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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

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【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
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DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年12月12日

英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月13日18:30発表結果検証済)

以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.反応要点

2017年12月13日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。

この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、指標発表後に追撃するなら、この日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので、今回は本指標の影響持続時間がかなり限られると思われます。

前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。本稿は12月11日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

1711英国雇用110.png

1711英国雇用120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。

直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1.1程度であり、平均的には反応が伸びる指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えて伸びたことと値幅を削ったことが同程度の頻度で起きているようです。
追撃は容易ではありません。


U.指標要点

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。

同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与・平均賃金といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年ぐらいはこの多寡に反応しています。

ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1711英国雇用210.png

1711英国雇用220.png

1711英国雇用230.png

項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年10月分までの発表結果に基づいています。

結果、過去の事後差異は、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると良いことがわかりました。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。

素直に反応する指標、と言える数字ですが、判別式の係数を見る限り、指標発表直後にぱぱっと計算することには無理があります。平均所得や失業率の0.1%の予想とのズレは、失業保険申請件数の3万人のズレに相当します。
直近の傾向では、失業保険申請件数の予想と結果はズレてもせいぜい数千人ですから、平均所得や失業率の予想とのズレが反応に大きく寄与していることがわかります。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直前10-1分足跳幅は平均16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。

1711英国雇用310.png

次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度32%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。

1711英国雇用320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率はほぼ1/3と覚えておけばよいでしょう。

1711英国雇用330.png

1711英国雇用340.png


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国雇用430.png

事前差異と直前10-1分足の方向一致率が67%と、3回に2回の割合で方向が一致しています。また、実態差異と直前10-1分足の方向一致率も70%に達しています。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国雇用420.png

直前1分足の陰線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。

直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ79%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。

最後に、反応性分析の結果を下図に示します。

1711英国雇用410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。

指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。


【4. シナリオ作成】

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応はかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも32%あります。
    大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。

  • 指標発表前の反応方向は、直前10-1分足が事前差異との方向一致率67%で、直前1分足の陰線率が75%と高くなっています。
    そして、直前1分足が10pips以上跳ねたとき(頻度33%)、次の直後1分足はその逆に反応したことの方が多く、しかも直後1分足は平均(31pips)以上跳ねる傾向があります。この場合の方向一致率は36%(不一致率64%)で、直後1分足跳幅平均は45pipsです。
    但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねても(頻度21%)、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。この場合は、釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。

  • 追撃は難しく、過去の傾向で一貫した傾向がありません。もっともアテになる傾向は、過去の事後差異が、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると、直後1分足との方向一致率が高いことがわかっています。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
    とても指標発表直後にぱぱっと計算できる式ではないので、平均所得と失業率がズレた方向に追撃すると良いでしょう。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    論拠は、3回に2回の割合で、事前差異と同じ方向に反応しているためです。今回の事前差異はプラスとなっています。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    但し、論拠は過去の陰線率の高さです。

  • 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
    但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。

  • 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
    過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。

  • 追撃を繰り返すなら、直後11分足のヒゲが過去平均で全体の1/3程度になりがちなことを意識しておきましょう。確率的に伸びるか戻すかがわからないので、やるなら短期取引の繰り返しの方が良いでしょう。
    この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、追うならこの日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので。

以上


2017年12月13日18:30発表

以下は2017年12月13日21:30頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1711英国雇用510.png

市場予想が本稿分析時点以降に改訂されていたようです。
結果は失業保険申請件数と失業率が予想より悪化し、平均所得(含ボーナス)は予想通りでした。反応は陰線でした。

ただ、実のところ、今回の発表結果は悪くありません。
失業保険申請件数は前回よりやや増加し、失業率も0.1%悪化しました。けれども、平均所得は2016年12月以来の+2.5%へと上昇しました。
悪化というなら、失業率が完全に上昇に転じなければ説得力に欠き、それよりかねてから問題だった所得に上向きの兆しがあったことの方が重要です。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1711英国雇用520.png

問題ありません。
指標発表時刻を跨いだポジション取得は、シナリオに従い断念しました。


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1711英国雇用530.png

2017年は本指標で10回取引を行い、指標単位で8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位で22勝6敗(勝率79%)でした。悪くありません。
1回の発表毎の平均取引時間は4分18秒で、年間87pipsの利確でした。分析に記しているように、反転・再反転することも多く、取引が難しい指標です。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年12月11日

英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月12日18:30発表結果検証済)

以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.反応要点

2017年12月12日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。

1711英国物価指標110.png

1711英国物価指標120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。

直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1程度であり、平均的には反応が伸び悩む指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後1分足が20pips以下となったときには、直後11分足値幅が直後1分足値幅を削るか反転したことが多いようです。


U.指標要点

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。

CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。

RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。

PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。

過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1711英国物価指標210.png

1711英国物価指標220.png

1711英国物価指標230.png

8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前々回9月分ではCPI前年比が3%に達し、前回10月分も同値3%でした。今回11月分の予想も3%となっています。

物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。そして、2017年8月にそのピークを一時上抜けました。8月以降は、その新たなピークよりややGBPは買われています。
8月のGBP安の影響が9月・10月のCPIピークに繋がっているのだとすれば、今回そろそろ物価が少し下がって良いはずです。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直前10-1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足がいつもより大きく反応するとは言えないものの、もともと本指標の直後1分足は反応が大きいので、気を付けるべきです。

1711英国物価指標310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1711英国物価指標320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。戻り比率が40%前後に達しており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

1711英国物価指標330.png

1711英国物価指標340.png


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国物価指標430.png

事前差異と直後1分足の方向一致率は67%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となることが3回に2回ということです。

事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・58%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国物価指標420.png

直前10-1分足の陽線率が73%、直前1分足の陰線率が81%となっており、偏りが見受けられます。

そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら64%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下図に示します。

1711英国物価指標410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は64%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは33%しかありません。

この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。

損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。


【4. シナリオ作成】

本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られません。でもこれはなかなか難しい話です。

  • 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
    反応は指標結果に対して素直でかなり大きくなる傾向があります。危ないので、発表時刻を跨いだポジションを持つことは薦められません。

  • より安全に稼ぐには、やはり初期反応の方向を確認してからの追撃もしくは逆張りです。
    けれども、その追撃は、早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去33%しかありません。陰線であれ陽線であれ、直後1分足値幅が20pips以下しか伸びなかったときには、特に直後11分足値幅が直後1分足値幅を削るか反転したことが多いようです。
    いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、過去の実績から言えば、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を多少削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多いので、期待値の観点から抜けたら追撃徹底です。

  • 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。
    (1) まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ14pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは21%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは24%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。覚えておくことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
    (2) また、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。
    (3) それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は73%。直前1分足の陰線率は81%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が67%と、取引参加者は3回に2回の割合で予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあることも、本指標の特徴と言えるでしょう。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅14pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねています。あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。

  • 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。但し、もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
    但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。

  • 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
    戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが40%程度を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。

  • もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。

以上


2017年12月12日18:30発表

以下は2017年12月12日19:30頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1711英国物価指標510.png

結果はざっくりCPI関連が上昇、RPI関連が下降でした。反応は分析対象期間内こそ陽線で反応したものの、その後は本稿記載時点(19:10頃)で陰線側に反転して伸びています。

細部を見ると、CPI前月比・前年比が前回・予想を上回りました。コアCPIは前回・予想と同値でした。RPIは前月比こそ前回を上回ったものの前年比・コア前年比が前回・予想を下回りました。
グラフ推移は、CPI前年比が直近ピークとなり、コアCPI前年比も含め、下降に転じる兆しがまだ見られません。一方、RPI前年比・コアRPI前年比は、僅かながら下げた結果、先行するコアPPI前年比を追うように下がる予感を与えます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1711英国物価指標520.png

ほぼシナリオ通りで、問題ありません。
2度目の追撃は、1度目の追撃が含損を持っていたので、ナンピン(難平)で対応し、これは当たりました。ポイントは、この時刻に1時間足チャートの雲下端が151.7付近にあったことです。結果的に、ここにワンタッチしてチャートは下降に転じています。


