2017年09月02日
4-4-2. 英国経済実態指標(2017年9月版)
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントです。
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、7月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
グラフ推移は、鉱工業生産指数が前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、2017年2月分をボトムに上昇中です。製造業生産指数も、2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年9月8日発表結果検証済)
同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数の反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、です。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
追撃は、早期開始・短期利確の繰り返しに向いており、ポジションの長持ちには向かない指標です。
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
【4-4-2.(1) 経済成長】
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
がしかし、7月26日に発表された4-6月期改定値は前年比+1.7%で、1-3月期確定値を下回り、米国4-6月期GDP速報値+2.6%に抜かれました。+1.7%というのは悪い数字ではないにせよ、相対的悪化と見なせます。
8月24日に発表された4-6月期も速報値同値で、市場の反応は陰線でした。この反応は、個人消費(+0.1%)・企業投資(0%)ともに、悪化と見なされたようです。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月24日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
【4-4-2,(2) 実態指標】
他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。
(2-1) 小売
8月17日に発表された小売売上高指数は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。これではBOE利上げに繋がりません。
(分析事例) 小売売上高指数(2017年8月17日発表結果検証済)
本指標は、発表結果の良し悪しを、直前10-1分足の方向が示しがちです。そして、指標発表後の反応持続性には不安があるので、追撃はほどほどにしておかないと痛い目に遭いかねません。
なお、指標発表前に10pips以上跳ねることが散見されるものの(頻度33%)、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。こうした長ヒゲを形成しがちな指標は、取引が難しいものです。
(2-2) 生産
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、7月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
グラフ推移は、鉱工業生産指数が前回6月分の+0.5%からは鈍化したものの、2017年2月分をボトムに上昇中です。製造業生産指数も、2017年1月分をボトムに上昇に転じたように見受けられます。
(分析事例) 鉱工業生産指数(2017年9月8日発表結果検証済)
同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数の反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、です。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
追撃は、早期開始・短期利確の繰り返しに向いており、ポジションの長持ちには向かない指標です。
(2-3) 住宅
ほぼ反応しないので、取引は行いません。
8月10日に発表された7月分RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数は+1でした。
本指標には長周期の波が観察されており、前回の波の底はEU離脱国民投票直後の2016年7月で(+6)、その後11月に直近ピーク(+30)をつけてから現在は下降中でした。今回結果+1は、前回の波の底を下抜けたことになります。直近のボトムは2016年12月分の△2.0%となります。
8月21日に発表された8月分ライトムーブ住宅価格前月比は△0.9%で、前月のプラス転換(+0.1%)は前月のみに留まりました。2017年2月を直近ピークに、価格上昇率が低下傾向になっており、今回のマイナス再転換によって、下降基調が明確になりました。
EU離脱条件がはっきりするまでに、企業の英残留・縮小・欧移転がどの程度決まるかがわかりません。そして、英不動産投資は高値掴みとなる恐れがあるうちは、上昇基調転換は難しいと見込まれます。
【4-4-2.(3) 貿易指標】
7月7日に発表された5月分貿易収支は△119億GBPの赤字でした。
8月10日に発表された6月分貿易収支は△127億GBPの赤字でした。
英国貿易収支は月々の上下動があるものの、長期的にその上下動は赤字拡大側に推移しています。
英国貿易収支は他の指標と発表されることが多く、反応も同時発表される他の指標に従いがちです(影響力が弱い)。よって、指標分析を行っても、そこで得られる傾向は貿易収支によるものを分離して分析することができません。
以上
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6657136
この記事へのトラックバック