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2021年05月10日

「IZ*ONE」とは一体何だったのか?  松谷 創一郎




 「IZ*ONE」とは一体何だったのか? 

  2年半で見えた 日韓アイドルの「決定的な差」


 現代ビジネス 5/8(土) 8:01配信


           5-8-5.jpg

               写真 現代ビジネス 5-8-5


 日韓混成のガールズグループ・IZ*ONEが、4月28日に活動を終了した。2018年にMnetのオーディション番組『PRODUCE 48』を経て結成されたこの12人組は、デビュー当初から大ヒットした。
 K-POPのガールズグループでは、BLACKPINKTWICEに次ぐ人気を維持して来た。惜しまれる解散は、結成時から予定されていた2年半の活動期間に達したからだ。

 IZ*ONEで特筆すべきは、AKB48グループの日本人メンバー3人が加わって居た事だ。宮脇咲良(HKT48) 矢吹奈子(同) 本田仁美(AKB48) の3人がそうだ。日本のトップグループのメンバーが、言わば“期限付きレンタル移籍”の形でK-POPグループに加わったのは極めて異例のことだ。  
 様々なプロダクションから集まった12人は、今後夫々の会社に戻って新たな活動を始めると見られる。48グループの3人も一旦帰国した。人気グループだけあって、彼女達の動向は今後の日韓の音楽状況に可成りの影響を与えると予想される。今後のK-POPとJ-POPにおいて、大きなメルクマールと為ると見られるIZ*ONEの2年半を振り返る。 

 メルクマールとは、目標を達成する迄の道のり・中間目標・ゴールなどと云った意味で使われるドイツ語です。 目標を達成するプロセスの指標のなかで、特に重要なものを指すことが多いです。2019/11/29

 IZ*ONEが誕生するまで
 
 『PRODUCE 48』が放送されていた2018年、筆者はその模様をこの『現代ビジネス』で4回に渡って逐次レポートした。IZ*ONEが誕生するまでのプロセスを入念に追っていた。

  AKBが開いたパンドラの箱『PRODUCE 48』の代償と可能性(2018年8月3日) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56778
 『PRODUCE 48』で露呈した、日韓アイドルの決定的な違い(2018年8月17日) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57011
 『PRODUCE 48』が保守的な日本のアイドル像を破壊する可能性(2018年8月31日) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57301
 『PRODUCE 48』は“JK-POP”の生みの親になるかもしれない(2018年9月20日) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57573 ----------  

 当時、日本では『PRODUCE〜』シリーズは広く知られていなかった。だが、2016年にI.O.I・2017年にWanna Oneが生まれて大ヒットした実績を踏まえれば、新シリーズから誕生するグループの成功は十分に予想出来た。
 それ以上に興味深かったのは、Mnet秋元康と組みAKB48グループのメンバー39人を参加させたことだ。それは参加者(練習生)の4割に相当し、当初から日韓混成のグローバルグループが目的とされていた。

 それ迄にも、少数の外国人が参加したり、中国へ番組パッケージを輸出してグループを創ったりはしていたが、これ以後にもここまで多くの外国勢が参加した事は無い。結果として、日韓の文化的な差異が様々に明らかに為った興味深い企画となった。  
 当時は、BTSがドーム公演を成功させ、日本出身者3人を含むTWICEが日本でも大ブレイクしてから1年程経った頃。既に定着して居たK-POPは、最大の海外マーケットで拡大期に入っていた。そこで、現地(日本)の人気アイドルグループと全面的に手を結んだ誕生したのがIZ*ONEだった。

 一時は活動がストップしたが・・・

 IZ*ONEの2年半は、決して順風満帆だった訳では無い。予期せぬ不運な出来事にふたつ見舞われたからだ。  
 ひとつが、デビューから1年が経過した2019年11月に生じた『PRODUCE〜』シリーズの投票操作問題だ。この番組のデビューメンバーは「国民プロデューサー」と呼ばれる視聴者からの投票で決められた筈だったが、実際は投票結果を番組サイドが意図的に操作して居た事が明るみに為った。

