2017年11月15日
英国実態指標「小売売上高」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月16日18:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月16日18:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
本指標要点は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つならば慎重でなければいけません。前回の反応は驚きでした。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布には、相関性が見受けられません。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布は、右上がりの基準線(赤線)を引いてみると、おもしろいことがわかります。もし直後1分足が陰線だった場合、直後11分足は基準線より上、すなわち1分を過ぎたら直後1分足値幅方向に対して逆張りが有効だということです。直後1分足が陽線だった場合には、順張り・逆張りの優劣はないように見受けられます。
尤も、直後1分足が陰線でも、直後11分足はヒゲも持つので、発表から1分後に陽線側に逆張りするのは、少しばかり「えい」っと気合が必要でしょう。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは特に前年比において売上高・コア売上高ともに下降基調です。そして、今回発表ではいずれも市場予想が低くなています。これは、前年比計算にあたって、昨年10月分が直近ピークだったためです。
でも、騙されてはいけません。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みます。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。この計算は、2015年1月分〜2017年8月分までの32回のデータに基づいています。
先に結論を述べると、以下の判別式からわかることは、下降基調が明確な前年比よりも、予想と結果の大小関係の入れ替わりが激しい前月比の方が反応に寄与するということです。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
同様に、上から2・3行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が74%です。
事後差異判別式は、2✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+3✕コア前月比事後差異+1✕コア前年比事後差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足とは、方向一致率が82%です。
実態差異判別式は、2✕前年比実態差異+1✕コア前月比実態差異+3✕コア前年比実態差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後11分足とは、方向一致率が76%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応と同じぐらい動きます。
直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度42%)もあります。この14回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度27%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均32pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。直後1分足・直後11分足ともに平均的なヒゲの長さは30%以上を占める、と覚えておきましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ73%・70%・79%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線ならば発表結果は事後差異・実態差異もマイナスとなりがちだということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は、それぞれ81%・84%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応しています。
実態差異も直後1分足や直後11分足との方向一致率が高いものの、事後差異とそれらの一致率ほどではありません。よって、今回は実態差異に解釈を加える必要はないでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が66%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高い割に、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率はそれより低く56%しか方向一致率がありません。
これはどう解釈すべきでしょう。
指標結果に最も素直に反応するのは、やはり直後1分足です。指標発表までのトレンドに反する方向に指標発表直後に反応しても、指標の影響持続時間が短く、元のトレンドに戻りがちなのかも知れません。
そして、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが96%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃開始です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。直後11分足と直後1分足に対して反転したことが28%、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが22%です。
早期追撃で得たポジションは、その時点では暫く反応を伸ばすと捉え、発表から1分を過ぎてから利確の機会を窺いましょう。但し、その後は反応を伸ばすとは言えない数字です。様子を見ながら追撃を行うなら、短期取引の繰り返しで行った方が良いでしょう。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に前回を下回り予想を上回る内容でした。反応はヒゲの長い陽線でした。
売上高前年比が2013年以来の大きな落ち込みで、教科書通りに賃金上昇を上回る物価上昇が続いて消費抑制に結び付いているようです。 前年比の下降基調ははっきりしています。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月16日18:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
本指標要点は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 前年比は売上高・コア売上高ともに昨年10月分を直近ピークとして下降基調です。がしかし、指標発表後の反応に寄与するのは、コア前月比>前月比>その他の順に寄与します。
とは言え今回現時点の市場予想は、前年比の落ち込みがかなり大きく見込まれており、前月比が改善と見込まれているものの、事前差異はマイナスとなっています。直前10-1分足の方向は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、という事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と方向一致率が73%です。 - 指標発表前から大きく動きがちです。直前10-1分足跳幅は過去平均21pipsもあり、そんじょそこらの指標発表直後並みに動きます。それにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。ご注意ください。
- 指標発表直後の反応は直後1分足跳幅が平均32pipsと大きく、過去には一瞬で50pips跳ねたこともあります。指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっています。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を過ぎたら、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、短期取引に徹する方が良いでしょう。指標発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちですが、その後10分経つと反応が伸びていたことは50%です。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
論拠は、事前差異判別式の期待的中率が73%となっていることです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、過去の陰線率が76%となっていることです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっていることです。 - 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探ります。
更に追撃を繰り返す場合は、短期取引の繰り返しで行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
ーーー$€¥ーーー
