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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part1
 霊弧の親様の新作です。
 今回も、画像付きでSSを
 配布してくださいました。
 ありがとうございます。

 緋風様のサイトで紹介され
 ているキャラクターをご覧
 になられると、より理解す
 ることができます。
 
 ・音無イル
 ・白宮 エリナ

 それではどうぞ♪






注意! この文章と画像には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)






『卑劣なる罠! 堕ちた無垢なる魂!!』

霊弧の親様作




「エリフェニックスッ!!」
 裂ぱくの気合いを込めた叫び声と共に少女の身体を光が包む。その輝きを纏ったまま、
小柄な身体を弾丸と化し少女は目の前の異形へと突撃する。その神速の動きに敵は全く対
応できず、無防備な胴体に渾身の一撃が深々と突き刺さる。
「ぎゃぁぁあぁあぁぁぁ!!」
断末魔の叫びを上げる怪人を背後に、白いレオタードを身に纏った少女、エリナは剣を収
める。キン、という涼やかな音が鳴ると共に、背後の影はまるで幻のように消え去った。
「ふう、思ったよりたいしたことのない相手だったわね」
 薄い栗色の前髪をなびかせ、背後を振り返り敵の姿が完全に消滅したのを見届けると、
エリナは軽く息をつく。
 透き通った清水のような水色の瞳を油断無くめぐらせ、しばし周囲の気配を探ることに
集中する。
どうやら先ほど倒した怪人が最後の一体であったようだ。すでに彼女以外の気配がなくな
っていることを感じ、辺りに静けさが戻ったことを確かめる。
「……あれで最後かな。それにしても突然、なんだったんだろう……。
ま、いいわ。どうせダーククロスの考えてることなんて、わかりたくもないし」
最後にそう呟くと、少女はその場を後にした。

 先ほどの戦闘、その一部始終を物陰からじっと見つめていた瞳があったことには欠片も
気付かずに……

―――――――――――――


「……以上が我がダーククロスに敵対するものの一人、「白宮エリナ」の戦闘記録です」
 その声と共に、虚空に浮かんでいたスクリーンの映像が暗転し、消える。その映像を撮
影し、つい今しがた彼女らの拠点・ダークキャッスルに帰還した少女、文はすぐさま手に
入れたデータを分析し、自らが所属する親衛軍の軍団長の前で再生を行っていた。
「本作戦において、対象の戦闘能力を測るため、淫魔卵を融合させたロボット兵5体、量
産型の下級淫怪人1体を投入しました。結果はご覧の通り、送り込んだ隊は全滅。その一
方で対象へ与えたダメージは微々たる物。ほぼ、無傷です」
露出の多いコスチュームに包まれた肌は人にはあらざる紫色に染まり、背からは漆黒の翼
が生えている。金色に輝く瞳は虚空に浮かぶ画面に、真剣な眼差しを送っていた。
「さらに、その戦闘から得られた対象の能力分析結果を表示します」
 続けて彼女が手元のパネルのボタンを操作すると、中空に先ほどまで映し出されていた
画面の中で戦っていた少女、エリナの3Dホログラムが浮かび上がった。
「対象の主な戦闘方法は剣技・体術・霊術。単体での通常戦闘力は通常の淫怪人よりやや
上くらいとった所ですが、しかし装備などによっては数値がさらに強化・上昇するかと思
われます」
「へえ、ただの女の子にみえて、その実なかなかやるようね」
 彼女の報告に、頬杖をつき、イスにゆったりと腰掛ける女性、紫が感嘆の声を漏らす。
腰まで伸びた美しい金髪に、文と同じような闇色の翼、金の妖眼。そして人ならざる肌の
色。だが、その身体から発せられる禍々しいオーラは、文の比ではない。
 それも当然、彼女こそがダークサタンの因子をもっとも色濃く受け継いだと言われ、
ダーククロス軍団長の中でも最強の力を持つと噂される存在、淫魔姫・紫なのであった。
豊満な肢体を蟲惑的な赤いボンデージで包んだ彼女は、口元に手をあて、考え込む。
「この子、セイバーズの子達とは違ってスーツを纏ったりはぜず、あくまでも生身で
戦っているのね。
それはつまり、彼女の肉体自身が非常に優れた素質を持っている、と言えるわ。
……いいわねえ、欲しいわ、この子」
 獲物を前にした獣のように、紫はぺろりと舌なめずりをする。その姿にはどこか、敵を
見る視線というにはふさわしくない、淫靡さが漂っていた。
「……しかし、彼女はセイバーズの正式な一員ではないようですが、その隊員や他の抵抗
派とも協力関係にあるようです。拉致、改造を行うにも、あまり大人数での作戦は気付か
れるのではないでしょうか?」
データから得られた情報を分析し、その困難さに文は紫に対し問いかける。
 だが、不安そうな彼女に紫は妖しく微笑んだ。
「ふふ……大丈夫よ。それに彼女に関してはちょっといいことを思いついたの。
その下準備をするのにも丁度いい子をつい先日、手に入れてね。
折角だし、彼女に役に立ってもらいましょう」
 彼女が視線を部屋の隅に向けると、黒い衣装を纏い、長い金髪をポニーテイルに纏めた
少女が無言で一歩、歩み出る。既に淫らに蕩けた顔には真っ赤な目が輝き、紫の命令をい
まかいまかと待っていた。
 紫はそんな彼女を愉快そうに見やると、口を開く。
「聞いたわね。貴方のお友達に素敵なショーを楽しんでもらうために、ちょっとお仕事を
してもらうわよ」








