2017年08月14日
独国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年8月15日15:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月15日15:00に独国「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月13日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
GDPの意味についての説明は不要だと思います。
独国GDPはEUの2割弱を占め、英国のEU離脱後は2割強を占めるようになります。
今では盤石とも言える独経済も10年前までは、そんなことありませんでした。1990年台は東西統一によって、失業率が高止まりしていたため内需も振るわず、EUR高で輸出も不調でした(相対的に)。改善の兆しが見え始めたのは2010年頃からで、経済好調が明確になったのは2014年頃からではないでしょうか。
このタイミングは日本とほぼ同期しています。
独経済の強みは、財政黒字・経常黒字・貿易黒字が続く見通しと、移民流入が続いているのに失業率の継続的改善が長期に亘っていることと、輸出産業基盤である中小企業の技術優位性(人材育成制度)、がよく挙げられています。
がしかし、いずれも過去にEURが安くて輸出が好調なときしか、これら強みが発揮されていません。
優れた人材育成制度がもてはやされるのは、単に日独がそういう話が好きだからです。公平に見れば、英仏の職人が日独に職人に劣る訳ではないように見受けられます。
むしろ、統計データを見る限り、独経済の基盤的特徴は、移民の失業率が低い点にあります。高齢化が進んで景気が良いのだから、納得できる話です。
でも、「雨後の縦列行進」と言って、経済が好調である限り、最後尾もそれなりに踏み固めれた道を歩けます。がしかし、ひとたび経済が悪化すると、最後尾は泥濘に足を取られながら歩くことになってしまいます。これからEURが高くなっていけば、輸出に陰りが出始めるかも知れません。そのとき、労働人口に占める移民が多い国の内需は落ち込みが半端ではありません。
常に問題ある国を加盟国に含むEUの維持こそ、EUR安が必須の独経済にとって最大の財産ではないでしょうか。EU内の交易ルールによって域内貿易でも強い点が、もしEUR高になっても以前より独経済に有利に働きます。その一方、既に移民を多く引き受けてしまった点が、域外貿易で不調になったときの更なる重石となるでしょう。
いまはまだ関係ない話ですが。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で8pipsしかありません。指標発表直後にその半分の4pipsしか跳ねなかったことも30%弱あります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比と前年比のどちらが反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、GDP前期比とGDP前年比を、項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕GDP前期比事前差異ー2✕前年比事前差異、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が64%となりました。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、2✕GDP前期比事後差異+1✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が69%となりました。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この実態差異判別式は、前年比実態差異だけを用いた方が、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が64%と高くなります。
いずれにせよ、本指標での判別式は高い一致率を示せないことがわかりました。
事後差異判別式の係数に基づき、前期比の推移に注目します。
前期比のグラフ推移を見ると、発表結果と市場予想の大小関係が前回と今回とで入れ替わったことが6回(38%)です。市場予想後追い型ですが、あまりアテになる期待的中率(入れ替わらなかった62%)ではありません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の平均的な反応は小さく、トレンドが発生していたら反応が埋もれかねない程度です。
(2) 各差異に対する判別式は、高い一致率を示していません。
(3) 直後1分足反応方向への影響は、前期比>前年比、です。その前期比は、弱い市場予想後追い型となっています。前回は発表結果と市場予想が同値なので、前々回を見ると市場予想を発表結果が下回っています。よって、今回発表が市場予想を下回る期待的中率は62%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
本指標に関しては、2014年1-3月・2015年1-3月・2016年1-3月の3回分のローソク足データがありません。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅がその2倍の16pips以上だったことは過去1回(頻度7%)あります。この1回の直後1分足跳幅は8pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsと同じです。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍の8pips以上だったことは過去1回(頻度7%)あります。この1回の直後1分足跳幅の平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応が大きくなるとは言えません。ただ、過去事例は少ない者の方向を示唆している可能性はあります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が11pipsです。
直後1分足と直後11分足については、他の分析結果を参考にします。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