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1711英国物価指標530.png

2017年は、本指標で11回の取引を行い、指標単位で9勝2敗(勝率82%)、シナリオ単位で34勝11敗(勝率76%)でした。1取引当たりの平均取引時間は9分4秒で、年間222pipsを稼げたようです。
悪くありません。
なお、前月までの本指標分析記事に添付していた同表では、集計が間違っていたので今回から訂正しています。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年12月06日

英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月8日18:30発表結果検証済)

以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.反応要点

2017年12月8日18:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年10月期の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。

1710英国鉱工業生産110.png

1710英国鉱工業生産120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
但し、最近の3回の反応はあまり伸びていません。直後11分足は過去平均では30pips以上伸びていますが、ここ3回の平均は20pips強です。

直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びていく指標、と言えます。


U.指標要点

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。

本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1710英国鉱工業生産210.png

1710英国鉱工業生産220.png

こんなグラフを見たって、この先どうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。

1710英国鉱工業生産270.png

事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が21%(不一致率79%)となります。

事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が79%となります。

実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が70%となります。

全体的には、鉱工業生産指数の前月比の影響が大きいようです。

ーーー$€¥ーーー

本指標に先立ち、同じ10月集計分の製造業PMIが既に発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。

相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。

1710英国鉱工業生産251.png

結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度6%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きいようです。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向が大きくなる可能性はあるものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではないようです。

1710英国鉱工業生産310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度30%)ありました。
この10回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きくなっています。また、この10回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(50%)が一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向がやや大きくなるかもしれないものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではありません。

1710英国鉱工業生産320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは11pips(戻り比率34%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1710英国鉱工業生産430.png

事前差異と直前10-1分足の方向一致率は21%(不一致率79%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。

事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1710英国鉱工業生産420.png

各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲内です)。

直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

反応性分析の結果を下図に示します。

1710英国鉱工業生産410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。驚くべきことに、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。この数字は、直後1分足と直後11分足が方向不一致だった場合を含めても、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%もあるということです。一方向への反応が進む指標です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%です。52%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
本指標に関しては、さっさと取引を始めてさっさと終わる方が勝率が高くなるでしょう(毎回それを繰り返すことが大切です)。


【4. シナリオ作成】

本指標の特徴は以下の通りです。内容的には前月と変わりません(数値を最新の値に更新しただけです)。

  • 同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数において、反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、となります。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。

  • 本指標と製造業PMIとの相関は無いと言っても構いません。また、指標発表前から10pips以上跳ねることがときどきあるものの、その跳ねた方向は直後1分足の反応方向との相関が高くありません。
    騙されないように気を付けましょう。

  • 直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率が21%(不一致率が79%)となっています。
    また、事後差異と直後1分足との方向一致率は79%と高く、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。
    追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが75%(両者終値が同方向の場合には100%)もあり、早期開始に適しています。指標発表から1分を経過すると、どの時点かで一旦利確して、再度追撃する場合には改めてポジションを取り直した方が良さそうです。指標発表から11分後には1分後よりも反応が伸びていた確率が50%を僅かに上回る程度しかありません。
    直後1分足と直後11分足のヒゲは、平均的に値幅の1/3程度になっています。追撃では、上下動のタイミングをうまく捉えましょう。

以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率は21%(不一致率79%)です。

  • 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
    論拠は反応性分析結論に依ります。

  • 再追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが75%(直後1分足と直後11分足が方向一致した場合は100%)ある点に注目します。直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
    但し、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えたことが53%しかありません。しつこい追撃には向いていません。


2017年12月8日18:30発表

以下は2017年12月17日に追記しています。
V.結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1710英国鉱工業生産510.png

結果は、前年比が前回を上回り、前月比が前回を下回りました。悪くない結果だったにも関わらず、上下に迷ったのちに直後11分足は陰線で反応しました。

この結果と反応は、1年前の2016年10月分の結果が当時のボトムだったことから、前年比改善を説明できます。来月発表以降4か月(2018年4月発表まで)は、その逆に1年前の指標結果が良かった時期が続くため、前年比はしばらく低下していくと予想されます。また、前月比は過去4か月がプラス転換しており、そのプラス幅がほぼ無くなったことで、来月以降の発表でマイナス転換を予感させます。こうした先行きへの低下懸念が陰線での反応に結び付いたと考えればしっくりきます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1710英国鉱工業生産520.png

直前10-1分足は、良いタイミングで利確できました。その後、陽線に転じています。
指標発表後の追撃は、直後1分足が十字線となっているように、どちらに伸びるかが全く予想できませんでした。指標結果は全体的に良かったものの、前日来大きくGBPが買われており、週末ということも踏まえて値を伸ばすのが難しい状況と思えました。早めの損切りで、これも救われました。


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1710英国鉱工業生産530.png

2017年は10回の発表時取引を行い9勝1敗でした。シナリオ単位では28勝10敗(勝率74%)で、毎回の平均取引時間は8分42秒とやや長くなっていました。年間178pipsを稼ぎ、1回の平均利確は18pipsです。これは、本指標直後11分足の平均的な値幅21pipsに対し悪くありません。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年12月05日

英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月5日18:30発表結果検証済)

以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.反応要点

2017年12月5日18:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。

1711英国サービス業PMI110.png

1711英国サービス業PMI250.png

最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足跳幅は23pipsと、大きく反応しています。がしかし、分布を見ると、平均以下の反応だったことは65%となっています。たまに大きく反応して、その大きさが半端ではないということです。そういう意味で、注意が必要な指標です。

最近の3回の反応は直後11分足があまり伸びていません。これは11月2日のBOEの利上げが取りざたされていたので、その影響で一方向に反応を伸ばしにくかったのでしょう。

直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を下回っており、平均的には反応が伸びない、と言えます。


U.指標要点

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。

英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及びません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1711英国サービス業PMI210.png

2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。直近ピークは2016年12月分の56.2、直近ボトムは2017年8月分の53.2です。

ーーー$€¥ーーー

PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。

   EURGBP GBPUSD 実態差異
11月  +    +     ?
10月  △    △     +
09月  △    +     +
08月  +    △     △
07月  +    +     +
06月  +    +     △
05月  +    △     △
04月  △    +     + 
03月  △    +     +
02月  △    △     △
01月  +    +     △

EURGBPと実態差異は10回中2回一致(方向一致率20%)、GBPUSDと実態差異は10回中7回(同70%)です。11月月足では、EURGBPがプラス、GBPUSDがプラスで、狙いとするPMI実態差異がプラスになるかマイナスになるかが矛盾しています。残念ながら、当月は為替レートを予想の根拠にできません。

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先に発表されている製造業PMIとの関係も見ておきましょう。

1711英国サービス業PMI270.png

上図を見る限り、事前差異(市場予想ー前回結果)だけ、製造業PMIとサービス業PMIの方向一致率が73%と、70%を超えています。がしかし、事後差異(発表結果ー市場予想)や実態差異(発表結果ー前回結果)のように発表結果を絡めると、両指標の一致率は下がっています。まして、反応方向に至っては、両指標間の一致率がほぼ50%となっています。
つまり、両指標間で、先に発表される製造業PMIは、後で発表されるサービス業PMIの取引で、参考にし得る情報がありません。前回結果に対する市場予想の大小関係が一致しがちなだけです。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が11pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、かなり小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。

1711英国サービス業PMI310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は7pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度26%)です。
この9回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この9回の直前1分足と直後1分足の方向は3回(33%)しか一致していません。

1711英国サービス業PMI320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率36%)です。反応が大きい指標の戻り比率としては普通ですが、比率でなくpipsで見れば大きいので、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

1711英国サービス業PMI330.png

1711英国サービス業PMI340.png


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国サービス業PMI430.png

前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。事前差異のマイナス率が61%とやや偏りがあるものの、ばらつきの範囲内でしょう。

直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
実態差異と直後11分足の方向一致率は76%です。発表結果が前回結果より良ければ、反応は持続しています。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国サービス業PMI420.png

