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2017年11月14日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月14日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月14日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は指標発表前に再確認してください。
以前、BOEは今回発表の「10月分でCPI前年比が+3.2%でピークを迎える」との見解を示しています。もちろん、このような予測は、時期が1・2か月ずれても、値が0.1%ずれても、ほぼ的中と言っても良い精度と言えるでしょう。だから、この予測で着目すべき点は、そろそろピークを迎えるという部分です。ちなみに、BOEがこのような予想をしていた論拠中核は、英経済との結びつきが強いEURGBPが昨年10月に上昇一服となっているからです(たぶん)。
このように、物価高の原因はGBP安です。この点について考察すると、GBP安を抑え込むための利上げは現時点において効果なく、むしろややGBPは利上げ直前よりも安くなっています。更に、英首相の求心力低下と、それに伴うEU離脱交渉の難航は、先にBOEが予測していなかった事態と推察されます。
よって、英政府やBOEの施策が物価高に無効なら、物価高は消費低迷に繋がり、例え物価上昇という結果になっても陽線での反応時間が短くなる(どこかで反転する)公算が高いと見込めます。
さて、そういうことは別にして、本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られませんからね。これは難しい話です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。前回は反応が小さかったものの、これは利上げ前月で判断に迷ったと解釈する方がすっきりします。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前回9月分では、CPI前年比は3%に達しました。今回10月分の予想は3.1%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。よって、今回は前月発表結果3.0%を上回る可能性が高いものの、今後数か月はGBP安一服ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は69%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が69%ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・59%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が72%、直前1分足の陰線率が83%となっており、偏りが見受けられます。
さて、現在の市況で指標発表前にGBPを買う選択は難しいと思います。
だから、こう理解してください。こうした確率は、確率通りに取引を行うか、そもそも取引を行わないか、の選択のためにあるのです。少なくとも、確率に反する取引を行うという選択肢を除外するためのものです。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら63%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが、投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月17日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はほぼ前月に同じでしたが、市場予想をやや下回りました。反応は陰線で、直後1分足跳幅は49pipsでした。
細かく見ていきましょう。
CPIは、前月比が3か月連続プラスだったものの、徐々にプラス幅が小さくなってきました。前年比は、前回8月分と同じく直近ピークの3%で高止まりしています。コアCPI前年比も、7月分以降は、3か月連続+2.7%で高止まりしています。
このうち、CPI前年比は昨年5月頃から、コアCPI前年比は昨年10月頃から、上昇基調となっているため、来月の発表からは伸び難くなるでしょう。
そして、反応には結びつかないものの、コアPPIの下降基調転換がはっきりしてきました。でもなぜコアPPIは下がり始めているのでしょう。CPI上昇の主因と言えるGBP安は、PPIでも輸入原材料高に結び付いてもよいはずです。そうならないのは、PPIの場合、モノが売れて量産効果が高まれば、CPIやRPIよりも下げ幅が大きくなるのです。
なぜか。
製造業には、一般の販売会社の営業益に加えて製造益があります。もし材料原価が3%ぐらいあがっても、たったの3%ぐらい仕事が増えても主たる固定費(労務費)は一定のままです。稼働率が7割の設備を8割動かしても、(動力費こそ増えますが)この程度なら増員する必要もありません。設備稼働率を上げて固定費を増やさずに対応できている間は増収増益となる訳です。
実際、製造業生産指数はまだ9月分までしか発表されていないものの、前年比は4月分を除けば今年に入ってプラス推移を継続しています。
ロイターは、本指標結果の解説記事で、経済成長が頭打ちの状態で利上げを行ったBOEの判断を疑問視する声があがる可能性について、指摘しています。
そりゃそうだと思います。
今のうちに利上げしておかないと、という考えはBOEにないと信じますが、それにしても先の利上げは不可解でした。BOEの使命は、物価上昇を抑えつつ成長を促進することで雇用を確保することだったはずです。こりゃ過去のパターンなら、利上げでなく何らかの量的緩和が必要だったのではないでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
何とか取り返せました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月14日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は指標発表前に再確認してください。
以前、BOEは今回発表の「10月分でCPI前年比が+3.2%でピークを迎える」との見解を示しています。もちろん、このような予測は、時期が1・2か月ずれても、値が0.1%ずれても、ほぼ的中と言っても良い精度と言えるでしょう。だから、この予測で着目すべき点は、そろそろピークを迎えるという部分です。ちなみに、BOEがこのような予想をしていた論拠中核は、英経済との結びつきが強いEURGBPが昨年10月に上昇一服となっているからです(たぶん)。
このように、物価高の原因はGBP安です。この点について考察すると、GBP安を抑え込むための利上げは現時点において効果なく、むしろややGBPは利上げ直前よりも安くなっています。更に、英首相の求心力低下と、それに伴うEU離脱交渉の難航は、先にBOEが予測していなかった事態と推察されます。
よって、英政府やBOEの施策が物価高に無効なら、物価高は消費低迷に繋がり、例え物価上昇という結果になっても陽線での反応時間が短くなる(どこかで反転する)公算が高いと見込めます。
さて、そういうことは別にして、本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られませんからね。これは難しい話です。
- 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
論拠は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となっているからです。事後差異とは、発表結果ー市場予想、です。 - 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)があります。
がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去31%しかありません。
一方、いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を多少削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多いので、期待値の観点から抜けたら追撃徹底です。 - 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。
(1) まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ15pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは22%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは25%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。覚えておくことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
(2) また、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。
(3) それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は75%。直前1分足の陰線率は83%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が71%と、取引参加者は予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあることも、本指標の特徴と言えるでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅15pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねているので、あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが1/3を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。 - もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。前回は反応が小さかったものの、これは利上げ前月で判断に迷ったと解釈する方がすっきりします。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前回9月分では、CPI前年比は3%に達しました。今回10月分の予想は3.1%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。よって、今回は前月発表結果3.0%を上回る可能性が高いものの、今後数か月はGBP安一服ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は69%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が69%ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・59%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が72%、直前1分足の陰線率が83%となっており、偏りが見受けられます。
さて、現在の市況で指標発表前にGBPを買う選択は難しいと思います。
だから、こう理解してください。こうした確率は、確率通りに取引を行うか、そもそも取引を行わないか、の選択のためにあるのです。少なくとも、確率に反する取引を行うという選択肢を除外するためのものです。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら63%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが、投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅15pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねているので、あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが1/3を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。 - もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。
以上
2017年11月14日18:30発表
以下は2017年11月17日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はほぼ前月に同じでしたが、市場予想をやや下回りました。反応は陰線で、直後1分足跳幅は49pipsでした。
細かく見ていきましょう。
CPIは、前月比が3か月連続プラスだったものの、徐々にプラス幅が小さくなってきました。前年比は、前回8月分と同じく直近ピークの3%で高止まりしています。コアCPI前年比も、7月分以降は、3か月連続+2.7%で高止まりしています。
このうち、CPI前年比は昨年5月頃から、コアCPI前年比は昨年10月頃から、上昇基調となっているため、来月の発表からは伸び難くなるでしょう。
そして、反応には結びつかないものの、コアPPIの下降基調転換がはっきりしてきました。でもなぜコアPPIは下がり始めているのでしょう。CPI上昇の主因と言えるGBP安は、PPIでも輸入原材料高に結び付いてもよいはずです。そうならないのは、PPIの場合、モノが売れて量産効果が高まれば、CPIやRPIよりも下げ幅が大きくなるのです。
なぜか。
製造業には、一般の販売会社の営業益に加えて製造益があります。もし材料原価が3%ぐらいあがっても、たったの3%ぐらい仕事が増えても主たる固定費(労務費)は一定のままです。稼働率が7割の設備を8割動かしても、(動力費こそ増えますが)この程度なら増員する必要もありません。設備稼働率を上げて固定費を増やさずに対応できている間は増収増益となる訳です。
実際、製造業生産指数はまだ9月分までしか発表されていないものの、前年比は4月分を除けば今年に入ってプラス推移を継続しています。
ロイターは、本指標結果の解説記事で、経済成長が頭打ちの状態で利上げを行ったBOEの判断を疑問視する声があがる可能性について、指摘しています。
そりゃそうだと思います。
今のうちに利上げしておかないと、という考えはBOEにないと信じますが、それにしても先の利上げは不可解でした。BOEの使命は、物価上昇を抑えつつ成長を促進することで雇用を確保することだったはずです。こりゃ過去のパターンなら、利上げでなく何らかの量的緩和が必要だったのではないでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
何とか取り返せました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 本指標の判別式は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)で、この解の符号と指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となっていました。
今回の解の符号はマイナスだったので、陰線での反応はこの式の過去の方向一致率と合致しています。 - 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)がありました。
今回は、前年比が市場予想と同値で、前月比のみがマイナスでした。陰線での反応は、この話と一致しています。 - がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきと捉えていました。過去の平均的な反応では、発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去31%しかないからです。がしかし、いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込んでいました。
結果は△20pipsを超えていたので、抜けたら追うで正解でした。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年11月09日
英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月10日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月10日18:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。内容的には前月と変わりません(数値を最新の値に更新しただけです)。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
本指標発表前後の反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
巻頭に挙げた表では、直後1分足跳幅は13-34pipsの範囲に56%が分布しています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見たって、この先どうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が低くなるように、各項目の係数を求めています。高くなるように係数を求めることはできませんでした。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が22%となりました(不一致率78%)。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が78%となりました。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が69%となりました。
本指標に先立ち、同じ9月集計分の製造業PMIが既に発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度6%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きいようです。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向が大きくなる可能性はあるものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではないようです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度31%)ありました。
この10回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きくなっています。また、この10回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(50%)が一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向がやや大きくなるかもしれないものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率31%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲内です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。驚くべきことに、その75%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。この数字は、直後1分足と直後11分足が方向不一致だった場合にも、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%あるということです。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは53%です。53%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
