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2019年06月10日

After GAFAの世界のルールは?元グーグル辻野氏が語る



 


 

 【元GOOGLEJAPAN代表辻野晃一郎氏シリーズ3】



 「今が最終ステージでは無い」

 After GAFAの世界のルールは?




           6-10-7.jpg

               元グーグル辻野氏が語る



 〜未来学者ジョージ・ギルダー氏が書いた『グーグルが消える日 Life after Google』の指摘を受け、元 グーグル日本法人の代表取締役社長を務めた辻野 晃一郎氏に話を聞く。前回、辻野氏はグーグルでの実体験を基にその弱点に言及した。今回、同氏は、“GAFA時代”のさらに先への見解を述べた。果たして、「グーグルが消える日」は来るのか〜


 聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、渡邉聡一郎 執筆:翁長潤



 




 警戒すべきは中国、新たな世界を作っている


 辻野 晃一郎氏 本書の「グーグル後の世界」10のルールは、インターネット時代の行き過ぎで生まれた様々な社会の歪を本来あるべき姿に戻そうと考える筆者なりの10カ条だと思います。
 ビジネスは生産する側と消費する側で成り立ちますが、データ経済の時代と為って、生産する側と消費する側が逆転する現象が起きて居ると言えます。即ち、消費者がデータを生産しGAFA等のプラットフォーマーがデータを消費して居る構図です。

 現代は、プライバシー等最早存在し無いと云う様な気持ち悪さと常に隣り合わせで人々が生きている “異常な”時代と言えます。GAFAのサービスはこの上無く便利なので、この状況を指して気にせずに只々利便性を謳歌(おうか)して居るのんきな人達も多いと思いますが、気にし始めると物凄く気持ち悪く為ります。
 GAFAのサービスを使えば使う程自分自身をドンドン曝け出して行く様な環境の中で、個人データの帰属や利用の問題には我々1人ひとりが重大な関心を寄せるべきです。

 一部の独裁者達が中央集権的な仕組みでデータを吸い上げて自在にコントロールして居る時代が今だとすると、データの民主化と云うか、データ・デモクラシーの時代にする為に、データの帰属を本来の所有者である個人に戻し、“セキュリティー・ファースト”を掲げて、公開鍵暗号やブロックチェーンで保護しよう、と云うのがこの「グーグル後の世界」10のルールの主張の様ですね。真面な主張だと思いますよ。


 




 進むGAFA規制、たちの悪いフェイスブック


 ・・・グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの4社から成る「GAFA」に対して、規制の声も高まって居ます。

 辻野氏 最近、GAFAだけでは無く「GAFA+M(マイクロソフト)」とか、中国だと「BATH(百度<バイドゥ>・阿里巴巴<アリババ>・騰訊<テンセント>・華為<ファーウェイ>)」等と一括りに語られる事が多いですね。
 GAFAにしろBATHにしろ、元々全く別々の企業ですから、一括りにすると判り易く見えて来る共通項の部分と、逆に見落としてしまう夫々のユニークな部分の両方がありますね。

 GAFA規制の機運が盛り上がって来たひとつの切っ掛けは、フェイスブックが余りにも行儀が悪いと云うか、たちが悪いからだと感じて居ます。マーク・ザッカーバーグは元々悪戯好きと云うか人を舐めた様な処がありますが、フェイスブックの起源を思い起こしても、そもそも個人情報に対する意識が低かったのではないでしょうか。
 その意識のまま何時の間にかフェイスブックの影響力が世の中を揺るがすレベルに為っていて本人が一番戸惑っているのかも知れません。

 トランプが選ばれた2016年の米大統領選やイギリスのEU離脱(ブレグジット)の国民投票に関しても、フェイスブックから流れた個人情報が悪用されたり、様々なフェイクニュースやフェイク広告が人々の投票行動に影響を与えたりしたと言われています。
 問題なのは、こう云う事を主導して居る人達の裏には巨額の金銭が絡んで居ると云う事です。トランプを大統領にしたり、イギリスをEUから離脱させたりする事で利を得る人達が居る訳です。票を金で買うのは明らかな選挙違反ですが、SNSや広告で事実では無い情報をドンドン発信して投票行動をコントロールすることもフェアではありません。しかしそれはナカナカ判らないし選挙違反で検挙されることもありません。まさに民主主義の危機です。

 又、別の事例ですが、ニュージーランドでテロを起こした実行犯が自分の犯行をフェイスブックでライブ中継すると云う出来事がありましたが、これを阻止出来なかった体質も批判されました。 これ等の社会的にネガティブな出来事が頻発する様に為り、フェイスブックに留まらず、デジタルプラットフォーマーであるGAFA全体への締め付けが厳しく為って来ました。


 




 「今が最終ステージでは無い」と云う意識を持て


 ・・・画期的なテクノロジーはあるけれども、その進化の歩みが遅く為って来て居ると云う指摘があります。グーグルやその他のテック企業が規制との板挟みに立たされていると見ても宜しいでしょうか。