まれに(頻度7%)直前10-1分足跳幅が過去平均の2倍にあたる16pips以上となったり、直前1分足跳幅が8pips以上となる場合があります。がしかし、こうした過去事例では、それが直後1分足の反応程度が大きくなったということはありません。ただ、直前1分足跳幅が8pips以上となったときには、その方向が直後1分足の方向を示唆している可能性があります。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前期改定値結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前期改定値の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は92%です。そして、その92%の方向一致時だけに注目すれば、直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは92%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことが69%となっています(3回に2回以上)。
よって早期追撃で得たポジションは焦らずに長持ちしても良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が83%、直後1分足は陽線率が77%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足と直前1分足との方向一致率が18%(不一致率92%)で、直前1分足と直後11分足との方向一致率が25%(不一致率72%)です。他の分析と矛盾しないためには、直前10-1分足が陽線なら、直前1分足が陰線、直後11分足は陽線、ということになります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が69%となっています。この数字は、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応した比率です。
実態差異は、直前10-1分足・直後1分足との方向一致率がそれぞれ73%・77%となっています。
逆に、直前10-1分足の方向が前期改定値を今回発表が超えるか否かを73%の期待的中率で示唆していることになります。現時点で市場予想は、前期比・前年比ともに前期改定値を上回っています。もし、直前10-1分足が陰線ならば、それは発表結果が市場予想を下回ることを意味しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月17日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比が+0.6%・前年比が+0.8%で、反応は陽線から陰線に転じました。
前年比は前期改定値を大きく下回り、前期比・前年比ともに市場予想を下回りました。グラフ推移を見ると、前年比は2014年4-6月期以来の低い伸びで、直近2016年4-6月期が+3%を超えていたため、成長鈍化しつつあるように見えます。
独国景気指標や実態指標を見る限り、そんな兆しはないので、改定値で上方修正されるかも知れませんね。
取引結果は次の通りでした。
3連敗取引で途中で止めました。
3回も続けて負けるときは何をやってもどうせ外れます。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月15日15:00に独国「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月13日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標結果と反応方向の関係を表す判別式は、本指標の場合、あまり一致率が高い係数を見出せません。これはおそらく、指標結果よりもそのときどきのトレンドの影響が大きいことを示唆しています。
- 今回の発表結果は、市場予想を上回るか下回るかわかりません。でも、大丈夫です。本発表前後のトレンドの影響が、ある種のパターン化をしています。
- 初期反応方向は指標結果の良し悪しとの一致率が69%あるものの、初期反応程度は小さい傾向があります。追撃は、早期参加でも反応方向を見極めてから参加してもよく、利確はじっくりタイミングを計ることに適しています。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。一部で市場予想を下回るという予想結論もあるものの、期待的中率が低くアテには出来ません。
(1) 過去の平均的な反応は小さく、トレンドが発生していたら反応が埋もれかねない程度です。
(2) 各差異に対する判別式は、高い一致率を示していません。
(3) 直後1分足反応方向への影響は、前期比>前年比、です。その前期比は、弱い市場予想後追い型となっています。前回は発表結果と市場予想が同値なので、前々回を見ると市場予想を発表結果が下回っています。よって、今回発表が市場予想を下回る期待的中率は62%です。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
まれに(頻度7%)直前10-1分足跳幅が過去平均の2倍にあたる16pips以上となったり、直前1分足跳幅が8pips以上となる場合があります。がしかし、こうした過去事例では、それが直後1分足の反応程度が大きくなったということはありません。ただ、直前1分足跳幅が8pips以上となったときには、その方向が直後1分足の方向を示唆している可能性があります。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見たその後の反応が伸びる確率が高く、直後11分足終値は直後1分足終値より伸びがちです。よって、追撃は早期参加し、じっくり利確のタイミングを計ることに適した指標です。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が83%、直後1分足は陽線率が77%と、偏りが目立ちます。
そして、直前10-1分足が陽線のとき、直前1分足が陰線(82%)、直後1分足は陽線(64%)、直後11分足は陽線(75%)、です。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
実態差異は、直前10-1分足との方向一致率が73%となっています。
