2017年12月12日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月13日18:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月13日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、指標発表後に追撃するなら、この日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので、今回は本指標の影響持続時間がかなり限られると思われます。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。本稿は12月11日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1.1程度であり、平均的には反応が伸びる指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えて伸びたことと値幅を削ったことが同程度の頻度で起きているようです。
追撃は容易ではありません。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与・平均賃金といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年ぐらいはこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年10月分までの発表結果に基づいています。
結果、過去の事後差異は、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると良いことがわかりました。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
素直に反応する指標、と言える数字ですが、判別式の係数を見る限り、指標発表直後にぱぱっと計算することには無理があります。平均所得や失業率の0.1%の予想とのズレは、失業保険申請件数の3万人のズレに相当します。
直近の傾向では、失業保険申請件数の予想と結果はズレてもせいぜい数千人ですから、平均所得や失業率の予想とのズレが反応に大きく寄与していることがわかります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直前10-1分足跳幅は平均16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度32%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率はほぼ1/3と覚えておけばよいでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が67%と、3回に2回の割合で方向が一致しています。また、実態差異と直前10-1分足の方向一致率も70%に達しています。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ79%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月13日21:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想が本稿分析時点以降に改訂されていたようです。
結果は失業保険申請件数と失業率が予想より悪化し、平均所得(含ボーナス)は予想通りでした。反応は陰線でした。
ただ、実のところ、今回の発表結果は悪くありません。
失業保険申請件数は前回よりやや増加し、失業率も0.1%悪化しました。けれども、平均所得は2016年12月以来の+2.5%へと上昇しました。
悪化というなら、失業率が完全に上昇に転じなければ説得力に欠き、それよりかねてから問題だった所得に上向きの兆しがあったことの方が重要です。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
指標発表時刻を跨いだポジション取得は、シナリオに従い断念しました。
事前調査分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は本指標で10回取引を行い、指標単位で8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位で22勝6敗(勝率79%)でした。悪くありません。
1回の発表毎の平均取引時間は4分18秒で、年間87pipsの利確でした。分析に記しているように、反転・再反転することも多く、取引が難しい指標です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月13日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、指標発表後に追撃するなら、この日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので、今回は本指標の影響持続時間がかなり限られると思われます。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。本稿は12月11日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1.1程度であり、平均的には反応が伸びる指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えて伸びたことと値幅を削ったことが同程度の頻度で起きているようです。
追撃は容易ではありません。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与・平均賃金といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年ぐらいはこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年10月分までの発表結果に基づいています。
結果、過去の事後差異は、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると良いことがわかりました。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
素直に反応する指標、と言える数字ですが、判別式の係数を見る限り、指標発表直後にぱぱっと計算することには無理があります。平均所得や失業率の0.1%の予想とのズレは、失業保険申請件数の3万人のズレに相当します。
直近の傾向では、失業保険申請件数の予想と結果はズレてもせいぜい数千人ですから、平均所得や失業率の予想とのズレが反応に大きく寄与していることがわかります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直前10-1分足跳幅は平均16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度32%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率はほぼ1/3と覚えておけばよいでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が67%と、3回に2回の割合で方向が一致しています。また、実態差異と直前10-1分足の方向一致率も70%に達しています。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ79%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応はかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも32%あります。
大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。 - 指標発表前の反応方向は、直前10-1分足が事前差異との方向一致率67%で、直前1分足の陰線率が75%と高くなっています。
そして、直前1分足が10pips以上跳ねたとき(頻度33%)、次の直後1分足はその逆に反応したことの方が多く、しかも直後1分足は平均(31pips)以上跳ねる傾向があります。この場合の方向一致率は36%(不一致率64%)で、直後1分足跳幅平均は45pipsです。
但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねても(頻度21%)、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。この場合は、釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。 - 追撃は難しく、過去の傾向で一貫した傾向がありません。もっともアテになる傾向は、過去の事後差異が、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると、直後1分足との方向一致率が高いことがわかっています。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
とても指標発表直後にぱぱっと計算できる式ではないので、平均所得と失業率がズレた方向に追撃すると良いでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、3回に2回の割合で、事前差異と同じ方向に反応しているためです。今回の事前差異はプラスとなっています。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。 - 追撃を繰り返すなら、直後11分足のヒゲが過去平均で全体の1/3程度になりがちなことを意識しておきましょう。確率的に伸びるか戻すかがわからないので、やるなら短期取引の繰り返しの方が良いでしょう。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、追うならこの日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので。
以上
2017年12月13日18:30発表
以下は2017年12月13日21:30頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想が本稿分析時点以降に改訂されていたようです。
結果は失業保険申請件数と失業率が予想より悪化し、平均所得(含ボーナス)は予想通りでした。反応は陰線でした。
ただ、実のところ、今回の発表結果は悪くありません。
失業保険申請件数は前回よりやや増加し、失業率も0.1%悪化しました。けれども、平均所得は2016年12月以来の+2.5%へと上昇しました。
悪化というなら、失業率が完全に上昇に転じなければ説得力に欠き、それよりかねてから問題だった所得に上向きの兆しがあったことの方が重要です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
指標発表時刻を跨いだポジション取得は、シナリオに従い断念しました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は本指標で10回取引を行い、指標単位で8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位で22勝6敗(勝率79%)でした。悪くありません。
1回の発表毎の平均取引時間は4分18秒で、年間87pipsの利確でした。分析に記しているように、反転・再反転することも多く、取引が難しい指標です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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