 辻野氏 この本を読んで感じたことですが、我々は「今が最終ステージでは無い」と云う意識を常に持たねば為りません。 我々は往々にして、今現在の状況が今後もズッと続く様に錯覚する事があります。でも、当然のことながら、変化や進化はズッと続く訳で、決して「これで決まり」と云う状態等無い訳です。
 地球が誕生して人類が出現してから何処かで滅びるまでの間は、常に時代は続いて行きます。当然、GAFAの時代もここが人類の最終ステージと云う訳では無く、今後も新たな破壊的イノベーションやそれをリードする新しい企業が生まれ続けるでしょう。

 GAFAの力が直ぐに衰えることは考えられませんが、10年後、20年後のことは誰にも判りません。私達にとって大事なのは、その時々の話題に振り回されず、“深く本質を捉える力”、即ち時間的にも空間的にも物事を俯瞰する力だと思います。

 イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノ・ハラリ氏は著書『サピエンス全史』において、人類が地球に誕生してから今日に至る迄の壮大な時間軸を俯瞰(ふかん)しました。又、その続編とも言える『ホモ・デウス』においては、人類の未来として、AIやバイオテクノロジーの進歩によって、神としての人へとアップグレードした“ホモ・デウス”と、社会的な価値を持た無いそれ以外の“無用者階級”の二極化が進むと予測して居ます。
 彼(ハラリ氏)の未来予測が当たるか当たら無いか、と云う事はさて置き、彼の様に大きなスケールで時間軸や空間を俯瞰して深くものを考える力はとても大事です。 シンギュラリティが語られる様な人類史の変曲点とも言える今の時期には猶更(なおさら)そう思います。

 日本人は組織に帰属すると組織の内側が最大の関心事に為る傾向が強い様に感じますが、グーグルやイーロン・マスクの世界観はまさに外向きの“ビッグピクチャー”です。言ってみれば長い時間軸の中で地球を宇宙から眺めて発想して居る様な処があります。
 モチベーションのスケールが大きく、目先の金儲けと云う事では無くて「全人類の為に」とか「地球の未来の為に」と云う大きなスケール感で動いて居る人達で、結果的にそこに巨額のマネーが集まって来ています。

 イーロン・マスクは2050年に地球の人口が100億近く為ると云う「人口爆発問題」に備え、人類を火星に移住させ様と云う計画を本気で進めて居ます。又、グーグルの自動運転部門を牽引していたセバスチャン・スランは、親友を交通事故で亡くした悲劇を原体験として、この世から交通事故を無くそうと決意しました。交通事故は人が起こすものなので、人では無くてコンピューターに制御させようと発想して現在の自動運転の実用化の流れに繋がっています。
 ラリー・ペイジも同様です。「世界中の情報を整理して、世界中の人がアクセス出来る様にする」と云うグーグルの社是そのものには社会貢献活動や公共事業の様なニュアンスも感じます。


 




 「グーグルが消える日」は来るのか


 ・・・改めてズバリお聞きします。辻野さまは「グーグルが消える日」は来ると思われますか?

 辻野氏 それは私には断言出来ません。企業には、創業期、成長期、安定期、そして最後に衰退期と云うライフスパンがあります。それは、どんな企業でも避けて通れません。グーグルが衰退して行くことは何時かは起こり得ます。アマゾン創業者のベゾス自身も「アマゾンは何時か倒産する」と発言して居ます。創業経営者と云うのは常にこうした危機意識を持って居るものです。

 只、この本で書かれて居る事自体はグーグル自身が既に気が付いて居る事が多いのではないかと思います。グーグル自身が自己否定を厭(いと)わず常に変化し続け、斬新で困難なチャレンジを継続する体質であり続ける限りは、彼等がここ迄創り上げて来た世界システムを否定し、そこから脱却して更に新しい世界システムへ作り変えて行くことも出来るでしょう。ですから、簡単に“消える”ことは無いと思います。

 実際、過去にインターネットに完全に出遅れたマイクロソフトも何度も悲観的な将来見通しに晒(さら)されましたが、ここまで見事に復活して居ます。又、パソコン時代、そのマイクロソフトに敗れて倒産仕掛けていたアップルも今やGAFAの一角を為すまでに完全復活しました。
 世の中は常に変わります。そして、グーグルは変わる事について誰よりも早い企業、常に変わり続けて居る企業であると云うのがグーグルで実際に働いた上での私の印象です。


 


 警戒すべきは中国、新たな世界を作っている


 ・・・中国の深センや中東から新しい企業も出て来ています。今後の世界経済の構造の変化の可能性についてどうお考えですか。

 辻野氏 中国は脅威です。米国はGAFAを叩いている場合ではありません。中国の最高指導者である習近平は国家100年の計とも云うべき世界戦略を明確に持っています。更に「一帯一路」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立等、世界戦略に基づく具体的なアクションを迅速に取って居ます。
 GAFAを叩いている間に、BATHと呼ばれる習近平の国家戦略を支えるパーツの様な企業群が台頭し、欧米中心に作られて来た世界とは全く別の世界が作られて、世界が二極化して行く動きが加速して居ます。米国のファーウェイ締め出しの動きは本格的な米中覇権争いの序章の様なものです。

 金融の世界も、USドル決済だと米国の銀行を経由するので、中国は仮想通貨等を使った別の決済圏を確立して、アジアやヨーロッパの企業を取り込もうとして居ます。人口比から言っても、中国が世界一の覇権国に為るのは時間の問題とも言えます。米国政府の焦りは相当なものでしょう。
 米国防総省との軍事技術プロジェクトを中断し、中国に新たな研究開発拠点を設けたグーグルも「中国に加担して居る」とペンタゴンから文句を言われる始末です。テクノロジー覇権を巡る今後の米中覇権争いからは目が離せませんね。