これは、直前10-1分足の方向が前期改定値を今回発表が超えるか否かを73%の期待的中率で示唆していることになります。現時点で市場予想は、前期比・前年比ともに前期改定値を上回っています。もし、直前10-1分足が陰線ならば、それは発表結果が市場予想を下回ることを意味しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得します。発表直後の跳ねで利確・損切します。
(3) 追撃は早期参加し、直後1分足と同方向なら反応を伸ばすのを待って利確します。
もし直後1分足と逆方向になってしまったら、一旦決済して、直後1分足と同方向に順張り追撃します。
いずれも損切の目安は8pipsです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
GDPの意味についての説明は不要だと思います。
独国GDPはEUの2割弱を占め、英国のEU離脱後は2割強を占めるようになります。
今では盤石とも言える独経済も10年前までは、そんなことありませんでした。1990年台は東西統一によって、失業率が高止まりしていたため内需も振るわず、EUR高で輸出も不調でした(相対的に)。改善の兆しが見え始めたのは2010年頃からで、経済好調が明確になったのは2014年頃からではないでしょうか。
このタイミングは日本とほぼ同期しています。
独経済の強みは、財政黒字・経常黒字・貿易黒字が続く見通しと、移民流入が続いているのに失業率の継続的改善が長期に亘っていることと、輸出産業基盤である中小企業の技術優位性(人材育成制度)、がよく挙げられています。
がしかし、いずれも過去にEURが安くて輸出が好調なときしか、これら強みが発揮されていません。
優れた人材育成制度がもてはやされるのは、単に日独がそういう話が好きだからです。公平に見れば、英仏の職人が日独に職人に劣る訳ではないように見受けられます。
むしろ、統計データを見る限り、独経済の基盤的特徴は、移民の失業率が低い点にあります。高齢化が進んで景気が良いのだから、納得できる話です。
でも、「雨後の縦列行進」と言って、経済が好調である限り、最後尾もそれなりに踏み固めれた道を歩けます。がしかし、ひとたび経済が悪化すると、最後尾は泥濘に足を取られながら歩くことになってしまいます。これからEURが高くなっていけば、輸出に陰りが出始めるかも知れません。そのとき、労働人口に占める移民が多い国の内需は落ち込みが半端ではありません。
常に問題ある国を加盟国に含むEUの維持こそ、EUR安が必須の独経済にとって最大の財産ではないでしょうか。EU内の交易ルールによって域内貿易でも強い点が、もしEUR高になっても以前より独経済に有利に働きます。その一方、既に移民を多く引き受けてしまった点が、域外貿易で不調になったときの更なる重石となるでしょう。
いまはまだ関係ない話ですが。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で8pipsしかありません。指標発表直後にその半分の4pipsしか跳ねなかったことも30%弱あります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比と前年比のどちらが反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、GDP前期比とGDP前年比を、項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕GDP前期比事前差異ー2✕前年比事前差異、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が64%となりました。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、2✕GDP前期比事後差異+1✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が69%となりました。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この実態差異判別式は、前年比実態差異だけを用いた方が、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が64%と高くなります。
いずれにせよ、本指標での判別式は高い一致率を示せないことがわかりました。
ーーー$€¥ーーー
事後差異判別式の係数に基づき、前期比の推移に注目します。
前期比のグラフ推移を見ると、発表結果と市場予想の大小関係が前回と今回とで入れ替わったことが6回(38%)です。市場予想後追い型ですが、あまりアテになる期待的中率(入れ替わらなかった62%)ではありません。
ーーー$€¥ーーー
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の平均的な反応は小さく、トレンドが発生していたら反応が埋もれかねない程度です。
(2) 各差異に対する判別式は、高い一致率を示していません。
(3) 直後1分足反応方向への影響は、前期比>前年比、です。その前期比は、弱い市場予想後追い型となっています。前回は発表結果と市場予想が同値なので、前々回を見ると市場予想を発表結果が下回っています。よって、今回発表が市場予想を下回る期待的中率は62%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
本指標に関しては、2014年1-3月・2015年1-3月・2016年1-3月の3回分のローソク足データがありません。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅がその2倍の16pips以上だったことは過去1回(頻度7%)あります。この1回の直後1分足跳幅は8pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsと同じです。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍の8pips以上だったことは過去1回(頻度7%)あります。この1回の直後1分足跳幅の平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応が大きくなるとは言えません。ただ、過去事例は少ない者の方向を示唆している可能性はあります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が11pipsです。