「はい、紫様。この私にお任せください」










興奮を抑えきれないようににやりと歪んだ笑みを浮かべると、少女は再び室内の暗闇に音
も無く消えていった。

―――――――――――――

2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part2


「……うっ」
 全身にまとわりつく違和感、いや嫌悪感に少女の意識が浮上する。鉛のように重たいま
ぶたをゆっくりと開き、目がそれまでの暗闇から光を捉える。その明るさに次第に慣れた
彼女が周囲を見回すと、そこはまるで記憶に無い場所だった。
「ここは……?」
 彼女が見渡すいたるところに、様々な機械や器具が所狭しと設置されている。まるで病
院の手術室か、あるいは何かの研究室のような部屋。その白い色は清潔感溢れるはずのも
のなのだが、なぜか彼女には不吉さと不安を感じさせた。
「なんで私、こんな所に……。……っ!?」
 そう言って一歩、踏み出そうとした彼女は突然がくんと身体が何かに引き止められたこ
とに驚く。困惑したまま、改めて己の身体をよく確かめると、手足、そして胴体が床から
垂直に突き出た台にしっかりと拘束されている。さらに、今まで気が動転していたため気
がつかなかったが、自分は何一つ衣服を纏っておらず、生まれたままの姿をしているよう
であった。
 さらによく見ると、自分が固定されている台と同じものが彼女の両脇にも存在し、まる
で試験管かなにかのような円筒形のガラスの中に設置されている。だが、それらの内部に
は誰も入っておらず、今この部屋にいるのは彼女一人のようだった。
 混乱する思考を鎮め、とりあえず自分のことから記憶を思い返そうとする。
「私は白宮エリナ、退魔師……見習い。それから、えっと……」
どうしてこんな所にいるのか、それまで何をやっていたのか、だがその記憶を思い返そう
としても、まったく欠片も出てこない。記憶喪失……というよりも、明らかに人為的なも
のが感じられるこの状況から見ると、ここに連れて来られる以前の記憶を消された、とい
う方があっているのだろう。
「とりあえず、これを何とかしないと」
 そう考え、腕を引っ張ってみるが頑丈な拘束具はびくともしない。それならばと彼女は
霊術を発動させようと力を集中し始めた。
「……!? なんで、何で出来ないの!?」
 戸惑いの声が自分の口から漏れる。体力や霊力が失われているわけではない。だが、ど
んなに精神を集中しようとしても、術が発動する瞬簡に集めた力が霧散してしまう。
 焦りに汗を額に浮かばせながら、室内のある一点に目を留めた彼女は、その理由を悟っ
た。室内の壁と床、そこに描かれた複雑な模様が一種の結界のような力場を形成している
のだ。おそらく、エリナを捕らえた相手が、彼女が逃走しないように仕掛けていったもの
だろう。だが、ここまで強力な封印のフィールドを作り出すのは並の術者が一人二人いた
くらいでは不可能に思える。
「……でも、一体誰が。いえ、待って。そうね、こういうことをしそうな相手に心当たり
があるわ」
 彼女が呟くのとほぼ同時、部屋の壁がスライドし、一人の女性が姿を現す。彼女が現れ
た瞬間、部屋に充満した淫らな気配に、彼女はやはりこの事件の犯人はあいつらだったと
確信した。怒りがにじむ声で、その名を呼ぶ。
「ダーク、クロス……!」
 その声が聞こえたのか、部屋に侵入した女が口を開く。
「あら、もう起きちゃってたのね。折角気持ちよく起こしてあげようと思ったのだけれど、
残念ね」
 おかしそうに笑うどこか淫らなその声にはっとして彼女、エリナが顔を上げると、こち
らにゆっくりと歩いてくる女が目に映った。彼女自身も何度か映像や資料、そして戦場で
遠目に見たことのあるのあるその姿、そしてただそこに立っているだけで女の身体からに
じみ出る異様なオーラに、無意識に声が震える。
「……い、淫魔姫、ゆかり……」
 エリナの声に、紫は瞳を細め、愉快そうに唇の端を曲げる。
「うふふ、私の名前を知ってくれていたとは、光栄の至りですわ。
ようこそエリナさん、私たちダーククロスの城へ。歓迎いたしますわ」
 芝居がかったしぐさでお辞儀をし、紫はエリナを見つめる。だが、拘束されたままの少
女は憎憎しげに目の前の女をにらみつけた。
「ふん、あなたたちは客を歓迎するのに、無理やりさらった上こうやって縛り付けるのね。
歓迎の仕方、一から学びなおした方がいいんじゃないかしら」
 挑発的なエリナの言葉に、しかし紫は全く動じた様子も無い。
「そうね。あなたが私たちに快く協力してくれる、というのならすぐにでも自由にして、
魂まで蕩けるような快楽を味わわせてあげるのだけど」
「冗談じゃないわ、そんなのは願い下げよ!」
「でしょうね。まあ、みんな最初はそういうのよ。でもすぐに気が変わるわ。
ふふ、気の強いあなたが涙や涎や愛液やらを流しながら、どうか仲間にして、気持ちよく
してと懇願するのを見るの、楽しみになってきたわ」
「くっ……この、変態女!!」
 拘束されたままでは文字通り手も足も出ず、せめてもの抵抗としてエリナは淫怪人に罵
詈雑言を浴びせる。紫はそんな囚われの少女ににやりと歪に微笑んだ。
「うふふふ……すぐにあなたもその変態淫怪人の仲間になるのよ」
 そのまま拘束された彼女に近づくと、紫はエリナの首筋にそっと顔をうずめる。
「……いたっ!」
 直後、もがくエリナに小さな痛みが走った。
 紫が身体を離すと、その口の端からつ……と一筋、赤い線が流れる。
「うふふ、ご馳走様。それじゃあ、はじめましょうか」
そして、エリナが拘束されていた台の横に取り付けられていたリモコンを手に持ち、何の
ためらいも無くスイッチを押す。
 入力に反応して彼女の台をガラスの筒が覆い、天井と床の一部が開く。ぎょっとしたエ
リナが見つめる前で、その穴からにゅるりと粘液にまみれた触手が数本、姿を現した。天
井からは先端にまるでヒトデのような形をした物体がついた触手が二本、彼女の目の前に
垂れ下がってくる。
「……ひっ、やだ、やめて!」
 その光景に、自らの身にこれから何が起こるのか悟った少女の口から短い悲鳴が漏れる。
だが無情にも触手たちはうねうねと不気味に蠢きながら、どんどん彼女の身体に迫ってい
った。
 そして、床から生え出た触手たちが、べちゃりと嫌な音を立ててエリナの太ももの素肌
に触れる。
「―――――――……っ!!」
その生暖かい、湿った感触に少女の口から言葉にならない叫びが漏れた。触手たちはそん
な彼女の様子に構わず、するすると足に巻きつくと下半身を登っていく。
「いや、いやぁ! やだ、触らないで!!」
 既に先ほどの勝気な様子の欠片も無く、涙を浮かべながら下半身をよじるエリナ。
「あらあら、さっきまでの勢いはどうしたのかしら? そんなことじゃあ、正義の味方の
名前が泣いちゃうわよ?」
 その様子を紫は面白そうにじっと見つめる。そうしているうちにも触手は情け容赦も無
く彼女の下半身にびっしりと巻きついていた。さらに、天井から垂れ下がる吸盤つき触手
がエリナの胸のふくらみにぴったりと吸い付く。
「やっ、あ、ぁぁん! やだ、いやあ、気持ち悪い!!」
 まるでブラのパッドのようにすっぽりと胸のふくらみを覆った触手は、彼女の胸を揉み
解すように蠢く。その裏にびっしりと生えた小さな吸盤が彼女の肌にちゅうちゅうと吸い
付き、言いようの無い刺激を与えてくる。