 ・・・ではそんな時代において、日本企業に取って何が重要か。更にお話を聞かせてください。(続く)

 このシリーズの巻頭につづきます。





 【管理人のひとこと】


 現状のネット世界のパフォーマンスの戦いを、その仕掛ける側の目線で捉えた貴重なお話でした。お話の半分も具体的には理解は出来なかったのですが、確かにトランプ氏や先進国連合(日本も含む)が、各国の税制から逃れて異常に膨れ上がるGAFA+Mへの警戒感を剥き出しにして、彼等への法規制を検討し出したとあります。
 辻野氏は、トランプ氏がGAFA+Mへの規制を考えて居る間に、中国の習近平の戦略に敗れる様な事を恐れていると云う。それは、指導者の将来を見据える国家観や人間性も含まれていると感じます。

 トランプ氏を選択したアメリカに取って、将来が吉と為るか凶と為るかは判りません。が、彼等は吉と信じトランプ氏を選択したのです。今後の大統領選の結果、彼が再選するかどうかもアメリカ国民の責任ですから、誰も何も言えません。
 習近平氏が中国の未来までを指導する立場を築けたら、恐らく中国が早い時期にアメリカを抜き去り世界のトップに躍り出るでしょう。が、中国の世界制覇の時間は意外に短いかも知れません。それは、一党独裁下の異常な下での成長であり、避けられ無い超老人国家の始まりが一挙に中国を襲うからです。

 この情報過多の時代は、中国に今までと異なる精神文化を生み出すでしょうし、一党独裁への批判や反発が自然に湧き上がるのが自然です。同時に、長い期間の一人っ子政策で歪な人口構造は短期間では解決出来ず、日本を飛び抜けるスピードで高齢化へと進むからです。
 アメリカを抜いた途端に中国の衰退が始まる・・・まるで中国史そのままの「絶頂期がそのまま衰退の始まり」の道を歩むのが見え見えです。

 我が国は、鎖国しなくとも世界の芥(あくた)とは交じらず「我が道を邁進する」道を選択したら好い。それは、物質に限ら無い精神的に豊かな国、文化・精神の生産性を高める事です。言い換えれば、ものは豊かでは無いが心の豊かな、安心と安全と清潔な国創りなのです。



 



 







「グーグルが消える日」




 


 



  【元GOOGLEJAPAN代表辻野晃一郎氏シリーズ2】




 元グーグル日本代表 辻野晃一郎氏に聞く

 「グーグルが消える日」


 〜GAFAの一角にして、オンライン世界で一際大きな存在感を放つグーグル。その世界が終焉する理由、そして出現する新勢力について説いた『グーグルが消える日 Life after Google』が5月18日に刊行される。本書籍を基に、過つてソニーからグーグルに移り、日本法人の代表取締役社長を務めた辻野 晃一郎氏に、グーグルが築き上げた世界と、その弱点について話を聞いた〜



  聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、渡邉聡一郎 執筆:翁長潤




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 元グーグル日本法人 代表取締役社長  現アレックス 代表取締役社長 兼 CEO 辻野 晃一郎氏

 
 1984年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了し、ソニーに入社。1988年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタル TV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。
 翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社し、アレックスを創業。現在、同社代表取締役社長兼CEOを務める。


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               米国の未来学者 ジョージ・ギルダー氏


 〜米国の未来学者 ジョージ・ギルダー氏による未来予測。間も無くブロックチェーン技術を活用した新しい勢力が、グーグルが築いた世界に取って代わると予言し、米国でベストセラーと為った。2019年5月刊〜


 




 ・・・グーグル日本法人での活動を踏まえ、これ迄のグーグルのテクノロジーの流れやビジネスの変遷等をお聞きして行きます。先ず『グーグルが消える日』を読んでどう思われましたか?率直な感想を教えてください。

 辻野 晃一郎氏 とても興味深い本ですね。テクノロジーの変遷とこれ迄IT業界を築き上げて来た人物達を時系列に繋ぎながら、グーグルに至る系譜や必然性、グーグルの限界、或はGAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)の限界に関しても述べて居ます。著者は、どちらかと云うとGAFAに対して否定的な見解を持って居ると思われますが、今、出来るだけ多くの人に読んで欲しい本だと思いました。

 ・・・書籍の冒頭で「グーグルは、単なる一企業では無く、まさに『世界のシステム』に為った」とも表現して居ます。辻野さんから見て、グーグルがここ迄世界を席巻出来た理由は何だとお考えですか。

 辻野氏 ここ迄の存在に為ったグーグルの起源はラリー・ペイジセルゲイ・ブリンと云う2人の天才です。彼等がスタンフォード大学に居た時に「世界を丸毎作り変えたい」と云う野望に燃え、今のグーグルのコア・コンピタンスである検索エンジンを作った事が原点と為っています。

 成長を加速させたのはエリック・シュミット(CEOや会長を歴任)です。私がグーグルに入社したのも彼が居た時代です。エリックは経営のプロとしてグーグルを今日の姿に成長させる上で大きな貢献を果たしました。
 彼はグーグル以前にも様々な企業の経営を経験して居ますが、自著『How Google Works 私達の働き方とマネジメント』において「(グーグルでは)自分が今迄身に着けて来た常識を出さ無い様にした」と記して居ます。