直前1分足の陰線率が77%と、偏りが見受けられます。

そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

先述の指標一致性分析では、直前10-1分足と事後差異の方向一致率が高く、事後差異と直後1分足の方向一致率も高くなっています。がしかし、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は59%しかありません。

最後に、反応性分析の結果を下図に示します。

1711英国サービス業PMI410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。指標発表直後には、その後も反応が伸び続けると信じるしかありません。81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは69%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは56%です。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。追撃を続けるにせよ、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。


【4. シナリオ作成】

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 先に発表される製造業PMIとは、指標結果の良し悪しや反応方向の相関が高くありません。
    注目すべき点は、本指標の実態差異(発表結果ー前回結果)が、同月のEURGBPの上下動と逆相関し、GBPUSDの上下動と相関している可能性がある点です。2017年に入ってからのEURGBP月足方向と本指標実態差異の方向一致率は20%(不一致率80%)、GBPUSD月足方向と本指標実態差異の方向一致率は70%となっています。
    がしかし、残念ながら11月月足はEURGBPもGBPUSDも陽線でした。これでは、この分析法の結論がEURGBPとGBPUSDとで矛盾することになってしまいます。

  • 前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。追撃は反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しが良いでしょう。直後1分足と直後11分足の終値同士を比較したとき、反応を伸ばしていたことは56%しかなく、ポジションを長持ちするには心もとない数字です。

  • まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると、痛い目に遭うことが多いでしょう。気を付けましょう。

以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が77%です。

  • 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向と見込みます。
    直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が73%です。一方、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。よって、直前10-1分足と事後差異の方向が一致し、且つ、直後1分足と事後差異の方向が一致する確率は、0.73✕0.81=59%です。
    加えて、直前10-1分足と事後差異が不一致だったときには、事後差異と直後1分足の方向が不一致ならば、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致します。その確率は、(1−0.73)✕(1−0.81)=5%です。
    従って、途中経緯がどうあれ、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致する確率は、59%+5%=64%となります。
    期待的中率64%と、あまり高くないのでお薦めはしません。

  • 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探ります。
    その後も追撃を行うなら、短期利確の繰り返しで行います。

以上


2017年12月5日18:30発表

以下は2017年12月9日に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1711英国サービス業PMI510.png

結果は前回・予想を下回り、反応は陰線でした。その後、直後11分足は陽線へと反転しました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1711英国サービス業PMI520.png



【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証しておきます。

  • 先に発表された製造業PMIが前回結果を上回ったものの、サービス業PMIは前回を下回りました。

  • 前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しました。がしかし、今回の追撃は反応方向を確認してから開始するのでは遅すぎました。その後の追撃も、直後1分足と直後11分足とが反転しているので、利確は難しかったと思われます。短期取引で反転に備えた方が良い点は、その通りになりました。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。

  • 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向と見込みました。結果は反転でした。

  • 指標発表後は反応方向への追撃を早期開始し、発表から1分足を過ぎたら利確機会を探るつもりでした。結果は、初期反応に順張りでは利確できなかったと思われます。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1711英国サービス業PMI530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年11月26日

4-4. 英国経済指標(2017年11月最終版)

英国の経済指標発表前後の取引はGBPJPYで行っています。

【4-4.(1) 特徴】

GBPがよく動く時刻は、多くの経済指標が発表される17:30(冬18:30)頃と、当日の両替レートが決定されるロンドンフィックスと呼ばれる00:00(冬01:00)頃です。
そして、もともと東京時間が終わって(15:00)、欧州時間(16:00、冬17:00)に移ると、EURGBPの取引量が多いので、その日のGBPのトレンドが反転することがよくあります。

現在、GBPJPYではGBP買で+スワップが得られ、GBPUSDではGBP売で+スワップが得られます。ちなみに、取引量が多いEURGBPではGBP買に+スワップ、GBPAUDはGBP売で+スワップです。よって、当ブログではポジション長持ちを否定しているので関係ありませんが、GBPが弱そうな今はGBPUSDでの取引に日本のアマチュア資金が流れているのではないでしょうか。GBPAUDはさすがに馴染みがないのでしょうから。


【4-4.(2) 概観】

ブリグジット騒ぎ以前は、EUにおいて独国に次ぐ経済好調な印象がありました。スコットランド独立騒動があったものの、一時はGBPJPYが200円近くまで上昇し、当時の解説記事では200円突破を確実視するような内容が多かったという記憶があります(2015年夏頃)。約1年後、2016年6月には国民投票でEU離脱が決まり、10月には安値122円までGBPは売られました。

ところが、2016年6月以降2017年7月頃まで、それ以前と比べてGDPはもとより実態指標・物価指標・国際収支・雇用指標のいずれも悪化したとは言えません。それにも関わらず、一時的な景気指標悪化をきっかけに景気指標が元の水準に戻っても、GBPが売られ続けました。データなんか関係なしに不安感がGBPを売る動きに結び付いたようです。
但し、株価(FTSE)だけは、凸凹こそあれ、この期間にも右上がりとなっています。

現在、GBPは取引量こそ4位です(国際決済銀行統計)が、金融商品の取引ではロンドン市場の規模が最も大きいのです。EU離脱によって、この地位が脅かされるという話があります。また、EU離脱後はEU域内との金融取引に、これまで免除されていた許認可を得る必要があるでしょう。金融への不安は、為替に最も影響を与えます。株価は単にGBP安での企業業績改善が良かったことに反応していたのでしょう。
おそらくこれが、もっともすっきりするGBPの動きへの説明だと思います。

11月2日、BOEは約10年ぶりの利上げを行いました。ただこれは、物価指標の高止まりと、中銀無策への批判に応えるためだったように思えます。
最新の経済指標では、物価がCPI前年比+3.0%と高止まりしており、平均所得も+2.1%で物価上昇に追いついていません。結果、小売売上高前年比はとうとうマイナス転換してしまいました。今後の見通しについて、確かCNNが、今後の企業業績悪化に伴う賃金上昇率の低迷が続くことによって、英国は経済回復に10年単位の時間を失う旨、解説記事を掲載しました。
BOE利上げ判断の是非が判明するにはあと1年かかるでしょうけど、現時点では「こんなときに利上げした」という趣旨の解説が出始めたのです。ECBはもったいつけてなかなか政策変更を決定しないので、今回のBOEの決定はやや拙速ないしは遅すぎたという感じがします。

11月MPCの議事要旨では、今後数回の利上げを行うにせよ、暫くは行わない旨、議事要旨に記してありました。関心は、本当にもっと利上げするのか、です。だから、期日はともあれ「やる」と言った利上げを止める・辞めざるを得ないと、GBPはどう反応するのかを考えておいた方が良いかも知れません。
そして、国民投票結果は誤りだったという世論の高まりが起きるのか、極端に離脱撤回への世論の高まりが起きたとき離脱撤回は可能なのか(そんなことが出来るかという政治家が現れるか)、離脱を前提にするときEUに代わってNAFTAへの参加が可能なのか、という解説を待ちましょう。

11月11日、与党議員40名が英首相不信任決議に署名する旨、現地マスコミで報道がありました。翌日月曜は40pips程度の下窓を開けました。対EU離脱交渉も進展なく、12月には目処を得るはずだった離脱協議進展は来年にまでずれ込みそうです。
以上


2017年11月22日

英国経済指標「四半期GDP改定値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月23日18:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.指標予想要点

2017年11月23日18:30に英国経済指標「四半期GDP改定値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の改定値です。速報値は10月25日に発表されています。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に再確認しておきましょう。

1711英国GDP改定110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • GDP改定値の市場予想は、前期比・前年比ともに前回速報値といつも同じです。2013年以降の例外は、前期比が2015年1-3月期分と2017年1-3月期分のたった2回(頻度11%)、前年比は2015年1-3月期のたった1回(頻度6%)です。
    発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです。例外は、前期比が4回(頻度22%)、前年比が6回(頻度33%)です。前期比が予想と異なった4回は全て、前年比も予想と異なっています。つまり、前年比が予想とずれるかどうかだけを分析すれば良い訳です。