「ぁっふ、や、ふぁ……あっ、あぁん!!」













 上半身と下半身それぞれの愛撫に、次第にエリナの声に甘いものが混ざり始める。
いつの間にかその肌は色づき、じっとりと汗が浮かび上がっている。口から漏れる吐息も
荒くなり、目の光も霞みだしていた。
「ふふ、もうすっかり出来上がっちゃったのかしら? 物欲しそうな顔して、とんだ淫乱
戦士もいたことですわね」
 あざ笑う紫に、エリナにわずかに残された理性は怒りを燃やし、快楽に必死で抗おうと
する。だが、触手から刺激が与えられるたびに、理性の光はぼやけ、押し流されてしまい
そうになっていた。
「……ぅ、あ……ああん、やぁ……わた、し、は……あん! まけ……ああ!」
 こらえきれぬ嬌声が口から漏れるなか、エリナは必死で人間としての心を保とうとする。
だが、ついに濡れそぼる秘所に触手の一本が侵入すると、彼女の思考は真っ白に塗りつぶ
された。
「んっ、あ、あぁ、やぁ、あああああああああああ!!」
 彼女の事など欠片も考えない強引な挿入に、エリナは涙をこぼしながら痛みに耐える。
だが、触手がまとう粘液には媚薬のような催淫効果があるのか、すぐにその苦痛は快楽へ
と塗り替えられていった。
「ふぁ……はぁ、あっ、あっ、やっ、ああ……!」
「気持ちいいでしょう? 素晴らしいでしょう? ほらほら、もっともっと、その子を可
愛がってあげなさい」
 先ほどからずっと淫らな笑みを貼り付け愉快そうに見つめる紫の前で、触手は前後に
激しく動き、彼女を責め立てる。挿入されたもの以外の触手、胸や下半身に巻きつくもの
もそれぞれ彼女を撫で、舐め、締め付け、快感を与えていった。
加速し続ける動きに、責められる彼女の声も高くなっていく。口の端からはつ……と一筋
のよだれがたれ、しっかりと閉じられた目からは快感か、それとも悔しさのためか大粒の
涙がこぼれた。
 やがて彼女の内部にもぐりこんだ触手がその先端から、熱いものを迸らせる。
「やあ、あっ、ああ、あ……ああああああーっ!」
体内にその感触を感じたエリナは背を仰け反らせ、一際大きな叫び声をあげた。ぐったり
と身体から力が抜けた彼女の中で、いまだに触手はどくどくと液体を吐き出している。
「いかがかしら? ダークサタン様の細胞を使って培養した触手とのセックスは?
ふふ、聞かなくてもわかるわ。その淫らな表情。すごくよかったのね」
「…………ぅ」
 くすくすと笑いを漏らす紫に、エリナは力なく光の消えかけた瞳を向ける。
「けれど、これで終わりと思ってもらっては困るわ。あなたが自分からダーククロスの一
員に、自ら淫らな怪人に変えて欲しいと懇願するまで、毎日ずっと遊んであげるわね」
「……!!」
 紫の言葉をいまだ快感の残滓に震える思考が捕らえ、理解した瞬間。まるで冷水を全身
に掛けられたようにエリナの頭は冷静さを取り戻した。さっき一回やられただけであれな
のだ。これがずっと続くとしたら……自分が壊れずにいられるか、彼女には自身がなかっ
た。
 だが、かといって自ら怪人になりたいと言い出すなどということが、今の冷静さをとり
もどした彼女に考えられるはずも無い。
 言葉を失い目を見開くエリナに、紫はくすりと笑いかける。
「そうね、壊れちゃってもそれはそれで面白いかもね。まあ、折角の素材なんだから、な
るだけ楽しませて頂戴ね?」
 最後にそういうと、いまだ拘束されたままの少女を残し、淫魔の姫は部屋を後にした。