 私もグーグル入社時に全く同じことを感じました。世間の常識とは異なり、世間的に見れば非常識なことを遣る会社だからこそ短期間で一気に成長出来たと考えて居ます。自分がソニーで学んだ事も含め「グーグルには外から平凡な常識を持ち込ま無い方が好い」と入った瞬間に思いました。
 エリックも同様「世の中に普通にある物差しをグーグルに持ち込んではいけ無いと云う事を早い段階で気づいた」と振り返って居ます。それ程グーグルとは、普通では無い存在なのです。その原点には、ラリーやセルゲイが描いた新しい世界を作ると云う強い思いがあったと思います。

 実はこれは、私が以前居たソニーに通じる処があります。同社は、日本が敗戦国と云うドン底の立場からどうヤッテ国を再興するかと云う時代に生まれたテクノロジーベンチャーでした。日本発で世界を変えると云う大きな野望や世界観を持った会社であった事にグーグルとの共通点を感じます。
 元々ソニーも一代で世界企業に為り世界の人達から称賛された日本を代表する凄い企業です。時代・国籍・業態こそ違いますが、エネルギーのレベルで云うと同じ様な感じでしたね。

 ・・・「世界を作り変える」と云う信念が、具体的に何処に表れて居ると感じられましたか。

 辻野氏 グーグルは株式上場する時、株主に宛てた手紙で「普通の企業に為ら無い」と云う決意表明をして居ます。ソニーの創業者の井深 大氏も設立趣意書に同じ事を書いて居ます。両社共に、他の人が遣った事が無い事や世の中に存在しない価値を新たに生み出す事に対する強い拘りを持っていました。

 グーグルの原点である検索エンジンには、当初から様々な競合サービスが出て居ました。それ迄インターネットの世界を制して居たのは、Yahoo!のディレクトリ型の情報検索スタイルでした。
 しかし、情報量が爆発的に増える事で追い着か無く為り、それに代わる手段として検索エンジンが生み出されました。ラリーはマルコフ連鎖を基に「ページランク」と云うアルゴリズムを考えて画期的な検索エンジンを開発しました。

 この本を読んで改めて感じましたが、コンピューター産業史の中で、或る意味、ラリーがそこに辿り着いたのは必然だったのではないかと云う事です。
 成長を続ける膨大な情報空間を上手く整理する手法として検索エンジンを実現した事は、全く想像を絶する事ではなかったでしょうか。今迄誰も成し遂げた事が無くて、遣ろうともし無かったこと、或は、遣ろうとしても諦めて居た事等を実現出来た事が、世界を席巻出来た理由でもあると思います。


 




 「セキュリティの配慮に欠けている」と云う指摘は本当?


 ・・・グーグルが策定した「グーグルが掲げる10の事実」は「ユーザーに焦点を絞れば、他のものは見な後から着いて来る」等“ユーザーファースト”に通ずるものがあります。一方、この本ではグーグルのデータセンターにおいてセキュリティに対しての配慮が欠けて居ると云う指摘もあります。この点に付いてはどの様に受け止めましたか。

 辻野氏 ここで著者が指摘して居るのは、グーグルだけが配慮が欠けて居ると云うよりは、インターネットそのものが元々持って居るセキュリティへの甘さだと解釈しました。
 GAFA等のデジタルプラットフォーマーによって、個人のデータが中央集権的に管理される様に為り、そこから情報が漏れる事は、意図的にしろ事故にしろ、どうしても起きてしまう問題です。グーグルのデータセンターがウンヌンでは無くて、現状のインターネットが最初から抱えて居る潜在的な問題が大きく露呈し始めて居ます。このままではいけ無いと云う事でデータの帰属の問題と合わせて議論の対象に為って居るのではないでしょうか。

 グーグルがセキュリティに対して認識が甘いとか、対応が杜撰(ずさん)と云う指摘は全く違います。グーグルは、セキュリティに対して非常に厳格です。社内のセキュリティポリシーも明確で、厳格なガバナンスが効いて居ました。セキュリティを軽んじて居る様なことはありません。
 グーグルが掲げる“10の事実”の中に「悪事を働か無くてもお金は稼げる」がありますが、これを敢えて掲げる処にグーグルの凄さがあると思います。現場の社員には正義感や倫理観が強い人が多かった印象です。一寸した悪事も直ぐに見付けて、自浄作用がタチドコロに働く会社です。

 例えば最近のトピックとしては、ドローンを使った軍事技術開発プロジェクトの中止や、社外のAI倫理諮問委員会の中に差別主義者が居ると云う理由で発足直後に解散に為った事例等、大勢の現場社員の反発が組織の方向性を正すと云う事がありました。
 これは、グーグルでは「Wisdom of Crowds」が機能して居る事を示して居ます。グーグルでは、トップの権力者がどう言おうが、良からぬ事には現場の1人ひとりの倫理観や正義感が歯止めを掛けると云う体質があるのです。現在、企業や官公庁等でデータ改ざんが問題と為っている日本でも顧みるべき部分だと思います。

