2017年10月24日
英国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年10月25日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月25日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月24日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
現在の中長期状況は次のように捉えています。
総選挙での与党議席減による首相求心力の低下とEU離脱交渉が難航しているという記事が多く、政治的には英国の先行きに不安を感じさせる内容が多いように見受けられます。博奕じゃないのだから、英国に拠点を設けていた企業は、英国拠点の縮小こそ検討しても拡大する理由がありません。
そんした状況だからこそ、BOE総裁はMPCで利上げの可能性を検討する旨、8月下旬頃に発言しました。どうせ利上げのデメリットである設備投資は期待できないのです。物価高(為替対策)には有効です。実際、9月のGBPは対USDでも対EURでも対JPYでも買われました。
直近の物価(CPI)は6月頃に上昇が止まったかのような動きを見せたものの、また上昇し始めたように見えます(9月月集計分前年比+3.0%)。8月集計分失業率は直近の最低水準(4.3%)で推移し、平均所得(含ボーナス)も+2.2%とやや改善したため、利上げできる環境に近づいたようにも見えます。今回の指標発表で、成長率がもし前回を上回れば、次回11月2日のMPCでの利上げ議論が期待できます。
でも先述の通り、本質的にはGBPが買われる状況とは思えません。一時的にせよGBP買が続く状況とは、EU離脱交渉のソフトランディングか、米政権による対独貿易黒字対策が厳しさが増す状況で英国のNAFTA加盟が議論される状況、でしょう。
分布分析の結果を下図に示します。
まず、過去平均の直後1分足跳幅は24pipsと、大きく反応する指標です。がしかし、最近は反応が小さいことが続いています。原因はわかりません。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向で0から左右に離れても、縦軸方向の上下のばらつきが大きくなっていません。直前10-1分足は、指標発表後の反応を示唆していない、ということです。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向が0から左右に離れるほど、縦軸方向の上下に分布が離れていることがわかります。のばらつきが大きくなっていません。注目すべき点は、直後1分足が10pips以上の陽線となったときは、直後11分足終値がそれよりも反応を伸ばしている点です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。但し、グラフ表記上は、前期確定値は1期ずれて表示して、今回の予想や結果と対比しやすいように表記しています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値と同値と市場予想されており、前年比は前期確定値を0.1%下回ると市場予想されています。
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、判別式には前年比の項も含めています。
事前差異判別式は、1✕前期比事前差異ー1✕前年比事前差異とすると、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異とすると、その解の符号と直後1分足との方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕前期比実態差異+1✕前年比実態差異とすると、その解の符号と直後11分足との方向一致率が63%となります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の発表直後1分足跳幅は18pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、やや小さくなっています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回とも一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が大きくても、そのことが指標発表後の反応程度や反応方向を示唆していない、ということになります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は25pipsで、これは過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。
つまり、直前1分足が大きく跳ねたときには、指標発表後に逆方向に反応する可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。この跳幅が30pips以上だったことは過去6回(頻度35%)です。この6回のうち、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは3回、両者終値同士を比較して反応を伸ばしたことも3回です。
直後11分足は、過去平均跳幅が35pips、過去平均値幅が23pipsです。戻り比率(1−値幅/跳幅)は34%となっており、反応が大きな指標としては平均的なヒゲの長さです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%で、本指標への反応は素直だと言えます。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率と直後1分足の陽線率が、それぞれ81%・75%と、異常な偏りがあります。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。
最後に反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。そして、この88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは13%しかありません。つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年10月25日21時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに予想を上回り、反応は陽線でした。