本指標に関しては、さっさと取引を始めてさっさと終わる方が勝率が高くなるでしょう(毎回それを繰り返すことが大切です)。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月11日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に予想を上回り、製造業生産指数前年比を除いて前回結果も上回りました。反応は陽線でした。
前年比は、鉱工業生産指数・製造業生産指数ともに2017年4月分をボトムに上昇継続中です。次回発表10月分は、昨年の落ち込み時期と一致しており、改善継続が期待されます。
前月比は、鉱工業生産指数が4か月連続プラスで、製造業生産指数が3か月連続プラスとなっています。
反応は、指標発表直前149.07円から、直後1分足跳値が149.30円を一時上抜けたものの、ここがレジスタンスになりました。149.30円付近は、この日17時過ぎの高値149.32円と、その前高値11月9日12時過ぎの148.69円とを結んだ線上でした。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足と指標発表直後の追撃は、分析通りにうまくいきました。
再追撃のポジションをとった149.26円は、直後1分足終値付近です。また、再々追撃を行った149.15円付近は直後1分足からのほぼ半値戻し付近です。ここで再反転しなかったので、もう追撃を諦めました。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
T.指標予想要点
2017年11月10日18:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。内容的には前月と変わりません(数値を最新の値に更新しただけです)。
- 同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数・貿易収支において、反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数>貿易収支、となります。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
- 本指標と製造業PMIとの相関は無いと言っても構いません。また、指標発表前から10pips以上跳ねることがときどきあるものの、その跳ねた方向は直後1分足の反応方向との相関が高くありません。
騙されないように気を付けましょう。 - 直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率が22%(不一致率が78%)となっています。
また、事後差異と直後1分足との方向一致率は78%と高く、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。
追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが75%(両者終値が同方向の場合には100%)もあり、早期開始に適しています。指標発表から1分を経過すると、どの時点かで一旦利確して、再度追撃する場合には改めてポジションを取り直した方が良さそうです。指標発表から11分後には1分後よりも反応が伸びていた確率が50%を僅かに上回る程度しかありません。
指標発表後の上下動は大きく、直後1分足と直後11分足のヒゲは、平均的に値幅の1/3程度になっています。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)です。 - 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
論拠は反応性分析結論に依ります。 - 再追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが75%(直後1分足と直後11分足が方向一致した場合は100%)ある点に注目します。直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
但し、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えたことが53%しかありません。しつこい追撃には向いていません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
ーーー$€¥ーーー
本指標発表前後の反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
巻頭に挙げた表では、直後1分足跳幅は13-34pipsの範囲に56%が分布しています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見たって、この先どうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が低くなるように、各項目の係数を求めています。高くなるように係数を求めることはできませんでした。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が22%となりました(不一致率78%)。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が78%となりました。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が69%となりました。
ーーー$€¥ーーー
本指標に先立ち、同じ9月集計分の製造業PMIが既に発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度6%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きいようです。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向が大きくなる可能性はあるものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではないようです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度31%)ありました。
この10回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きくなっています。また、この10回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(50%)が一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向がやや大きくなるかもしれないものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率31%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲内です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。驚くべきことに、その75%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。この数字は、直後1分足と直後11分足が方向不一致だった場合にも、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%あるということです。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは53%です。53%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
本指標に関しては、さっさと取引を始めてさっさと終わる方が勝率が高くなるでしょう(毎回それを繰り返すことが大切です)。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)です。 - 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
論拠は反応性分析結論に依ります。 - 再追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが75%(直後1分足と直後11分足が方向一致した場合は100%)ある点に注目します。直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
但し、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えたことが53%しかありません。しつこい追撃には向いていません。
以上
2017年11月10日18:30発表
以下は2017年11月11日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に予想を上回り、製造業生産指数前年比を除いて前回結果も上回りました。反応は陽線でした。
前年比は、鉱工業生産指数・製造業生産指数ともに2017年4月分をボトムに上昇継続中です。次回発表10月分は、昨年の落ち込み時期と一致しており、改善継続が期待されます。
前月比は、鉱工業生産指数が4か月連続プラスで、製造業生産指数が3か月連続プラスとなっています。
反応は、指標発表直前149.07円から、直後1分足跳値が149.30円を一時上抜けたものの、ここがレジスタンスになりました。149.30円付近は、この日17時過ぎの高値149.32円と、その前高値11月9日12時過ぎの148.69円とを結んだ線上でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足と指標発表直後の追撃は、分析通りにうまくいきました。
再追撃のポジションをとった149.26円は、直後1分足終値付近です。また、再々追撃を行った149.15円付近は直後1分足からのほぼ半値戻し付近です。ここで再反転しなかったので、もう追撃を諦めました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 9月分製造業PMIの実態差異はマイナスでした。やはり、本指標実態差異とは不一致となっています。
また、直前10-1分足跳幅は10pipsを超えたものの、発表直後の反応はそれとは逆になりました。 - 直前10-1分足は事前差異との方向一致率が22%(不一致率が78%)となっていました。結果は不一致で、直前10-1分足は陰線でした。(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。以上ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。以上
2017年11月01日
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月3日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月3日18:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(11月1日)の値なので、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及びません。
本指標発表直後の反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。但し、巻頭に挙げた今回指標要点を纏めた分布を見ると、12pips以下しか反応しなかったことが76%にも達しています。たまに大きく反応したとき、その大きさが半端じゃない、ということでしょう。そういう意味で、注意が必要な指標です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。直近ピークは2017年4月分の55.8、直近ボトムは2017年前々回8月分の53.2です。今回の市場予想は前回よりもやや低下するものの、直近ボトムよりはやや上となっています。
PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
10月 △ △ ?
9月 △ + +
8月 + △ △
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + +
2月 △ △ △
1月 + + △
EURGBPと実態差異は8回中9回一致(方向一致率22%)、GBPUSDと実態差異は9回中7回(同78%)です。10月月足では、EURGBPがマイナス、GBPUSDがマイナスで、狙いとするPMI実態差異がプラスになるかマイナスになるかが矛盾しています。残念ながら、当月は為替レートを予想の根拠にできません。
先に発表されている製造業PMIとの関係も見ておきましょう。
上図を見る限り、事前差異(市場予想ー前回結果)だけ、製造業PMIとサービス業PMIの方向一致率が72%と、70%を超えています。がしかし、事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回結果)のように発表結果を絡めると、両指標の一致率は下がっています。まして、反応方向に至っては、両指標間の一致率がほぼ50%となっています。
つまり、両指標間で、先に発表される製造業PMIは、後で発表されるサービス業PMIの取引で、参考にし得る情報がありません。前回結果に対する市場予想の大小関係が一致しがちなだけです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は7pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度15%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率36%)です。反応が大きい指標の戻り比率としては普通ですが、比率でなくpipsで見れば大きいので、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が72%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.81=58%です。
これに加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.72)✕(1−0.81)=5%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、58%+5%=63%となり、あまり高くありません。
この結果は次に挙げる反応一致性分析(異なるロジックでの分析方法)でも、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が58%しかないことと、大筋で一致しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ81%・73%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは72%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは58%です。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。追撃を続けるにせよ、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月3日21:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
直近では比較的大きく事後差異・実態差異が大きくなりました。直近ピークの2017年4月分(55.8)には僅かに及ばなかったものの、来月発表(11月分)で今回を上回れば、上昇基調転換の可能性があります。
取引結果は次の通りでした。
初回追撃は損切となりました。損切しなければ5分後ぐらいには含益に転じていたようですが、これは仕方ありません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月3日18:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(11月1日)の値なので、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 先に発表される製造業PMIとは、指標結果の良し悪しや反応方向の相関が高くありません。
注目すべき点は、本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)が、同月のEURGBPの上下動と逆相関し、GBPUSDの上下動と相関している可能性がある点です。2017年に入ってからのEURGBP月足方向と本指標実態差異の方向一致率は22%(不一致率78%)、GBPUSD月足方向と本指標実態差異の方向一致率は78%となっています。
がしかし、残念ながら10月月足はEURGBPもGBPUSDも陰線でした。この分析法では結論が矛盾することになってしまいます(EURGBPを見るなら実態差異はプラス、GBPUSDを見るなら実態差異はマイナス)。 - 前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。追撃は反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しが良いでしょう。直後1分足と直後11分足の終値同士を比較したとき、反応を伸ばしていたことは57%しかなく、ポジションを長持ちするには心もとない数字です。
- まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が76%です。 - 直後1分足は陽線と見込みます。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が72%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.81=58%です。
加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.72)✕(1−0.81)=5%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、58%+5%=63%となります。
期待的中率63%と、あまり高くないのでお薦めはしません。 - 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及びません。
ーーー$€¥ーーー
本指標発表直後の反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。但し、巻頭に挙げた今回指標要点を纏めた分布を見ると、12pips以下しか反応しなかったことが76%にも達しています。たまに大きく反応したとき、その大きさが半端じゃない、ということでしょう。そういう意味で、注意が必要な指標です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。直近ピークは2017年4月分の55.8、直近ボトムは2017年前々回8月分の53.2です。今回の市場予想は前回よりもやや低下するものの、直近ボトムよりはやや上となっています。
ーーー$€¥ーーー
PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
10月 △ △ ?