 セキュリティに対する記述が無いのは「10の事実」はグーグルが創業当時に作られたものなので、当時はそこまで意識して居なかっただけだと思います。


 




 グーグルの活動を支える2つの柱


 ・・・本書では世界中で多くのモノやサービスがホボ無償に為ると云う「限界費用ゼロ社会」に関する指摘もあります。只一方で、限り無くゼロに近付いても絶対にゼロでは為ら無いと云う考え方だと思います。サービスを利用する際、本来は対価を払う事は当然ですが、もうユーザーに取ってインターネットサービスは無償である事が当たり前に為って居ます。その為、ユーザーはGAFA等の企業が自身の情報を別のことに使って居る事に違和感を覚えるかも知れません。

 辻野氏 データの帰属の議論にも関わる重要なテーマですね。インターネットが社会インフラに為ってから、色んなものが無料で手に入ると云う「フリー」な世界が当たり前に為っています。それによって、大きなパラダイム転換が起きました。

 通常、人が何かモノを作ったり情報を提供したりする裏には、必ずコストが発生します。そのコストを回収しないとモノを生み出す側が成り立た無く為ります。ビジネスには必ず生産する側と消費する側が居る為、生産する側は消費する側から対価を貰う必要があります。
 インターネットの世界はそうした関係性を壊して居ます。それが実現出来る理由としては、広告と云う全く違う別のビジネスモデルである収入源を見つけられたからです。

 グーグルは、Google広告(旧AdWords)の広告ネットワークが無ければ、無償サービスを提供する事は出来ません。巨大なアドネットワークと云う物凄いキャッシュカウを手に入れたから、それ以外のサービスを無償でエンドユーザーに提供出来ているのです。
 このビジネスモデルは或る意味、奇跡の様なものです。多くの製造業が、ビジネスユニットに分けて、ユニット毎に採算管理して足し合わせて全体の売り上げや利益に為ると云う古典的な経営スタイルを執っていますが、グーグルはそれとは全く異なる事業モデルを創り上げました。

 詰まり、彼等は偶々奇跡的に広告ビジネスを上手く立ち上げる事が出来た。その為、AndroidやGoogle Map等に付いては、商用サービスとして提供して対価を得ると云う意味でのビジネスモデルは存在しません。只純粋にインターネットの世界をドンドンリッチにして行くことだけを考えれば好いのです。
 グーグルの企業としてのエコシステムは「広告を中心にした収益モデルを回す側」と「インターネットの世界を純粋に発展させる側」の両輪で回って居ます。


 





 「邪魔な広告」に付いてグーグルはどう考えて居るのか


 ・・・著者は、インターネットの画面が不要な広告で埋め尽くされる等「ネット社会を支配するグーグルが、資金も権力も全てを牛耳る状況に為った」と指摘して居ます。グーグル自体もユーザーに取って広告が不愉快に為って居る事は分かって居ますが、広告連動モデルに依存して居る以上は両立させ無ければ為りません。

 辻野氏 グーグルもこの問題に付いては強く意識して居ます。そもそも広告は興味の無いユーザーに取っては不要なものなので、不要なものは為るべく見せ無い様にするべきだとグーグル創業者2人も分かって居ます。だからこそ、検索クエリと表示される広告の関連性に付いては常に神経を尖らせて来ました。
 広告でユーザーを惑わしてはいけ無いと云う意識は、グーグルは誰よりも強く持って居ると思います。グーグルの仕組みを悪用して可笑しな広告を出したりフェイクを出したりする等の行為は、場を提供して居るグーグルにも責任があり解決していかなければいけ無い課題だと認識して居る筈です。

 グーグルもバカではありませんから、世の中の動向や世間の評判は全て把握した上で必要な対策は都度迅速に講じて来ていますし、これからもそうでしょう。この本の著者も含めて、世の中の人が考えて居る事は当然グーグルも分かって居て、社内で日々議論しているテーマでもあると思います。
 世間でグーグルがどういう非難の対象と為っているのか、何が問題にされて居るか彼等は誰よりも敏感で、その対策を常に考えて居ます。広告の問題に関しても当然そう云う意識を持って居ると思います。単に、何時どの様な手をグーグルが打つか、と云うタイミングの問題だと思います。


 




 オンライン時代、製品やサービスに対する責任は誰が取る?


 ・・・いわゆるモノ作りの企業では、製造物に対する責任が非常に厳格に問われます。同様にグーグルが提供する製品やサービスにトラブルが発生した場合は、どう云う対応が求められますか。

 辻野氏 インターネット以前のオフライン時代は、一旦工業製品を市場に出したら、何か問題があってもオンラインで修復したりすることは当然出来ませんでした。回収して直すしか無い。リコールに為って経営破綻の要因とも為ります。その為、用心の上にも用心を重ね、石橋を何度も叩くと云う風に製品の完成度を厳格に確認することが合理的でした。
 しかし、オンラインの時代に為り、ファームウェアやソフトウェアの問題であればオンラインで修復出来る様に為りました。当然、モノ作りのフローは変わって行くべきです。

 軽微な問題であれば、走りながら修正して行くと云う姿勢をユーザーも許容して居ると云う時代に為っていると言えるでしょう。ユーザーが求めるレベルによって品質に対する考え方は変わって行きます。
 しかもWeb主流の時代と為った現在では、常に半完成品と云う状況に為って居ます。そもそも何をバグと定義したり、瑕疵(かし)として定義したりするのかがオフラインの時代とまるで違って居ます。ユーザーの許容度も変わって来ている。出荷前の品質に対するスタンスも企業側も変わって行かなければいけないし、変わって行くべきだと思います。