「言ったとおり、上手くやってくれた?」
 部屋を出た直後、紫は部屋の外で待機していた淫怪人の娘に問いかける。
「はい。仰せの通り、あの娘には魔因子抑制剤を投与しておきましたが……。
あの、紫様。なぜ彼女をすぐに淫怪人に改造してしまわないのですか?」
そう答えを返しながらも、エリナが目覚める前にその身体を拘束台にセットしていた怪人
の一人が不思議そうに問いかける。まるで淫魔のような姿をしたその少女の問に、紫は笑
みを深めながら言う。
「そうね、すぐに淫怪人にしてしまうのも悪くは無いんだけど。折角の素材なんだし、
ちょっと面白いことを考えているの。だから、あなたたちも指示した通りにやって頂戴」
「了解しました」
 最後にダーククロス式の敬礼をし歩み去る怪人の背を見送ると、紫はこれからのことに
思いをはせ、熱のこもった吐息を漏らした。
「うふふ……さて、どうなるかしら? 楽しみね……」

―――――――――――――

2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part3
 
それからは紫の言った通り、エリナは絶え間なく犯され、責め続けられた。
ある日は狼の耳と尻尾を生やした少年と少女に彼女は抱かれた。涙を流し、許してと懇願
するエリナを楽しそうに眺めながら淫怪人の二人は彼女を組み伏せ、狼娘は執拗に彼女の
胸を責め、狼の少年は何度も何度も彼女のなかに精液をそそぎこんだ。
 またあるときは、まるで出来の悪いモンスター映画から出てきたようなグロテスクな植
物に全身を絡め取られ、陵辱された。
 そしてあくる日は、まるで人間とロボットを混ぜ合わせたような姿をした女の子たち
(淫機人というらしい)が集団でエリナを襲い、様々な液を流しながらその肉体を絡め
あった。

 しかし、それでもエリナはぎりぎりのところで壊れずにすんでいた。時折、あまりの快
楽と苦痛に心が折れそうになることはあったが、自らの内に流れる誇り高き退魔師の血が
その誘惑を食い止めていた。
 だが、彼女がもう少し冷静であったならば、それらの責めは決して彼女を生かさず、だ
が殺しもせず、ゆっくりと身体を変えていくためのものであったということに気がついた
だろう。しかし、先の見えない快楽の地獄の中で、そこまで考えをめぐらす余裕はエリナ
には残されていなかった。

 そんな彼女にある日、転機が訪れる。

―――――――――――――

「……ん」
 自分が漏らした小さな呟きを耳が捕らえ、エリナの意識は、ここでのひとときの休息で
ある眠りから覚めていった。
 もうすでにここに捕らえられてからどのくらい時間が過ぎ去ったのか、エリナには分か
らなかった。
 いつものようにこの部屋には使い道の良く分からない機械と、ずらりと並ぶ改造カプセ
ル、そしてそのうちの一つの内部に拘束され、捕らえられた自分しかいない。全くかわり
ばえのしない光景に、既に彼女も慣れつつあった。
 うつろな目で部屋の入り口辺りを見る。そろそろ、あの壁の辺りにあるドアが開いて恒
例のアレをするべく、今日のお相手がやってくるはずだ。
 その予想通り、わずかな機械音と共にスライドしたドアが開き、誰かがこちらに向かっ
てくる足音がエリナの耳に聞こえてきた。
(……今日の相手が来たのね。出来れば、まだ淫怪人の方がいいけど。花とか触手のを相
手にするよりは、まだ人間の形に近い方が気が楽だわ……)
 既に諦念が心に忍びよりつつある彼女はそうぼんやりと考えるだけで、うつむいたまま
相手の方を見ようともしない。
 だが、そんな彼女に対し淫怪人の物とは違う、はっきりとした意志を感じさせる声が掛
けられた。








「……エリナ、大丈夫? もう心配要らないわよ」














「……え?」
 一瞬、自分の耳が信じられず思わずエリナは疑問の声を上げる。うつむいていた顔をの
ろのろと正面に向けると、彼女の視界の中に白いドレスのような戦闘服を纏った一人の少
女の姿が映った。
「……イル?」
 エリナの口から発せられたその名に、目の前の白い衣装の少女、音無イルはこくりと頷
く。輝く長い金髪を蒼いリボンでポニーテールにまとめた彼女は、周囲を油断無く見まわ
すと、エリナの捕らえられているカプセルのコンソールパネルを見つけ、拘束解除のボタ
ンを押した。
 それにより、エリナの身体を固定していたベルトや金具ががちゃがちゃと音を立てなが
ら外れていく。不意に投げ出された少女の身体が床にぶつからないよう、素早く差し出さ
れたイルの腕が彼女を優しく抱きとめる。