  • 過去の傾向は、いくつか素直な特徴を持っています。
    まず、GDP前年比の予想が前回速報値と異なっていた場合、直前10-1分足は事前差異と100%の方向一致率となっています。残念ながら、今回の市場予想は前回速報値と同値です。
    次に、GDP前期比が予想と異なる発表結果だった場合、直後1分足は事後差異と100%の方向一致率となっています。
    そして、GDP前年比が前回速報値と異なる場合、直後11分足は実態差異と83%の方向一致率となっています。

  • 注視・注意すべき点もあります。
    直前10-1分足は20pips以上跳ねたことが29%もあります。そして、そういう跳ねが起きたときは、その方向に直後1分足が反応する確率が高くなっています。
    また、過去の傾向を見る限り、追撃には向いていません。発表から1分経過後時点とそれから10分後を見比べると、直後1分足値幅を削るか(41%)、直後11分足と反転(29%)していることの方が、直後1分足と同方向に反応を伸ばしたこと(29%)よりも多いためです。これなら指標発表から1分以内に直後1分足のヒゲで逆張りポジション取得を狙った方が良い、ということになります。

以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。

  • 指標発表後は初期反応方向に早期追撃開始、早期利確です。

  • 指標発表直後から大きな跳ねに対して逆張りポジション取得を狙います。ポジションが直後1分足終値よりも反応が伸びたところで取れたら、発表から1分を過ぎてから利確の機会を窺います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。
GDP改定値は、英国国家統計局が 2月・5月・8月・11月の下旬に前四半期分を発表しています。

本指標の特徴は次の通りです。
GDP改定値の市場予想は、前期比・前年比ともに前回速報値といつも同じです。2013年以降の例外は、前期比が2015年1-3月期分と2017年1-3月期分のたった2回(頻度11%)、前年比は2015年1-3月期のたった1回(頻度6%)です。
発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです。例外は、前期比が4回(頻度22%)、前年比が6回(頻度33%)です。前期比が予想と異なった4回は全て、前年比も予想と異なっています。つまり、前年比が予想とずれるかどうかだけを分析すれば良い訳です。

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本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。

1711英国GDP改定250.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応をする指標だと言えます。
分布は、10-25pipsの範囲に67%が集まる一方、9pips以下のときも17%あります。意外に小さいのは、前述の通り、改定値が速報値や市場予想と同じになりがちだから、です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。本来ならば、前回結果である速報値も一緒にプロットすべきですが、まだ対応できていません。

1711英国GDP改定210.png

1711英国GDP改定220.png

各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1708英国GDP改定250.png

上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

一致率が高くなった実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。実態差異判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は75%となりました。
でもこれでは、あまり役に立ちそうもないですね。GDP前期比か前年比の事前差異があるときを待った方が良さそうです。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度28%)あります。この5回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)が一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上の場合、直後1分足の方向を示唆している可能性があります。

1711英国GDP改定310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は10pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度33%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は14pipsで、これは過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。

1711英国GDP改定320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率29%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
これらローソク足の詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。

1711英国GDP改定330.png

1711英国GDP改定340.png


【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国GDP改定430.png

実態差異と直後11分足の方向一致率は69%となっています。先に挙げた実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1711英国GDP改定420.png

直前1分足は陰線率が71%となっています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は71%で、あまり偏りがありません。

反応性分析の結果を下図に示します。

1711英国GDP改定410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%です。そして、その71%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%です。
指標発表後の直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、反応を伸ばしがちなのだから、追撃は早期開始です。けれども、直後1分足と直後11分足の終値同士を比較すると、反応を伸ばしたことは42%しかありません。よって、早期確保した追撃ポジションは早めの利確を狙いましょう。


【4. シナリオ作成】

以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。

  • 指標発表後は初期反応方向に早期追撃開始、早期利確です。

  • 指標発表直後から大きな跳ねに対して逆張りポジション取得を狙います。ポジションが直後1分足終値よりも反応が伸びたところで取れたら、発表から1分を過ぎてから利確の機会を窺います。

以上


2017年11月23日18:30発表

以下は2017年11月23日19:40頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1711英国GDP改定510.png

GDP改定値は、前期比・前年比ともに速報値・市場予想と同値でした。企業投資は、速報値・市場予想よりも減少しました。全体としては悪化と見受けられます。ところが反応は陽線でした。

この反応は、17:30の独国PMI速報値と18:00の欧州PMI速報値が良く、本指標発表前にEURGBPやGBPUSDでGBPがかなり売られていたことが原因かも知れません。企業投資こそ減少したものの、GDPは速報値同値だったため、EURGBPとGBPUSDで利確(GBP買)の動きがあったのかも知れません。実際のポジション数の変化がわからないため、これは想像ですが。

ロイターが伝えるところでは、GDP前年比の伸びは過去5年間で最低だそうです。それでも、+1.5%となったのは、家計支出の伸びに助けられた、とのことです。
「ん」って思いませんか?
だって、物価上昇の伸びに比して賃金の上昇が小さい状態が続いていたのが、ここ最近の一貫した英国経済への見方です。今回の結果は、企業投資の伸びが抑えられて家計消費が大きかったのなら、ここ最近の見解を変えなければいけないかも知れません。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1711英国GDP改定520.png

直前10-1分足のシナリオ外取引は、対EUR・対USDのGBP売りに便乗したものです。
直前10-1分足の陰線は値幅17pipsとなり、発表時刻を跨いだポジションを取るべきか否か迷いました。
追撃は、初期と2回目を行い、2回目は148円がレジスタンスとなっての反転を狙ったものです。


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には特に問題がありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題がありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1711英国GDP改定530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年11月19日

4-4-1. 英国政策決定指標(2017年11月最終版)

BOEは、そうそう簡単に政策変更しないという話があります。もちろん、これは過去の実績で、BOE総裁もMPC委員も実際には入れ替わっているのだから、こんな話を当てにはできません。
11月2日、BOEは約10年ぶりに利上げを行いました。そして「今後数回の利上げが必要にせよ、次回の利上げを急がない」旨、議事要旨に記しています。


【4-4-1.(1) 金融政策】

今回利上げに至る経緯を辿っておきます。

3月MPCでは利上げ主張する委員が現れました。そして、6月MPCでは利上げ主張委員が3名に増えました。利上げ派は昨年6月の国民投票以降のGBP安による物価高騰を抑えるために利上げを主張し、様子見派は賃金上昇(景気)への悪影響への懸念を論拠としていました。

6月15日のMPC声明では「政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第」という条件が挙げられました。6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及したものの、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。利上げ気運にブレーキをかけた訳です。

そして、利上げ気運が更に高まった8月1日のMPCでは、利上げ派理事が1名退任したこともあって、利上げ賛成派が2名に減りました。このとき、一気に翌朝までにGBPJPYは300pips近い下落となりました。何もしそうになくなったからと言って、300pipsはひどいじゃないか。でもここで、利上げをしなければGBPが売られた訳です。

11月2日、BOEは約10年ぶりとなり利上げを行いました。
市場予想通りの利上げで、発表後の反応はいったん陽線側に50pips振れてから陰線側に130pips振れるという動きとなりました。往復で分速180pipsの上下動でした。この動きは、最初の陽線への振れが利上げへの素直な反応です。そして、約10数秒後に急激に陰線側へと振れたのは、議事要旨に「今後数回の利上げが必要にせよ、次回の利上げを急がない」旨、記されていたためです。
利上げは物価高に対応するためでした。物価高の原因はGBP安でした。「状況次第」と当り前のことだけ記しておけば良かったのに、「暫く利上げなし」と余計なことを載せたばっかりに、GBPは売られました。MPCの理事たちは、どうしてこんな決定をして、こんな議事要旨をそのまま公表したのでしょう。彼らの決定内容・決定時期が正しかったか否かは、彼らの以前からの見通し通りにCPI前年比が10月分で+3.2%で上げ止まるか否かで決まります。

現状は、物価高が高止まりし、小売売上高が減少(消費減速)して、毎月2%ずつ増えていた平均所得も伸び悩んでいます。案の定、経済記事には、BOEの利上げ判断に疑問を投じる識者コメントや解説が出始めました。自己実現的に、暫くは利上げしにくい状況になった訳です。
次回発表は12月14日です。

