2017年11月14日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月14日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月14日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は指標発表前に再確認してください。
以前、BOEは今回発表の「10月分でCPI前年比が+3.2%でピークを迎える」との見解を示しています。もちろん、このような予測は、時期が1・2か月ずれても、値が0.1%ずれても、ほぼ的中と言っても良い精度と言えるでしょう。だから、この予測で着目すべき点は、そろそろピークを迎えるという部分です。ちなみに、BOEがこのような予想をしていた論拠中核は、英経済との結びつきが強いEURGBPが昨年10月に上昇一服となっているからです(たぶん)。
このように、物価高の原因はGBP安です。この点について考察すると、GBP安を抑え込むための利上げは現時点において効果なく、むしろややGBPは利上げ直前よりも安くなっています。更に、英首相の求心力低下と、それに伴うEU離脱交渉の難航は、先にBOEが予測していなかった事態と推察されます。
よって、英政府やBOEの施策が物価高に無効なら、物価高は消費低迷に繋がり、例え物価上昇という結果になっても陽線での反応時間が短くなる(どこかで反転する)公算が高いと見込めます。
さて、そういうことは別にして、本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られませんからね。これは難しい話です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。前回は反応が小さかったものの、これは利上げ前月で判断に迷ったと解釈する方がすっきりします。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前回9月分では、CPI前年比は3%に達しました。今回10月分の予想は3.1%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。よって、今回は前月発表結果3.0%を上回る可能性が高いものの、今後数か月はGBP安一服ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は69%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が69%ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・59%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が72%、直前1分足の陰線率が83%となっており、偏りが見受けられます。
さて、現在の市況で指標発表前にGBPを買う選択は難しいと思います。
だから、こう理解してください。こうした確率は、確率通りに取引を行うか、そもそも取引を行わないか、の選択のためにあるのです。少なくとも、確率に反する取引を行うという選択肢を除外するためのものです。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら63%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが、投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月17日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はほぼ前月に同じでしたが、市場予想をやや下回りました。反応は陰線で、直後1分足跳幅は49pipsでした。
細かく見ていきましょう。
CPIは、前月比が3か月連続プラスだったものの、徐々にプラス幅が小さくなってきました。前年比は、前回8月分と同じく直近ピークの3%で高止まりしています。コアCPI前年比も、7月分以降は、3か月連続+2.7%で高止まりしています。
このうち、CPI前年比は昨年5月頃から、コアCPI前年比は昨年10月頃から、上昇基調となっているため、来月の発表からは伸び難くなるでしょう。
そして、反応には結びつかないものの、コアPPIの下降基調転換がはっきりしてきました。でもなぜコアPPIは下がり始めているのでしょう。CPI上昇の主因と言えるGBP安は、PPIでも輸入原材料高に結び付いてもよいはずです。そうならないのは、PPIの場合、モノが売れて量産効果が高まれば、CPIやRPIよりも下げ幅が大きくなるのです。
なぜか。
製造業には、一般の販売会社の営業益に加えて製造益があります。もし材料原価が3%ぐらいあがっても、たったの3%ぐらい仕事が増えても主たる固定費(労務費)は一定のままです。稼働率が7割の設備を8割動かしても、(動力費こそ増えますが)この程度なら増員する必要もありません。設備稼働率を上げて固定費を増やさずに対応できている間は増収増益となる訳です。
実際、製造業生産指数はまだ9月分までしか発表されていないものの、前年比は4月分を除けば今年に入ってプラス推移を継続しています。
ロイターは、本指標結果の解説記事で、経済成長が頭打ちの状態で利上げを行ったBOEの判断を疑問視する声があがる可能性について、指摘しています。
そりゃそうだと思います。
今のうちに利上げしておかないと、という考えはBOEにないと信じますが、それにしても先の利上げは不可解でした。BOEの使命は、物価上昇を抑えつつ成長を促進することで雇用を確保することだったはずです。こりゃ過去のパターンなら、利上げでなく何らかの量的緩和が必要だったのではないでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
何とか取り返せました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月14日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の指標予想と前回結果、及び、過去の反応程度と分布は下表の通りです。市場予想は指標発表前に再確認してください。
以前、BOEは今回発表の「10月分でCPI前年比が+3.2%でピークを迎える」との見解を示しています。もちろん、このような予測は、時期が1・2か月ずれても、値が0.1%ずれても、ほぼ的中と言っても良い精度と言えるでしょう。だから、この予測で着目すべき点は、そろそろピークを迎えるという部分です。ちなみに、BOEがこのような予想をしていた論拠中核は、英経済との結びつきが強いEURGBPが昨年10月に上昇一服となっているからです(たぶん)。
このように、物価高の原因はGBP安です。この点について考察すると、GBP安を抑え込むための利上げは現時点において効果なく、むしろややGBPは利上げ直前よりも安くなっています。更に、英首相の求心力低下と、それに伴うEU離脱交渉の難航は、先にBOEが予測していなかった事態と推察されます。
よって、英政府やBOEの施策が物価高に無効なら、物価高は消費低迷に繋がり、例え物価上昇という結果になっても陽線での反応時間が短くなる(どこかで反転する)公算が高いと見込めます。
さて、そういうことは別にして、本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られませんからね。これは難しい話です。
- 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
論拠は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となっているからです。事後差異とは、発表結果ー市場予想、です。 - 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)があります。
がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去31%しかありません。
一方、いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を多少削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多いので、期待値の観点から抜けたら追撃徹底です。 - 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。
(1) まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ15pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは22%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは25%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。覚えておくことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
