方向を示唆している兆候はありません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) たまに(頻度16%)直前1分足跳幅は、過去平均の1.5倍12pips以上動きます。がしかし、こうした事例において、指標発表直後1分足の反応や方向を示唆している兆候はありません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(3) ときどき(頻度23%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、発表から1分間に大きな跳ねから値幅が反転した(大きな跳ねの方向と陰線・陽線の方向が反転した)ことがありません。がしかし、1分を過ぎて反応が伸びるとは限りません。
(4) まれに(頻度10%)直後11分足跳幅が50pips以上となります。こうした事例では、大きく反応が伸びた分だけ大きく戻りがちです。気をつけましょう。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは70%です。方向一致率が高く、発表から1分を過ぎて更に反応を伸ばした確率も高い以上、初期反応を確認したら早期参加です。
また、直後1分足終値がついた時点から見た直後11分足終値は、そのまま反応を伸ばすことと、直後1分足値幅を削ることと、直後1分足と反転すること、の3通りが起こり得ます。本指標でそのまま反応を伸ばした事例は57%です。安心してポジションを持ち続けるには心もとない数字です。よって、追撃は短期利確の繰り返しが良いでしょう。
(2) 直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは見受けられません。
(3) 直前10-1分足は実態差異との方向一致率が72%です。もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果が前回結果を下回り、それは今回の場合だと市場予想も下回る、ということを示唆していることになります。
直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各79%・82%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は、直前10-1分足が陰線のとき陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得します。直前10-1分足が陽線の場合、取引を諦めます。
(3) 追撃は初期反応を確認したら短期利確を繰り返しながら行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 12pips以下だったことは27%
- 13-24pipsが40%
- 25-34pipsが16%
- 34-48pipsが10%
- 49pips以上は7%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。2017年に入ってからは上下動1.5回目で、今はその上下動のボトムにあたります。
先の急上昇がGBP安による輸出好調だったなら、今年に入っての上下動もGBP高・GBP安の影響かも知れません。確かめてみましょう。
確かめるなら、貿易額比率が大きいEURGBPについてでなければいけません。サービス業PMIとその調査月月初のEURGBPの関係は、PMIの直近ピークの2016年12月分を基準とし、
- 2016年12月:56.2と0.85(基準)
- 2017年 2月:53.3と0.86(↓対↑)
- 2017年 4月:55.0と0.85(↑と↓)
- 2017年 6月:53.4と0.87(↓と↑)
の関係があります。
EURGBP↑はGBP安、↓はGBP高ですから、因果関係も説明がつきそうです。
よって、現状のPMI上下動はEURGBPの動きと相関があると仮定します。このとき、今回7月分発表ではEURGBP0.88で↑なので、PMIは↓と予想されます。
ーーー$€¥ーーー
市場予想と発表結果の大小関係が、前月と入れ替わった回数は15回(50%)です。
入れ替わり頻度が多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
ーーー$€¥ーーー
製造業PMIとの方向一致率は、先月(7月5日6月分発表)に求めたばかりです。結果は実態差異の方向一致率が58%でした。
両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%(概算最新値61%)なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
一応付記しておくと、当月発表(7月分)の製造業PMIは前月より改善していました。
※ 本分析は2015年1月分から2017年5月分までのデータ(30回)に基づいています。先月発表6月分は、実態差異方向が一致していたので、3%程度、その一致率は上昇しています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が12pipsです。跳幅がその1.5倍の18pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
平均値である24pipsは計算しにくいので、大きな反応の目安として30pipsと決めましょう。直後1分足跳幅が30pips以上も跳ねたことは、過去に7回(頻度23%)あります。この7回に着目すると、直後1分足が30pips以上の跳ねから逆方向に転じたことは、過去に1度もありません。但し、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことは3回(値幅を伸ばしたことが4回)です。反応が伸びるとは言えません。
直後11分足の過去平均跳幅・値幅は各33pips・20pipsです。その差は13pipsあります。
過去平均よりも大きく、直後11分足跳幅が50pipsに達した場合を観察してみましょう。そうした事例は過去3回ありました。この3回の直後11分足跳幅と値幅の差は平均24pipsです。つまり、大きく反応が伸びたときには、それに応じた大きな戻りがあります。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
結論は、巻頭に図示しています、そちらをご参照願います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは70%です。方向一致率が高く、発表から1分を過ぎて更に反応を伸ばした確率も高い以上、初期反応を確認したら早期参加です。
また、直後1分足終値がついた時点から見た直後11分足終値は、そのまま反応を伸ばすことと、直後1分足値幅を削ることと、直後1分足と反転すること、の3通りが起こり得ます。本指標でそのまま反応を伸ばした事例は57%です。安心してポジションを持ち続けるには心もとない数字です。
よって、追撃は短期利確の繰り返しが良いでしょう。
直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは見受けられません。
直前10-1分足は実態差異との方向一致率が72%です。もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果が前回結果を下回り、それは今回の場合だと市場予想も下回る、ということを示唆していることになります。
直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各79%・82%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月3日17:30発表
以下は2017年8月3日19:40頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は同値でした。がしかし、シナリオに反して指標発表直前にポジションを取り損切です。こういうのが一番いけませんね。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 事前分析では、最近の本指標実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPレートとの相関が見受けられる、と指摘していました。後述するように、だから陰線に賭けて売ポジションを取りました。結果は損切でした。
- 過去の傾向では、反応程度が大きく、反応方向は素直です。
結果は、直後1分足の反応がいつもより小さく、直後11分足で146.5付近のレジスタンスをブレークして大きく反応しました。 - 過去の傾向では、指標発表後に早期追撃に入り、短期利確を繰り返すやり方が良さそう、と指摘していました。
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証します。
- 直前1分足は陰線と見込みました。問題ありません。
- 直後1分足は、直前10-1分足が陰線のとき陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得するつもりでした。直前10-1分足が陽線の場合、取引を諦めることにしていました。
結果は、直前10-1分足が同値にも関わらず取引して損切です。シナリオには問題ありません。
(3) 追撃は初期反応を確認したら短期利確を繰り返しながら行う、としていました。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上