 (分析事例) BOE政策金利(2017年11月2日発表結果検証済)

以下の方法論は、多くの場合に通用する「市場予想通り現状維持」だったときのものです。

直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。英国は金融の国であり、予想分析もそこに乗って取引する人も、平均的な我々より平均的に上手なのかも知れません。
でも危ないので、大きな発表があるときは、追撃に徹した方が良いと思います。


【4-4-1.(2) 財政政策】

6月総選挙での保守党公約は、移民削減(年間10万人未満)・2025年頃までの財政赤字解消・消費税を上げずに2020年までに法人税を17%まで引き下げ・高額役員報酬問題への歯止め・労働者の権利拡大・電気ガス料金の上限設定・キツネ狩り禁止法廃止の採決、等がありました。英国にとって都合が悪い内容ならEUと合意しない方がマシ、という首相発言も公約にあたるでしょう。

ところで、キツネ狩りが英国でそれほどのテーマだなんて、知っていましたか。そんなこと言ってる場合か、という気もします。そのせいではないにせよ、与党保守党は過半数割れし、選挙後は閣内でごたごたが続きました。
がしかし、選挙公約通り、英国にとって都合が悪い内容ならEUと合意しない方がマシ、という路線は維持されていました。洋の東西を問わず、威勢が良くないと、政権支持率が下がってしまいます。難しい交渉を纏めるのにあたって、高い支持率は大切です。そもそもそのための6月選挙だったのですから。

けれども、とうとう11月11日には、英紙が「与党議員40名が首相不信任表明書簡に署名同意」との報道がありました。結果、翌12日19時現在、先週終値に対しGBPは、対USD・対JPYで200pips近く売られています。


【4-4-1.(3) 景気指標】

もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
よって、論拠たり得る事実は、(a) 指標グラフの推移(推移とは上昇/下降/停滞の3状態のどれかを指します)、(b) 指標発表時刻に取引量が多いEURGBPやGBPUSDの対象月の月足推移、(c) FTSE(株価)推移、(d) 想の関係性(市場予想後追い型か否か)、といった事柄に絞られます。

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10月2日に発表された9月分製造業PMIは55.9でした。
11月1日に発表された10月分は56.0でした。
12月1日に発表された11月分は58.2でした。直近ピークだった2017年4月分の57.3を上回り、上昇基調と言える状況になりました。
次回12月分は1月2日に発表予定です。

 (分析事例) 製造業PMI(2017年11月1日発表結果検証済)

製造業PMIは、反応方向を確認したら早期参加して、反応が伸びるのを待って利確機会を窺えば良いでしょう。発表から1分を過ぎても、そのまま反応を伸ばしがちですが、安心してポジションを長持ちできるほどの確率はありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。
強調注意すべき点は、指標発表前の取引が危ないので避けた方が良い、という点です。直前10-1分足は、ときどき(頻度20%以上)20pips以上跳ねているものの、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが過去実績86%にも達しています。知っていれば、指標発表後に逆に跳ねる予兆ですが、知らずに慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。直前1分足もしばしば(頻度25%前後)10pips以上跳ねているものの、このとき直後1分足の反応方向は予想がつきません(直前に跳ねた方向に発表後も跳ねるとは言えません)。そもそも、このように直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実(傾向)はありません。

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9月5日に発表された8月分サービス業PMIは53.2でした。前回(53.8)を下回ったものの、現状で「ありそうな下降」への転換と言えるほど悪い数字ではありません。その結果、市場の反応は発表直後こそ陰線で反応したものの、直後11分足は陽線に転じました。
10月4日に発表された9月分サービス業PMIは53.6でした。
11月3日に発表された10月分サービス業PMIは55.6でした。直近3か月は微増しているものの、グラフ推移を見る限り緩やかな下降基調に見えます。
次回11月分は12月5日に発表が予定されています。

 (分析事例) サービス業PMI(2017年11月3日発表結果検証済)

サービス業PMIは、EURGBPの月足上下動と逆相関の関係が見受けられます。一方、数日前に発表される製造業PMIの結果との相関は「無くはない」と言った程度しかありません(60%未満、50%以上)。
前回結果・市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、戻り比率が大きいため追撃は高値(安値)掴みに気を付ける必要があります。反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を探る方がいいでしょう。その後も追撃するなら、短期利確の繰り返しです。
まれに、直前10-1分足や直前1分足が大きく動くことがあります。がしかし、こうした動きは直後1分足の反応方向とは関係ありません。釣られて追いかけると痛い目に遭うことが多いので、そういうことは止めましょう。


【4-4-1.(4) 物価指標】

主要国でCPI(消費者物価指数)・RPI(小売物価指数)・PPI(生産者物価指数)が一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
BOEの目標インフレ率は年2%程度です。

10月17日に発表されたコアCPI前年比は+2.7%で、前回・予想と同値でした。CPIは、前年比が+3.0%と前回より0.1ポイント上昇しました。コアRPI・RPIは、前年比・前月比ともに予想を下回ったものの、コアRPI前年比は+4.1%と前月同値の高い水準でした。そして、11月2日にBOEは利上げを行いました。
11月14日に発表された10月分物価指標は、CPI・コアCPIともに前年比が上昇予想に反して前回同値でした。以前にBOEが予想していた10月に物価は+3.2%付近でピークを迎えるという予想は、来月分を見てみないとまだわかりません。

ここで、もし来月発表が更に上昇した場合、どうなるでしょうか。利上げ効果への疑問噴出でしょう。逆に、来月発表が下降になった場合、本来のGBP安です。指標発表直後はさておき、時間とともにGBP売に結び付く内容となる気がします。
11月分物価指標は12月12日に発表されます。

 (分析事例) 物価指標(2017年11月14日発表結果検証済)

方法論は少し複雑です。でもそれを知っているか知らないまま取引するのかで、勝率が大きく変わる指標です。

まず最初に、本指標は発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。論拠は、2✕CPI前月比事後差異+3✕CPI前年比事後差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、指標発表直後の反応方向の方向一致率が86%となるためです。事後差異とは、発表結果ー市場予想、です。

反応は指標結果(CPI)に対して素直でかなり大きくなる傾向(直後1分足跳幅平均31pips)があります。
がしかし、追撃は早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去32%しかありません。
逆に、いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多く、抜けたら追撃徹底です。

但し、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ15pips・9pipsと大きい点には、注意しておいた方が良いでしょう。特に、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは22%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは25%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。ここで覚えておくべきことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
けれども、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。

これら、取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は75%。直前1分足の陰線率は83%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が71%と、取引参加者は予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあります。


【4-4-1.(5) 雇用指標】

英国は2013年以降、財政緊縮のため公務員の賃上げ率が1%以下に制限されています。日本も同様の政策を採っていたものの、アベノミクスではこの制約を見直して公務員給与を民間に先駆けて(大企業とはほぼ同時期に)引き上げました。英国がEUとの離脱交渉の結論が見える時期に、利上げや公務員賃上げを行う可能性は高い、と考えています。そもそもEUを離脱すれば、財政収支の制約がなくなるのだから。

8月16日雇用統計発表では、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。GBPを買い上げる環境にはない、ということです。
9月13日雇用統計発表では、8月分失業保険申請件数が前月に引き続きマイナスで、7月分失業率は4.3%へと改善、7月分平均所得は+2.1%と前月同値でした。
9月分雇用統計発表では、8月分失業保険申請件数が+1.7万人、7月分失業率は4.3%、7月分平均所得は+2.2%でした。失業保険申請件数は3か月ぶりにプラスに転じました(悪化)。
11月15日に発表された10月分雇用統計発表では、失業率が前月同値で平均所得(含ボーナス)が前月より0.1%上回りました。反応は陽線でしたが、直後11分足は直後1分足から反転して陰線となりました。失業率が約40年ぶりの低水準にも関わらず、最終的に陰線です。

次回11月分発表は12月13日です。

 (分析事例) 雇用統計(2017年11月15日発表結果検証済)