(2) また、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。
(3) それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は75%。直前1分足の陰線率は83%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が71%と、取引参加者は予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあることも、本指標の特徴と言えるでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅15pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねているので、あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが1/3を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。 - もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する反応推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で31pipsと、かなり大きく反応する指標です。前回は反応が小さかったものの、これは利上げ前月で判断に迷ったと解釈する方がすっきりします。
また、直前10-1分足終値(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)には相関がなく、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)は相関があることがわかります。直後1分足終値が△20pipsから+30pipsの範囲内では反転の恐れがあり、いわゆる「抜けば追う」の抜くべき閾値がその付近にあることがわかります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前回9月分では、CPI前年比は3%に達しました。今回10月分の予想は3.1%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。よって、今回は前月発表結果3.0%を上回る可能性が高いものの、今後数か月はGBP安一服ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均31pipsと同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足が大きく反応するとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均31pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は69%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となる期待的中率が69%ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ86%・59%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が72%、直前1分足の陰線率が83%となっており、偏りが見受けられます。
さて、現在の市況で指標発表前にGBPを買う選択は難しいと思います。
だから、こう理解してください。こうした確率は、確率通りに取引を行うか、そもそも取引を行わないか、の選択のためにあるのです。少なくとも、確率に反する取引を行うという選択肢を除外するためのものです。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら63%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが、投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅15pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねているので、あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが1/3を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。 - もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。
以上
2017年11月14日18:30発表
以下は2017年11月17日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はほぼ前月に同じでしたが、市場予想をやや下回りました。反応は陰線で、直後1分足跳幅は49pipsでした。
細かく見ていきましょう。
CPIは、前月比が3か月連続プラスだったものの、徐々にプラス幅が小さくなってきました。前年比は、前回8月分と同じく直近ピークの3%で高止まりしています。コアCPI前年比も、7月分以降は、3か月連続+2.7%で高止まりしています。
このうち、CPI前年比は昨年5月頃から、コアCPI前年比は昨年10月頃から、上昇基調となっているため、来月の発表からは伸び難くなるでしょう。
そして、反応には結びつかないものの、コアPPIの下降基調転換がはっきりしてきました。でもなぜコアPPIは下がり始めているのでしょう。CPI上昇の主因と言えるGBP安は、PPIでも輸入原材料高に結び付いてもよいはずです。そうならないのは、PPIの場合、モノが売れて量産効果が高まれば、CPIやRPIよりも下げ幅が大きくなるのです。
なぜか。
製造業には、一般の販売会社の営業益に加えて製造益があります。もし材料原価が3%ぐらいあがっても、たったの3%ぐらい仕事が増えても主たる固定費(労務費)は一定のままです。稼働率が7割の設備を8割動かしても、(動力費こそ増えますが)この程度なら増員する必要もありません。設備稼働率を上げて固定費を増やさずに対応できている間は増収増益となる訳です。
実際、製造業生産指数はまだ9月分までしか発表されていないものの、前年比は4月分を除けば今年に入ってプラス推移を継続しています。
ロイターは、本指標結果の解説記事で、経済成長が頭打ちの状態で利上げを行ったBOEの判断を疑問視する声があがる可能性について、指摘しています。
そりゃそうだと思います。
今のうちに利上げしておかないと、という考えはBOEにないと信じますが、それにしても先の利上げは不可解でした。BOEの使命は、物価上昇を抑えつつ成長を促進することで雇用を確保することだったはずです。こりゃ過去のパターンなら、利上げでなく何らかの量的緩和が必要だったのではないでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
何とか取り返せました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 本指標の判別式は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)で、この解の符号と指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となっていました。
今回の解の符号はマイナスだったので、陰線での反応はこの式の過去の方向一致率と合致しています。 - 反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)がありました。
今回は、前年比が市場予想と同値で、前月比のみがマイナスでした。陰線での反応は、この話と一致しています。 - がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきと捉えていました。過去の平均的な反応では、発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去31%しかないからです。がしかし、いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込んでいました。
結果は△20pipsを超えていたので、抜けたら追うで正解でした。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6967032
この記事へのトラックバック