2017年08月23日
英国経済指標「四半期GDP改定値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月24日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月24日17:30に英国経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の改定値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月23日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。
GDP改定値は、英国国家統計局が 2月・5月・8月・11月の下旬に前四半期分を発表しています。
本指標の特徴は次の通りです。
2013年1-3月期から前回2017年1-3月期までの17回の改定値発表で、前月比・前年比のどちらかの市場予想が速報値とズレたことは2回しかありません(全17回)。そして、前月比・前年比のどちらかの発表結果が市場予想とズレたことは6回しかありません。
これでは取引の参考にならないことの方が多い、ということになります。
そのためかどうかはわかりませんが、過去発表時の直後11分足には、陽線側・陰線側の両方にヒゲが目立ちます。これは発表後にも方向が定まりにくい、ということだと思います。損切にせよ利確にせよタイミングが難しい、ということでもあります。
2016年6月のEU離脱決定以降、GBPは大幅に下落しました。幸い、成長率はその後も高く維持されてきたものの(概ね2%台前半)、インフレ率も高くなり(概ね2%台後半)、世論はBOEに利上げを求める論調が高まりました(報道解説等の主観的感触)。
ところが、です。直近の成長率(4-6月期速報値)には鈍化の兆しが見られ、インフレ率も下降基調転換の兆しが見え始めました。7月以降に発表される指標には、それを裏付ける結果や反応も散見されます。
6月下旬にはBOE総裁が利上げ検討の必要性について言及していたものの、そのときは「(利上げに当たって)物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。前提が満たされなくなりつつあります。
同時発表される四半期企業投資は、この発言が行われるまで、それほど注目度が高い項目ではなかったと記憶しています。以前は市場予想すら主要な指標カレンダーで公表されていなかったぐらいです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応をする指標だと言えます。
分布は、10-25pipsの範囲に64%が集まる一方、9pips以下のときも18%あります。意外に小さいのは、前述の通り、改定値が速報値や市場予想と同じになりがちだから、です。
但し、最近は以前に比べて大きく反応することが多いようです。これは、BOEの金融政策と絡めて解釈されるため、と考えられます。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。本来ならば、前回結果である速報値も一緒にプロットすべきですが、まだ対応できていません。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
一致率が高くなった実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。実態差異判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は75%となりました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度29%)あります。この5回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は10pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度35%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は14pipsで、これは過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
これらローソク足の詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しばしば(頻度29%)直前10-1分足跳幅は20pips以上跳ねることがあります。その跳幅が20pips以上だったときに直後1分足との方向一致率は80%です。大きく直前10-1分足が跳ねるときは、その方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
(2) よく(頻度35%)直前1分足跳幅が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、直前1分足の反応が平均より大きく動いたからと言って、過去事例を見る限り、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析の結果を下表に示します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は75%となっています。先に挙げた実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率と直後1分足の陽線率がともに69%となっています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は69%で、どのローソク足同士も30%以下や70%以上の方向一致率の偏りがありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが73%です。反応を一方向に伸ばしがちとは言えない確率です。また、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
追撃には向かない指標だと言えるでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年8月24日19:30に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP改定値が前期比・前年比ともに速報値と同値、企業投資が前期比・前年比ともに速報値・予想を下回りました。反応は陰線でした。