指標一致性分析の結果、事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率は12%(不一致率88%)に達しています。おそらくこれは、市場予想を折り込んだ動きがもっと早くに終えており、発表時刻が迫るに従ってそれを清算する動きが強いのでしょう。
そのためか、直前10-1分足が20pips以上跳ねても、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。
直前1分足が10pips以上跳ねたときは要注意です。過去の傾向では、次の直後1分足の反応方向はわからないものの、直後1分足は平均(31pips)以上に跳ねています。

指標発表後の反応は素直でかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも35%あります。また、直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応を伸ばしたことは50%です。
大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。
以上


4-4-2. 英国経済実態指標(2017年11月最終版)

ウラシマ効果と言っても、物理学の話ではなくFXの話です。

太郎は、子供たちがウミガメをいじめているのを見かねて止めに入ったら、亀の代わりにボコボコに殴られてしまいました。頭を抱えてうずくまっているとき、ふと見上げると、亀も一緒になって太郎を殴っていました。
そりゃあんまりだ、と太郎が言うと、ウミガメは太郎を竜宮城に連れて行ってくれました。もともと太郎は、思ったらすぐに行動に移す軽率な男です。軽率な男にありがちなように、接待で調子に乗って下品なことを言って、乙姫様にも殴られたそうです。だから変なお土産を持たされて、さっさと元の浜に送り返されたのです。
でも、浜に着いた太郎は周囲の景色がすっかり変わってしまったことに気が付きました。傍らに置いてあったお土産の玉手箱は、気が付くと亀が勝手に開けていました。煙を浴びて少しぐらい老けても、亀は万年だから関係ありません。そんな訳で、太郎は亀の恩返しにも気づかず、相変わらず軽率なままでした。

ここで、いちいちその場の流れに「逆張り」をしたり「調子に乗り過ぎる」のは太郎のスタイルです。一方、「抜けたら追う」「逆らわない」というFXの基本的な取引方法は、その場の流れに身を任せる亀のスタイルです。
これは、どう振る舞うべきかという道徳の話ではなく、どうすれば勝ちやすいかというFXの話に過ぎません。
FXのウラシマ効果は、転機を見逃す残念な行為が次々と連鎖しがちな現象です。原因は反省しない点にあるのです。

英国の実態指標は、他の国のそれよりもかなり大きく反応します。実態指標で指標発表後に50pipsにも及ぶ反応を年に何度も起こすのは英国指標だけです。では、英国経済はそれほど世界に影響を与えるのか。そんな訳ありません。この現象は、それだけGBPが投機対象だということを示しているのです。
こんな指標で取引を繰り返すには、反省と分析を繰り返すだけでは不十分です。その場の流れにうまく乗れないと、分析上手だけでは勝てないのです。取引が難しい指標が多い分野です。


【4-4-2.(1) 経済成長】

少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントです。

現状は先々の成長鈍化が予想されており、問題はどこまで鈍化するのかが見通せないことです。先が見通せないときは、為替レートは頭を押さえられがちです。当面、英国指標への反応は、平均的にGBP高に小さくGBP安に大きくなると思われます。
漠然としたことにも対策は必要です。例えば、指標毎の過去平均反応pipsを見て、GBP高は1割小さくGBP安は3割大きく見込んでおけばどうでしょう。

6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は、前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
9月29日に発表された4-6月期GDP確定値は、前期比+0.3%・前年比+1.5%でした。
10月25日に発表された7-9月期GDP速報値は、前期比+0.4%・前年比+1.5%でした。
11月23日に発表された7-9月期GDP改定値は、前期比・前年比ともに速報値と同値でした。

ロイターが伝えるところでは、7-9月期GDP改定値前年比の伸びは過去5年間で最低だそうです。それでも、+1.5%となったのは、家計支出の伸びに助けられた、とのことです。
「ん」って思いませんか?
だって、物価上昇の伸びに比して賃金の上昇が小さい状態が続いていたのが、ここ最近の一貫した英国経済への見方でした。今回の結果は、企業投資の伸びが抑えられて家計消費が大きかったのなら、ここ最近の見解を変えなければいけないかも知れません。

次回、7-9月期GDP確定値は12月22日に予定されています。家計消費がそのままで、EU離脱を睨んだ企業投資低迷が今後のトレンドになるのかに注目しましょう。

 (分析事例) 四半期GDP速報値(2017年10月25日発表結果検証済)
 (分析事例) 四半期GDP改定値(2017年11月23日発表結果検証済)
 (分析事例) 四半期GDP確定値(2017年9月29日発表結果検証済)

速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。

一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。

確報値も市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想がほぼ当たります。過去17回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(頻度12%)しかありません。発表結果が市場予想と異なったことは6回(頻度35%)しかありません。その結果、確定値も追撃にはあまり向いていません。


【4-4-2.(2) 実態指標】

(2-1) 小売

英国経済に占める個人消費は約40%です。日米でそれが70%を占めることを踏まえると、影響は小さい気がします。ところが、です。他国の消費動向指標に比べると、英国のそれは桁外れに大きく反応します。

消費関連指標として、BRC小売売上高調査と小売売上高指数が発表されます。BRC小売売上高調査は、反応が小さい上に、発表時刻が09:01で東証開場時刻のUSDJPYの動きで、反応がよくわかりません。よって、先述の桁外れの反応があるのは、小売売上高指数の方です。

小売売上高指数の取引にあたって、指標発表前に安易にポジションを取るべきではありません。
直前10-1分足が20pips以上のヒゲを形成したことは過去45%もあります。加えて、この45%のヒゲの伸びた方向は、指標発表直後1分足の反応方向と関係ないのです。本指標の直前10-1分足は、跳幅平均21pips・値幅13pipsと、平均的な指標の発表直後よりも大きく動くのです。

がしかし、直前10-1分足のヒゲではなく、値幅方向ならば指標発表結果の良し悪しを示唆しがちです。
まず、判別式として、前月比事前差異+前年比事前差異+コア前月比事前差異+コア前年比事前差異、の解の符号は、直前10-1分足値幅方向との方向一致率が77%です。
そして、直前10-1分足と事後差異(発表結果ー市場予想)の方向一致率は74%です。この事後差異判別式は、3✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+4✕コア前月比事後差異+2✕コア前年比事後差異、で求まります。前月比とコア前月比の発表結果の市場予想とのズレが、反応方向に強く影響します。
直前10-1分足の方向が事後差異方向を示唆し、事後差異に対して直後1分足が素直に反応する、ということです。

但し、そこまでわかっていても、直後1分足のヒゲの長さ(戻しの大きさ)は、長跳幅の40%にも達しているので、追撃を行うときには高値(安値)掴みに気を付けないといけません。本指標は、過去平均の反応が大きい指標なので、参加者も多く値動きが早くなります。そういう意味で取引が難しい指標です。
通信速度に不安がある出先でのスマホ取引には、あまり向いていませんよね(何度か痛い目に遭いました)。

 (分析事例) 小売売上高指数(2017年11月16日発表結果検証済)

前月比・コア前月比は上下動が大きく、予想が困難です。前年比・コア前年比の推移を見ると、2016年末頃から、下降基調となっています。一時は前年比7%程度まで売上が増えていたのに、最近では1〜2%付近となっています。マイナス転換が近いことを予感をさせていました。

8月17日に発表された7月分結果は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。
9月14日に発表された8月分結果は、久しぶりに前年比・コア前年比が+2%以上となりました。結果、100pipsもの陽線で反応しました。
10月19日に発表された9月分結果は、コア前年比が+1.6%へと減少したことを始め、他もどちらかと言えば前月より下がりました。それにも関わらず、この後にBOEは利上げを行いました。驚きです。
11月16日に発表された10月分結果は、前年比がとうとうマイナス転換しました。前月比が予想を上回ったため反応は陽線だったものの、前年比は2013年以来の大きな落ち込みでした。

次回11月分結果は12月14日に発表されます。


(2-2) 生産

鉱工業生産指数と製造業生産指数とが同時発表されます。

本指標発表前は、2✕鉱工業生産指数前月比事前差異+2✕鉱工業生産指数前年比事前差異+1✕製造業生産指数前月比事前差異+1✕製造業生産指数前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が23%です(不一致率77%)。市場予想の全体的な良し悪しに対し、指標発表時刻が迫ると逆方向に反応しがちです。