9月 △ + +
8月 + △ △
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + +
2月 △ △ △
1月 + + △
EURGBPと実態差異は8回中9回一致(方向一致率22%)、GBPUSDと実態差異は9回中7回(同78%)です。10月月足では、EURGBPがマイナス、GBPUSDがマイナスで、狙いとするPMI実態差異がプラスになるかマイナスになるかが矛盾しています。残念ながら、当月は為替レートを予想の根拠にできません。
ーーー$€¥ーーー
先に発表されている製造業PMIとの関係も見ておきましょう。
上図を見る限り、事前差異(市場予想ー前回結果)だけ、製造業PMIとサービス業PMIの方向一致率が72%と、70%を超えています。がしかし、事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回結果)のように発表結果を絡めると、両指標の一致率は下がっています。まして、反応方向に至っては、両指標間の一致率がほぼ50%となっています。
つまり、両指標間で、先に発表される製造業PMIは、後で発表されるサービス業PMIの取引で、参考にし得る情報がありません。前回結果に対する市場予想の大小関係が一致しがちなだけです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は7pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度15%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率36%)です。反応が大きい指標の戻り比率としては普通ですが、比率でなくpipsで見れば大きいので、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が72%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.81=58%です。
これに加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.72)✕(1−0.81)=5%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、58%+5%=63%となり、あまり高くありません。
この結果は次に挙げる反応一致性分析(異なるロジックでの分析方法)でも、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が58%しかないことと、大筋で一致しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ81%・73%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは72%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは58%です。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。追撃を続けるにせよ、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が76%です。 - 直後1分足は陽線と見込みます。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が72%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.81=58%です。
加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.72)✕(1−0.81)=5%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、58%+5%=63%となります。
期待的中率63%と、あまり高くないのでお薦めはしません。 - 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上
2017年11月3日18:30発表
以下は2017年11月3日21:00頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
直近では比較的大きく事後差異・実態差異が大きくなりました。直近ピークの2017年4月分(55.8)には僅かに及ばなかったものの、来月発表(11月分)で今回を上回れば、上昇基調転換の可能性があります。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
初回追撃は損切となりました。損切しなければ5分後ぐらいには含益に転じていたようですが、これは仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 先に発表される製造業PMIとは、指標結果の良し悪しや反応方向の相関が高くありません。がしかし、今回は製造業PMI・サービス業PMIともに前回結果を上回りました。
また、EURGBPを見るなら実態差異はプラス、GBPUSDを見るなら実態差異はマイナスとなるため、今回はこの矛盾を解消できませんでした。結果は、実態差異プラスで、EURGBPの方がアテに出来たことになります。今後も継続的に見ていきます。 - 過去の傾向から言えば、前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。追撃は反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しが良いでしょう。直後1分足と直後11分足の終値同士を比較したとき、反応を伸ばしていたことは57%しかなく、ポジションを長持ちするには心もとない数字です。
結果は、反応は素直で持続性にかけていました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みました。
結果は陰線でした。 - 直後1分足は陽線と見込みました。あまり期待的中率が高くなかった(63%)のでお薦めしなかったものの、珍しくシナリオを載せませした。
結果は陽線でした。 - 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探るつもりでした。その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行うつもりでした。
結果は、タイミングの問題はあるにせよ、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったので、発表から1分を過ぎてからの利確は難しかったと思います。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月31日
英国金融政策発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月2日21:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月2日21:00にBOE金融政策が発表されます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
取引を単なる丁半博奕としてでなく楽しむため、ここまでの流れを辿っておきましょう。
もともと、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。がしかし、2016年6月のEU離脱決定に伴い、状況は大きく変化しました。
直近の金融政策変更は、2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました。
6月MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
ただ、このときは直後1分足跳幅が118pipsの陽線となりました。市場は、近々の利上げを見込んだのです。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、EU離脱交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っていたのです。
実態を見てみましょう。
まずCPIです。
そもそも利上げ圧力が高まった原因は、EU離脱決定に伴うGBP安による物価高です。物価上昇は続いており、9月集計分CPI前年比は+3.0%に達しました。
但し、前年比は2016年4月頃から、コア前年比は同11月頃から、上昇が始まっています。前年比は、前年の数字が低ければ現在の数字が高くなるので、今後は上昇スピードが減速するか下降に転じる可能性があります。
次に所得です。
問題は、物価上昇に対して所得(給与)の伸びが小さいことです。こうした状況では個々人の購買力が下がります。がしかし、所得の前月比は、グラフで確認できる過去3年近くに亘って、前月比+2%を平均的に上回っています。
景気が良くても悪くても、インフレ局面でもデフレ局面でも、欲しいモノは皆も欲しいのです。そんなモノは、欲しい人が少なくなるまで(モノが一通り普及するまで)高く売れます。だから、毎月2%ずつ所得(給与)が増えても、価格はそれ以上に高くなります。ふつう、所得の伸びは(欲しいモノの)価格上昇に追いつきません。
だから、そうした飢餓感と混同しないように、成長率も同時に見ておく必要があります。下図は、2017年7-9月分のみ速報値で、他は確定値です。
どう見ても、成長率は下降基調に見えます。
4-6月期GDP速報値が発表された7月下旬頃には、もう利上げは無理だろう、という解説記事も増えていました。
かかる状況において、8月MPC(2017年8月3日)もまた「市場予想通り現状維持」でした。事前に1名の委員が利上げ賛成に回る、という観測記事があったため、発表直前までGBPは値を崩さず、そして、利上げ賛成に回ると言われていた委員は、結局、利上げに投票しませんでした。
このときの反応は、直後1分足跳幅が75pipsの陰線でした。そして、時間経過とともに、先述の利上げは無理だろうという見通しを、市場は「当面利上げなし」と判断しました。結果、翌朝までにGBPJPYは200pips以上の下落をしたのです。
一方、9月MPC(2017年9月14日)では、同時公開された議事要旨で「今後もインフレ圧力が強まり続ければ、今後数か月以内に利上げも含めた緩和政策の見直しをすべき、と過半数の委員が判断した」に反応して、
100pipsの陽線で反応しました。翌日02:00に高値を形成し、指標発表前から何と252pipsの大陽線でした。復路は翌朝07:00まででに高値から△170pipsを戻しました(この復路は北朝鮮のミサイル発射によるリスク回避によって安値を形成)。
指標発表前後の始値基準4本足チャートをご覧ください。縦軸が100pips単位となっている点にご注意ください。
2016年6月は「市場予想に反して現状維持」でした。利下げが期待されていたので、それに反して陽線となりました。
2016年7月は「市場予想通りに利下げ」でした。予想通り利下げなので陰線です。がしかし、予想通りならば100pips程度しか動かなかったことが興味深い結果です。
2017年6月、8月、9月は、直近3回の反応です。これらもざっくり100pips単位の動きとなっています。
危なくて、とても指標時刻を跨いだポジションなんて持てません。
シナリオなんて要らないでしょう。発表後に早期参加、順張り追撃徹底です。
以下は2017年11月4日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り利上げ」となり、反応はいったん陽線側に50pips振れてから陰線側に100pips振れるという動きとなりました。
あいたたた・・・。
まず、最初の陽線への振れは利上げに反応したと思われます。約10数秒後、急激に陰線側へと振れたのは、声明に「今後数回の利上げが必要にせよ、次回の利上げを急がない」旨、記されていたそうです。
利上げは物価高に対応するためでした。物価高の原因はGBP安でした。余計な声明を載せたばっかりに、GBPは売られて、現在は日足チャートの雲上端で留まっています。
取引結果は次の通りでした。
あいたたた。
事前分析の問題点については、近々に別途詳細に行います。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月2日21:00にBOE金融政策が発表されます。
- 金融政策発表時は、英国に限らず、「市場予想通り現状維持」の場合と、「市場予想通り政策変更」の場合と、「市場予想に反した」場合とで、反応が全く異なります。今回は、市場予想で政策金利変更(0.25%から0.5%への利上げ)が予想されています。
資産購入規模は現状維持で、インフレ報告の発表も予定されていますが、そんなことは今回の反応に関係ありません。利上げが予想通り行われるか否かが関心事です。 - 市場予想が利上げだからGBP買、と安心していてはいけません。2016年6月のMPCでは、「市場予想に反して利下げが行われずに現状維持でした。BOEは予想を裏切る中銀です。
アテに出来るジンクスは、前日から指標発表の1時間前までは、緩やかにGBP買が続きがちということです。 - 指標発表直後の反応が大きすぎるので、取引は発表後の追撃だけに絞った方が良さそうです。
過去の実績から言えば、市場予想通りなら100pips単位、市場予想に反したら300pips近くの反応が起きる可能性があります。米雇用統計なんて、これに比べれば大したことありません。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
【2. 指標経緯】
取引を単なる丁半博奕としてでなく楽しむため、ここまでの流れを辿っておきましょう。
もともと、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。がしかし、2016年6月のEU離脱決定に伴い、状況は大きく変化しました。
直近の金融政策変更は、2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました。
6月MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
ただ、このときは直後1分足跳幅が118pipsの陽線となりました。市場は、近々の利上げを見込んだのです。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、EU離脱交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っていたのです。
実態を見てみましょう。
まずCPIです。
そもそも利上げ圧力が高まった原因は、EU離脱決定に伴うGBP安による物価高です。物価上昇は続いており、9月集計分CPI前年比は+3.0%に達しました。
但し、前年比は2016年4月頃から、コア前年比は同11月頃から、上昇が始まっています。前年比は、前年の数字が低ければ現在の数字が高くなるので、今後は上昇スピードが減速するか下降に転じる可能性があります。
次に所得です。
問題は、物価上昇に対して所得(給与)の伸びが小さいことです。こうした状況では個々人の購買力が下がります。がしかし、所得の前月比は、グラフで確認できる過去3年近くに亘って、前月比+2%を平均的に上回っています。
景気が良くても悪くても、インフレ局面でもデフレ局面でも、欲しいモノは皆も欲しいのです。そんなモノは、欲しい人が少なくなるまで(モノが一通り普及するまで)高く売れます。だから、毎月2%ずつ所得(給与)が増えても、価格はそれ以上に高くなります。ふつう、所得の伸びは(欲しいモノの)価格上昇に追いつきません。
だから、そうした飢餓感と混同しないように、成長率も同時に見ておく必要があります。下図は、2017年7-9月分のみ速報値で、他は確定値です。
どう見ても、成長率は下降基調に見えます。
4-6月期GDP速報値が発表された7月下旬頃には、もう利上げは無理だろう、という解説記事も増えていました。
かかる状況において、8月MPC(2017年8月3日)もまた「市場予想通り現状維持」でした。事前に1名の委員が利上げ賛成に回る、という観測記事があったため、発表直前までGBPは値を崩さず、そして、利上げ賛成に回ると言われていた委員は、結局、利上げに投票しませんでした。
このときの反応は、直後1分足跳幅が75pipsの陰線でした。そして、時間経過とともに、先述の利上げは無理だろうという見通しを、市場は「当面利上げなし」と判断しました。結果、翌朝までにGBPJPYは200pips以上の下落をしたのです。
一方、9月MPC(2017年9月14日)では、同時公開された議事要旨で「今後もインフレ圧力が強まり続ければ、今後数か月以内に利上げも含めた緩和政策の見直しをすべき、と過半数の委員が判断した」に反応して、
100pipsの陽線で反応しました。翌日02:00に高値を形成し、指標発表前から何と252pipsの大陽線でした。復路は翌朝07:00まででに高値から△170pipsを戻しました(この復路は北朝鮮のミサイル発射によるリスク回避によって安値を形成)。
【3. 過去反応】
指標発表前後の始値基準4本足チャートをご覧ください。縦軸が100pips単位となっている点にご注意ください。
2016年6月は「市場予想に反して現状維持」でした。利下げが期待されていたので、それに反して陽線となりました。
2016年7月は「市場予想通りに利下げ」でした。予想通り利下げなので陰線です。がしかし、予想通りならば100pips程度しか動かなかったことが興味深い結果です。
2017年6月、8月、9月は、直近3回の反応です。これらもざっくり100pips単位の動きとなっています。
危なくて、とても指標時刻を跨いだポジションなんて持てません。
【4. シナリオ作成】
シナリオなんて要らないでしょう。発表後に早期参加、順張り追撃徹底です。
以上
2017年11月2日21:00発表
以下は2017年11月4日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り利上げ」となり、反応はいったん陽線側に50pips振れてから陰線側に100pips振れるという動きとなりました。
あいたたた・・・。
まず、最初の陽線への振れは利上げに反応したと思われます。約10数秒後、急激に陰線側へと振れたのは、声明に「今後数回の利上げが必要にせよ、次回の利上げを急がない」旨、記されていたそうです。
利上げは物価高に対応するためでした。物価高の原因はGBP安でした。余計な声明を載せたばっかりに、GBPは売られて、現在は日足チャートの雲上端で留まっています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
あいたたた。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前分析の問題点については、近々に別途詳細に行います。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月30日
英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月1日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月2日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。本稿は10月30日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
本指標に関する分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で22pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。巻頭に挙げた分布表に依れば、直後1分足跳幅は、12pipsから32pipsの跳ねが全体の64%を占めています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ形状は、2016年7月分(EU離脱国民投票翌月)をボトムに上昇基調が1年間続いています。直近ボトムの2017年6月分は54.3で、7月分・8月分は2か月連続上昇し直近ピークの4月分57.3に迫りました。今回10月分の市場予想は55.8で、市場予想程度ならば上昇停滞が意識され今後の下降が心配される形状となります。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、過去32回中16回(50%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動(GBPが前月より高かったか安いかったか)と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
10月 高 安 ?
