2017年11月14日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月15日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月15日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年10月分の集計結果、平均所得と失業率が2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
本指標に関する反応分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。但し、巻頭の指標要点の表に挙げたように、16pips以下しか跳ねなかったことも33%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年8月分(前々月)発表結果に基づいています。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実態差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足や直後11分足との一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、という判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直後1分足との方向一致率が87%となっています。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度33%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。
指標発表後は、直後1分足・直後11分足ともに、平均的にヒゲの長さが1/3を占めると覚えておきましょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が75%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ81%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
その他、直前1分足は、直前10-1分足と反転することが多く、直後1分足と同方向になることが多いようです。がしかし、それをアテにして取引するには、少し心もとない数字です。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月18日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率が前月同値で平均所得(含ボーナス)が前月より0.1%上回りました。反応は陽線でしたが、直後11分足は直後1分足から反転しました。
失業保険申請件数が予想を下回り、平均所得は予想を上回ったので、これは反応に対しては良い結果だと言えます。直後1分足は素直に反応しています。
ロイター解説に依れば、7-9月の失業率は約40年ぶりの低水準だったそうです。但し、平均所得(含ボーナス)は、6-8月の2.3%から鈍化しており、前日発表されたCPI前年比+3.0%を0.8ポイント下回っています。
記事では、経済成長の鈍さとEU離脱を巡る不透明感が労働市場の重しになり始めている可能性がある、との識者コメントを載せていました。
なるほど、とは、素直に思えず、そういうものか、と思うしかありません。
先行き不透明ならば、失業保険申請件数が増えて、所得が減りつつというのなら、なるほど、と思えます。がしかし、本指標結果のみを眺めると、失業保険申請件数は上昇中には見えず、所得も5月分こそ下がったものの、これで4か月連続で+2%を超えています。失業率に至っては、ロイターも報じている通り、過去最低の水準です。
今回の指標結果と直近の推移を素直に眺めると、むしろ、EU離脱交渉の難航がはっきりしつつあるのに、労働市場にはその影響がまだ現れていない、と解釈すべきだと思います。だから、そんなハズないので、直後11分足で陰線側に反転した、と解釈する方がしっくりきます。
取引結果は次の通りでした。
指標発表時は、直前1分足が10pips跳ねていないため、取引を止めました。そして、初期反応が陽線だったため、追撃も単発で止めました。
いずれも、シナリオに従った結果です。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月15日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年10月分の集計結果、平均所得と失業率が2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応はかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも33%あります。
大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。 - 指標発表前後の反応方向には、直前1分足の陰線率が75%と高いことと、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が88%と高い点を除き、目立った傾向がありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%と高いものの、跳幅同士を比べて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%、終値同士を比べて反応を伸ばしたことは47%です。 - だから、指標発表前の動きに注意しておきましょう。
直前1分足が10pips以上跳ねたとき(頻度33%)、次の直後1分足はその逆に反応したことの方が多く、しかも直後1分足は平均(31pips)以上跳ねる傾向があります。この場合の方向一致率は36%(不一致率64%)で、直後1分足跳幅平均は45pipsです。
但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねても(頻度21%)、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。この場合は、釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って早期開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。 - 直後1分足が陰線だったり、長い上ヒゲを残した場合、短期取引で陰線側への追撃を繰り返します。
BOEの利上げ効果や英政府政策に期待できないと、当面のGBPは売圧力が強いと捉えているためです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する反応分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。但し、巻頭の指標要点の表に挙げたように、16pips以下しか跳ねなかったことも33%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年8月分(前々月)発表結果に基づいています。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実態差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足や直後11分足との一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、という判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直後1分足との方向一致率が87%となっています。
この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度33%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。
指標発表後は、直後1分足・直後11分足ともに、平均的にヒゲの長さが1/3を占めると覚えておきましょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が75%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ81%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
その他、直前1分足は、直前10-1分足と反転することが多く、直後1分足と同方向になることが多いようです。がしかし、それをアテにして取引するには、少し心もとない数字です。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って早期開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。 - 直後1分足が陰線だったり、長い上ヒゲを残した場合、短期取引で陰線側への追撃を繰り返します。
BOEの利上げ効果や英政府政策に期待できないと、当面のGBPは売圧力が強いと捉えているためです。
以上
2017年11月15日18:30発表
以下は2017年11月18日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率が前月同値で平均所得(含ボーナス)が前月より0.1%上回りました。反応は陽線でしたが、直後11分足は直後1分足から反転しました。
失業保険申請件数が予想を下回り、平均所得は予想を上回ったので、これは反応に対しては良い結果だと言えます。直後1分足は素直に反応しています。
ロイター解説に依れば、7-9月の失業率は約40年ぶりの低水準だったそうです。但し、平均所得(含ボーナス)は、6-8月の2.3%から鈍化しており、前日発表されたCPI前年比+3.0%を0.8ポイント下回っています。
記事では、経済成長の鈍さとEU離脱を巡る不透明感が労働市場の重しになり始めている可能性がある、との識者コメントを載せていました。
なるほど、とは、素直に思えず、そういうものか、と思うしかありません。
先行き不透明ならば、失業保険申請件数が増えて、所得が減りつつというのなら、なるほど、と思えます。がしかし、本指標結果のみを眺めると、失業保険申請件数は上昇中には見えず、所得も5月分こそ下がったものの、これで4か月連続で+2%を超えています。失業率に至っては、ロイターも報じている通り、過去最低の水準です。
今回の指標結果と直近の推移を素直に眺めると、むしろ、EU離脱交渉の難航がはっきりしつつあるのに、労働市場にはその影響がまだ現れていない、と解釈すべきだと思います。だから、そんなハズないので、直後11分足で陰線側に反転した、と解釈する方がしっくりきます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表時は、直前1分足が10pips跳ねていないため、取引を止めました。そして、初期反応が陽線だったため、追撃も単発で止めました。
いずれも、シナリオに従った結果です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 平均的な反応はかなり大きい(直後1分足跳幅過去平均は32pips)ものの、ばらつきが大きいことを指摘していました。
結果は、直後1分足跳幅がpipsで、小さな反応ではないものの、それほどでもありません。直後1分足跳値は、ほぼ直前10-1分足始値で跳ね返されました。 - 指標発表前後の反応方向には、直前1分足の陰線率が75%と高いことと、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が88%と高い点を除き、目立った傾向ないことを指摘していました。
直前1分足は陰線で、直後1分足は事後差異の判別式符号と方向一致しました。 - 指標発表前に直前10-1分足は17pipsも陰線側に動いています。がしかし、直後1分足は陽線で、直前10-1分足の大きな動きは関係なかったようです。
事前分析では、直前10-1分足が20pips以上跳ねても、と記していたものの、ほぼ過去の傾向通りの動きだったと言えるでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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