 この時IZ*ONEは難しい立場に置かれた。メンバーの幾人かが、本来は脱落していた事を意味したからだ。(後に判明するのは、意図的に脱落させられた2人の名前のみだった)
 既に活動から1年が経過し、十分な人気を得ていたIZ*ONEは、突然スティグマを負わされてしまった。タイミングも悪かった。問題の発覚は、1srアルバム『BLOOM*IZ』の発売と、ドキュメンタリー映画『EYES ON ME : THE MOVIE』公開の数日前だった。

 スティグマとは、差別・偏見と訳されるが、特定の事象や属性を持った個人や集団に対する、間違った認識や根拠のない認識のことを言う。 スティグマは、その結果として対象となる人物や集団に対する不利益や不平等、排除等のネガティブな行動の原因として社会的に問題となることが多い。

 年末年始に日韓の音楽番組やイベントを控えて、万全の体制で臨もうとしていた矢先だ。恐らく『NHK 紅白歌合戦』への出場も内定して居たと見られるが、それも実現しなかった。  
 結局、2019年11月中旬から2020年2月中旬までの3ヵ月間、IZ*ONEの活動は完全にストップした。ファンクラブの受付を止める等一時は解散に傾いたかと見られたが、結果的には活動を再開した。多くのファンから声が上がり、同時にメンバーたちに同情する向きも拡がったからだ。何も知らされずに順位操作でデビューしたメンバーたちも結局は被害者だったからだ。

 新型コロナは大きな痛手だった

 2020年2月に活動を再開したIZ*ONEだったが、その直後に生じた不運は新型コロナウイルスのパンデミックだった。日韓での活動を前提とするIZ*ONEは、コンサートを開催出来ない処か韓国から出国出来ない状態に置かれた。  
 この状況は、結局最後まで続いた。新型コロナの影響を受けたのはIZ*ONEだけでは無いが、2年半のリミットが最初から決まっていた12人に取っては矢張り大きな痛手だった。終わってみれば、2年半の活動期間のうち通常の活動を出来たのは最初の1年だけだった。

 活動期間の満了が迫る中、IZ*ONEの継続を求めるファンは多かった。クラウドファンディングのサイトでは、現在まで目標の10億ウォン(約1億円)を大きく超える約32億ウォン(3億2,000万円)が集まって居るほどだ (「IZ*ONE活動再開の為の小さな一歩、平行宇宙プロジェクト」 ) その額の大きさからもIZ*ONEの人気は窺(うかが)えるが、こうしたファンの動きが今後どのような影響を見せるかは未だ判らない。

 最大の特長と魅力


     5-8-6.jpg

            〔PHOTO〕gettyimages 5-8-6

 不運に見舞われながらもIZ*ONEは大ヒットを続けた。それは判官贔屓的な支持が拡がった訳では無く、手堅い人気を維持するだけのパフォーマンスがあったからだ。 彼女たちの最大の特長は12人の編成にある。これはK-POPグループの中でも可成り多い部類に入る。
 人数の多さはプラスに働くばかりでは無い。ひとつの曲の中でもメンバー個々のパートが減る為、埋没する可能性もあるからだ。

 だが、IZ*ONEは大人数であることを確りとアドバンテージとした。その最大の魅力は極めて精緻に練られたダンスにある。メンバーは目まぐるしくフォーメーションを変えてダンスをハーモナイズして行く。
 これまでK-POPは、例えば少女時代が見せた様に一糸乱れずシンクロナイズしたダンス(韓国語で「カル群舞」と呼ばれる)で注目されて来た。IZ*ONEはこうした技術的な側面は勿論のこと、大人数を活かしたダンス構成が極めて秀逸だった。  

 それが判るのは、例えば「幻想童話 Secret Story of the Swan」のダンス動画だろうか。センターのヴォーカルパートは次々と入れ替わり、4人ずつ3グループで左右に分かれたり、或いは前方7人の後ろから残る5人が段階的に加わったり、12人が縦横無尽に動いてフォーメーションを変え続ける。サビ部分で全員の“カル群舞”=ユニゾンが映えるのも、それ迄の複雑な展開があるからこそだ。  

 IZ*ONEのダンス傾向は、この5年程K-POPを席巻して来たガールクラッシュ(女性が憧れる女性像)の力強さとは異なる。デビュー曲「La Vie en Rose」の時から、IZ*ONE嫋(たお)やかな腕の動きや細かい指使いを多用して優雅さを魅せて来た。
 ヒップホップやR&B、最近ではディスコファンクが目立つK-POPの中で、その上品なダンスはモダンバレエを思い起こさせる類のものだ。  