9月 高 高 △
8月 安 安 +
7月 安 高 +
6月 安 高 △
5月 安 安 △
4月 高 高 +
3月 高 高 △
2月 高 安 △
1月 安 高 △
通貨高は製品輸出にとって障害となり、通貨安は追い風になります。そういう意味で、EURGBPとPMI実態差異は9回中6回一致(方向一致率67%)、GBPUSDと実態差異は9回中5回(同56%)です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。この程度の反応をする指標としては戻り比率は普通です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
市場予想の前回結果や発表結果に対する大小関係はほぼ中立です。
事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・84%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率にやや及びません。それなら事後差異だけ見ておけば十分です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足はやや陽線が多く、直前1分足はやや陰線が多いようです。がしかし、極端な偏りはありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(87%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは78%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが58%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月3日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
GBP安による物価上昇に反して、GBP安は企業業績の見通しを良くしているようです。グラフ推移を見ると上昇停滞中で、今回の結果によって上昇・下降のどちらに向かうのかは益々不透明になりました。
取引結果は次の通りでした。
上表に記入していませんが、発表時刻を跨いだポジションは取引を止めました。シナリオで、直前10-1分足が20pipsに達しない場合は取引しない、としていたためです。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年10月2日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。本稿は10月30日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は大きく(直後1分足跳幅の過去平均22pips)、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します(事後差異と直後1分足の方向一致率87%)。
指標発表後は1分を過ぎてからも反応を伸ばしがちですが、一時的な伸びに終わることも多いので、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始して短期利確繰り返しが良いでしょう。 - もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠となり得る事実が乏しくなります。
現在、指標グラフは上昇躊躇と言える位置を占めています。見るべきポイントは、直近ピークの2017年4月分の57.3(前回は56.0)を上抜けることができるか否かです。逆に市場予想を下回れば、下降転換の予感を強めます。
本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率はともに高くありません。
10月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬に半値程度戻しており、その後も上昇していません。中旬の下げが景況感に影響を与えている可能性があります。 - 本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
直前10-1分足はときどき(頻度22%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手を負うことがあります。
直前1分足は、ときどき(頻度24%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。
ちなみに、直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実はありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が75%です。
但し、前述の通り、直前1分足は過去25%の頻度で10pips以上跳ねています。跳ねても、その方向が直後1分足の方向を示唆している訳ではないので、陰線側に跳ねてしまったら損切せざるを得ません。ご注意ください。 - 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
過去の傾向では、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは(頻度21%)、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い(86%)、と言えます。 - 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは78%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
一方、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが58%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。
今回は翌日にBOE金融政策発表を翌日に控え、しかも利上げ予想となっています。よって、陽線なら追撃徹底も良いかも知れませんが、陰線ならどこかで反転する可能性が高いと推察いたします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
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本指標に関する分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で22pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。巻頭に挙げた分布表に依れば、直後1分足跳幅は、12pipsから32pipsの跳ねが全体の64%を占めています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ形状は、2016年7月分(EU離脱国民投票翌月)をボトムに上昇基調が1年間続いています。直近ボトムの2017年6月分は54.3で、7月分・8月分は2か月連続上昇し直近ピークの4月分57.3に迫りました。今回10月分の市場予想は55.8で、市場予想程度ならば上昇停滞が意識され今後の下降が心配される形状となります。
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グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、過去32回中16回(50%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
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製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動(GBPが前月より高かったか安いかったか)と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
10月 高 安 ?
9月 高 高 △
8月 安 安 +
7月 安 高 +
6月 安 高 △
5月 安 安 △
4月 高 高 +
3月 高 高 △
2月 高 安 △
1月 安 高 △
通貨高は製品輸出にとって障害となり、通貨安は追い風になります。そういう意味で、EURGBPとPMI実態差異は9回中6回一致(方向一致率67%)、GBPUSDと実態差異は9回中5回(同56%)です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。この程度の反応をする指標としては戻り比率は普通です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
市場予想の前回結果や発表結果に対する大小関係はほぼ中立です。
事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・84%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率にやや及びません。それなら事後差異だけ見ておけば十分です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足はやや陽線が多く、直前1分足はやや陰線が多いようです。がしかし、極端な偏りはありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(87%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは78%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが58%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)です。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陽線となる期待的中率が75%です。
但し、前述の通り、直前1分足は過去25%の頻度で10pips以上跳ねています。跳ねても、その方向が直後1分足の方向を示唆している訳ではないので、陰線側に跳ねてしまったら損切せざるを得ません。ご注意ください。 - 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。
過去の傾向では、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは(頻度21%)、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い(86%)、と言えます。 - 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは78%となっています。方向一致率が高く、その後も反応を伸ばす確率が高い以上、反応方向を確認したら早期追撃開始です。
一方、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが58%となっています。追撃するなら、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。
今回は翌日にBOE金融政策発表を翌日に控え、しかも利上げ予想となっています。よって、陽線なら追撃徹底も良いかも知れませんが、陰線ならどこかで反転する可能性が高いと推察いたします。
以上
2017年11月1日18:30発表
以下は2017年11月3日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
GBP安による物価上昇に反して、GBP安は企業業績の見通しを良くしているようです。グラフ推移を見ると上昇停滞中で、今回の結果によって上昇・下降のどちらに向かうのかは益々不透明になりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
上表に記入していませんが、発表時刻を跨いだポジションは取引を止めました。シナリオで、直前10-1分足が20pipsに達しない場合は取引しない、としていたためです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応程度は大きく(直後1分足跳幅の過去平均22pips)、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します(事後差異と直後1分足の方向一致率87%)。
指標発表後は1分を過ぎてからも反応を伸ばしがちですが、一時的な伸びに終わることも多いので、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始して短期利確繰り返しが良いでしょう。 - もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠となり得る事実が乏しくなります。
現在、指標グラフは上昇躊躇と言える位置を占めています。見るべきポイントは、直近ピークの2017年4月分の57.3(前回は56.0)を上抜けることができるか否かです。逆に市場予想を下回れば、下降転換の予感を強めます。
本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率はともに高くありません。
10月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬に半値程度戻しており、その後も上昇していません。中旬の下げが景況感に影響を与えている可能性があります。 - 本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
直前10-1分足はときどき(頻度22%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手を負うことがあります。
直前1分足は、ときどき(頻度24%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。
ちなみに、直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実はありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陽線と見込みました。
結果は陽線でした。 - 直後1分足は、直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)するつもりでした。
結果は直前10-1分足跳幅が20pipsには及ばず、取引は取りやめでした。 - 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行うつもりでした。追撃は、ポジションの長持ちを避けて、短期利確の繰り返しで行うことにしていました。
結果は、18:35頃までは上昇が見込めたようですが、その後は値幅を削りました。シナリオとしては問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月24日
英国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月25日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月25日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月24日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
現在の中長期状況は次のように捉えています。
総選挙での与党議席減による首相求心力の低下とEU離脱交渉が難航しているという記事が多く、政治的には英国の先行きに不安を感じさせる内容が多いように見受けられます。博奕じゃないのだから、英国に拠点を設けていた企業は、英国拠点の縮小こそ検討しても拡大する理由がありません。
そんした状況だからこそ、BOE総裁はMPCで利上げの可能性を検討する旨、8月下旬頃に発言しました。どうせ利上げのデメリットである設備投資は期待できないのです。物価高(為替対策)には有効です。実際、9月のGBPは対USDでも対EURでも対JPYでも買われました。
直近の物価(CPI)は6月頃に上昇が止まったかのような動きを見せたものの、また上昇し始めたように見えます(9月月集計分前年比+3.0%)。8月集計分失業率は直近の最低水準(4.3%)で推移し、平均所得(含ボーナス)も+2.2%とやや改善したため、利上げできる環境に近づいたようにも見えます。今回の指標発表で、成長率がもし前回を上回れば、次回11月2日のMPCでの利上げ議論が期待できます。
でも先述の通り、本質的にはGBPが買われる状況とは思えません。一時的にせよGBP買が続く状況とは、EU離脱交渉のソフトランディングか、米政権による対独貿易黒字対策が厳しさが増す状況で英国のNAFTA加盟が議論される状況、でしょう。
分布分析の結果を下図に示します。
まず、過去平均の直後1分足跳幅は24pipsと、大きく反応する指標です。がしかし、最近は反応が小さいことが続いています。原因はわかりません。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向で0から左右に離れても、縦軸方向の上下のばらつきが大きくなっていません。直前10-1分足は、指標発表後の反応を示唆していない、ということです。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向が0から左右に離れるほど、縦軸方向の上下に分布が離れていることがわかります。のばらつきが大きくなっていません。注目すべき点は、直後1分足が10pips以上の陽線となったときは、直後11分足終値がそれよりも反応を伸ばしている点です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。但し、グラフ表記上は、前期確定値は1期ずれて表示して、今回の予想や結果と対比しやすいように表記しています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値と同値と市場予想されており、前年比は前期確定値を0.1%下回ると市場予想されています。