「……随分とひどい目にあったみたいね」













 疲れ果てたエリナの様子をつぶさに見て取ったイルは、顔を曇らせる。そんな彼女にエ
リナは弱弱しく首を振ると、口を開いた。
「自分では覚えてないんだけど、ちょっとどじっちゃったみたい。
それよりイル、どうしてこんなところに?」
 エリナの問いかけに、イルはわざとらしく呆れたような表情を作る。
「どうしてって、それは随分な言葉じゃない? まったく、エリナったら私のこと、ずっ
と音信不通な仲間のことをほっとくような冷血な女の子だと思ってたのかしら」
「ち、違うってば。そういうことじゃなくて」
 むくれるイルにエリナは慌てて首を振る。先ほどまでの生気の感じられない人形のよう
な姿とは違い、いつものエリナらしい元気溢れる反応を返す様子を見たイルは、くすりと
笑みを漏らす。
「あはは、分かってるってば。まだその元気が残ってるならば、安心みたいね。
……っと、そんなこと話している場合じゃないか。さっさとここを出ましょう」
 そういってイルの差し出した手を掴み、立ち上がったエリナもその言葉に頷く。
 だが、エリナが服を何一つ着ていないのを見ると、イルは困ったように呟いた。
「……とはいっても流石にそのままじゃまずいわよね……。あ、これでいいかな、ほら」
しゃべりながらも室内のあちこちに視線をめぐらせていたイルは、部屋の壁に掛けられて
いたシャツを取るとエリナに放ってよこす。
 彼女はありがとうと礼を言うと、その大きなシャツに袖を通し、簡単に前のボタンを留
めた。正直もっとちゃんとした服が欲しい所だったが、ダーククロスの怪人たちに見つか
る前に脱出することの方が大事だ。ここはこの服で我慢するしかないだろう。
「今は見張りもいないみたい。いい、エリナ? とりあえず私が乗り込んできたワープ装
置のある場所まで走るわよ」
「ええ」
 ドアの外の様子を探っていたイルの言葉に、エリナも短く返し、二人は部屋の外、通路
に躍り出る。イルの言うとおり、今のところ彼女たち以外の人影は無く、気配も感じられ
なかった。
「こっちよ!」
 左右に長く延びる通路の一方をイルが指差し、駆け出す。裸足に床の冷たさを感じなが
ら、エリナもその背を追って走り出した。
 まるで迷路のように複雑な構造の通路を、エリナの前を走る少女は迷い無く駆け抜ける。
「イル、まだ先なの?」
「ええ、もう少し、もう少しよ」
既に並の建物なら抜け出ていてもおかしくないはずの距離を走った気がするが、依然とし
て通路は彼女たちの前に長く続いている。これも異次元の技術によるものなのだろうか、
だとしたらダーククロスの怪人も大変だなあ、とどこか暢気な考えがぼんやりとエリナ
の脳裏に浮かんだ。
 と、そんな考えは突如二人の目の前に現れた人影によって途切れる。
「!? 侵入者!?」
 彼女たちの前方、壁のドアから姿を現した全身に植物の蔓を巻きつける少女が彼女たち
の姿に叫び声を上げる。その声を聞きつけ、ぞろぞろと彼女たちの前後のドアからも戦闘
員や怪人が姿を現した。
「くっ、後ちょっとなのに!」
 悔しげに叫ぶと、イルは通路をふさぐ戦闘員達に向けて手に持った杖からエネルギーの
弾丸を放つ。まっすぐに飛んだそれは先頭のものに過たず命中し、爆炎が上がり轟音が辺
りに響き渡った。敵がひるんだのを見て取ると、イルはエリナに向けて叫ぶ。
「エリナ! ここは私が引き受けるわ! 武器も霊力もないあなたは先に脱出して!」
「で、でも!?」
「ワープルームはもうこの先すぐよ! 大丈夫、私ならすぐに追いつくから!」
 彼女を置いて自分だけ逃げることにためらうエリナにそう言ってイルはもう一度、今度
は彼女たちの後ろから追ってくる怪人たちに向けて攻撃魔法を放つ。
「……ごめん、イル! 約束だよ、必ず無事でまた会うって!」
 一瞬の逡巡の後、エリナはイルに向けて叫ぶと、戸惑う怪人たちの隙を突いて駆け出し
た。
 その背後では、少女の放つ爆音が鳴り響き続けている。エリナはそのことを考えないよ
うに耳をふさぐと、まっすぐに通路を駆け抜けていった。

2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part4
 やがて長かった通路が終わりを告げ、エリナの前に一つのドアが姿を現す。
「ここが、そうなのかしら」
出口の場所を知るイルがいないため、彼女には判断がつかなかった。だが突き当たりの壁
に存在するドアがこれしかない以上、とりあえず先に進んでみるしかないだろう。
 一瞬、もしや開けるための鍵やパスワードが必要なのではないかという危惧が脳裏に浮
かんだが、彼女がドアの前に立った瞬間小さな機械音と共に扉がゆっくりと横にスライド
したため、杞憂だったようだ。部屋の中は灯りがついていないのか、真っ暗で通路にぽっ
かりと開いた入り口からは、室内の様子を窺うことはできない。
 だが、いつまでもここで立ち尽くしているわけにはいかない。エリナは決心を固めると、
ごくりとつばを飲み込みながら一歩、部屋の中によどむ暗闇に足を踏み出した。そのまま
二歩、三歩とおそるおそる歩いていく。
 と、突然、彼女の背後でドアが閉まった。
「……!?」
 思わぬ不意打ちに身をこわばらせ、振り返ったものの、別に何かトラップがしかけられ
ていたりした訳ではないようだ。エリナは安堵に胸を撫でおろし、再び前を向く。
 直後、ブゥン……という音と共に、彼女の正面やや斜め上、一面の暗闇の中に映像が浮
かび上がった。
「何、一体……」
 戸惑う彼女の前に映し出されているのは、戦闘の様子の映像のようであった。映ってい
る場所は良く分からないが、全身を覆うぴったりとした黒いタイツを身に着けたダークク
ロスの戦闘員達が、誰かと戦っているらしい。丁度人や物の影になっているせいでエリナ
には良く分からないが、束になって襲い掛かる戦闘員達をものともせず吹き飛ばしている
様子から、戦っている人物はなかなかの腕に思える。
「誰かしら……」
 思わず今自分が置かれている状況も忘れ、エリナは画面に見入る。その左上に小さく示
されている文字や数字から、これが記録映像ではなく、今まさに行われているものだと気
付く。おそらく監視カメラか、スパイロボットのカメラ辺りかなにかが映しているのだろ
う。
 画面の中で戦闘員相手に戦っている者は善戦しているようだが、倒しても次から次へと
現れる戦闘員にてこずっていた。そんな状況に業を煮やしたのか、突如画面の中央で光が
吹き上がると、エリナの耳に、聞き覚えの無いような、しかしどこかで聞いたことのある
ような声が響いた。