そして意外なことに、本指標と製造業PMIとは同月集計分の実態差異に相関がありません(方向一致率50%)。念のため、PMIの前月集計分や翌月集計分と本指標の実態差異を比較しても、方向一致率は各48%・53%です。PMIをアテにすることは、サイコロを振って決めるのと同じです。

指標発表直後の反応は、指標結果に素直な方向に大きく跳ねます。3✕鉱工業生産指数前月比事後差異+2✕鉱工業生産指数前年比事後差異+1✕製造業生産指数前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が77%です。
つまり、鉱工業生産指数の前月比・前年比が市場予想に対しどちらにどれだけズレるかが、本指標分析の目的となります(製造業生産指数は無視しても良いということ)。残念ながら、原油価格以外に予兆と言える事象がありません。そして、原油価格変動が小さいときの一致率は高くありません。

本指標の際立つ特徴は、指標発表後1分を過ぎてから、指標発表後1分以内の高値を上回る確率が非常に高い点です。終値同士を比べても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びた確率も高くなっています。つまり、発表結果を見てから(正確には発表直後の反応方向を確認してから)、追撃ポジションを取れば利確しやすいのです。

 (分析事例) 鉱工業生産指数(2017年11月10日発表結果検証済)

9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
10月10日に発表された8月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.4%でした。前月比プラス推移は鉱工業生産指数が3か月連続、製造業生産指数が2か月連続です。
11月10日に発表された9月分鉱工業生産指数前月比は+0.7%、同月分製造業生産指数前月比も+0.7%でした。予想と乖離がかなり大きかったものの、陽線での反応は過去平均程度でした。前週に発表されたBOE利上げで、当分は上に伸び難い状況になったことを示唆する動きでした。

前月比のグラフ推移は、上下動が大きいものの、鉱工業生産指数は2017年分は2月をボトムに、製造業生産指数は1月をボトムに上昇基調です。
前年比のグラフ推移は、昨年の10月分が鉱工業生産指数・製造業生産指数ともに大きく落ち込んでいるので、10月分発表までは良い結果が続くでしょう。がしかし、11月分集計結果が発表される来年1月以降は、前年がかなり良い時期だったので、悪い数字が続き始めると予想されます。

次回11月分結果は12月8日に発表されます。


(2-3) 住宅

ほぼ反応しないことに加え、現地不動産の情報が入手しずらく、取引は行いません。
主な住宅関連指標には、RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数・ライトムーブ住宅価格・ネーションワイド住宅価格・建設業PMI、が挙げられます。

これらのうち、最も反応が大きい建設業PMIは、住宅だけでなく建設業全般の景気指標です。長期的には下降基調となっており、EU離脱投票が行われた2016年6月分が直近ボトム(46)になっていました。その後はやや戻したものの、2017年9月分では再び50を下回りました(48.1)。
11月2日に発表された10月集計結果は50.8と、50を再々上抜けしました。

次回11月分集計結果は、12月4日に発表予定です。
以上



2017年11月15日

英国実態指標「小売売上高」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月16日18:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.指標予想要点

2017年11月16日18:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
本指標要点は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

1710英国小売110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 前年比は売上高・コア売上高ともに昨年10月分を直近ピークとして下降基調です。がしかし、指標発表後の反応に寄与するのは、コア前月比>前月比>その他の順に寄与します。
    とは言え今回現時点の市場予想は、前年比の落ち込みがかなり大きく見込まれており、前月比が改善と見込まれているものの、事前差異はマイナスとなっています。直前10-1分足の方向は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、という事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と方向一致率が73%です。

  • 指標発表前から大きく動きがちです。直前10-1分足跳幅は過去平均21pipsもあり、そんじょそこらの指標発表直後並みに動きます。それにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。ご注意ください。

  • 指標発表直後の反応は直後1分足跳幅が平均32pipsと大きく、過去には一瞬で50pips跳ねたこともあります。指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっています。
    追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を過ぎたら、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、短期取引に徹する方が良いでしょう。指標発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちですが、その後10分経つと反応が伸びていたことは50%です。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、事前差異判別式の期待的中率が73%となっていることです。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、過去の陰線率が76%となっていることです。

  • 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
    論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっていることです。

  • 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探ります。
    更に追撃を繰り返す場合は、短期取引の繰り返しで行います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。

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本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。

1710英国小売250.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つならば慎重でなければいけません。前回の反応は驚きでした。

直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布には、相関性が見受けられません。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布は、右上がりの基準線(赤線)を引いてみると、おもしろいことがわかります。もし直後1分足が陰線だった場合、直後11分足は基準線より上、すなわち1分を過ぎたら直後1分足値幅方向に対して逆張りが有効だということです。直後1分足が陽線だった場合には、順張り・逆張りの優劣はないように見受けられます。
尤も、直後1分足が陰線でも、直後11分足はヒゲも持つので、発表から1分後に陽線側に逆張りするのは、少しばかり「えい」っと気合が必要でしょう。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1710英国小売210.png

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グラフは特に前年比において売上高・コア売上高ともに下降基調です。そして、今回発表ではいずれも市場予想が低くなています。これは、前年比計算にあたって、昨年10月分が直近ピークだったためです。
でも、騙されてはいけません。

項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みます。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。この計算は、2015年1月分〜2017年8月分までの32回のデータに基づいています。

先に結論を述べると、以下の判別式からわかることは、下降基調が明確な前年比よりも、予想と結果の大小関係の入れ替わりが激しい前月比の方が反応に寄与するということです。

1710英国小売270.png

上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
同様に、上から2・3行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

事前差異判別式は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が74%です。

事後差異判別式は、2✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+3✕コア前月比事後差異+1✕コア前年比事後差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足とは、方向一致率が82%です。

実態差異判別式は、2✕前年比実態差異+1✕コア前月比実態差異+3✕コア前年比実態差異、としましょう。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後11分足とは、方向一致率が76%です。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応と同じぐらい動きます。
直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度42%)もあります。この14回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1710英国小売310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度27%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均32pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。

1710英国小売320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。直後1分足・直後11分足ともに平均的なヒゲの長さは30%以上を占める、と覚えておきましょう。

1710英国小売330.png

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【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1710英国小売430.png

直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ73%・70%・79%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線ならば発表結果は事後差異・実態差異もマイナスとなりがちだということです。

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は、それぞれ81%・84%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応しています。

実態差異も直後1分足や直後11分足との方向一致率が高いものの、事後差異とそれらの一致率ほどではありません。よって、今回は実態差異に解釈を加える必要はないでしょう。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1710英国小売420.png

直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。

また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が66%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高い割に、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率はそれより低く56%しか方向一致率がありません。
これはどう解釈すべきでしょう。
指標結果に最も素直に反応するのは、やはり直後1分足です。指標発表までのトレンドに反する方向に指標発表直後に反応しても、指標の影響持続時間が短く、元のトレンドに戻りがちなのかも知れません。

そして、反応性分析の結果を下表に示します。

1710英国小売410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが96%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃開始です。

がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。直後11分足と直後1分足に対して反転したことが28%、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが22%です。
早期追撃で得たポジションは、その時点では暫く反応を伸ばすと捉え、発表から1分を過ぎてから利確の機会を窺いましょう。但し、その後は反応を伸ばすとは言えない数字です。様子を見ながら追撃を行うなら、短期取引の繰り返しで行った方が良いでしょう。


【4. シナリオ作成】

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、事前差異判別式の期待的中率が73%となっていることです。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、過去の陰線率が76%となっていることです。

  • 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
    論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっていることです。

  • 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探ります。
    更に追撃を繰り返す場合は、短期取引の繰り返しで行います。

以上


2017年11月16日18:30発表

以下は2017年11月19日に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1710英国小売510.png

結果は全体的に前回を下回り予想を上回る内容でした。反応はヒゲの長い陽線でした。

売上高前年比が2013年以来の大きな落ち込みで、教科書通りに賃金上昇を上回る物価上昇が続いて消費抑制に結び付いているようです。 前年比の下降基調ははっきりしています。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1710英国小売520.png