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、判別式には前年比の項も含めています。
事前差異判別式は、1✕前期比事前差異ー1✕前年比事前差異とすると、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異とすると、その解の符号と直後1分足との方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕前期比実態差異+1✕前年比実態差異とすると、その解の符号と直後11分足との方向一致率が63%となります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の発表直後1分足跳幅は18pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、やや小さくなっています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回とも一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が大きくても、そのことが指標発表後の反応程度や反応方向を示唆していない、ということになります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は25pipsで、これは過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。
つまり、直前1分足が大きく跳ねたときには、指標発表後に逆方向に反応する可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。この跳幅が30pips以上だったことは過去6回(頻度35%)です。この6回のうち、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは3回、両者終値同士を比較して反応を伸ばしたことも3回です。
直後11分足は、過去平均跳幅が35pips、過去平均値幅が23pipsです。戻り比率(1−値幅/跳幅)は34%となっており、反応が大きな指標としては平均的なヒゲの長さです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%で、本指標への反応は素直だと言えます。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率と直後1分足の陽線率が、それぞれ81%・75%と、異常な偏りがあります。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。
最後に反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。そして、この88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは13%しかありません。つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月25日21時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに予想を上回り、反応は陽線でした。
取引時間外ですが、18:28に「英利上げ観測上昇」との一報が流れ、これによって20時過ぎには151.3円まで上昇しました。未確認ですが、おそらく英報道ではもっと早く観測記事が流れていたのでしょう。
動きは、指標発表直後の急騰が17:34頃までで、ここで150円に乗せました。次に17:50頃から再上昇が始まり、18時過ぎに150.5円に乗せました。その後、上下動を暫く繰り返してここまでかと思っていたら、18:20頃にまた急騰を始め、150.7円に乗せました。それからはじりじりと値を伸ばし、19:40頃には151.3に乗せました。
指標発表前が149.4付近なので、約200pipsの上昇です。
どうも気に入りません。
お手元のツールで、英GDPの過去からの推移をご覧ください。今回の結果が市場予想よりも僅か0.1%上昇したからと言って、どこからどう見ても前期比も前年比も低下傾向です。物価(CPI前年比)が+3.0%に達したとは言え、この程度の成長率改善で利上げをするものでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだポジションは、大損切となりました。がしかし、陽線側に10pips以上反応したときは追撃徹底という方針に救われました。
追撃は、18時前に打ち切りましたが、その後もここまで反応を伸ばすとは思いませんでした。惜しいことをした、というのは言っても仕方ありません。
事前調査・分析内容には問題ありません。
直前10-1分足と直後1分足とが逆方向との分析を外したものの、これは確率上の問題なので反省しても仕方ありません。続けて外し始めたら反省します。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年10月25日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月24日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 直近の反応は小さいものの、過去平均の反応程度は大きく、指標発表時刻を跨いだポジションを持つのは慎重であるべきです。
直後1分足の反応方向は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異、という判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との方向一致率が78%です。 - 過去の直後1分足と直後11分足の相関分布を見ると、直後1分足が10pips以上の陽線だった場合には、直後11分足終値は直後1分足終値を超えています。直後1分足終値が10pips以上の陽線だった場合には、追撃を徹底しても良いでしょう。
- 今回の市場予想は、前期比・前年比ともに前回確定値の結果とほぼ同じです。指標一致性分析では、直前10-1分足と実態差異の方向一致率は25%(不一致率75%)なので、発表結果と市場予想の大小関係も直前10-1分足と逆方向になる可能性が高い、ということです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が75%あるためです。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が81%と、異常な偏りがあるためです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と逆方向に反応すると見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、直前1分足が20pips以上跳ねた場合には、それとは逆方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 追撃は、反応方向を確認次第行います。また、直後1分足値幅が10pips以上だった場合には、その方向に追撃を徹底します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
現在の中長期状況は次のように捉えています。
総選挙での与党議席減による首相求心力の低下とEU離脱交渉が難航しているという記事が多く、政治的には英国の先行きに不安を感じさせる内容が多いように見受けられます。博奕じゃないのだから、英国に拠点を設けていた企業は、英国拠点の縮小こそ検討しても拡大する理由がありません。
そんした状況だからこそ、BOE総裁はMPCで利上げの可能性を検討する旨、8月下旬頃に発言しました。どうせ利上げのデメリットである設備投資は期待できないのです。物価高(為替対策)には有効です。実際、9月のGBPは対USDでも対EURでも対JPYでも買われました。
直近の物価(CPI)は6月頃に上昇が止まったかのような動きを見せたものの、また上昇し始めたように見えます(9月月集計分前年比+3.0%)。8月集計分失業率は直近の最低水準(4.3%)で推移し、平均所得(含ボーナス)も+2.2%とやや改善したため、利上げできる環境に近づいたようにも見えます。今回の指標発表で、成長率がもし前回を上回れば、次回11月2日のMPCでの利上げ議論が期待できます。
でも先述の通り、本質的にはGBPが買われる状況とは思えません。一時的にせよGBP買が続く状況とは、EU離脱交渉のソフトランディングか、米政権による対独貿易黒字対策が厳しさが増す状況で英国のNAFTA加盟が議論される状況、でしょう。
ーーー$€¥ーーー
分布分析の結果を下図に示します。
まず、過去平均の直後1分足跳幅は24pipsと、大きく反応する指標です。がしかし、最近は反応が小さいことが続いています。原因はわかりません。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向で0から左右に離れても、縦軸方向の上下のばらつきが大きくなっていません。直前10-1分足は、指標発表後の反応を示唆していない、ということです。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向が0から左右に離れるほど、縦軸方向の上下に分布が離れていることがわかります。のばらつきが大きくなっていません。注目すべき点は、直後1分足が10pips以上の陽線となったときは、直後11分足終値がそれよりも反応を伸ばしている点です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。但し、グラフ表記上は、前期確定値は1期ずれて表示して、今回の予想や結果と対比しやすいように表記しています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値と同値と市場予想されており、前年比は前期確定値を0.1%下回ると市場予想されています。
ーーー$€¥ーーー
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、判別式には前年比の項も含めています。
事前差異判別式は、1✕前期比事前差異ー1✕前年比事前差異とすると、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異とすると、その解の符号と直後1分足との方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕前期比実態差異+1✕前年比実態差異とすると、その解の符号と直後11分足との方向一致率が63%となります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の発表直後1分足跳幅は18pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、やや小さくなっています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回とも一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が大きくても、そのことが指標発表後の反応程度や反応方向を示唆していない、ということになります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は25pipsで、これは過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。
つまり、直前1分足が大きく跳ねたときには、指標発表後に逆方向に反応する可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。この跳幅が30pips以上だったことは過去6回(頻度35%)です。この6回のうち、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは3回、両者終値同士を比較して反応を伸ばしたことも3回です。
直後11分足は、過去平均跳幅が35pips、過去平均値幅が23pipsです。戻り比率(1−値幅/跳幅)は34%となっており、反応が大きな指標としては平均的なヒゲの長さです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%で、本指標への反応は素直だと言えます。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率と直後1分足の陽線率が、それぞれ81%・75%と、異常な偏りがあります。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。
最後に反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。そして、この88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは13%しかありません。つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が75%あるためです。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が81%と、異常な偏りがあるためです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と逆方向に反応すると見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、直前1分足が20pips以上跳ねた場合には、それとは逆方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 追撃は、反応方向を確認次第行います。また、直後1分足値幅が10pips以上だった場合には、その方向に追撃を徹底します。
以上
2017年10月25日17:30発表
以下は2017年10月25日21時頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに予想を上回り、反応は陽線でした。
取引時間外ですが、18:28に「英利上げ観測上昇」との一報が流れ、これによって20時過ぎには151.3円まで上昇しました。未確認ですが、おそらく英報道ではもっと早く観測記事が流れていたのでしょう。
動きは、指標発表直後の急騰が17:34頃までで、ここで150円に乗せました。次に17:50頃から再上昇が始まり、18時過ぎに150.5円に乗せました。その後、上下動を暫く繰り返してここまでかと思っていたら、18:20頃にまた急騰を始め、150.7円に乗せました。それからはじりじりと値を伸ばし、19:40頃には151.3に乗せました。
指標発表前が149.4付近なので、約200pipsの上昇です。
どうも気に入りません。
お手元のツールで、英GDPの過去からの推移をご覧ください。今回の結果が市場予想よりも僅か0.1%上昇したからと言って、どこからどう見ても前期比も前年比も低下傾向です。物価(CPI前年比)が+3.0%に達したとは言え、この程度の成長率改善で利上げをするものでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだポジションは、大損切となりました。がしかし、陽線側に10pips以上反応したときは追撃徹底という方針に救われました。
追撃は、18時前に打ち切りましたが、その後もここまで反応を伸ばすとは思いませんでした。惜しいことをした、というのは言っても仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容には問題ありません。
直前10-1分足と直後1分足とが逆方向との分析を外したものの、これは確率上の問題なので反省しても仕方ありません。続けて外し始めたら反省します。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月17日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月18日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月18日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年9月分の集計結果、平均所得と失業率が2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月16日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
本指標に関する反応分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。
但し、16pips以下しか跳ねなかったことも34%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実態差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足や直後11分足との一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、という判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直後1分足との方向一致率が87%となっています。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
直近の動きを見ておきましょう。
8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。
英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支上の制約がなくなるのだから。
8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
9月13日雇用統計発表では、8月分失業保険申請件数がほぼ前月と横ばいで、僅かにマイナスとなりました。失業保険申請件数のマイナスは2か月連続です。7月分失業率も、更に最低値を更新し、4.3%まで低下しました。がしかし、7月分平均所得が伸び悩み、物価上昇を踏まえた実質賃金は低下が続いています。