「『くっ! きりが無いわ! この……エリフェニックス! 吹きとべぇ!!』」
「……え?」
 自分の耳が捉えた音が信じられず、無意識のうちにエリナは小さく呟いた。呆然とした
まま見つめる画面の中で、「もう一人の自分」が彼女の必殺技を繰り出し、光を纏って敵
を吹き飛ばしていく光景が映し出されている。
「……え? うそよ、何で私が、あそこで……。そうよ、私はここに、ちゃんといるわよ
ね……?」
 目の前の光景が理解できない。思わず震えだした身体を押さえつけるようにぎゅっとか
き抱くと、エリナはぶつぶつと呟きを繰り返す。
「そうよ、あそこに私がいるはず無いんだわ。そう、あれはきっと偽者なのよ。
だ、ダーククロスが私を混乱させるために作った、嘘の映像なのよ。そうに違いないわ」
 そうであって欲しいというかのように、自分に言い聞かせるエリナに、部屋の暗がりか
ら別の声が響く。
「いいえ、あの映像は紛れも無い本物。今、別の場所で戦っている『本当のエリナ』を映
したものよ」
 その声にびくりと肩を震わせ、エリナは声のした方向に混乱した瞳を向けた。
同時に室内の明かりが一斉に点けられ、その眩しさにエリナは思わず目をつぶる。ややあ
って、しだいに目が明るさに慣れてきたのを感じると、彼女はこわごわとまぶたを上げて
いった。
 まだ微かにぼやけるエリナの視界の中、彼女の視線の先に、先ほど分かれた少女、イル
が立っていた。
「……イル? 無事だったの?」
 めまぐるしく変わる状況に上手く考えが纏められず、困惑も露にエリナは言葉を発する。
その声を受けて、彼女の眼前に立つイルはにこりと微笑んだ。
「……イル? ねえ、ここから脱出するんだよね? は、早くしよう?」
 だが、その様子はどこかエリナが知る彼女とは違っていた。もう一度エリナは声に不審
と、いくばくかの恐怖をにじませながら口を開く。
「ふふ……、どうしたのエリナ? そんなにこわがっちゃって」
 そんな彼女の何がおかしいのか、エリナを見つめるイルはどこか歪んだ笑みを浮かべな
がら一歩、彼女に近寄る。その様子に直感的に不吉なもの感じたエリナは思わず後ずさっ
た。
 そして、不意にその違和感の正体に気付く。
 目だ。イル本来の瞳の色は美しいブルーのはず。だが今、彼女の全身に絡みつくような
視線を向けている目の前の少女の瞳は、不気味な紅色に染まっていた。
「……ひ」
 思わずへたり込み、エリナの口から漏れた悲鳴に、イルの姿をした何者かはきょとんと
した後、何かに気付いたように笑みを深くした。
「あら? ばれちゃった? うふふ……もうちょっと『あなたを助けに来たイルちゃん』
を演じてたかったんだけどな」
「あ、あなた何者!? 本物のイルはどうしたの?!」
震える声で誰何するエリナに、少女は笑みを崩さないまま、答える。
「あはは、ひどいなあエリナ。私も『本物のイル』なんだよ?
もっとも、あなたが知ってる『正義の味方のイル』じゃあ無いけどね。そうね、言うなれ
ば『ダーククロスの僕のイル』かな?」
 そういうと共に、目の前のイルから濃密な邪気があふれ出す。それに染められるかのよ
うに彼女が纏ったドレスも、漆黒へと色を変えていった。