直後1分足と直後11分足については、他の分析結果を参考にします。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
まれに(頻度7%)直前10-1分足跳幅が過去平均の2倍にあたる16pips以上となったり、直前1分足跳幅が8pips以上となる場合があります。がしかし、こうした過去事例では、それが直後1分足の反応程度が大きくなったということはありません。ただ、直前1分足跳幅が8pips以上となったときには、その方向が直後1分足の方向を示唆している可能性があります。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前期改定値結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前期改定値の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は92%です。そして、その92%の方向一致時だけに注目すれば、直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは92%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことが69%となっています(3回に2回以上)。
よって早期追撃で得たポジションは焦らずに長持ちしても良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が83%、直後1分足は陽線率が77%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足と直前1分足との方向一致率が18%(不一致率92%)で、直前1分足と直後11分足との方向一致率が25%(不一致率72%)です。他の分析と矛盾しないためには、直前10-1分足が陽線なら、直前1分足が陰線、直後11分足は陽線、ということになります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が69%となっています。この数字は、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応した比率です。
実態差異は、直前10-1分足・直後1分足との方向一致率がそれぞれ73%・77%となっています。
逆に、直前10-1分足の方向が前期改定値を今回発表が超えるか否かを73%の期待的中率で示唆していることになります。現時点で市場予想は、前期比・前年比ともに前期改定値を上回っています。もし、直前10-1分足が陰線ならば、それは発表結果が市場予想を下回ることを意味しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月15日15:00発表
以下は2017年8月17日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比が+0.6%・前年比が+0.8%で、反応は陽線から陰線に転じました。
前年比は前期改定値を大きく下回り、前期比・前年比ともに市場予想を下回りました。グラフ推移を見ると、前年比は2014年4-6月期以来の低い伸びで、直近2016年4-6月期が+3%を超えていたため、成長鈍化しつつあるように見えます。
独国景気指標や実態指標を見る限り、そんな兆しはないので、改定値で上方修正されるかも知れませんね。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
3連敗取引で途中で止めました。
3回も続けて負けるときは何をやってもどうせ外れます。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 判別式について次のように記していました。
「指標結果と反応方向の関係を表す判別式は、本指標の場合、あまり一致率が高い係数を見出せません。これはおそらく、指標結果よりもそのときどきのトレンドの影響が大きいことを示唆しています。」
トレンドという訳ではないにせよ、発表直後の動きはおかしな動きでした。こういうことが、一致率が高い係数を見つけられない原因かも知れません。 - 指標結果については次のように記していました。
「今回の発表結果は、市場予想を上回るか下回るかわかりません。でも、大丈夫です。本発表前後のトレンドの影響が、ある種のパターン化をしています。」
まぁこれはコメントしようがありません。 - 取引方法について次のように記していました。
「初期反応方向は指標結果の良し悪しとの一致率が69%あるものの、初期反応程度は小さい傾向があります。追撃は、早期参加でも反応方向を見極めてから参加してもよく、利確はじっくりタイミングを計ることに適しています。」
だいたいその通りでした。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は同値で、判定無しです。
- 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得するつもりでした。そして、発表直後の跳ねで利確・損切するつもりでした。
結果は、直前10-1分足と逆方向で、分析を外しました。言い訳しても仕方ありませんが、この発表結果で直後1分足陽線は驚きです。 - 追撃は早期参加し、直後1分足と同方向なら反応を伸ばすのを待って利確するつもりでした。もし直後1分足と逆方向になってしまったら、一旦決済して、直後1分足と同方向に順張り追撃するつもりでした。いずれも損切の目安は8pipsとしていました。
結果は、「仕方のない」負けでした。
初期反応確認時点(発表から20秒後)では、指標結果をまだ確認できていません(スマホ取引でした)。そのため、釣られて陽線側に追撃ポジションを取りました。前述のように、この発表結果で陽線はおかしな動きです。当然、陰線側に転じて損切となりました。
直後1分足が形成されてから逆方向に転じたら、もう一度追撃がシナリオでした。がしかし、ここまで3連敗しています。別の自分ルールに従って、もう取引を止めました。そしたら狙い通りです。でもまぁそんなもんです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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