取引時間外ですが、18:28に「英利上げ観測上昇」との一報が流れ、これによって20時過ぎには151.3円まで上昇しました。未確認ですが、おそらく英報道ではもっと早く観測記事が流れていたのでしょう。
動きは、指標発表直後の急騰が17:34頃までで、ここで150円に乗せました。次に17:50頃から再上昇が始まり、18時過ぎに150.5円に乗せました。その後、上下動を暫く繰り返してここまでかと思っていたら、18:20頃にまた急騰を始め、150.7円に乗せました。それからはじりじりと値を伸ばし、19:40頃には151.3に乗せました。
指標発表前が149.4付近なので、約200pipsの上昇です。
どうも気に入りません。
お手元のツールで、英GDPの過去からの推移をご覧ください。今回の結果が市場予想よりも僅か0.1%上昇したからと言って、どこからどう見ても前期比も前年比も低下傾向です。物価(CPI前年比)が+3.0%に達したとは言え、この程度の成長率改善で利上げをするものでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだポジションは、大損切となりました。がしかし、陽線側に10pips以上反応したときは追撃徹底という方針に救われました。
追撃は、18時前に打ち切りましたが、その後もここまで反応を伸ばすとは思いませんでした。惜しいことをした、というのは言っても仕方ありません。
事前調査・分析内容には問題ありません。
直前10-1分足と直後1分足とが逆方向との分析を外したものの、これは確率上の問題なので反省しても仕方ありません。続けて外し始めたら反省します。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年10月25日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月24日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 直近の反応は小さいものの、過去平均の反応程度は大きく、指標発表時刻を跨いだポジションを持つのは慎重であるべきです。
直後1分足の反応方向は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異、という判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との方向一致率が78%です。 - 過去の直後1分足と直後11分足の相関分布を見ると、直後1分足が10pips以上の陽線だった場合には、直後11分足終値は直後1分足終値を超えています。直後1分足終値が10pips以上の陽線だった場合には、追撃を徹底しても良いでしょう。
- 今回の市場予想は、前期比・前年比ともに前回確定値の結果とほぼ同じです。指標一致性分析では、直前10-1分足と実態差異の方向一致率は25%(不一致率75%)なので、発表結果と市場予想の大小関係も直前10-1分足と逆方向になる可能性が高い、ということです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が75%あるためです。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が81%と、異常な偏りがあるためです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と逆方向に反応すると見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、直前1分足が20pips以上跳ねた場合には、それとは逆方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 追撃は、反応方向を確認次第行います。また、直後1分足値幅が10pips以上だった場合には、その方向に追撃を徹底します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
現在の中長期状況は次のように捉えています。
総選挙での与党議席減による首相求心力の低下とEU離脱交渉が難航しているという記事が多く、政治的には英国の先行きに不安を感じさせる内容が多いように見受けられます。博奕じゃないのだから、英国に拠点を設けていた企業は、英国拠点の縮小こそ検討しても拡大する理由がありません。
そんした状況だからこそ、BOE総裁はMPCで利上げの可能性を検討する旨、8月下旬頃に発言しました。どうせ利上げのデメリットである設備投資は期待できないのです。物価高(為替対策)には有効です。実際、9月のGBPは対USDでも対EURでも対JPYでも買われました。
直近の物価(CPI)は6月頃に上昇が止まったかのような動きを見せたものの、また上昇し始めたように見えます(9月月集計分前年比+3.0%)。8月集計分失業率は直近の最低水準(4.3%)で推移し、平均所得(含ボーナス)も+2.2%とやや改善したため、利上げできる環境に近づいたようにも見えます。今回の指標発表で、成長率がもし前回を上回れば、次回11月2日のMPCでの利上げ議論が期待できます。
でも先述の通り、本質的にはGBPが買われる状況とは思えません。一時的にせよGBP買が続く状況とは、EU離脱交渉のソフトランディングか、米政権による対独貿易黒字対策が厳しさが増す状況で英国のNAFTA加盟が議論される状況、でしょう。
ーーー$€¥ーーー
分布分析の結果を下図に示します。
まず、過去平均の直後1分足跳幅は24pipsと、大きく反応する指標です。がしかし、最近は反応が小さいことが続いています。原因はわかりません。
直前10-1分足(横軸)に対する直後1分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向で0から左右に離れても、縦軸方向の上下のばらつきが大きくなっていません。直前10-1分足は、指標発表後の反応を示唆していない、ということです。
直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を見ると、横軸方向が0から左右に離れるほど、縦軸方向の上下に分布が離れていることがわかります。のばらつきが大きくなっていません。注目すべき点は、直後1分足が10pips以上の陽線となったときは、直後11分足終値がそれよりも反応を伸ばしている点です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。但し、グラフ表記上は、前期確定値は1期ずれて表示して、今回の予想や結果と対比しやすいように表記しています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値と同値と市場予想されており、前年比は前期確定値を0.1%下回ると市場予想されています。