 グーグルは製品やサービスに関して、ユーザー目線を常にとても気にしていました。一寸した変更を加えるだけでも、当時のマリッサ・メイヤー(元副社長、検索製品・ユーザーエクスペリエンス担当)が非常に目を光らせて、それが本当にユーザーに取ってどう云うメリットに為るかをシツコイ位データで確認する体制が取られて居ました。


 





 グーグルの弱点と最大の脅威


 ・・・只、グーグルの事業活動が拡大するに連れ、その社会的な影響力が大きく為っています。求められる社会的な責任も非常に大きく為った事で、GAFA規制問題が出る等歪と為って問題視される様に為っています。これ迄とは違うことが求められる等、あるべき姿も変わって来ている印象を受けます。

 辻野氏 影響力が大きく為るに連れて求められる姿はドンドン変わって来ていますね。社会の期待値はドンドン上がって行く一方で、寛容度は下がって来ています。

 ・・・グーグルで働いて居た10年前、当時のバラ色の未来に向かって突き進んでいる時代と比べると、寧ろ社会的な責任を負わされて居て大変だなと思うことはありますか。

 辻野氏 GAFA規制の色々な議論の中でも、GAFA解体論が出て来る位です。可なりシンドク為って来ていると思います。只、そうした状況は、マイクロソフトやIBM・AT&Tにも起こって来ました。
 これまでの歴史を振り返っても、民間企業が合法的に自由競争の中で頑張って絶え間無い企業努力で大きく為ると世間には叩かれます(笑)。大きな力を持ち過ぎた企業を行政的な手段で政治的にコントロールしようするのは世の常です。今、その対象にGAFAが為ったと云う事です。これ等の企業は或る意味、国を超える存在でもある訳です。

 ・・・グーグルに取っての脅威に付いてはいかがでしょうか。例えば買いたいものを検索する時にはグーグルのサービスよりもアマゾンが使われることが多い様に思います。

 辻野氏 そうですね、グーグルに取っての脅威は他のGAFA企業や中国のBATH等だと思います。米中は技術覇権争いのフェーズに入りました。GAFAの中では特にアマゾンを意識して居るのではないでしょうか。
 CEOのジェフ・ベゾスは、ビジネスパーソンとしてはずば抜けた存在です。インターネット上の小売りプラットフォームから始めて、Amazon Go等ではリアルの小売業界の変革も始めています。

 創業から長く赤字だったにも関わらず、物流のラストワンマイル迄の変革に最初から投資を続けて来たので、今では誰も追い着け無い存在に為っています。バーチャルだけでは無くリアルの世界も統合して変革させながら、世界中のありとあらゆるものを販売するプラットフォームを作り上げて来たと云う意味では最強だと思います。商品検索では、グーグルよりもアマゾンが主に使われユーザーのグーグル離れが進んでいます。
 それから、私が居た時代からグーグルはソーシャル領域が弱いと自覚して居ました。Google+も結局は失敗に終わっています。フェイスブックの台頭によって計画が実行されることはありませんでしたが、日本では一時期mixiの買収を検討した事もありました。



 【元GOOGLEJAPAN代表辻野晃一郎氏シリーズ3】に続く


 



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グーグルで感じた日本企業の課題



  





 【元GOOGLEJAPAN代表辻野晃一郎氏シリーズ1】



 思考が浅く行動が遅い呑気(のんき)な日本人

 グーグルで感じた日本企業の課題




 6/10(月) 7:10配信 ビジネス+ITより引用します


 





 思考が浅く行動が遅いのんきな日本人 グーグルで感じた日本企業の課題



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             元グーグル日本法人代表 辻野晃一郎氏



 〜元グーグル日本法人代表 辻野晃一郎氏へのインタビュー。前回・前々回では未来学者ジョージ・ギルダー氏が著した『グーグルが消える日 Life after Google』を基に、グーグルが世界を席巻した理由やグーグルより更に先の時代の見通しを聞いた。
 では、これからテクノロジーが紡ぎ出す時代において、日本企業はどう戦って行けば好いのか。22年間在籍したソニーとグーグルとの比較も交えながら語って呉れた〜



 日本企業の社長は「サラリーマン」


 ・・・企業の歴史を見て居ると、イノベーションのジレンマに陥ることが多いと感じます。育ち過ぎた既存のビジネスを聖域としてナカナカ手を付けられ無い。

 辻野氏 グーグルは未だ創業者が2人とも若いので、彼等が元気な限りはそう簡単に可笑しく為る事は無いと思います。アマゾンもそうでしょう。
 一方でアップルは今後予断を許さ無いのでは無いでしょうか。スティーブ・ジョブズ亡き後、ティム・クックは秀逸な経営者として頑張って居ますが、彼がどんなにビジネスマンとして優秀でも創業者のジョブズとは違います。

 幾つかの日本企業にも投資している米国の或るアクティビストと話した時に「ファミリー企業にしか投資しない」と言って居ました。その理由を尋ねると「多くの日本企業、特に大企業の社長は、経営のプロでもビジネスのプロでも無く、単に社内政治を勝ち上がってトップに為っただけの人が多く、ゾンビ企業ばかりだから」との事でした。