 中でも独特だったのは、MV曲では無い「Highlight」だ。ミドルテンポのこの曲は、最大の見せ場がダンスそのものだ。しかもそれは決して複雑では無い。メンバー全員が両腕を広げ、身体全体をユックリと捻(ね)じるだけ。シンプルなその動きは極めて小さくユックリとしており、それまで続いていた動の時間が急に止まる。言わば “動かないダンス” だ。  
 ダンスと言うと、一般的には前述した様な“カル群舞”や激しい動きばかりが注目されるが、曲全体で緩急をつけるこうしたアイディアは秀逸だ。

 非常に小さい動きではあるが、12人が横に並んで見せる事でこのダンスは威力を発揮する。(同じ『PRODUCE〜』シリーズの日本版からデビューしたJO1も、デビュー曲の「無限大・INFINITY」で似たアプローチをしている)
 日本発のアイドルグループでは、こうした工夫は余り見られ無い。例えばAKB48や坂道グループなど日本のアイドルは、シンプルなフォーメーションでメンバー全員が最初から最後まで※ユニゾンで踊り続けるものが多い。それはパフォーマンスにコストを掛け無いビジネスモデルの結果でもあるが、“一致団結”ばかりを目指すヨサコイソーランの悪癖にも見える。

 ※ユニゾン 音楽においてテクスチュア・音構成原理を形成する方式の一つ。同一の音高を同時に響かせることをいう。その厚みを感じさせる効果が特徴で、労働歌・国歌・寮歌ばかりでなく、歌曲や管弦楽曲でも他の多声的なテクスチュアとの対比を強調するときに用いられる。
 オクターブ関係にある音を重ねて進行すれば純粋のユニゾンではないが、オクターブ平行の意識が働かず、男女が同一旋律を斉唱するときなどはユニゾンとみなすこともできる。[山口 修]

 K-POPJ-POPは融合したのか
 
 2年半前、筆者はIZ*ONEの誕生を受けて「『PRODUCE 48』は“JK-POP”の生みの親に為るかも知れない」と記した。(連載第4回) K-POPJ-POPの境界がより取り払われ、両者の特長が融合する化学反応を予想したのである。勿論、それは希望的観測でもあった。

 閉鎖的かつ保守的な日本の音楽とアイドル状況に、IZ*ONEが大きな風穴を開ける存在に為って欲しいと云う願望を“JK-POP”と表現した。 だが、現実的にはそう為ら無かった。日韓で完全に別々のプロデュースと為ったからだ。
 これは恐らく番組開始時からの契約だったのだろう。韓国はMnetを運営するCJ ENM傘下のプロダクション、日本はAKB48グループを運営するAKSと秋元康だった。(後にAKSはAKB48の運営を分社化し、社名をヴァーナロッサムに変更)

 韓国語曲は韓国チームが、日本語曲は日本チームが創る体制は最後まで貫徹された。しかし、逆にそれはプロデュースにおける日韓の姿勢と力量の違いを鮮明にさせた。メンバーは同じ12人でも、楽曲やダンスなどに明らかな差異があったからだ。  
 結論から言ってしまえば、そこでは日本語曲の水準の低さが浮き彫りと為った。日韓で求められるアイドル像やビジネスモデルが異なるとは言え、素材が同じゆえに比較を免れる事は出来ない。ファンからは日本語曲への不満が噴出した。  

 より具体的に言えば、日本語曲はサビに為ったら全員で合唱し、ラップは(活動後期まで)ホボ無く、歌詞は日本デビュー曲の「好きと言わせたい」の様に思春期的な恋愛模様ばかり。そのコンセプトは従来のAKB48グループと大差無く、メンバー達の個性も全く活かすことが出来ていない。
 「IZ*ONEの無駄使い」と酷評するファンも少なくなかった。実際、全体の活動の30〜40%を日本語曲に費やした事を考えれば、限定的な時間を有意義に使えたとは言い難い。

 視聴・再生回数を見れば一目瞭然

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                写真 現代ビジネス 5-8-7

