2017年08月14日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月15日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月15日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
※ 誤記がありました。事前差異判別結果は「-2.4」ではなく「−0.4」です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。平均の半分しか反応しなくても15pipsで、過去発表時の90%はこの15pipsを超えています。かなり大きく反応しがちなので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多すぎて、ポイントを絞るのが面倒です。
注目すべき点は、どの項目にせよ前年比が右上がりで推移しており、そろそろその右上がりが頭打ちになっている、という点です。少し前までは、このグラフが右上がりだからこそ、BOEの利上げがそろそろと話題に挙がっていました。そして、直近ではその右上がりが頭打ちになって下降に転じた気配があるからこそ、利上げを急がなくても良いのではないか、という話が挙がっています。
ここからはCPIに限った話です。
もし今回「やはり利上げは早い」と思わせるためには、前回同値で構いません。4-6月期成長率速報値が1-3月期より鈍化しているので、同値ならば「それでも利上げを」という話になりません。現状認識の追認ですから、平均以下の陰線で反応する、と予想されます。
平均以上の陰線で反応するためには、もう利上げどころではない、というグラフになる必要があります。それには前回並みに低下すれば良いと考えられます。CPI前年比2.2以下なら、インフレ鈍化が加速したように見えるでしょう。
もし今回「やはり利上げが必要」と思わせるためには、上のグラフで前年比3%付近まで上昇すれば良い、と思われます。例え成長率が鈍化する兆しがあっても、利上げ以外の手段を検討してでもインフレを何とかすべき」という議論になるはずです。そう思わせる結果になれば、反応は平均より大きな陽線となるでしょう。方向性は読めても確証に欠ける話なので、やはり平均以下の陽線となるでしょう。
もし3%を超えるCPI前年比となれば、とにかくインフレを抑え込まないと、成長率鈍化がもっと加速する可能性を示唆します。例え、瞬間的に陽線側に跳ねても、この場合には解釈に迷うでしょう。激しい上下動で反応する、と推察します。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度17%)あります。この5回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上のときは、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(27%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
直後1分足と直後11分足については、別の分析をアテにする方がよいので、詳細観察は割愛します。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月15日20:15頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
注目のCPI前年比は市場予想を下回りました。とは言え、前月結果と同値です。コアCPI前年比も同様に予想を下回って前回同値で、CPI前月比は前回・予想を下回りました。
RPIは前月比・前年比・コア前年比とも予想を上回り、コアPPI前年比は前回・予想を下回りました。
発表全体としてはまちまちな結果となりましたが、重要項目のCPI前年比が予想を下回ったため、陰線で反応しました。
陰線の大きさは、直後1分足跳幅が45pips(過去平均31pips)となって、過去10%に入る大きさです。
結果は予想を下回ったとは言え、それほどの乖離でもありません。おそらく直前10-1分足が25pipsも跳ねる陽線となっていたので、今回の直後1分足跳幅45pipsは、差し引き20pips程度の陰線、といったところなのでしょう。
取引結果は次の通りでした。
分析が外れた発表時刻を跨いだポジションが大きな損切となりました。まぁ、こんなこともあります。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月15日17:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
※ 誤記がありました。事前差異判別結果は「-2.4」ではなく「−0.4」です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 過去の傾向では、CPI>RPI>PPIの順に反応に影響しがちです。また、前年比>前月比、総合>コア、の順に影響しがちです。
- 発表結果と市場予想との差異(事後差異)と指標発表直後1分足の反応方向への一致率は92%と高く、結果の良し悪しに素直に反応します。
この事後差異判別式は、全項目の発表結果ー市場予想を単純に全て足し合わせて求めています。 - がしかし、指標発表直後こそ素直にかなり大きく反応しがちなものの、発表から1分を経過すると直後1分足と同じ方向に反応を伸ばしたことが31%しかありません。あまり追撃には適していない指標だと言えます。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想は難しいものの、CPI前年比の結果によって以下の反応になると予想しています。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。そしてどこかで陰線側に転じます。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陽線と見込みます。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。
(3) 発表時刻を跨いだポジションは持ちません。但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねた場合にのみ、指標発表前に同じ方向にポジションを取って、発表直後の跳ねで利確・損切します。
(4) もし初期反応が陰線なら、早期追撃参加し短期利確します。
(5) もし直後1分足が陽線なら、売ポジション取得の狙います。陽線側への追撃は行いません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。平均の半分しか反応しなくても15pipsで、過去発表時の90%はこの15pipsを超えています。かなり大きく反応しがちなので、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多すぎて、ポイントを絞るのが面倒です。
注目すべき点は、どの項目にせよ前年比が右上がりで推移しており、そろそろその右上がりが頭打ちになっている、という点です。少し前までは、このグラフが右上がりだからこそ、BOEの利上げがそろそろと話題に挙がっていました。そして、直近ではその右上がりが頭打ちになって下降に転じた気配があるからこそ、利上げを急がなくても良いのではないか、という話が挙がっています。
ここからはCPIに限った話です。
もし今回「やはり利上げは早い」と思わせるためには、前回同値で構いません。4-6月期成長率速報値が1-3月期より鈍化しているので、同値ならば「それでも利上げを」という話になりません。現状認識の追認ですから、平均以下の陰線で反応する、と予想されます。
平均以上の陰線で反応するためには、もう利上げどころではない、というグラフになる必要があります。それには前回並みに低下すれば良いと考えられます。CPI前年比2.2以下なら、インフレ鈍化が加速したように見えるでしょう。