 実際、多くの日本企業のトップには事無かれ主義のサラリーマン経営者が増え、自分なりのビッグピクチャーを描き大胆な投資や企業変革を断行して居る人は少無い様に感じます。仮にサラリーマン社長であっても、前回話した様な「時間・空間的に大きなスケール感」でユニークなビジョンを描き、様々な社内の柵(しがらみ)を言い訳無しに断ち切って、フットワーク好く大胆なチャレンジを打ち出して行く様な未来志向の経営者がもっと必要です。

 新興企業では、例えばメルカリ創業者の山田進太郎氏の様なユニークな起業家も出て来ました。メルカリは米国市場の立ち上げ等海外では苦戦して居ますが、最初からグローバル指向です。この様に「最初は日本市場から」では無くて「最初からグローバル市場へ」と云う視点で起業する人達がこれから増えて行く事が重要です。


 




 のんきで思考が浅く行動が遅い日本人


 ・・・その世界観の中で、今を生きる人に求められることは何ですか。

 辻野氏 「あなたは何の為に生まれて来ましたか?」とか、「あなたが生まれて来た使命は何ですか?」と云う根源的な問いに確信を持って答えられる人はホボいないでしょう。余程の天分に恵まれた人以外は、或はそう云う人でも、自分が何故この世に生まれて来たのか、本当の処は誰も判りません。人生とは、悶え苦しみながらその答えを探し続ける旅なのかも知れません。

 しかし、今はこれまで以上にそう云う事を真剣に追及する生き方が問われて居る様に思います。上司や組織に命令されるがまま、思考停止したその日暮らしの生き方をして居ると直ぐに人工知能に取って変わられてしまうでしょう。
 資本主義や自由主義の下、経済や金融の世界は飛躍的に発展しましたが、物欲や金銭欲等が全てに優先される様な世の中に為って格差も拡大し分断も進んで居ます。我々に取って真の幸福とは何なのでしょう。

 人工知能の急速な発達や、ゲノム編集等の医療技術の革新によって、人類は遂に神の領域に踏み込み始めたと言ます。GAFAの今後や日本の行く末を考える時に、テクノロジーの急激な進歩が人類にもたらすものについて、生命や宇宙の起源とか、人口爆発や環境破壊等地球が抱える諸問題等と関連付けた大きなスケールで深く洞察する力が求められて居ます。

 実学だけが暴走するのを防ぐ為は宗教や哲学等の役割も見直されねば為りません。私は宗教の専門家ではありませんが、我々日本人の宗教観を考えるに、歴史的にはキリシタン迫害や廃仏毀釈(きしゃく)等の過去はあるものの、八百万(やおよろず)の神と云う表現に象徴される様に多様性への寛容度が高いと感じます。
 クリスマスを祝ったと思ったら寺に行って除夜の鐘を聞き、年が明けると神社に参拝する等の行動パターンは、日本人の受容性や順応性の高さを表して居ると思います。しかし裏を返せば、節操の無さや思考が浅いと云う見方も出来るかも知れません。「平和ボケ」と云う言葉も好く使われます。


 




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              サミュエル・ハンティントン氏


 ハーバード大学の国際政治学者サミュエル・ハンティントンは、1996年にベストセラーと為った著書『文明の衝突』の中で世界の文明を7つに分けました。その中で、他に帰属しない独特の文明を持つ国として日本を位置付けて居ます。
 日本や日本人だけを特別視し過ぎる事には問題がありますが、他国には出来ない日本や日本人ならではの世界への役割は何か、と云う事を意識することは決して悪いことではありません。それはまさに我々の使命を見付け出し自信や誇りと共にそれを遂行しようと云うエネルギーに繋がります。単に欧米型を真似たりシリコンバレー流をコピーしたりすることが我々の遣る事ではありません。

 グーグルは米国発の多国籍企業として、世界を作り変える、未来を作ると云う事をスピーディーに遣り続けて居る企業です。一方、日本に生まれ育った私達が、日本の強みや役割を確りと意識しながら、グーグルや欧米とは又別の遣り方で世界に貢献する意欲を持ち、その意欲を具体的な行動と結果に繋げて行くことを世界は歓迎するでしょう。


 




 クラウド時代、圧倒的なスピード差が生まれる


 ・・・『グーグルが消える日』では「スピードの重要性」も説かれて居ます。特に「時間は、費用の最終的指標である」として重視して居ます。

 辻野氏 「時は金なり、time is money」と言いますが、お金は失っても取り戻す事が出来る資源である一方、時間は誰にトッテモ有限で失った時間を取り戻すことは出来ません。いかに時間をムダにしないかは生きて行く上で極めて重要なことです。
 日本では4月から「働き方改革関連法」の施行が始まりましたが、日本の働き方は平成元年から変わっていません。 ITの活用含めて非常に遅れて居るのが実情です。