 こうした楽曲の力は、YouTubeやSpotifyの視聴/再生回数にもハッキリと表れている。CD売上が人気を測る指標として過去のものと為った現在、視聴回数をオープンにしているインターネット配信は曲の広がりを見る基準として機能する。  
 韓国語曲は、デビュー曲「La Vie en Rose」がYouTubeで約1億5000万回視聴されているのを筆頭に、昨年12月発表の「Panorama」まで全て5,000万回を超える。K-POPではMVが2,000〜3,000万回視聴されてやっとヒットとして認識され、BLACKPINKTWICEでは億を超えるのが当然の世界だ。  

 しかし日本語曲は、最高が「好きと言わせたい」の約2,600万回に留まる。他の3曲は2,000万回に達しても居ない。曲単位では「好きと言わせたい」以外はヒットと言い切れ無い水準だ。  
 Spotifyでは、YouTube以上に人気の差が出ている。日本語曲で1,000万回再生に達したものは無い。音楽だけではMVよりも訴求しないと云う事だ。  

 こうした結果を踏まえると、日韓のYouTubeチャンネル(韓国は音楽レーベル、日本はIZ*ONEのみ)等による差とは考え難い。コンテンツ(音楽)でハッキリと評価が分かれたと見る方が妥当だ。  
 これは極めて興味深い事例だ。何度も音楽(MV)を聴きたい(観たい)と思う魅力のグローバルな伝播が再生回数に反映するとすれば、日本語曲は韓国語曲の足元にも及ば無かったことを意味する。  

 結局、日韓で別々にプロデュースされたIZ*ONEは、“JK-POP”などに為ること無く二つの顔を並行させたママ終わった。3月13・14日に行われた「IZ*ONE ONLINE CONCERT [ONE, THE STORY] 」でも、過去の日本語曲はひとつも披露され無かった。
 この日の為に創られた秋元康作詞による日本語のバラード「Lesson」は歌われたが、作曲は韓国人なので恐らく韓国サイドで制作されたものだ。
 コンサートは夫々コンセプトがあるので過去の人気曲でも披露され無い事はある。だが、集大成と為る最後に日本語の代表曲が全て外されたのは象徴的な事態だった。しかも、ファンの多くはそれに不満を表さ無い処か当然の事と受け止めていた。

 同じ曲なのに“立体感”が違う?

 IZ*ONEの日韓における活動では奇妙な現象も見られた。K-POPで既に発表された曲の日本語版が創られる事は、ローカライズの為のコンテンツ運用として珍しく無い。IZ*ONEも、例えば韓国語の代表曲である「La Vie en Rose」「Violeta」等はその日本語版が創られ、2020年10月に発表された日本アルバム『Twelve』に収録されている。  
 その逆に、活動前半には日本語曲の韓国語版も二つ創られた。2019年2月に日本デビューシングル「好きと言わせたい」のカップリングとして発表された「ご機嫌サヨナラ」「猫になりたい」だ。2ヵ月後の4月、この2曲は韓国での2ndミニアルバム『HEART*IZ』に韓国語詞で収録された。  

 奇妙な現象はここで見られた。その2つは、歌詞のみが異なる同じ曲であるにも関らず、音楽の“立体感”が異なって居たからだ。中でもアップテンポの「ご機嫌サヨナラ」ではその違いが明白だった。  
  日本語版「ご機嫌サヨナラ」  
  韓国語版「GOKIGEN SAYONARA - Korean Version」  
 簡潔に言えば、韓国語版はヴォーカルと伴奏(トラック)が調和し、曲全体のメリハリが感じられるのに対し、日本語版はヴォーカルだけ浮き上がり、曲全体も平板な印象だ。この違いが前述した“立体感”であり「奇妙な現象」の正体だ。しかし、何故こうしたことが起こっているのか? 

 なぜ違いが生まれたのか?
 
 この2曲で明確に異なるのは低音部だ。韓国語版は低音が強いのに対し日本語版は控えめだ。ヴォーカルも韓国語版は伴奏に溶け込んでいるが、日本語版は一語一語がクッキリ聴こえる。これは、日本語版ヴォーカルのリヴァーブ(反響)が弱い為でもある(「猫になりたい」も概ね同様だ)。恐らくミキシングにおける違いだと考えられる。  
 詰り、楽曲そのものでは無くレコーディング後のポストプロダクションにおいて日韓で違いがある。では、なぜこうした差異が生じたのか?   