「あ……そんな……。うそ、よ……」
かすれるエリナの声に、邪悪な響きを持ったイルの声が返される。
「もう、嘘じゃないんだってば。
それよりもあなたにとっては『あなた自身は本物なのかどうか』っていうことの方が重要
なんじゃないのかしら?」
 彼女の話す内容の意味が上手くつかめず、エリナはさらに混乱する。そんな彼女を愉快
そうに見つめると、視線をいまだ戦いが続くモニターへと映した。つられてエリナも目を
向けたその画面の中では、やはり「もう一人のエリナ」が戦いを繰り広げている。
 最早何が何だか分からず、思考停止状態のエリナに向けてイルは語りだした。
「結論から言っちゃうとね、この画面に映っている、今戦っているエリナの方が『本物』
なの。
つまり、ここで私とお話しているエリナ、あなたは『偽者』ってわけ」
「……にせ、もの?」
 衝撃の真実、あまりのショックに呆然と聞き返したエリナの言葉に、イルは頷く。
「そう、偽者。もっときちんと言うと、あなたは私が手に入れたオリジナルのエリナの細
胞から作られたクローン。本物の複製品なのよ。単なるコピーなの」
「コピー……」
 残酷な現実にその目から意思の光を失いつつあるエリナに、イルとは別の声が響く。
「そう、コピー。目覚める前の記憶が無いのも当然。だってあなたには最初から何も無か
ったんだもの」
いつの間にかイルのすぐ側に、紫が立っていた。イルは甘えるように紫の体に抱きつくと、
紫もまた、イルの身体を抱きしめ返す。
「わたしには……なにも、ない……?」
 愕然と呟き、自分の手のひらに視線を落とすエリナ……いや、クローンの少女に、紫の
慈悲の欠片も無い声が降り注ぐ。その声には、どこか目の前の少女の絶望を楽しむ、悪魔
の如き愉快そうな響きすらあった。


「そうよ、なにも、なあんにも無いの。名前も、家も、故郷も、家族も、友人も、過去も、
未来も、夢も、希望も。
ほんの少しも、一欠けらも、全く、全然ないのよ。
だってそれは全部、あの『本物のエリナ』のものなんだから」
 紫の言葉にはっとして顔を上げると、視線の先、画面の中では『エリナ』が戦闘員達を
倒し、その剣を収めるところだった。その得意げな表情に、クローンの少女の心にぽつり
と黒い火が灯る。それを見透かしたかのように、さらに淫魔姫の言葉が彼女に掛けられた。
「かわいそうな娘。何一つ持たず、世界にたった一人ぼっち。いくら私たちダーククロス
が別の世界にいけても、初めから存在しないものは与えられない。
それに引き換え、見て御覧なさい? ほら、あの娘、エリナの満ち足りた顔」
「……!」
「ずるいわよね? あなたと同じ姿なのに、あなたには無い全てを持っているのよ。
あなたがこんなに苦しんでいるのに、あの子はそれを知りもしない。
あの子の持っているもの、あの子と同じ姿をしたあなただって持つ権利があったっていい
はずよね? ね、そう思わない? あなたも欲しいわよね?」
「……ほしい」
 黒い炎がクローンの少女の中で少しづつ、大きくなっていく。いつの間にか、画面を見
つめる彼女の瞳には隠しきれない憎悪の色が滲み出していた。

2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part5
紫はちらりとその横顔を盗み見ると、彼女の背後からそっと抱きつき、その耳元で囁く。
「そうよねえ、欲しいわよね? でも、あの子は、『エリナ』はあなたが「ちょうだい」
って言ったって、それをくれたりはしない。
……なら、方法は一つだけよね?」
 紫の言葉に、クローンは小さく、だが力強く頷く。
「……奪う。私の力で、私は『本当のエリナ』になる……!」
 エリナの姿をしたクローンの少女の心の中で、黒々とした炎は最早劫火のごとく荒れ狂
い、燃え上がっていた。
 その憎悪に反応し、これまでの陵辱の中で彼女の全身の細胞、その一つも残さず隅々
まで浸透していた魔因子がついに覚醒する。
 どくん、とまるで全身が心臓になったかのように大きく震え、少女は小柄な身体を抱き
しめる。
「な、なに……これ……!? あ、あああ……からだ、が……あつ、く……」
 困惑しながらも、身体の内側から燃えるような熱が広がっていくのに耐えかね、少女は
着ていたシャツを乱暴に脱ぎ捨てる。彼女の目にも、すでに一糸纏わぬ美しい姿になった
少女の下腹部からじわじわと肌の色が変わりだしているのがはっきりと見て取れた。
「あぁ、あ……う、わ、わたし……ど、どうなって……」
 恐怖に彩られたその顔も、既に浅黒い色へと染まっていた。変化はそれだけにとどまら
ず、髪の色が赤みを増し、白目が黒く、そして透き通るような碧眼は紫と同じ、妖しい輝
きを放つ金色へと変わっていく。
「……はぁ……やぁっ、……ぅ……ああん……」
 彼女の変化が進むたび、その口から漏れる声の中に甘い響きを持つものが混ざりだして
いく。今までの陵辱で受けたものとは根本的に違う、自らの存在が変化していくという快
感に、クローンの少女は目から涙を流した。
 快感に翻弄される少女に、紫は優しく声を掛ける。
「うふふ……怖がることは無いわ。あなたの身体の中にしみこんだダークサタン様のお力
が、あなたの強い意志に応えてくださっているのよ。
気持ちいいでしょう? さあ、もっと素直になって、その力に全てをゆだねなさい!」
「……は、はい、あぁぁっ、紫さまぁ!」
 紫の言葉に嬌声を上げながら、少女は頷く。身体の変化と共に無意識のうちにその思考
にダーククロスの一員としてのものも刻み込まれていく。
 手の爪が伸び、まるで刃物のような鋭さを得る。犬歯がぎりぎりと伸び、まるで吸血鬼
の如く口元からのぞいた。
「う……あ……ああ、あ……ああああああッ!!」
最後に大きく叫び、背を弓なりにそらすと、少女の身体からまるで悪魔のもつような黒い
皮膜の羽が飛び出した。新たに生まれた器官を確かめるかのように、彼女はその背から生
える羽をばさりとはためかせる。