もし今回「やはり利上げが必要」と思わせるためには、上のグラフで前年比3%付近まで上昇すれば良い、と思われます。例え成長率が鈍化する兆しがあっても、利上げ以外の手段を検討してでもインフレを何とかすべき」という議論になるはずです。そう思わせる結果になれば、反応は平均より大きな陽線となるでしょう。方向性は読めても確証に欠ける話なので、やはり平均以下の陽線となるでしょう。
もし3%を超えるCPI前年比となれば、とにかくインフレを抑え込まないと、成長率鈍化がもっと加速する可能性を示唆します。例え、瞬間的に陽線側に跳ねても、この場合には解釈に迷うでしょう。激しい上下動で反応する、と推察します。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) もしCPI前年比が3%を超えるなら、最初は陽線側に大きく跳ねても、その後は大きな上下動で反応する、と予想します。
(2) もし2.7%以上3%未満なら平均より小さな陽線で反応する、と予想します。
(3) もし2.6%以下2.3%以上ならば、平均より小さな陰線で反応する、と予想します。
(4) もし2.2%以下ならば、平均より大きな陰線で反応する、と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度17%)あります。この5回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上のときは、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(27%)あります。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
直後1分足と直後11分足については、別の分析をアテにする方がよいので、詳細観察は割愛します。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足跳幅が20pips以上となることがあります。過去の傾向では、このとき直後1分足は、同じ方向に反応する可能性があります(期待的中率80%)。但し、そうした場合に直後1分足が大きく反応することを示唆している訳ではありません。
(2) しばしば(頻度27%)直前1分足の反応が10pips以上動くことがあります。普通、直前1分足が10pipsも動くと慌てるものです。がしかし、決してそうした動きに釣られてはいけません。こうした動きは指標発表直後1分足の反応程度や方向とは関係ありません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は62%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
この数字では、順張り追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りした方が良さそうな数字です。もちろん、逆張りは勧められません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は陽線率が73%、直前1分足は陰線率が81%と、指標発表前のローソク足に偏りが目立ちます。
先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が76%あります。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足が陰線となる期待的中率は76%です。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は、それぞれ92%・77%となっています。発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月15日17:30発表
以下は2017年8月15日20:15頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
注目のCPI前年比は市場予想を下回りました。とは言え、前月結果と同値です。コアCPI前年比も同様に予想を下回って前回同値で、CPI前月比は前回・予想を下回りました。
RPIは前月比・前年比・コア前年比とも予想を上回り、コアPPI前年比は前回・予想を下回りました。
発表全体としてはまちまちな結果となりましたが、重要項目のCPI前年比が予想を下回ったため、陰線で反応しました。
陰線の大きさは、直後1分足跳幅が45pips(過去平均31pips)となって、過去10%に入る大きさです。
結果は予想を下回ったとは言え、それほどの乖離でもありません。おそらく直前10-1分足が25pipsも跳ねる陽線となっていたので、今回の直後1分足跳幅45pipsは、差し引き20pips程度の陰線、といったところなのでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
分析が外れた発表時刻を跨いだポジションが大きな損切となりました。まぁ、こんなこともあります。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 過去の傾向では、CPI>RPI>PPIの順に反応に影響しがちです。また、前年比>前月比、総合>コア、の順に影響しがちです。
今回の結果を検証すると、CPI>RPIの関係のみ確認できました。 - 過去の傾向では、発表結果と市場予想との差異(事後差異)と指標発表直後1分足の反応方向への一致率は92%と高く、結果の良し悪しに素直に反応します。
この事後差異判別式は、全項目の発表結果ー市場予想を単純に全て足し合わせて求めています。
今回の結果は事後差異判別式が0で、この関係が成立していません。 - 過去の傾向では、指標発表直後こそ素直にかなり大きく反応しがちなものの、発表から1分を経過すると直後1分足と同じ方向に反応を伸ばしたことが31%しかありません。あまり追撃には適していない指標だと言えます。
今回の結果は、直後11分足が直後1分足の値幅を削りました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前10-1分足は陽線と見込んでいました。結果は陽線でした。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
- 発表時刻を跨いだポジションは持たないつもりでした。但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねた場合にのみ、指標発表前に同じ方向にポジションを取って、発表直後の跳ねで利確・損切することにしていました。
結果は、直前10-1分足が20pips以上陽線側に跳ねたので、指標発表直前に買ポジションを取って、まぁ大きな損切になりました。
(4) 初期反応が陰線なら、早期追撃参加し短期利確するつもりでした。直後1分足が陽線なら、売ポジション取得の狙うつもりでした。陽線側への追撃は行わないことにしていました。
結果は初期反応が陰線で、陰線側への追撃を行いました。
但し、発表直前が143付近で、直後に1時間足基準線142.55のサポートを一時的に下抜け、その下の転換線142.15(更に40pips下)までもうサポートはありません。指標結果は、全体として悪い訳でもなく、最注目のCPIが僅かに市場予想を下回っただけです。
本来なら、繰り返し追撃を行いたかったものの、損切を挽回する追撃は1回しか行えませんでした。結果的には20:00頃には、142.15付近まで値を下げました。がしかし、これは結果論です。17:30頃のポジションを20:00まで引っ張る訳にもいきません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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