 幾つかの仮説が考えられる。ひとつが「好み」説だ。低音を中心にビートを軸とする韓国語版に対し、日本語版はヴォーカル(歌)を軸に調整されている可能性がある。カラオケ文化が韓国以上に浸透している日本では、確かにJ-POPで歌や詞が重視される傾向はある。
 音楽ジャンルでも、欧米と同じくダンスミュージックやヒップホップが中心の韓国に対し、日本では未だにロックバンドのサウンドが好まれる傾向が強い。  

 もうひとつが「能力」説だ。端的に言って、IZ*ONEの日本語曲の制作スタッフに能力的な問題がある可能性だ。ベテランのエンジニアに訊いた処、IZ*ONEの日本語曲は「音圧を稼ぎ過ぎる余り、ダイナミックレンジを狭くして立体感を失っている」と分析した。

 世界中のファンが指摘する問題
 
 その違いを生じさせた本当の原因は、日韓の当事者から証言が得られ無い以上は判らない。只、IZ*ONE前半期の日本語曲は、未だ制作に力を入れて居た気配があった。しかし、ファンの期待を裏切ったのはそれ以降の日本語曲だ。
 中でも2019年9月に発表された3rdシングル「Vampire」は、多くの不評を買った。楽曲そのものの質もあるが、前述した様なミキシングの問題がそこには見られた。この曲は、クグモったアナログ音の様なイントロから、ヴォーカルの入るAメロから通常の音圧にする趣向だ。こうした演出自体は珍しく無いが、Aメロの音の抜けが極めて悪い為にイントロ部分が上手く機能していない。

 実際、筆者がYouTubeで初めてこの曲に接した時、PCに繋いで居たスピーカーの問題だと勘違いし、接続や故障の確認をした程だった。ミキシングで完全に失敗している。
 勿論それは「Vampire」の“仕様”だった訳だが、筆者が自然体で発見してしまったこのミキシングの問題は、世界中のファンから指摘されて居る。その一部はYouTubeのMVにおけるコメント欄で確認出来るが、その殆どは英語によるものだ。

 しかもそれに対し「ヴォーカルのミキシングが失敗」「これは典型的なJ-POPのサウンド」と云ったやり取りが交わされている。「ご機嫌サヨナラ」からも窺われた制作スタッフの「能力」説は、後に発表されたこの「Vampire」からも推測できるのだった。

 「能力」問題が重大視される理由


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                〔PHOTO〕gettyimages 

 こうした「能力」問題が、重大視されるのもグローバル化した音楽状況があるからだ。2010年代とは、既にデジタル化していたエンタテインメント(音楽や映像)が、スマートフォンとSNSにより一層のグローバル化をした※ディケイドだ。
 経済学で言う処の情報財に相当するエンタテインメントは、デジタル化によって複製コストが限り無く下がる為に単価は安く為った。  

 ※ディケイド 英 decade デカッド 英 decadとは、英語で10個組の物や10の長さの期間を指す言葉 一般的には10年間すなわち十年紀のことを指す

 その一方で、インターネットによる流通コストも下がった為に、マーケットはグローバルに拡大した。YouTubeやSpotify・Netflix等は、その激変するメディア環境の中で飛躍的に業績を伸ばして居るサービスだ。  
K-POPを初め、韓国ドラマや韓国映画もそうした状況を見越して、トライ&エラーを繰り返しながら20年間賭けてグローバル展開を成功させた。「グローバルアイドル」を目的としたIZ*ONEも、その流れに乗ることを前提とした存在だった。  

 しかしその中では「Vampire」の一件の様に、閉鎖的なJ-POPでは顕在化し無かった事象が、YouTubeを通じて世界の人々から問題化される様に為ってしまう。しかもそれは、IZ*ONEの日本プロデュースを担当して来た秋元康が、能動的にグローバルな世界に足を踏み出した結果だ。半ば自爆といって好い。  
 この問題は深追いしないが、IZ*ONEを通して見えて来たこれらの音楽的な事象は問題提起して置きたい。当事者が何気無く過ごして居るうちに、可成り深刻な事態が生じているのではないか・・・そう危惧している。  

 (後編「IZ*ONE解散・・・宮脇咲良が世界で活躍するには「韓国に戻る」しかない」はこちらは、別途アクセスください・・・管理人)


 松谷 創一郎 ジャーナリスト














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