反応は、MPCでの利上げ議論に絡んで関心が高かったため、指標発表前から大きく動きました。直前10-1分足は跳幅22pips、値幅19pipsの陰線でした。この反応程度は、平均的な指標なら発表直後に動くレベルです。指標発表直後1分足も跳幅24pips、値幅17pipsの陰線で、小さくはありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度22%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度34%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
ここに挙げた88%という数値は次に使うのでご留意ください。
直前10-1分足と実態差異の方向一致率は68%となっています。直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が前回結果を上回りがち/下回りがち、ということです。
さて、事後差異=発表結果ー市場予想=実態差異ー事前差異なので、今回の事前差異がプラスであることを踏まえると、実態差異がマイナスなら事後差異もマイナスが確定します。
よって、もし直前10-1分足が陰線なら、事後差異はマイナスとなる可能性が高い、ということになります。期待的中率は0.88✕0.68=60%です。
「なんだ、60%か」、と考えてはいけません。
ここで公平な数字は50%ではなく25%だからです。なぜなら、直前10-1分足が陰線(50%)で、且つ、直後1分足も陰線(50%)となるのは、0.5✕0.5=25%だからです。直前10-1分足と直後1分足の組み合わせは4通りが起こり得るからです。それぞれ、
直前10-1分足 直後1分足 期待的中率
陰線 陰線 60%
陰線 陽線 8%
陽線 陰線 28%
陽線 陽線 4%
※(1ー0.88)✕0.68=8%
※ 0.88✕(1−0.68)=28%
※(1−0.88)✕(1−0.68)=4%
となります。
この4通りの組み合わせでどれに賭けるかは、陰線&陰線、が圧倒的に有利です。
また、もしも直前10-1分足が予想に反して陽線だったときを考えてみましょう。このとき、陽線&陰線の組み合わせの方が、陽線&陽線の組み合わせよりも7倍も多く起きていることがわかります。だから、直前10-1分足が陽線なら、直後1分足は陰線と見込んだ方が良い訳です。
いずれにせよ、今回のように事前差異がプラスの場合、本指標の直後1分足は陰線と見込む方が良さそうです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が77%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっています。直前1分足は陰線率が高いので、直前10-1分足は陽線となる確率が高くなるはずです。がしかし、その陽線率は65%と、ちょっと微妙な数字です。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは64%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月20日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業保険申請件数が3か月ぶりにプラスに転じたものの、平均所得が前回・予想を上回り、反応は陽線でした。失業率は前回・予想と同値でした。
取引結果は次の通りでした。
追撃は2度行い、1回目はヒゲの高値掴みをして損切でした。2度目はシナリオ外取引で、40分弱もポジションを持ってしまいました。結果は損切分を挽回できたものの、この取引は大失敗でした。
実質的に負けたのと同じなので、事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
まぁ、これだけ外せば負けて当然です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
T.指標予想要点
2017年10月18日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年9月分の集計結果、平均所得と失業率が2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月16日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応は素直でかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも35%あります。また、直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応を伸ばしたことは50%です。
大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。 - 指標一致性分析の結果、事前差異(市場予想ー前回結果)が今回のようにプラスの場合、直後1分足は陰線となる確率が88%に達しています。
但し、本指標の直後1分足は大きく跳ねる場合が多いので、発表時刻を跨いでポジションを取ることは、あまり勧めません。 - 直前10-1分足が20pips以上跳ねても、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。
直前1分足が10pips以上跳ねたときは要注意です。次の直後1分足の反応方向はわからないものの、直後1分足は平均(31pips)以上に跳ねる傾向があります。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、直前1分足との方向一致率が29%(不一致率71%)で、直前1分足の陰線率が77%あるためです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異がプラスの場合、陰線となる期待的中率が88%にもなっているからです。但し、本指標の発表直後の跳ねは大きく、大きく跳ねる指標の割に戻りはあまり大きくありません。よって、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら早めに利確/損切します。
これは、反応性分析の結論で、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超える確率が高く、直後1分足値幅を直後11分足値幅が伸ばせない確率が高くないため、です。 - あまり考えられませんが、もしも平均所得が2.5%以上となった場合、追撃は短期取引で複数回行います。2.9%以上なら、ポジション長持ちでの追撃も可です。陰線での反応は、大きく動くかその逆かがわかりません。この場合、再追撃を行うか否かは、チャートを見ながら判断します。
所得が上昇しているなら、物価上昇に対策する利上げが行いやすくなります。2.5%では、実質賃金が物価上昇に追いつかないと思われるので、上下動を捉えて短期利確の繰り返しです。もっと考えられませんが、2.9%ならば直近ピークを上回るので、ポジション長持ちも可です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する反応分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。
但し、16pips以下しか跳ねなかったことも34%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実態差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足や直後11分足との一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、という判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直後1分足との方向一致率が87%となっています。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
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直近の動きを見ておきましょう。
8月9日、BOEは「英企業の採用状況は厳しく、賃上げ率も2-3%の小幅に留まる」見通しを示しました。また「製造業者は、追加雇用よりも自動化や生産性向上を通じ、輸出増に対応する考え」も示しました。
英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支上の制約がなくなるのだから。
8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。
発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
9月13日雇用統計発表では、8月分失業保険申請件数がほぼ前月と横ばいで、僅かにマイナスとなりました。失業保険申請件数のマイナスは2か月連続です。7月分失業率も、更に最低値を更新し、4.3%まで低下しました。がしかし、7月分平均所得が伸び悩み、物価上昇を踏まえた実質賃金は低下が続いています。
反応は、MPCでの利上げ議論に絡んで関心が高かったため、指標発表前から大きく動きました。直前10-1分足は跳幅22pips、値幅19pipsの陰線でした。この反応程度は、平均的な指標なら発表直後に動くレベルです。指標発表直後1分足も跳幅24pips、値幅17pipsの陰線で、小さくはありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度22%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度34%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
ここに挙げた88%という数値は次に使うのでご留意ください。
直前10-1分足と実態差異の方向一致率は68%となっています。直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が前回結果を上回りがち/下回りがち、ということです。
さて、事後差異=発表結果ー市場予想=実態差異ー事前差異なので、今回の事前差異がプラスであることを踏まえると、実態差異がマイナスなら事後差異もマイナスが確定します。
よって、もし直前10-1分足が陰線なら、事後差異はマイナスとなる可能性が高い、ということになります。期待的中率は0.88✕0.68=60%です。
「なんだ、60%か」、と考えてはいけません。
ここで公平な数字は50%ではなく25%だからです。なぜなら、直前10-1分足が陰線(50%)で、且つ、直後1分足も陰線(50%)となるのは、0.5✕0.5=25%だからです。直前10-1分足と直後1分足の組み合わせは4通りが起こり得るからです。それぞれ、
直前10-1分足 直後1分足 期待的中率
陰線 陰線 60%
陰線 陽線 8%
陽線 陰線 28%
陽線 陽線 4%
※(1ー0.88)✕0.68=8%
※ 0.88✕(1−0.68)=28%
※(1−0.88)✕(1−0.68)=4%
となります。
この4通りの組み合わせでどれに賭けるかは、陰線&陰線、が圧倒的に有利です。
また、もしも直前10-1分足が予想に反して陽線だったときを考えてみましょう。このとき、陽線&陰線の組み合わせの方が、陽線&陽線の組み合わせよりも7倍も多く起きていることがわかります。だから、直前10-1分足が陽線なら、直後1分足は陰線と見込んだ方が良い訳です。
いずれにせよ、今回のように事前差異がプラスの場合、本指標の直後1分足は陰線と見込む方が良さそうです。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が77%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっています。直前1分足は陰線率が高いので、直前10-1分足は陽線となる確率が高くなるはずです。がしかし、その陽線率は65%と、ちょっと微妙な数字です。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは64%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、直前1分足との方向一致率が29%(不一致率71%)で、直前1分足の陰線率が77%あるためです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異がプラスの場合、陰線となる期待的中率が88%にもなっているからです。但し、本指標の発表直後の跳ねは大きく、大きく跳ねる指標の割に戻りはあまり大きくありません。よって、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら早めに利確/損切します。
これは、反応性分析の結論で、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超える確率が高く、直後1分足値幅を直後11分足値幅が伸ばせない確率が高くないため、です。 - あまり考えられませんが、もしも平均所得が2.5%以上となった場合、追撃は短期取引で複数回行います。2.9%以上なら、ポジション長持ちでの追撃も可です。陰線での反応は、大きく動くかその逆かがわかりません。この場合、再追撃を行うか否かは、チャートを見ながら判断します。
所得が上昇しているなら、物価上昇に対策する利上げが行いやすくなります。2.5%では、実質賃金が物価上昇に追いつかないと思われるので、上下動を捉えて短期利確の繰り返しです。もっと考えられませんが、2.9%ならば直近ピークを上回るので、ポジション長持ちも可です。
2017年10月18日17:30発表
以下は2017年10月20日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業保険申請件数が3か月ぶりにプラスに転じたものの、平均所得が前回・予想を上回り、反応は陽線でした。失業率は前回・予想と同値でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
追撃は2度行い、1回目はヒゲの高値掴みをして損切でした。2度目はシナリオ外取引で、40分弱もポジションを持ってしまいました。結果は損切分を挽回できたものの、この取引は大失敗でした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
実質的に負けたのと同じなので、事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 指標一致性分析の結果、事前差異(市場予想ー前回結果)が今回のようにプラスの場合、直後1分足は陰線となる確率が88%に達していました。
結果は陰線となりました。がしかし、これは確率上の問題なので仕方ありません。 - 事後差異判別式は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、です。この式に今回の結果を代入すると、解は+2.3でした。平均所得が予想よりも0.1ポイント改善したことは、失業保険申請件数が0.7万人悪化したことよりも、反応方向に寄与します。結果はその通りになり、直後1分足は陽線で反応しました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陽線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
論拠は過去の陰線率の高さで、過去の陰線率が77%ありました。これは確率上の問題ですから仕方ありません。 - 直後1分足は、陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切をしました。結果は陽線で、10pips強の損切でした。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異がプラスの場合、陰線となる期待的中率が88%にもなっていたからです。但し、本指標の発表直後の跳ねは大きく、大きく跳ねる指標の割に戻りはあまり大きくありません。
この内容は完全に今回結果と逆です。事前差異がプラスだったにも関わらず、直後1分足反応方向は陽線となり、しかも戻りは大きく長いヒゲを陽線側に残しました。 - 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら早めに利確/損切するつもりでした。結果は傷口を広げ、更に損切となりました。
まぁ、これだけ外せば負けて当然です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
2017年10月16日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月17日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月17日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年9月分の集計結果です。
本指標発表15分前にBOE総裁の発言が予定されており、これには注意が必要です。直後にGBPが動きやすい物価指標発表を控えて、何を言うつもりかわかりませんが、利上げ有無に関する発言があった場合、以下の分析は関係なくなる可能性があります。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は本記事投稿時点(10月15日)の値なので、指標発表1時間前に再確認してください。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。最近は、利上げに絡んで明らかに反応が大きくなっています。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。ところが、9月12日に発表されたCPI前年比・コアCPI前年比は再上昇し、特にコアCPI前年比は直近の最大値を上抜けて+2.8%に達しました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度22%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(25%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は71%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が71%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が75%、直前1分足の陰線率が83%と、偏りが見受けられます。
そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は65%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは32%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月17日20:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に物価上昇が停滞したものの、高い水準の物価上昇率であることに違いありません。反応は、陰線側に大きく跳ねた後、陽線に転じました。そして、その後は18:00前に149円を上抜いた後、また下降に転じました。
細かく見ていきましょう。
コアCPI前年比は+2.7%で、前回・予想と同値でした。CPIは、前年比が+3.0%と前回より0.1ポイント上昇したものの、前月比は+0.3で予想通りだったものの、前回+0.6%から下降しました。コアRPI・RPIは、前年比・前月比ともに予想を下回ったものの、コアRPI前年比は+4.1%と前月同値の高い水準です。
指標発表直後の陰線は、予想を下回った項目が多かったからと考えられます。そして、内容を見ると、予想を下回ったとは言え、利上げの理由にこそなれ、金融政策を何もしなくて良い数字ではありません。それが、陽線側への反転と考えられます。そして、18:00のZEW発表を控え、EUR買が始まってGBPは下げ始めましたのではないでしょうか。18:30には、英中銀副総裁が「インフレの脅威水準を未だ下回っている」と発言したとの報道をロイターが流したことで、GBP売が決定的となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足での決済は失敗しました。
ポジション取得は、GBPJPYがすとんと落ちたときに急いでポジション取得し、これは成功でした。がしかし、発表直前まで上昇を続けると見込んで、17:23頃の高値で利確をやめたのです。直前10-1分足の過去平均跳幅は、10pipsを超えているので、まだまだ伸びると考えたのです。
直前1分足は、ポジション取得を諦めました。直前10-1分足を外した結果、次の指標発表時刻を跨いだポジション取得をすべきか否か、決める時間が必要だったためです。
指標発表直後の陰線側への跳ねを除けば、対象期間中はほぼ陽線側に反転する動きでした。にも関わらず、売りばかりで追撃を行っています。幸い2勝1敗ですが、危ない取引方法で反省すべきです。
事前調査分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
前月までの集計欄に間違いがあったので訂正しています。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年10月17日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年9月分の集計結果です。
本指標発表15分前にBOE総裁の発言が予定されており、これには注意が必要です。直後にGBPが動きやすい物価指標発表を控えて、何を言うつもりかわかりませんが、利上げ有無に関する発言があった場合、以下の分析は関係なくなる可能性があります。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は本記事投稿時点(10月15日)の値なので、指標発表1時間前に再確認してください。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
論拠は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となるためです。事後差異とは、発表結果ー市場予想、です。 - 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)があります。
がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去32%しかありません。
いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多く、期待値の点で抜けたら追撃徹底です。 - 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。
まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ15pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは22%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは25%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。覚えておくことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
また、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。
それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は75%。直前1分足の陰線率は83%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が71%と、取引参加者は予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあります。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目のI事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
- もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。逆張りは、直後1分足終値よりも跳ねているときに行えなければ失敗です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
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本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。最近は、利上げに絡んで明らかに反応が大きくなっています。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。そして、8月9日には「ここ数か月の消費支出は減速し、ポンド安が輸出を支援するものの、英国のインフレはピークに近い可能性」との見解を示しました。ところが、9月12日に発表されたCPI前年比・コアCPI前年比は再上昇し、特にコアCPI前年比は直近の最大値を上抜けて+2.8%に達しました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度22%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(25%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は71%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が71%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が75%、直前1分足の陰線率が83%と、偏りが見受けられます。
そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は65%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは32%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目のI事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
- もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。逆張りは、直後1分足終値よりも跳ねているときに行えなければ失敗です。
2017年10月17日17:30発表
以下は2017年10月17日20:00頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に物価上昇が停滞したものの、高い水準の物価上昇率であることに違いありません。反応は、陰線側に大きく跳ねた後、陽線に転じました。そして、その後は18:00前に149円を上抜いた後、また下降に転じました。
細かく見ていきましょう。
コアCPI前年比は+2.7%で、前回・予想と同値でした。CPIは、前年比が+3.0%と前回より0.1ポイント上昇したものの、前月比は+0.3で予想通りだったものの、前回+0.6%から下降しました。コアRPI・RPIは、前年比・前月比ともに予想を下回ったものの、コアRPI前年比は+4.1%と前月同値の高い水準です。
指標発表直後の陰線は、予想を下回った項目が多かったからと考えられます。そして、内容を見ると、予想を下回ったとは言え、利上げの理由にこそなれ、金融政策を何もしなくて良い数字ではありません。それが、陽線側への反転と考えられます。そして、18:00のZEW発表を控え、EUR買が始まってGBPは下げ始めましたのではないでしょうか。18:30には、英中銀副総裁が「インフレの脅威水準を未だ下回っている」と発言したとの報道をロイターが流したことで、GBP売が決定的となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足での決済は失敗しました。
ポジション取得は、GBPJPYがすとんと落ちたときに急いでポジション取得し、これは成功でした。がしかし、発表直前まで上昇を続けると見込んで、17:23頃の高値で利確をやめたのです。直前10-1分足の過去平均跳幅は、10pipsを超えているので、まだまだ伸びると考えたのです。
直前1分足は、ポジション取得を諦めました。直前10-1分足を外した結果、次の指標発表時刻を跨いだポジション取得をすべきか否か、決める時間が必要だったためです。
指標発表直後の陰線側への跳ねを除けば、対象期間中はほぼ陽線側に反転する動きでした。にも関わらず、売りばかりで追撃を行っています。幸い2勝1敗ですが、危ない取引方法で反省すべきです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
前月までの集計欄に間違いがあったので訂正しています。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月09日
英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月10日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月10日17:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月9日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
反応分布は、12pips以下だったことが26%、13-34pipsの範囲に55%、35pips以上だったことが19%です。大きく反応するものの、ばらつきが大きい指標です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見て、今回がどうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が低くなるように、各項目の係数を求めています。高くなるように係数を求めることはできませんでした。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が23%となりました(不一致率77%)。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が77%となりました。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が68%となりました。
本指標に先立ち、同じ7月分の製造業PMIは発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が19pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。また、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(33%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)ありました。
この9回の直後1分足跳幅は26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。また、この9回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(56%)一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率31%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は23%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する可能性が高い指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が74%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は74%です。そして、その74%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%です。52%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月11日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、鉱工業生産・製造業生産ともに前年比が前回・予想を大きく上回り、反応は陽線でした。指標前月比は、製造業生産が予想を上回ったものの、前回を下回っています。鉱工業生産の前月比は前月同値・予想同値でした。
前年比グラフの推移を見てみると、鉱工業生産・製造業生産ともに4か月連続上昇です。鉱工業生産の4月分・5月分がマイナスだったものの、2017年分は鉱工業生産・製造業生産ともにほぼずっと前年を上回っています。
次回発表(9月集計分、11月9日発表予定)は、前年・前々年の数字が良くないので、更に続伸が予想されます。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ外取引は、直前のレジスタンス(148.4)に到達したので、現在の市況では反転を見込んだためでした。
事前調査分析内容に問題はありません。
事前準備していたシナリオに問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年10月10日17:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月9日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数・貿易収支において、反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数>貿易収支、となります。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
- 本指標と製造業PMIとの相関はほぼ無いと言って構いません。また、指標発表前から10pips以上跳ねることがときどきあるものの、その跳ねた方向は直後1分足の反応方向との相関は高くありません。
- 直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率が23%(不一致率が77%)となっています。
また、事後差異と直後1分足との方向一致率は77%と高く、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。
追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが74%(両者終値が同方向の場合には100%)もあり、早期開始に適しています。指標発表から1分を経過すると、どの時点かで一旦利確して、再度追撃する場合には改めてポジションを取り直した方が良さそうです。指標発表から11分後には1分後よりも反応が伸びていた確率が50%を僅かに上回る程度しかありません。
指標発表後の上下動は大きく、直後1分足と直後11分足のヒゲは、平均的に値幅の1/3程度になっています。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)です。 - 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
論拠は反応性分析結論に依ります。 - 更に追撃するときは、直後1分足や直後11分足のヒゲが平均的に値幅の1/3にもなる一方、それらが同方向の場合に直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えることを見越します。
直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