企業投資だけでなく、個人消費も良くなかったようです(+0.1%)。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ取引は想定通りの展開だったので、問題ありません。
シナリオ取引は、最下部過去成績に記載通り、取引時間3分17秒、利確8.26pips(指標投資利益率0.99%)でした。
シナリオ外取引は週末成績に加えますが、指標成績には加えません。ともあれ、おかげで先週の損失をほぼ取り返せました。
シナリオ外取引は、過去データに基づくものでなく、チャートの動きを見て経験的な「勘」でポジションを取っています。よって、これは事前分析で説明できません。
同じ指標発表時にチャートの動きを見続けることで、ここ1・2年は少しは勘が良く当たるようになった気がします。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月24日17:30に英国経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の改定値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月23日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。
まず、GDPが市場予想と異なる場合は素直に反応しがちです。
また、GDPが市場予想通りだった場合、初期反応は企業投資前期比の市場予想に対する多寡に従って反応しがちです。そして、発表から時間が経つと、企業投資前年比の実態差異(発表結果ー速報値結果)と逆向きに反応しがちです。 - 過去の直後1分足の反応程度は平均的(跳幅17pips)で、追撃には向きません。
追撃に向かない理由は、一方向に反応を伸ばしがちとは言えず、発表から1分経過後時点で中途半端に逆張りでの期待的中率が高くなっているため、です。
加えて、指標発表後は、直後1分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が35%、直後11分足のそれは48%にも達します。このクラスの反応をする指標としては、上下動がかなり大きな指標だと言えます。高値(安値)掴みは、追撃が難しい指標だけに致命傷に繋がります。 - 注視・注意すべきは指標発表前です。
直前10-1分足は20pips以上跳ねたことが29%あります。そして、そういう跳ねが起きたときは、その方向に直後1分足が反応する確率が高くなっています。
直前1分足跳幅が10pips以上跳ねたことも35%あります。この跳ねは、直後1分足の反応方向と関係ないので、釣られて大けがをしないように気を付けた方が良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。
- 指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。
GDP改定値は、英国国家統計局が 2月・5月・8月・11月の下旬に前四半期分を発表しています。
本指標の特徴は次の通りです。
2013年1-3月期から前回2017年1-3月期までの17回の改定値発表で、前月比・前年比のどちらかの市場予想が速報値とズレたことは2回しかありません(全17回)。そして、前月比・前年比のどちらかの発表結果が市場予想とズレたことは6回しかありません。
これでは取引の参考にならないことの方が多い、ということになります。
そのためかどうかはわかりませんが、過去発表時の直後11分足には、陽線側・陰線側の両方にヒゲが目立ちます。これは発表後にも方向が定まりにくい、ということだと思います。損切にせよ利確にせよタイミングが難しい、ということでもあります。
ーーー$€¥ーーー
2016年6月のEU離脱決定以降、GBPは大幅に下落しました。幸い、成長率はその後も高く維持されてきたものの(概ね2%台前半)、インフレ率も高くなり(概ね2%台後半)、世論はBOEに利上げを求める論調が高まりました(報道解説等の主観的感触)。
ところが、です。直近の成長率(4-6月期速報値)には鈍化の兆しが見られ、インフレ率も下降基調転換の兆しが見え始めました。7月以降に発表される指標には、それを裏付ける結果や反応も散見されます。
6月下旬にはBOE総裁が利上げ検討の必要性について言及していたものの、そのときは「(利上げに当たって)物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。前提が満たされなくなりつつあります。
同時発表される四半期企業投資は、この発言が行われるまで、それほど注目度が高い項目ではなかったと記憶しています。以前は市場予想すら主要な指標カレンダーで公表されていなかったぐらいです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。平均的な反応をする指標だと言えます。
分布は、10-25pipsの範囲に64%が集まる一方、9pips以下のときも18%あります。意外に小さいのは、前述の通り、改定値が速報値や市場予想と同じになりがちだから、です。
但し、最近は以前に比べて大きく反応することが多いようです。これは、BOEの金融政策と絡めて解釈されるため、と考えられます。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。本来ならば、前回結果である速報値も一緒にプロットすべきですが、まだ対応できていません。
各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
一致率が高くなった実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。実態差異判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は75%となりました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が16pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去5回(頻度29%)あります。この5回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は10pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度35%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は14pipsで、これは過去全平均17pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