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つならば慎重でなければいけません。前回の反応は驚きでした。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布には、相関性が見受けられません。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布は、右上がりの基準線(赤線)を引いてみると、おもしろいことがわかります。もし直後1分足が陰線だった場合、直後11分足は基準線より上、すなわち1分を過ぎたら直後1分足値幅方向に対して逆張りが有効だということです。直後1分足が陽線だった場合には、順張り・逆張りの優劣はないように見受けられます。
尤も、直後1分足が陰線でも、直後11分足はヒゲも持つので、発表から1分後に陽線側に逆張りするのは、少しばかり「えい」っと気合が必要でしょう。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは特に前年比において売上高・コア売上高ともに下降基調です。そして、今回発表ではいずれも市場予想が低くなています。これは、前年比計算にあたって、昨年10月分が直近ピークだったためです。
でも、騙されてはいけません。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みます。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。この計算は、2015年1月分〜2017年8月分までの32回のデータに基づいています。
先に結論を述べると、以下の判別式からわかることは、下降基調が明確な前年比よりも、予想と結果の大小関係の入れ替わりが激しい前月比の方が反応に寄与するということです。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
同様に、上から2・3行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が74%です。
事後差異判別式は、2✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+3✕コア前月比事後差異+1✕コア前年比事後差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足とは、方向一致率が82%です。
実態差異判別式は、2✕前年比実態差異+1✕コア前月比実態差異+3✕コア前年比実態差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後11分足とは、方向一致率が76%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応と同じぐらい動きます。
直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度42%)もあります。この14回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度27%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均32pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。直後1分足・直後11分足ともに平均的なヒゲの長さは30%以上を占める、と覚えておきましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ73%・70%・79%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線ならば発表結果は事後差異・実態差異もマイナスとなりがちだということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は、それぞれ81%・84%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応しています。
実態差異も直後1分足や直後11分足との方向一致率が高いものの、事後差異とそれらの一致率ほどではありません。よって、今回は実態差異に解釈を加える必要はないでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が66%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高い割に、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率はそれより低く56%しか方向一致率がありません。
これはどう解釈すべきでしょう。
指標結果に最も素直に反応するのは、やはり直後1分足です。指標発表までのトレンドに反する方向に指標発表直後に反応しても、指標の影響持続時間が短く、元のトレンドに戻りがちなのかも知れません。
そして、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが96%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃開始です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。直後11分足と直後1分足に対して反転したことが28%、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが22%です。
早期追撃で得たポジションは、その時点では暫く反応を伸ばすと捉え、発表から1分を過ぎてから利確の機会を窺いましょう。但し、その後は反応を伸ばすとは言えない数字です。様子を見ながら追撃を行うなら、短期取引の繰り返しで行った方が良いでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
論拠は、事前差異判別式の期待的中率が73%となっていることです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、過去の陰線率が76%となっていることです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっていることです。 - 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探ります。
更に追撃を繰り返す場合は、短期取引の繰り返しで行います。
以上
2017年11月16日18:30発表
以下は2017年11月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に前回を下回り予想を上回る内容でした。反応はヒゲの長い陽線でした。
売上高前年比が2013年以来の大きな落ち込みで、教科書通りに賃金上昇を上回る物価上昇が続いて消費抑制に結び付いているようです。 前年比の下降基調ははっきりしています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 事前分析は次の通りでした。
前年比は売上高・コア売上高ともに昨年10月分を直近ピークとして下降基調です。がしかし、指標発表後の反応に寄与するのは、コア前月比>前月比>その他の順に寄与します。
とは言え今回現時点の市場予想は、前年比の落ち込みがかなり大きく見込まれており、前月比が改善と見込まれているものの、事前差異はマイナスとなっています。直前10-1分足の方向は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、という事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と方向一致率が73%です。
結果は、事前差異判別式結果は△0.5で、直前10-1分足は上下にヒゲの長い陰線で、方向一致していました。
事後差異判別式結果は+0.8で、直後1分足は上にヒゲの長い陽線でした。
分析に問題はありません。 - 事前分析は次の通りでした。
指標発表前から大きく動きがちです。直前10-1分足跳幅は過去平均21pipsもあり、そんじょそこらの指標発表直後並みに動きます。それにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。ご注意ください。
今回の直前10-1分足は、全幅(上跳値と下跳値の長さ)8pipsと、あまり大きく動きませんでした。方向感はなく、その意味では分析通りでした。 - 事前分析は次の通りでした。
指標発表直後の反応は直後1分足跳幅が平均32pipsと大きく、過去には一瞬で50pips跳ねたこともあります。指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっています。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を過ぎたら、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、短期取引に徹する方が良いでしょう。指標発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちですが、その後10分経つと反応が伸びていたことは50%です。
今回の反応は12pipsと、小さい反応でした。事前差異はマイナスで直後1分足は陽線ですから、反応方向は不一致でした。追撃は、早期開始しても長いヒゲで損切となりがちな反応でした。
この項の分析は今回、当たらなかったと言えます。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切でした。
結果は直前10-1分足と直後1分足の方向が逆でした。 - 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探るつもりでした。
初期反応の方向が逆だったので、追撃は1回しか行わず、しかも損切となりました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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