「あはぁ……素敵。このみなぎる力、この美しい姿は私だけのものなのね……」
 変わり果てた自らの姿をうっとりと見つめ、少女は呟く。
その傍ら、イルと共に彼女が変身する様子の一部始終を満足そうに見守っていた紫は、妖
しい笑みを浮かべながら新たなダーククロスの一員に声を掛けた。
「うふふ……おめでとう、これであなたも晴れてダーククロスの一員となれたわね。
これからはその力、私たちダーククロス、そしてダークサタン様のために使いなさい。
それが何一つ持たざるあなたが、あなた自身でいるために必要なこと。
そうだ、お祝いに私があなたに名前をつけてあげましょうか?」
 紫は怪人となった少女をみやり、小さく頷く。
「……そうね、『ダークエリナ』というのはどうかしら?
もちろん、あなたがあの子を倒した後は、あなたが正真正銘の『エリナ』になるわけね」
 紫の言葉に、『ダークエリナ』の名を与えられた少女は憎悪と邪心に燃えた瞳を妖しく
輝かせる。


「はい、ありがとうございます、紫様……。
この力を与えて下さった偉大なるダークサタン様のためにも、ダーククロスに永遠の忠誠
を誓います……!
ダーククロスのしもべ、ダークエリナの名にかけて……!」
身を翻し、その身体に闇を塗りこめたような黒と燃える憎悪の炎を表すかのような赤の衣
を纏った少女は、紫の前で恭しくひざをつき、頭を垂れるのであった。

(うふふ……予想以上に上手くいったわ。単なる魔因子による怪人化よりも、全てを失っ
た絶望、そしてやはり憎悪こそが強大な力を呼び覚ます鍵だったわね……。
なかなか優秀そうな子が生まれてくれたわ。
さあ、ダークエリナ、『自分の存在』を手にするために戦いなさい。
ふふ……エリナはあの子の顔を見て、どんな表情を見せてくれるかしら)
頭を垂れるダークエリナを見下ろしながら、紫はこれからのことに興奮が高まり、ぞくぞ
くと感じてくるのを抑えきれないようにいやらしく笑みをこぼすのだった。


そしてまた、いつか自らの手でオリジナルを打ち倒し、絶望にゆがみ泣き叫ぶ彼女を闇へ
と堕とすことへの期待を浮かべ、『ダークエリナ』の名を手に入れた少女も歪んだ笑みを
その美しい顔に浮かべるのであった。

 悪魔により穢れを知らない無垢なる魂は邪悪に染められ、堕とされた。
その魂に安息の日が来ることは、最早無いのかもしれなかった。



おわり


この後にエリナの未来の画像を掲載しております。

2009年02月16日
『卑劣なる罠! 闇に堕ちた無垢なる魂!!』 part6

3Dあき様兼、文字コラあき様の画像



下の画像は霊弧の親様の物ですが、この後の物語は私の文となっております。
画像だけでは少し寂しいと思ったので、少し付け加えました。
他にも、以前にいろいろと画像を付け加えました。
勝手なことをしてすみません。


after…エリナvsエリナ


自分がクローンであったことに気付いたもう1人のエリナは、自分を作ったダー
ククロスを恨むのではなく、その矛先をオリジナルのエリナに向けたのだった。
紫の策にまんまと引っかかったクローンエリナは、ダークエリナとなり、今その
凶悪な爪がオリジナルのエリナへと向けられる。

「お前を倒せば、私は本当のエリナになれるんだ。 食らえ! ダークスラッシュ!!」
「待って! あなたはダーククロスに操られてるのよ。目を覚まして、もう1人私!」

しかし、ダークエリナは攻撃の手を止めない。エリナもやられるわけにいかない
と、必死でその攻撃を受け止める。

「あなたは私のクローンなんでしょ。それならあなたの心にも、ダーククロスを憎
んでいた心があったはず。思い出して!」
「うるさい!! お前もなぜダークサタン様の淫略を邪魔する? ダークサタン様
はただ寂しいだけなのよ。それにお前がやってることは浄化ではなく、ただの人殺
しじゃない!」
「そ、それは…」

エリナの信念と力が弱くなるのと同時に、ダークエリナはその隙を見逃さなかった。

「ははん、お腹ががら空きよ。」
「し、しまっ。」
   ・
   ・
   ・

after…エリナ、敗北


勝負は一瞬で付いた、幾度となく淫怪人を倒してきた今のエリナは、元が人間であ
ったことを忘れていたのだ。昔のエリナであれば友人が目の前で淫怪人となって、
それを倒したことで誰が淫怪人になってもその手を緩めることはなかっただろう。
しかし、淫怪人を倒しすぎたエリナはだんだんとその気持ちを忘れていき、ただ
ダーククロスを倒すだけの復讐の鬼と化していた。そして、ダークエリナの的を
得た質問によって、ダークエリナに隙を与えることになってしまったのだ。その
結果、ダークエリナの一撃を食らい、エリナは戦闘不能に陥るのだった。

「ははは、気分はどう♪ もうしゃべることもできないんじゃないの?」
「あああ……も、もう…、や…めて…。」
「何いってるのよ。まだまだこれからじゃない。あ、いいこと思いついた。
あなたは私の妹にしてあげる。もちろん淫魔としてね♪ きゃははは………。」

こうしてオリジナルのエリナは、ダークエリナによって淫怪人にされたのだった。
その後、テレビの映像で同じ顔をした淫怪人が現れたとことは、言うまでもない。
しかしこれは無限の世界で起きた1つの世界での出来事。他の世界ではまだ、
淫怪人を倒し続けているエリナがいるかもしれない…。



おわり



できれば作者様にご感想があれば、コメントにお書きください。
作者様も、ご感想のお返事をだしてもらってもかまいません。

byホロ

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