 グーグルでは、業務遂行においてクラウドの環境を使い熟して居てアイドリングタイムが無く、世界中のオフィスがタイムゾーンを生かして繋がりながら24時間365日休まず高速回転して居ました。割り込み処理に柔軟な人達が多く、メインの仕事をして居ても割り込みが入ると誰もが柔軟かつ迅速に対応して呉れるので、割り込みを入れた側も待たされる事無くスピーディーに仕事を進める事が出来ました。 「今手が離せ無いから明日まで待って」と云う様な反応が無いのです。
 又何をするでも、ギリギリ最後の1分迄ムダにしないでその1分分だけ仕事の完成度を上げる為に全力を尽くしていた、と云う印象があります。

 会議では、最後に「アクション・アイテム」「それ等の責任者」「締め切り」が議事録のサマリーにリストアップされ、会議室を出れば直ぐにアクションに移るのが当たり前でした。
 現場の担当者に権限が委譲されて居るので、稟議(りんぎ)を回す必要も無く、その場で決めれば直ぐにアクション可能であり、会議を遣ったら必ずアクションに繋げると云うスタイルです。アクションに繋がら無い会議は嫌われ、そう云う会議を主催する人の会議には誰も来なく為ります。

 日本ではクラウドと言うとインフラの議論に為り勝ちですが、本質はそうではありません。先程の会議の議事録一つトッテモ、社内に公開しておけば会議に出ていない人でもリアルタイムで内容を共有出来ます。
 即ちクラウドとは、情報の共有化を促進し、結果的に即断即決即実行のリアルタイム経営を実現する有効な手段であると云う事が本質です。ですから、クラウドの導入によって経営改革を志向するのであれば、CIOに任せて置けば済む話では無くて、CEOが自身の専管事項として、組織のフラット化や現場への権限移譲等と共に断行しなければ意味はありません。クラウドに移行した処で、組織の多重階層や縦割りをそのママにして居ては経営の高速化は実現できません。


 




 日本が強かったのは過去の話


 ・・・日本企業とグーグル、その成長スピードは著しく違う様に思われます。


 辻野氏 グーグルに入社した直後は、直前まで働いて居たソニーとどうしても比較してしまいました。当時のソニーは巨額の損失を計上して経営危機に陥っていましたが、外から見ている限りは何処かノンビリして居る様で死に物狂いと云う印象は受けませんでした。

 一方、グーグルは順調に右肩上がりで急成長し続けているにも関わらず、常にありとあらゆる打つべき手を考え続けて矢継ぎ早にそれ等の手を打ち続けて居る印象でした。丁度ユーチューブを買収したり、モバイルファーストの時代に備えてAndroidの開発に注力したり、Chromeブラウザーの開発やストリートビューの実現等、まさに全力で高速回転して居ました。

 好調な成長に一切甘んじることの無い姿からは、日本的な表現に為りますが「常に刀を枕元に置いて寝る」と云う様な緊張感を感じました。CEOだったエリック・シュミットも「ウェブの世界はクリック一つでユーザーが瞬時に離れる」と云う様なことを好く言って居ました。
 今、世界トップの座を巡って米中の覇権争いが始まって居ますが、その狭間に居る日本には存在感がありません。過つて「電子立国日本」と呼ばれて半導体や家電産業が世界を席巻したのは遥か昔の話に為ってしまいました。

 今や半導体専業メーカーとして最後の砦と為ったルネサスや、同じく液晶のジャパンディスプレイ等も苦しい状況です。日本は元々モノ作りやデバイスに強い国だから、IoTやデータ民主化の時代に為れば、もう一度チャンスがあるだろうと云う人も居ますが、それ程単純な話ではありません。とは言え、持ち路んチャンスが無い訳では無いでしょう。

 ・・・そのチャンスを捕まえる為に、今、何をすべきでしょうか。

 辻野氏 先程も述べた様に、日本の強みや役割を確りと棚卸しして、我々なりの遣り方で世界に貢献する意欲を持たねば為りません。
 そして、GAFA以上の知性と使命感にスケールとスピードで動く事が必要条件です。その迫力が今の日本の何処に残って居るのか、私には判りませんが、グーグルの貪欲さやスピードに比べると全体的には随分大人しい印象です。勿論、ひと頃に比べると若くて元気な人達が世界を視野にドンドン起業する様にも為って来ていますから、そう云う流れを大切にしなければ為りません。

 『グーグルが消える日』には“知の巨人”達の名前が沢山登場し、著者もそれ等の多くと実際に会って対話して居る様でした。IQの高い人達が何時も様々なテーマに付いて話しながら、互いに刺激し合って思考を深め行動を加速して世界は進化して行くのだと云う事を感じました。グーグルも、世界中から集まった人達による活発な異業種交流会が日常化して居る様な環境でした。

 日本は同質性の世界で「アウンの呼吸」とか「以心伝心」とか、最近では「忖度(そんたく)」等と云う言葉も使われます。日本人には居心地が好いのかも知れませんが、この様な殻を破って異質な人達ともっと積極的に交流することも大切な事だと思います。

 ・・・本日は貴重なお話をありがとうございました。


 聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、渡邉聡一郎 執筆:翁長潤

                 以上




 【管理人のひとこと】

【元GOOGLEJAPAN代表辻野晃一郎氏シリーズ1〜3まで連載します】

 有難い世の中に為ったものです。キーボードとマウスを使えば、この様な人のお話を即座にそれも無償で居ながらにして拝聞出来るのですから。これも、発達したインターネットとそれを開発し普及させた人達の先見性と努力のお蔭なのです・・・心より感謝します。



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