反応分布は、12pips以下だったことが26%、13-34pipsの範囲に55%、35pips以上だったことが19%です。大きく反応するものの、ばらつきが大きい指標です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見て、今回がどうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が低くなるように、各項目の係数を求めています。高くなるように係数を求めることはできませんでした。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が23%となりました(不一致率77%)。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が77%となりました。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が68%となりました。
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本指標に先立ち、同じ7月分の製造業PMIは発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が19pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。また、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(33%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)ありました。
この9回の直後1分足跳幅は26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。また、この9回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(56%)一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向や大きさとは関係ありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は8pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率31%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は23%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する可能性が高い指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が74%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は74%です。そして、その74%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%です。52%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)です。 - 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
論拠は反応性分析結論に依ります。 - 更に追撃するときは、直後1分足や直後11分足のヒゲが平均的に値幅の1/3にもなる一方、それらが同方向の場合に直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えることを見越します。
直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
以上
2017年10月10日17:30発表
以下は2017年10月11日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、鉱工業生産・製造業生産ともに前年比が前回・予想を大きく上回り、反応は陽線でした。指標前月比は、製造業生産が予想を上回ったものの、前回を下回っています。鉱工業生産の前月比は前月同値・予想同値でした。
前年比グラフの推移を見てみると、鉱工業生産・製造業生産ともに4か月連続上昇です。鉱工業生産の4月分・5月分がマイナスだったものの、2017年分は鉱工業生産・製造業生産ともにほぼずっと前年を上回っています。
次回発表(9月集計分、11月9日発表予定)は、前年・前々年の数字が良くないので、更に続伸が予想されます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ外取引は、直前のレジスタンス(148.4)に到達したので、現在の市況では反転を見込んだためでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容に問題はありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオに問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月03日
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月4日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月4日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月1日)の値なので、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。
但し、分布を見ると12pips以下の反応だったことが75%で、たまに大きく反応したとき、その大きさが半端じゃない、ということでしょう。そういう意味で、注意が必要な指標です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。直近ピークは2017年4月分の55.8、直近ボトムは2017年前回8月分の53.2です。今回の市場予想は前回同値となっています。
PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
9月 △ + ?
8月 + △ △
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + +
2月 △ △ △
1月 + + △
EURGBPと実態差異は8回中2回一致(方向一致率25%)、GBPUSDと実態差異は8回中6回(同75%)です。9月月足では、EURGBPがマイナス、GBPUSDがプラスですから、実態差異がプラスとなる期待的中率は、1−(0.25✕0.25)=87%ということになります。
先に発表されている製造業PMIとの関係も見ておきましょう。
上表を見る限り、事前差異(市場予想ー前回結果)だけ、製造業PMIとサービス業PMIの方向一致率が63%と、60%を超えています。
市場予想が前回結果より良くなるか悪くなるかは、製造業PMIとサービス業PMIとの一致率が60%を超えるものの、事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回結果)のように発表結果を絡めると、両指標の一致率が下がっています。まして、反応方向に至っては、両指標間の一致率がほぼ50%となっています。
つまり、両指標間で、先に発表される製造業PMIは、後で発表されるサービス業PMIの取引で、参考にし得る情報がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率36%)です。反応が大きい指標の戻り比率としては普通ですが、比率でなくpipsで見れば大きいので、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が71%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は80%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.80=57%です。
これに加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.71)✕(1−0.80)=6%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、57%+6%=63%となり、あまり高くありません。
この結果は次に挙げる反応一致性分析(異なるロジックでの分析方法)でも、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が57%しかないことと、大筋で一致しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・72%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は80%です。そして、その80%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは71%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%です。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。ポジションを長持ちしても良い確率ではありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月4日22:15頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を僅かに上回り、反応は陽線でした。
発表結果が前回結果や市場予想を上回った程度は僅かだったものの、先行して発表された製造業PMI・建設業PMIが前回・予想を下回っていたため、本指標も悪化を予想する向きが多かったのでしょう。反応はほぼ平均値となる直後1分足跳幅が25pips、直後11分足値幅が36pipsに達しました。
グラフ推移を見る限りではほぼ前回と同じで、これで5か月連続横這い状態となっています。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足と2度目の追撃は損切となりました。確率上の問題ですから、これは仕方ありません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
(6-2. シナリオ検証)T.指標予想要点
2017年10月4日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月1日)の値なので、発表前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 先に発表される製造業PMIとは、指標結果の良し悪しや反応方向の相関が高くありません。
注目すべき点は、本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)が、同月のEURGBPの上下動と逆相関し、GBPUSDの上下動と相関している可能性がある点です。EURGBPの9月月足は陰線、GBPUSDのそれは陽線なので、今回の実態差異はプラスとなる可能性があります。2017年に入ってからのEURGBPやGBPUSDの月足方向と、本指標実態差異の符号の方向一致率は87%となっています。 - 前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。追撃は反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しが良いでしょう。直後1分足と直後11分足の終値同士を比較したとき、反応を伸ばしていたことは57%しかなく、ポジションを長持ちするには心もとない数字です。
- まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が76%です。 - 直後1分足は陽線と見込みます。
本指標実態差異は、同月EURGBP月足と逆相関、GBPUSD月足との相関が見込まれています。今回の本指標実態差異の符号がプラスとなる期待的中率は87%です。その一方、指標一致性分析結果では、実態差異差異と直後1分足の方向一致率は83%です。よって、今回陽線となる期待的中率は、0.87✕0.83
72%となります。
指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。
但し、分布を見ると12pips以下の反応だったことが75%で、たまに大きく反応したとき、その大きさが半端じゃない、ということでしょう。そういう意味で、注意が必要な指標です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。直近ピークは2017年4月分の55.8、直近ボトムは2017年前回8月分の53.2です。今回の市場予想は前回同値となっています。
ーーー$€¥ーーー
PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。
EURGBP GBPUSD 実態差異
9月 △ + ?
8月 + △ △
7月 + + +
6月 + + △
5月 + △ △
4月 △ + +
3月 △ + +
2月 △ △ △
1月 + + △
EURGBPと実態差異は8回中2回一致(方向一致率25%)、GBPUSDと実態差異は8回中6回(同75%)です。9月月足では、EURGBPがマイナス、GBPUSDがプラスですから、実態差異がプラスとなる期待的中率は、1−(0.25✕0.25)=87%ということになります。
ーーー$€¥ーーー
先に発表されている製造業PMIとの関係も見ておきましょう。
上表を見る限り、事前差異(市場予想ー前回結果)だけ、製造業PMIとサービス業PMIの方向一致率が63%と、60%を超えています。
市場予想が前回結果より良くなるか悪くなるかは、製造業PMIとサービス業PMIとの一致率が60%を超えるものの、事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回結果)のように発表結果を絡めると、両指標の一致率が下がっています。まして、反応方向に至っては、両指標間の一致率がほぼ50%となっています。
つまり、両指標間で、先に発表される製造業PMIは、後で発表されるサービス業PMIの取引で、参考にし得る情報がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率36%)です。反応が大きい指標の戻り比率としては普通ですが、比率でなくpipsで見れば大きいので、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が71%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は80%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.71✕0.80=57%です。
これに加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.71)✕(1−0.80)=6%です。
従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、57%+6%=63%となり、あまり高くありません。
この結果は次に挙げる反応一致性分析(異なるロジックでの分析方法)でも、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が57%しかないことと、大筋で一致しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・72%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は80%です。そして、その80%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは71%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%です。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。ポジションを長持ちしても良い確率ではありません。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が76%です。 - 直後1分足は陽線と見込みます。
本指標実態差異は、同月EURGBP月足と逆相関、GBPUSD月足との相関が見込まれています。今回の本指標実態差異の符号がプラスとなる期待的中率は87%です。その一方、指標一致性分析結果では、実態差異差異と直後1分足の方向一致率は83%です。よって、今回陽線となる期待的中率は、0.87✕0.83
72%となります。
指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上
2017年10月4日17:30発表
以下は2017年10月4日22:15頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を僅かに上回り、反応は陽線でした。
発表結果が前回結果や市場予想を上回った程度は僅かだったものの、先行して発表された製造業PMI・建設業PMIが前回・予想を下回っていたため、本指標も悪化を予想する向きが多かったのでしょう。反応はほぼ平均値となる直後1分足跳幅が25pips、直後11分足値幅が36pipsに達しました。
グラフ推移を見る限りではほぼ前回と同じで、これで5か月連続横這い状態となっています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足と2度目の追撃は損切となりました。確率上の問題ですから、これは仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 先に発表される製造業PMIとは、指標結果の良し悪しや反応方向の相関が高くありません。9月集計分も、製造業PMIは前回結果を下回っていました。
注目していたのは、本指標の実態差異が同月のEURGBPの上下動と逆相関し、GBPUSDの上下動と相関している可能性があった点です。EURGBPの9月月足は陰線、GBPUSDのそれは陽線なので、今回の実態差異はプラスとなる可能性がありました。
発表結果は前回結果を上回り、これで2017年に入ってからのEURGBPやGBPUSDの月足方向と、本指標実態差異の符号の方向一致率は9回中7回が当たったことになります。。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上