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証します。

  • 事前分析は次の通りでした。
    前年比は売上高・コア売上高ともに昨年10月分を直近ピークとして下降基調です。がしかし、指標発表後の反応に寄与するのは、コア前月比>前月比>その他の順に寄与します。
    とは言え今回現時点の市場予想は、前年比の落ち込みがかなり大きく見込まれており、前月比が改善と見込まれているものの、事前差異はマイナスとなっています。直前10-1分足の方向は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+3✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、という事前差異判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と方向一致率が73%です。

    結果は、事前差異判別式結果は△0.5で、直前10-1分足は上下にヒゲの長い陰線で、方向一致していました。
    事後差異判別式結果は+0.8で、直後1分足は上にヒゲの長い陽線でした。
    分析に問題はありません。

  • 事前分析は次の通りでした。
    指標発表前から大きく動きがちです。直前10-1分足跳幅は過去平均21pipsもあり、そんじょそこらの指標発表直後並みに動きます。それにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。ご注意ください。

    今回の直前10-1分足は、全幅(上跳値と下跳値の長さ)8pipsと、あまり大きく動きませんでした。方向感はなく、その意味では分析通りでした。

  • 事前分析は次の通りでした。
    指標発表直後の反応は直後1分足跳幅が平均32pipsと大きく、過去には一瞬で50pips跳ねたこともあります。指標一致性分析の結果、事前差異の符号と同じ方向に直後1分足が反応する期待的中率は81%となっています。
    追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を過ぎたら、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、短期取引に徹する方が良いでしょう。指標発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちですが、その後10分経つと反応が伸びていたことは50%です。

    今回の反応は12pipsと、小さい反応でした。事前差異はマイナスで直後1分足は陽線ですから、反応方向は不一致でした。追撃は、早期開始しても長いヒゲで損切となりがちな反応でした。
    この項の分析は今回、当たらなかったと言えます。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。

  • 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。

  • 直後1分足は、直前10-1分足と同方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切でした。
    結果は直前10-1分足と直後1分足の方向が逆でした。

  • 追撃は反応方向を確認したら早期開始し、指標発表から1分を過ぎたら早期に利確のタイミングを探るつもりでした。
    初期反応の方向が逆だったので、追撃は1回しか行わず、しかも損切となりました。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1710英国小売530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上


2017年11月14日

英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年11月15日18:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。


T.指標予想要点

2017年11月15日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年10月分の集計結果、平均所得と失業率が2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

1710英国雇用110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応はかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも33%あります。
    大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。

  • 指標発表前後の反応方向には、直前1分足の陰線率が75%と高いことと、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が88%と高い点を除き、目立った傾向がありません。
    直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%と高いものの、跳幅同士を比べて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%、終値同士を比べて反応を伸ばしたことは47%です。

  • だから、指標発表前の動きに注意しておきましょう。
    直前1分足が10pips以上跳ねたとき(頻度33%)、次の直後1分足はその逆に反応したことの方が多く、しかも直後1分足は平均(31pips)以上跳ねる傾向があります。この場合の方向一致率は36%(不一致率64%)で、直後1分足跳幅平均は45pipsです。
    但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねても(頻度21%)、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。この場合は、釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    但し、論拠は過去の陰線率の高さです。

  • 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
    但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。

  • 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って早期開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
    過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。

  • 直後1分足が陰線だったり、長い上ヒゲを残した場合、短期取引で陰線側への追撃を繰り返します。
    BOEの利上げ効果や英政府政策に期待できないと、当面のGBPは売圧力が強いと捉えているためです。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。

同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。

ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。

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本指標に関する反応分布の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。

1710英国雇用250.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。かなり大きく反応するので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことには、慎重でなければいけません。但し、巻頭の指標要点の表に挙げたように、16pips以下しか跳ねなかったことも33%あります。
ここがとても難しいところです。大きく跳ねるハズの指標で跳ねないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。この指標での取引の難しさはここにあるのです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1710英国雇用210.png

1710英国雇用220.png

1710英国雇用230.png

項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年8月分(前々月)発表結果に基づいています。

1709英国雇用270.png

上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実態差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足や直後11分足との一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、ー1✕失業保険申請件数事後差異+30✕平均所得事後差異ー30✕失業率事後差異、という判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直後1分足との方向一致率が87%となっています。

この結果から、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに、直後1分足が素直に反応することがわかりました。本ブログでの「素直な反応」か否かの基準は70%です。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。

1710英国雇用310.png

次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度33%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。

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そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは13pips(戻り比率31%)です。戻り比率はほぼ30%で、大きく反応する指標としては普通です。
指標発表後は、直後1分足・直後11分足ともに、平均的にヒゲの長さが1/3を占めると覚えておきましょう。

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【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。

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事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

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直前1分足の陰線率が75%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。

直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ81%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
その他、直前1分足は、直前10-1分足と反転することが多く、直後1分足と同方向になることが多いようです。がしかし、それをアテにして取引するには、少し心もとない数字です。

最後に、反応性分析の結果を下図に示します。

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直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。

指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。


【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    但し、論拠は過去の陰線率の高さです。

  • 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
    但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。

  • 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って早期開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
    過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。

  • 直後1分足が陰線だったり、長い上ヒゲを残した場合、短期取引で陰線側への追撃を繰り返します。
    BOEの利上げ効果や英政府政策に期待できないと、当面のGBPは売圧力が強いと捉えているためです。

以上


2017年11月15日18:30発表

以下は2017年11月18日に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

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結果は、失業率が前月同値で平均所得(含ボーナス)が前月より0.1%上回りました。反応は陽線でしたが、直後11分足は直後1分足から反転しました。
失業保険申請件数が予想を下回り、平均所得は予想を上回ったので、これは反応に対しては良い結果だと言えます。直後1分足は素直に反応しています。

ロイター解説に依れば、7-9月の失業率は約40年ぶりの低水準だったそうです。但し、平均所得(含ボーナス)は、6-8月の2.3%から鈍化しており、前日発表されたCPI前年比+3.0%を0.8ポイント下回っています。
記事では、経済成長の鈍さとEU離脱を巡る不透明感が労働市場の重しになり始めている可能性がある、との識者コメントを載せていました。
なるほど、とは、素直に思えず、そういうものか、と思うしかありません。

先行き不透明ならば、失業保険申請件数が増えて、所得が減りつつというのなら、なるほど、と思えます。がしかし、本指標結果のみを眺めると、失業保険申請件数は上昇中には見えず、所得も5月分こそ下がったものの、これで4か月連続で+2%を超えています。失業率に至っては、ロイターも報じている通り、過去最低の水準です。
今回の指標結果と直近の推移を素直に眺めると、むしろ、EU離脱交渉の難航がはっきりしつつあるのに、労働市場にはその影響がまだ現れていない、と解釈すべきだと思います。だから、そんなハズないので、直後11分足で陰線側に反転した、と解釈する方がしっくりきます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

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指標発表時は、直前1分足が10pips跳ねていないため、取引を止めました。そして、初期反応が陽線だったため、追撃も単発で止めました。
いずれも、シナリオに従った結果です。


【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証しておきます。

  • 平均的な反応はかなり大きい(直後1分足跳幅過去平均は32pips)ものの、ばらつきが大きいことを指摘していました。
    結果は、直後1分足跳幅がpipsで、小さな反応ではないものの、それほどでもありません。直後1分足跳値は、ほぼ直前10-1分足始値で跳ね返されました。

  • 指標発表前後の反応方向には、直前1分足の陰線率が75%と高いことと、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が88%と高い点を除き、目立った傾向ないことを指摘していました。
    直前1分足は陰線で、直後1分足は事後差異の判別式符号と方向一致しました。

  • 指標発表前に直前10-1分足は17pipsも陰線側に動いています。がしかし、直後1分足は陽線で、直前10-1分足の大きな動きは関係なかったようです。
    事前分析では、直前10-1分足が20pips以上跳ねても、と記していたものの、ほぼ過去の傾向通りの動きだったと言えるでしょう。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

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以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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