ーーー$€¥ーーー
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、判別式には前年比の項も含めています。
事前差異判別式は、1✕前期比事前差異ー1✕前年比事前差異とすると、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕前期比事後差異+1✕前年比事後差異とすると、その解の符号と直後1分足との方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕前期比実態差異+1✕前年比実態差異とすると、その解の符号と直後11分足との方向一致率が63%となります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の発表直後1分足跳幅は18pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsよりも、やや小さくなっています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回とも一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が大きくても、そのことが指標発表後の反応程度や反応方向を示唆していない、ということになります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅が20pips以上だったことは過去3回(頻度18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は25pipsで、これは過去全平均24pipsとほぼ同じです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。
つまり、直前1分足が大きく跳ねたときには、指標発表後に逆方向に反応する可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。この跳幅が30pips以上だったことは過去6回(頻度35%)です。この6回のうち、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは3回、両者終値同士を比較して反応を伸ばしたことも3回です。
直後11分足は、過去平均跳幅が35pips、過去平均値幅が23pipsです。戻り比率(1−値幅/跳幅)は34%となっており、反応が大きな指標としては平均的なヒゲの長さです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%で、本指標への反応は素直だと言えます。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率と直後1分足の陽線率が、それぞれ81%・75%と、異常な偏りがあります。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。
最後に反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。そして、この88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは13%しかありません。つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析の結果、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が75%あるためです。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線となる期待的中率が75%ということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が81%と、異常な偏りがあるためです。 - 直後1分足は、直前10-1分足と逆方向に反応すると見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、直前1分足が20pips以上跳ねた場合には、それとは逆方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 追撃は、反応方向を確認次第行います。また、直後1分足値幅が10pips以上だった場合には、その方向に追撃を徹底します。
以上
2017年10月25日17:30発表
以下は2017年10月25日21時頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに予想を上回り、反応は陽線でした。
取引時間外ですが、18:28に「英利上げ観測上昇」との一報が流れ、これによって20時過ぎには151.3円まで上昇しました。未確認ですが、おそらく英報道ではもっと早く観測記事が流れていたのでしょう。
動きは、指標発表直後の急騰が17:34頃までで、ここで150円に乗せました。次に17:50頃から再上昇が始まり、18時過ぎに150.5円に乗せました。その後、上下動を暫く繰り返してここまでかと思っていたら、18:20頃にまた急騰を始め、150.7円に乗せました。それからはじりじりと値を伸ばし、19:40頃には151.3に乗せました。
指標発表前が149.4付近なので、約200pipsの上昇です。
どうも気に入りません。
お手元のツールで、英GDPの過去からの推移をご覧ください。今回の結果が市場予想よりも僅か0.1%上昇したからと言って、どこからどう見ても前期比も前年比も低下傾向です。物価(CPI前年比)が+3.0%に達したとは言え、この程度の成長率改善で利上げをするものでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだポジションは、大損切となりました。がしかし、陽線側に10pips以上反応したときは追撃徹底という方針に救われました。
追撃は、18時前に打ち切りましたが、その後もここまで反応を伸ばすとは思いませんでした。惜しいことをした、というのは言っても仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容には問題ありません。
直前10-1分足と直後1分足とが逆方向との分析を外したものの、これは確率上の問題なので反省しても仕方ありません。続けて外し始めたら反省します。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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