これらローソク足の詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しばしば(頻度29%)直前10-1分足跳幅は20pips以上跳ねることがあります。その跳幅が20pips以上だったときに直後1分足との方向一致率は80%です。大きく直前10-1分足が跳ねるときは、その方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
(2) よく(頻度35%)直前1分足跳幅が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、直前1分足の反応が平均より大きく動いたからと言って、過去事例を見る限り、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率35%)です。直後11分足のそれは12pips(戻り比率48%)です。このぐらいの直後11分足に対し、戻り比率48%はかなり高い数字です。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析の結果を下表に示します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は75%となっています。先に挙げた実態差異判別式は、5✕GDP前期比の差異+10✕GDP前年比の差異ー2✕企業投資前年比の差異、です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率と直後1分足の陽線率がともに69%となっています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は69%で、どのローソク足同士も30%以下や70%以上の方向一致率の偏りがありません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが73%です。反応を一方向に伸ばしがちとは言えない確率です。また、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。
追撃には向かない指標だと言えるでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃を開始します。利確(損切)は、指標発表直後の跳ねで行います。
- 指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。
以上
2017年8月24日17:30発表
以下は2017年8月24日19:30に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP改定値が前期比・前年比ともに速報値と同値、企業投資が前期比・前年比ともに速報値・予想を下回りました。反応は陰線でした。
企業投資だけでなく、個人消費も良くなかったようです(+0.1%)。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ取引は想定通りの展開だったので、問題ありません。
シナリオ取引は、最下部過去成績に記載通り、取引時間3分17秒、利確8.26pips(指標投資利益率0.99%)でした。
シナリオ外取引は週末成績に加えますが、指標成績には加えません。ともあれ、おかげで先週の損失をほぼ取り返せました。
シナリオ外取引は、過去データに基づくものでなく、チャートの動きを見て経験的な「勘」でポジションを取っています。よって、これは事前分析で説明できません。
同じ指標発表時にチャートの動きを見続けることで、ここ1・2年は少しは勘が良く当たるようになった気がします。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 指標結果と反応の関係について、次のように捉えていました。
「本指標の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。
まず、GDPが市場予想と異なる場合は素直に反応しがちです。
また、GDPが市場予想通りだった場合、初期反応は企業投資前期比の市場予想に対する多寡に従って反応しがちです。そして、発表から時間が経つと、企業投資前年比の実態差異(発表結果ー速報値結果)と逆向きに反応しがちです。」
問題ありません。 - 指標発表後の値動きについて、次のように捉えていました。
「過去の直後1分足の反応程度は平均的(跳幅17pips)で、追撃には向きません。
追撃に向かない理由は、一方向に反応を伸ばしがちとは言えず、発表から1分経過後時点で中途半端に逆張りでの期待的中率が高くなっているため、です。
加えて、指標発表後は、直後1分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が35%、直後11分足のそれは48%にも達します。このクラスの反応をする指標としては、上下動がかなり大きな指標だと言えます。高値(安値)掴みは、追撃が難しい指標だけに致命傷に繋がります。」
これも問題ありません。 - 注視・注意すべき点は次のように捉えていました。
「直前10-1分足は20pips以上跳ねたことが29%あります。そして、そういう跳ねが起きたときは、その方向に直後1分足が反応する確率が高くなっています。
直前1分足跳幅が10pips以上跳ねたことも35%あります。この跳ねは、直後1分足の反応方向と関係ないので、釣られて大けがをしないように気を付けた方が良いでしょう。」
これも問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 「もし直前10-1分足が20pips近く跳ねたら、跳ねた方向に追撃します。ポジションは指標発表直前に取り、利確(損切)は指標発表直後の跳ねで行います。」
直前10-1分足跳幅は11pipsで、取引基準に達しませんでした。 - 「指標発表から1分を過ぎたら、逆張りの機会を窺います。逆張りなので、短期利確(損切)が基本です。
逆張りのポイントは、1時間足のサポート・レジスタンス付近です。そうしたサポートやレジスタンスが付近になければ、取引は諦めます。」
発表直後の陰線側への跳ねは139.78でした。これは、1時間足転換線139.80に対応しています。ここで反転もその通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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